そばきりや 山形田(01)

2012年11月01日
【店舗数:307】【そば食:527】
東京都中央区銀座

だし豆腐つき、おお辛い漬け、田舎板そば、生ビール、山形田の酒

山形田看板

新蕎麦シーズン真っ盛りだが、まだこれといって「新蕎麦、ばんざい!」と快哉できるお店に出会っていない。「新蕎麦はじめました」を標榜しているお店には何軒か行ったが、美味いけれども派手なインパクトが残らない蕎麦が多かった。

ああ、暴力的なまでに香りが立ち、蕎麦の甘みがにじみ出る蕎麦には出会えないものか?それが最近のおかでんの悩み。

暴力的といえば、やっぱり太麺をガシガシ食べる蕎麦がいいかもしれない。だったらお店で田舎蕎麦を頼めば良いのではないか。

うーん、それもちょっと違うんだよな。

そこでひらめいたのが、「そうだ、山形の『板そば』は太くてごわごわして、何度も噛みしめないと食べられない蕎麦だぞ」ということ。最近、板そばにはとんとご無沙汰しているので、たまには食べてみるのはなかなか良いアイディアだ。

この「蕎麦喰い人種行動観察」では、過去に板そばを何度か食べている。その代表例が「出羽香庵(出羽路)」だ。あそこはおいしかったな。でも、もう過去形でしかこのお店を語る事ができなくなってしまった。既に今はお店が無くなっているからだ。あらら。

そんなわけで、板そばが食べられる別のお店を探してみた。

おお、あったあった、銀座3丁目に素敵な板そばを食べさせてくれるお店、発見。その名もずばり「山形田」という。なんでも、山形の商工会議所の肝いりでできたお店だという。それは期待できそうだ。東京風に換骨奪胎していない、素の板そばが食べられそうだ。

お店は雑居ビルの地下一階にある。建物の一階に看板が出ているからその存在が分かるものの、あてもなくフラフラ彷徨っている最中に「お?蕎麦屋?じゃあ、ちょっと蕎麦を手繰っていくか」とはならないような怪しさがある。

そもそも、看板の一部が張り紙で隠れてしまっている。ちょっと一見さんにはハードルが高い外観。

看板を隠しちゃうくらい何か重要な事が書いてあるのか、と心配になる。「当店は10月末をもちまして営業を終了しました」とかなんとか。

でも、よく読んでみるとあらびっくり、グルメ本でミシュランと双璧をなす「ザガットサーベイ」にこのお店が掲載された、というものだった。えー、ザガットってこんなマニアック?なお店も評価していたのか。ちょっとびっくり。

山形田入り口

地下一階にあるお店の入口。「新そばの味」という張り紙がしてあって、期待が持てる。それにしてもそっけない外観だな。地下一階ということもあり、密室感が相当ある。

店内は個人経営の居酒屋とほとんど差がない作り。カウンター席が数席あり、あとはテーブル席がいくつかある程度。若干雑然としており、ここで美味い蕎麦が食べられるのか?と心配になる。

19時前の入店だったが、ほぼ満席。おかでんはカウンター席に通されていたのだが、途中やってきた3名のお客さんに席を提供するため、カウンター席の端っこに移動することになった。ラーメン屋で「申し訳ありませんが詰めてもらってもいいですか?」と聞かれることはあったが、蕎麦屋では初めての体験。ざっくばらんだなあ。それだけ繁盛しているって事だ。

周囲を見渡すと店内のお客さん全員が酒を飲んでいる。なるほど、夜は居酒屋として機能しているらしい。そりゃお客さんでいっぱいになるわな。

このお店に行こうと思うなら、予約を入れた方が無難だと思う。

だし豆腐つきとビール
だし豆腐つき

居酒屋ニーズが高いというのは、お品書きを見てみるとよく分かる。派手なメニューは少ないのだが(米沢牛ハンバーグがあるのはちょっと派手だが)、種類が豊富。しかも値段が300円~と廉価。ここで何品かつまんで、最後に板そばでしめると結構心地よいと思う。

おかでんはまずは生ビールと、「だし豆腐つき」を選んだ。だしとは、「夏野菜の刻み昆布あわせ」と解説がお品書きに記されている。山形の郷土料理だな。家で冷や奴を食べる際、だしを豆腐の上にかけると1グレードステータスが上がった気がする、そんな食べ物。おかでんも時々スーパーで購入する。

