吉備 上り店

2009年08月16日
【店舗数:243】【そば食:427】
岡山県岡山市元町

かけそば

吉備 上り店

墓参のため岡山入り。仕事の関係でギリギリになって墓参日程が決まったため、交通手段の手配はできなかった。そのため、お盆Uターンラッシュ祭りが最高潮を迎え、全国各地で「せいや、せいや」のかけ声が響く中新幹線へGO。さあ、戦いの始まりです。

一昔前までは岡山始発ののぞみ号があったが、現在はその全てが広島始発に地殻変動した。広島にライバル心を持っている岡山県民の皆様は相当プライドが傷つけられたようだが、飛行機との激戦区であるが故にこれは許してやってつかあさい。

ただその結果、今回のおかでんのように「指定席券はないけど、岡山から新幹線で座って帰りたいな」と思う人にとっては相当弱る事になる。

しかし、繁忙期ということでJRも馬鹿じゃあない。臨時列車は当然岡山からも出る。最新の時刻表を把握していれば、始発電車の自由席で座って帰る事は、可能。もっとも、出発時刻の1時間前を目安に、駅には到着していないといけないが。

もともと岡山は昼間に1時間に1本の割合で、ひかり号が始発している。多くの人はこれを当然狙う事になり、ホームは殺気立つ。しかし、この日(8月16日)は臨時でのぞみ号の始発も出るのですよ諸君。しかも「駅から時刻表」によると、23番ホームから出る事も既に分かってるのですよ。ホームで右往左往したり、電光掲示板にまだ表示されていない事に戸惑ったりしている情報弱者の皆様、これが格差という奴だ。せいぜい24番線のひかり号始発を目指して大行列してるがいいさ。情報強者の俺様は、悠々23番線の短い行列で時間つぶしさせてもらうよ。

行列ほぼ先頭という好位置をキープし、お土産の「むらすずめ」もキオスクで買い、さあ後はやることが無くなった。正直、暇だ。せっかくだから、ホームにある立ち食い蕎麦でも食べてみるか・・・という気になるのも、必然だ。

お品書き

「自由席着席は確実」という余裕が醸し出す王者の風格から、ふてぶてしい面構えで店の外観およびお品書きを物色する。

そうだよな、西日本だから「そば・うどん」という表記ではなく、「うどん・そば」になるんだよな。「店長のおすすめ」として紹介されているメニューがすべて「うどん」なのは、無意識のうちにそうなってしまったのだろう。ところでこの「おすすめ」の根拠って何?原価率?それ以外っておすすめしかねるっていう意味では、まさかあるまい。

そもそも、こんな「おばちゃん一人できりもりしています」というお店で、「店長」なる存在が急に出てくるというのがもの凄い違和感がある。アンタ誰よ。普段どこにいるのよ。もちろん、個人商店ではないし、パートさんをシフト制で勤務させている以上は店長がいるのは当然。しかし、なんだかちょっと面白い。アンタ誰?と。

そもそもこのお店の名前が不明だ。看板には「味自慢 うどん・そば」と書かれているが、まさかこれが店名ではあるまい。営業時間が記された張り紙に、「吉備上り店」という記述があったので、どうやら多店舗展開はしているっぽい。

気になって帰宅後調べてみたら、なんとこの店、「吉備上り店」という店名ということが判明した。えっ、「ナントカ」という屋号があって、その「吉備上り店」じゃないの?じゃあ、「吉備」という店の「上り」店なのか?ますます気になって、「吉備下り店」で検索してみたが、こちらはヒットせず。ううむ、怪しい。謎だ。秘密組織の臭いがぷんぷんするぞ。

このお店の面白いのは、ガラス戸のところに「冷やしはじめました」という張り紙がしてあったこと。「冷やし中華」の「中華」が抜けてますよー、と思ったが、まさか本当に駅の立ち食いで冷やし中華が出てきたらびっくりだ。具のトッピングの手間を考えたら、ありゃ立ち食いという形態にはあわぬ。

お品書きをみると、夏季限定として「ざるうどん・そば」と「ぶっかけうどん・そば」があった。これが「冷やし」というわけだ。なるほど。季節感をくすぐる宣伝文句には滅法弱い性格だが、さすがにこれに手を出そうとは思わなかった。駅の立ち食いで、ざるそばで美味かった試しがないからだ。温かいつゆに浸かってれば誤魔化しがきいたまずさなのに、丸裸にしちゃってモロバレでございます、というのは一体どうしたものか。客を試しているのだろうか、とさえ思う。

せっかくだから、冬には鍋焼きうどんを出していただきたい、と思うが、なかなか冷めないのをはふはふやっている間にお目当ての新幹線が出発しそうで危険。

あじわい

下りホームを見ると、こちらとは違う風体の立ち食い店があった。倉敷を意識したと思われる、なまこ壁のお店。「あじわい」という店名らしい。

そういえば話は脱線するが、昔おかでんが子供の頃は、岡山駅の新幹線ホームに味噌汁の自動販売機があったな。子供心に驚きと、好奇心を大いにそそられた自販機だった。あれ、どういうシチュエーションで利用されたんだろう。恐らく駅弁のお供に、ということだとは思うが、売れたんだろうか?

