国産二八蕎麦 蕎香 エキュート上野店(01)

2011年01月21日
【店舗数:267】【そば食:467】
東京都台東区上野

かき揚げそば(せいろ)

蕎香

上野駅がごそごそ何やら改造工事。

ここ最近、JR東日本は「エキナカビジネスは儲かる。」との信念まっしぐら。昔はキオスクと立ち食い蕎麦屋くらいしかなかった世界に、ありとあらゆるお店を導入しまくっている。

もともと駅というのは公共性が高い場所なので、税制面では優遇されている。でもそれをいいことにエキナカでもうけまくっているのに行政側も我慢ができんかったらしく、「エキナカも一般のお店と同じように課税する」なんて話になってなかなか香ばしい昨今。

もともと上野は昔からメガターミナル駅として栄えてきた。「ふるさとのなまり懐かし停車場」と昔から言われてきたくらいだ。そこにJR東日本が目をつけないわけがない。そんなわけで、従来あったお店を一掃して、今風なお店に全面改装しちゃった。やりすぎだろ、というくらいのリニューアル。

そんな混沌と創造のカオス上野駅で、一軒の怪しい店が誕生。名前を「蕎香」という。その名の通り蕎麦屋だ。しかし、「たかが駅蕎麦」と一刀両断できないような、若干お値段高め感をぷんぷんさせているお店が、この「蕎香」。

蕎香お品書き

調べるまでもない。

どうせNRE(日本レストランエンタプライズ)のお店だろう、と思ったら案の定そうだった。

NREといえば悪評高い「あじさい」という立ち食い蕎麦が黒歴史として鎮座している。画一化・大量生産の大号令のもと、この「あじさい」が東京近辺の駅蕎麦の地位を席巻していた。それで美味けりゃ拍手ものだったのだが、正直「まあ、立ち食いだからねェ」と同情申し上げざるをえない味なのは言を待たず。

さすがにNREもそれじゃイカンと気付いたらしく、最近は「あじさい」だった蕎麦店がどんどんリニューアルしている。店の名前からして変わってしまい、「元:あじさい」とは気づかないくらいだ。でも、店頭にぶら下がっているポスターがあじさいと一緒だったりして、正体見たり、というのもしばしば。

品川駅の常盤軒を見よ、あれだけの味を立ち食いでも出せるんだから、NREは潔く立ち食い蕎麦業界から手を引けばいいのに・・・と、思ってしまったが、いやはや長生きするもんだ。今度は高級路線で登場だ。

お店のコンセプトは、以下のとおり。

厳選された国産蕎麦粉を使用した二八蕎麦を提供する蕎麦専門店です。打ち立ての麺を、大釜でゆであげる「蕎香」の蕎麦は、とても豊かな香りが特徴です。揚げたてで提供するサクサクのかき揚げも、自慢の逸品です。

うわあ、すごい。(棒読み口調)

言っちゃなんだが、とても信じられないんですけど。豊かな香りがする蕎麦なんて、町中の蕎麦専門店でさえ難しいというのに、エキナカの蕎麦店でそれが実現できるとは到底思えない。でも、店の名前が「蕎香(きょうか)」って名乗っちゃったもんなあ、よっぽど自信があるのだろうか。

案外社長の愛人の名前が「蕎香」だったので、その名前をつけました、なんて話だったりして。いやいや、いくらなんでも「蕎香」って名前の女性はいないだろ。

食券機

お店の本気度を表しているのか、メニューは非常にシンプル。

二八そば、これがかけそばにするかせいろそばにするかで2パターン。あとはかき揚げが何種類かあって、あとはわかめなどトッピング少々。今後もメニューは増やす気はない!とばかりに、自動食券機のボタンはとても大きい。物理的にメニューが増やせない構造。この潔さやよし。

厨房てんてこまい

これで完璧立ち食い形式だったら殺伐としてよいのかまったりしてよいのか微妙だが、カウンターのみ、21席完備。ゆっくりと食べてくださいというわけでもないけど、かといって寸暇を惜しんでとっとと食って電車に乗れ、という風情でもない。

厨房と店内、あわせて8名もの店員さんがわさわさと動き回っている。まだ開店して1か月なので、慣れていないのだろうか。こうも高密度に店員さんがいるのは初めて見たので、なんだか異様だ。頼めばわんこそばみたいにどんどん蕎麦をよそってくれるんじゃあるまいか?

かき揚げそば

かき揚げそば(せいろ)、700円。

器はさすがに従来の立ち食いクオリティのものよりも立派なものを使っている。ただ、蕎麦がせいろからあふれてしまっているのがご愛嬌。

二八そばが550円なので、一般的な立ち食い蕎麦店と比べて相当割高な値付けになっている。お店として強気の姿勢だが、実際に「厳選された国産蕎麦粉」を使用するとなるとこれくらいの値段は当然。

そばアップ

蕎麦。量はそこそこある。ただ、「北海道産の香りの高い挽きぐるみの国産そば粉100%」という謳い文句だが、さすがに香りは無理があった。つゆもいろいろうんちくを語っている割には市販の麺つゆの域を超えていない気が。

かき揚げ

かき揚げは揚げ油の中でざくざく箸を突き立て空気を含ませたもの。相当大きく、握りこぶしほどのサイズがある。ただ、残念ながら揚げおきのものであり、若干油が回っていた。かき揚げを店の売りの一つにしているのだから、ここは注文が入ってから揚げた方がよかったのに・・・と思うが、エキナカビジネスでそれは無理だろうか。

つゆとそば湯

とりたてておいしくない蕎麦湯を飲みながら考えてみる。

この店、中途半端なんだよな。エキナカ蕎麦でも、さっと食べて帰る人にも、そこそこのクオリティの蕎麦を提供したい、と。その「1ランク上」を目指す気持ちはわかるんだが、まだどうもしっくり来ていないのだった。うーん?

蕎麦屋という形態である必然性があったのかどうか、も悩ましい。いっそのこと串カツ屋にしちゃうとか、天ぷらを肴に結構飲める蕎麦屋にするとか、そういうやり方はなかったんかいな。惜しいんだよな、なんだか。

惜しいゆえに、これだけぼろかすにけなしておいてもまた訪れてみたいような気になるから不思議だ。崇高なコンセプトを掲げているから、ひょっとしたら時期をずらすと予想外に美味い蕎麦に出会えるのかもしれない。そんな期待感がわずかながら、存在するのですよ。

気のせいかなあ。

名刺

名刺裏面

カウンターには、名刺があった。エキナカの蕎麦店で名刺!というのに驚いたが、さらに驚いたのは「蕎香 エキュート上野店」と書かれていたことだ。どうやらこのお店、多店舗展開する気らしい。まじですか。

多店舗展開するからには、まずこの上野駅で成功しなけりゃいけないだろう。さて、成功するかどうか、非常に興味深いことであるよ。