だし単体で350円、豆腐つきになると500円。

何が「夏野菜」なのかと思ったら、きゅうりだった。

冷や奴でビールを飲むなんて、渋い境地に入ったな、おかでん!と我ながらのチョイスに感心するやら、老化を感じるやら。

いやね、本当は「山形名物 芋煮」を頼みたかったんだ。2人前で1,200円。ちょっと値段は高いが、魅力的ではある。でも、タッチの差で品切れになってしまい、ありつくことができず。まあ、「だし」も十分山形名物なので、不満はない。

清酒

一応、「酒肴一品、酒一杯、蕎麦一枚」に留めておくこと、という努力目標を自分に課しているわけだが、初訪問のお店だとどうしてもこの目標は破られがちだ。酒肴をあれこれ試してみたくなるからだ。

そんなわけで、蕎麦を注文する前に、もういっぱいお酒を。「山形田」という、このお店の名前が冠されたお酒をお燗してもらう。

山形のお漬物

お酒を追加注文したのは、お品書きにて気になる品があったからだ。

いなご。350円。

知らなかった、いなごって長野県の料理かと思ったが、山形でも食べられてきたんだな。

いやいやいや、頼みませんよ?僕ぁ。銀座のお店で350円といえば相当安いと思うのだが、それでも積極的に昆虫を食べようという気にはならない。

じゃあ実際何が気になったのかというと、お品書きで「山形のお漬物(各350円)」というコーナーに書かれていた、「おお辛い漬け」という料理だった。漬け物で辛いといえばキムチを思い出すが、山形でキムチという組み合わせは変だ。きっと何か別のものなのだろう。辛い物大好きなおかでんとしては頼まざるをえまい。

で、出てきたのが写真の料理。なんだこれ?

食べてみたら、確かに辛い!本格的に辛くて、ついでに塩辛さも本格的だ。これは血圧が上がりそうだ。

正体不明なので、断面から中をうかがってみたが、何だか分からない。ネットで調べてみても、「おお辛い漬け」という料理はヒットしなかった。完全に謎の料理だ。

なんだかよく分からないので店員さんに聞こうと思ったが、店員さんはずっと常連のお客さんと話しこんでいて、事情聴取するタイミングが無かった。まあいいや、謎は謎として残しておこう。

それにしても辛い、塩辛いのダブルパンチは強烈だな。お酒が進んでかなわん。えっとですね、熱燗をもういっぱい・・・いや、やめておこう。これ以上飲むと本格的に酔っ払ってしまう。

【後注】この「おお辛い漬け」は、「しそ巻き南蛮」という呼び名があるよ、ということを教えてもらいました。ご参考まで。

田舎板そば

蕎麦を頼もう。

「田舎板そば」680円。大盛りは無料なので、大盛りにしてもらう。

トッピングに「なめこおろし」「げそ天」「舞茸天」(各200円)があるのだが、それらは頼まずにシンプルに板そば。

このお店、板そばの他に「蔵王冷やし地鶏そば」や「外一そば」「十割そば」がお品書きに書いてある。冷やし地鶏蕎麦といえば、以前山形の「一寸庵」で食べた事があったな。あれはおいしかった。でも、今回はやっぱりワイルドな田舎板そばを食べることにする。初志貫徹。

しばらくして出てきたのは、板の容器(正式名称不明)に入っている蕎麦。おお、来た来た、来ましたよ。蕎麦が太い上に容器が大きな事もあり、ぱっと見はそれほど量が多いようには見えない。しかし、写真をよく見て欲しい、お冷やが入っているグラスとサイズ比較すれば、この蕎麦がどれだけ量が多いかが分かろうというものだ。

板そばはぎざぎざ

さっそくいただく。太くて固めの麺は、ずるずるっと手繰って喉に落とし込むことをかたくなに拒む。ちゃんとしっかり噛まないと、胃袋には通しませんよ、と体が拒絶反応を示している。はいはい、了解しました。飽きるほど噛んでやるぜ。

噛むと口の中に蕎麦の香りが広がる。うん、いいね。甘みはあまり強くないのだが、香りはしっかりとする。

この蕎麦を食べていて気がついたのだが、麺の形が独特だ。ギザギザになっているのだ。機械打ちだからこういう事ができるのだろうが、だとしても何でこんな形にわざわざしたのだろうか?製麺機が調子悪くて麺の形が悪くなった、ということではあるまい。つゆと絡まりやすくするため、蕎麦の表面積を増やそうとしたのだろうか?わからない。形がまるで糸のこぎりの刃みたいだ。

大盛りの蕎麦を食べて胃袋的には満足がいった。お会計、2,730円。まあまあといったところか。

夜は混雑するし騒がしいので、昼間、蕎麦だけ目当てで訪れてみたいお店。ちなみにこのお店、土日祝日はお休みなので、平日限定。平日の昼に訪れるとなるとちょっとハードル高いな。

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