かけそば

店内に入り、かけそばを注文する。天ぷらをのせると「外れくじ回避のおまじない」になるのだが、おなかは特に空いていなかったので一番シンプルに。

注文する際、思わず店内を見回してしまった。この手のお店って、現在じゃほぼ全て自動食券機が導入されている。それが見あたらないので、ちょっと戸惑ってしまったのだった。後からやってきたお客さんも同様に一瞬躊躇していたので、どれだけ自動食券機が普及しているかがうかがえる。

冷凍のそばがテボに入れられてゆでられている間に、店の外では事態急変。次の岡山始発のぞみ号は24番線からの発車になります、というアナウンスがあったからだ。えっ、僕、23番線に悠々と荷物置いてきてるんですが。隣のホームなの?やっぱり?そうなの?

おかしいと思ったんだ、23番線はバンバンのぞみ号が停車し、出発している。こんなところに悠長に始発電車が停車するとは思えなかったのだが、やっぱり始発は24番線だったかッ・・・。道理で、24番線に行列ができているわけだ。

さっきまで「情報弱者のお前ら、情報強者の俺様」という見下した態度だったのが一変。こりゃいかん、24番線の行列は既に長く伸びている。とっとと蕎麦食って移動しないと、「1時間前から駅には着いていましたが、座れませんでした」というみじめな結果になってしまう。「情報強者」と自称するまではよかったが、その情報の信憑性までは検証していなかった。情報に騙されるとは、まだまだ情報弱者の域を超えていない。

急にソワソワする挙動不審なオッサンに早変わり。早く、早く蕎麦をオレの手元に!とおばちゃんの動作にやきもきする。いいねえ、立ち食い蕎麦って、こういう一分一秒を争う殺伐感が無くちゃ。今まで食べてきた立ち食いって、時間に余裕がありすぎなんだよ。

おしっこを我慢している子供のようにモゾモゾしながら待っていると、ようやくでき上がった。いや、「ようやく」って言っても時間にしたらたかが知れてるんだが。おばちゃんから「天かす入れますか?」と聞かれて「入れてください」と答える。そうかー、天かすを入れる/入れないという無料オプションがあるんだな。久々に西日本で立ち食い蕎麦を食べるので、すっかりその流儀を忘れていた。

とん、と目の前に置かれたかけそば。「かけ」とは言うが、万能ねぎ、かまぼこ、天かすが入っていてちょっとだけゴージャスな気分になれる。寡占状態の立地で、なおかつ賃料相当高そうな場所で出すメニューとしては安いと思う。東京だったら、天かすオプションで+30円とか取られそうだ。

つゆをすすってみる。おう、そうだった、うっかりしていたぜ。関西風のつゆなんだったな。道理で色が薄いわけだ。心の準備ができていなかったこともあり、「味が薄いなあ」と感じた。すっかり関東風の味つけに染まってしまったなとしんみり。涙がこぼれ落ち、つゆの塩味を引き立てる。いや、実際は泣いてないけど。

しかしだ、やっぱり蕎麦を食べるんだったら関東風の方がいいと思う。こればっかりは人それぞれで個人の趣味だが、ずるずるッと蕎麦をすすったときに鰹の香りがドンと鼻に抜け、醤油臭さが口の中に充満する下品さがある関東風は大変によろしい。これぞ立ち食い、という気持ちにさせてくれる。今回のように慌てて食っている時ならなおさらだ。しかし、関西風の優しい風味のつゆだと、どうもしまりがないというか、食べる事に集中しないと味がわかりにくい。

結局この日食べたかけそばは、外の行列が気になりながら食べたせいもあって全然味の印象がないものとなった。

こうなると、関西風のつゆの蕎麦をいろいろ食べ歩いてみたくなってきた。これはこれで美味い、っつーのがあるはずだから。それにまだ気がついていない自分がなんだか悔しい。とはいえ、「このつゆだったら大人しくうどん食っとけ」というだけの話なのかもしれんが。

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