手打そば 田中屋

2011年05月28日
【店舗数:275】【そば食:476】
埼玉県秩父市下影森

二色せいろ

田中屋外観

秩父蕎麦食べ歩きの日。一軒目は秩父の代表格「こいけ」を訪問した。さて、二軒目はどうするか、ということだが、車をびゅーんと国道140号線に走らせるだけで蕎麦屋がゴロゴロ。「十割蕎麦」ですよ、などとお店ごとにおいでおいでをしているのでお店選びが難しい。

そんな中選んだのは、「田中屋」というお店。ドライブ中のインプレッションでこの店だ!と決めたわけではない。ガイド本に載っていたからそこにしただけだ。ガイド本掲載店ばかりをターゲットにすると、単にガイド本をトレースしているだけで自分自身の個性が発揮できないし、知見が広がらない。でも、ガイド見なくちゃ店選びなんてできないっすよ。

「とりあえず秩父にやってきました。蕎麦屋は行き当たりばったりで決めます」でもいいけどさぁ、それだと「秩父に行く」というそもそものモチベーションに繋がりにくいんだわ。自宅でゴロゴロしながらガイド本見て、秩父界隈の蕎麦店が数店舗紹介されているのを見て、「じゃあ秩父に行くか」というのが清く正しい姿勢。

そんなわけで、ガイド本に掲載されるというのは飲食店にとってものすごく重要な事だと思う。噂によると、出版社から「掲載してやるから広告料をよこせ」とお金を要求されることがあるというが、それも納得だ。お金払ってでも本に掲載された方が、集客に繋がるもの。とはいえ、その集客のうちおかでんのような虫けらがやってきて、さんざんweb上でけなす可能性もあるので要注意だ。良客ばかりが暖簾をくぐるとは限らない。

「蕎麦ガイド本に載っていた」だけで数ある秩父の蕎麦店の中から選ばれた「田中屋」。なんの色気もない名前だし、国道沿いの立地もこれまた色気がない。ガイド本様々だ。もしガイド本に載っていなかったら、「そこそこ美味いらしい」という口コミがあったとしても素通りしていたと思う。そんなお店。

田中屋店内

店内。11時半頃だったが、客はゼロだった。土曜日とはいえ、台風が接近している雨の日だからだろうか。

席はすべて靴を脱いであがったところにある。頭上注意、証明のぼんぼりに頭がぶつかる。4人掛けの席が5つに、いろいろを囲む形で8席。

お品書き1
お品書き2

大抵おかでん、お店に入るとあっぷあっぷする。それは、店内の様子が気になるし、お品書きも気になるし、蕎麦食べ歩きともなれば今後の行程を踏まえて注文をセーブしなくちゃいけないし、でも何かプラスアルファで頼みたいし、と混乱するからだ。その混乱に拍車をかけるように、非常にわかりにくいお品書きというのは比較的多い。

その点このお店は、おかでんにとって非常にわかりやすいシンプルな構成になっていた。メニュー数は決して少なくないのだが、ぱっと見て一発でわかる構成。こんなにすっきり腑に落ちたお品書きは、近年まれに見るできだと思う。

おかげで、「ご注文はおきまりでしょうか」「あわわ、ええとええと、せいろください(とほほ、またせいろ頼んじゃったよ、ワンパターンだなあ)」という展開にならなくて済んだ。ほら、よく見ろ、このお店には「せいろそば」と「田舎せいろ」があるのだけど、「二色せいろ」もあるぞ。これを頼めば一挙両得でハッピーになれるぞ。ええとすいません、「二色せいろ」ください。

「舞茸天ぷら」も実は気になっていたアイテム。しかし680円と割高なのでやめた。舞茸ってスーパーだと百数十円で売られているけど、なんで蕎麦屋で天ぷらになるとかくも割高になるのかね。手間賃考えても高いと思う。

とはいえ、ここの「舞茸」は秩父産なんだそうだ。秩父産、といってもどうせ菌床栽培で工場のようなところで作られているはず。あんまり産地は関係ないと思うが・・・でも、魅力だね、「秩父産!舞茸天ぷら」って。じゅるる。

後で知ったのだが、このお店は舞茸天ぷらが名物なんだそうだ。ああ、それだったら頼んでおけば良かった。でも、ここで天ぷら食べたらこの後の食べ歩きは断念せざるを得なかっただろうから、痛し痒しだ。

二色せいろ

二色せいろ1,100円。出てきた瞬間「作戦成功」と思った。それぞれ二色の蕎麦がちみっと盛られているしみったれたボリュームをイメージしていたが、それぞれざるにもられてそこそこの量がある。「味見程度でございます。気に入ったら単品で頼んでね」的少量の蕎麦だったらがっかりだったが、これなら心ゆくまでずるりんと蕎麦を手繰れるぜ。ナイス、田中屋。

田舎せいろ

田舎せいろ。

せいろそば

せいろそば。

どちらも麺が固い。そのため、実際の太さよりも太く感じた。ぐいぐいと噛まないとかみ切れないくらいの蕎麦。

堅いせいだろうか、ずるずるっとすすった直後には蕎麦の香りがあまりしない。ワンテンポ遅れてふわん、と蕎麦の香りがする。このタイミングのズレはちょっと気になった。多分もう少し柔らかければ、もっと素直に、タイムラグなく蕎麦の香りがしたと思うのだが、惜しい。美味いだけに惜しい。今この堅さだと、なんだか蕎麦エキスが足りていないような感じをうける。

つゆは非常におかでん好み。甘さも辛さも尖っていない、まろやかな球体の味。高橋名人の店「達磨」がそういうつゆだが、このお店もいいバランスだった。つゆが美味いだけに、蕎麦のあともう一歩感が悔やまれる。これは狙って実現した堅い麺なのか、それともブレなのか、不明。

でもフォローしておくと、麺は堅めの方が好みだ、という人にとってはこのお店はとても素敵だと思う。こればっかりは人の好み次第なので、なんともいえない。

なお、せいろと田舎、どっちがナイスかというと、おかでんの趣味だとせいろの方だった。田舎はもっともそもそして野蛮であっても良いと思う。あんまり印象が残らなかった。

ああいかんいかん、蕎麦評論家でもあるまいし、なんだか蕎麦の味のコメントばかりしてしまった。反省しつつ二軒目を後に。さあ、次の三軒目はちょっとマニアックだぞ。気合い入れて行こう。

コメント

コメントする

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください