池の端 藪蕎麦

2012年11月10日
【店舗数:312】【そば食:533】
東京都台東区上野

山いものわさび漬け、かくや漬け、ざるそば、日本酒

池の端 藪蕎麦
池の端 藪蕎麦看板

蓮玉庵を訪問した後、歩いて2,3分程度のところにある「池の端藪蕎麦」に行ってみた。おかでんにしては珍しく蓮玉庵で節制したわけだが、それには理由があったということだ。そう、今日は蕎麦屋をハシゴするぞ。

このお店にはここ1カ月の間に2度ほど訪れた事があったが、そのいずれも臨時休業のため入店できなかった。今回ももしや、と心配だったが、ありがたいことにちゃんとお店のシャッターは開け放たれ、灯りがともっていた。よし、さっそく入店だ。

池の端藪蕎麦は、「藪御三家」の一角を占めるということで有名だ。御三家とは、神田やぶ、並木藪、そしてここ池の端藪の3店舗。御三家だから美味いとかそういうわけではないのだろうが、歴史と風格があるお店ということは間違いない。

店内

入店したのは18時半頃だったが、店内はほぼ満席。繁盛しているようだ。ほとんどのお客さんがお酒を召し上がってらっしゃる。かといって、居酒屋風な雰囲気にならないところが、蕎麦屋の面白いところだ。ちょっとみんなのしゃべるトーンが下がるというか、大人しくなるというか。

席は土間と小上がりがあり、小上がりの方ではなにやら鴨鍋かなにかを食べていて美味そうだ。おっと、お会計6人で28,500円?結構行きましたな旦那方。

とかいっているうちに、席は満席。入口脇に空席待ちのお客さんが待機する状態に。さすが名店。しかし、先ほどの6人のお会計が済んでお店を後にしたので、それに入れ替わる形で待ち客は解消。

おっと、店の様子ばっかり伺っていないで、自分が何を頼むか考えないと。

おつまみは非常に安く、大半が「500円」と値付けされていた。ありがたいことだ。これだったら安心して飲み食いすることができる。ちなみに一番高いのは「鴨ぬき」で1,600円。そりゃ、さすがにこれを500円で出すのは無理だ。

おかでん、500円にちょっと感動してしまったので、500円のおつまみを以下に列記する。
板わさ、わさびいも、すいとろ、焼のり、そばなえ(そばの芽のおひたし)、汲み上げ湯葉のお造り、かくや漬け(懐石沢庵)、山いものわさび漬け

お酒(菊正宗樽酒)が600円。一汁一菜ならぬ、一酒一菜で1,100円なのはお安いとしかいいようがない。最近の新しい蕎麦屋は、非常に凝ったおつまみを用意してくれるのはいいのだが、値段が相当高くなる傾向にある。それほど裕福ではないおかでんにしてみると、「もう少し安いつまみも用意してくれればいいのに・・・」と若干不満。だから、このお店はなんともジャストフィットだ。こういう店が欲しかったんだよ、うん。

日本酒

このお店のおつまみで有名なのは「そばなえ(そばの芽のおひたし)」だ。おかでんもその認知度にあやかって、そばなえを注文してみた。・・・品切れ、ですか。ああそうですか。残念、今日はもう終わったそうです。ええと、どうしようかな。じゃあ、「山いものわさび漬け」をお願いしよう。あ、それから日本酒、お燗つけてください。

まずやってきたお酒は、升の中に徳利が収まっているスタイル。蕎麦味噌がちょこっと添えられているのがうれしい。さっそく、熱くなった徳利に気を付けながら手酌でGO。うん、おいし。

隣では、岸朝子さん風のご年配の女性の方が一名でビールを嗜んでいた。りん、とした雰囲気で背筋がしゃきっと伸びていて、非常に格好いい。おかでんもああいう佇まいでありたいものだ。背筋、伸ばしておこっと。

そういえば、この女性に限らず、結構一名で訪れているお客さんが多いな、このお店。

 山いものわさび漬け

山いものわさび漬け到着。ぱっと見、梨か大根か、という出で立ちだが、しっかり糸を引いておりまするよ。わさび漬け、というからには伊豆や長野でよく見かける白いものを想像していたのだが、このわさび漬け、まったくわさびらしさを感じさせない外観だ。

なんだろう、と思って食べてみたら、おお、確かにわさびの味と香りがふんわりする。これは面白い。結構おいしい。

「通します、上の四の手前、●△×~。」

花番さんがなにやら暗号のような事を言っている。いわゆる「通し言葉」というやつで、客席から厨房に注文を通すときに使う言葉なわけだが、何度聞いても何を言っているのか覚えきれなかった。「~がついて」とか、いろいろ言い方にはオプションがあるらしい。ようやく、自分が今座っている席が「下の二の通路」であることは分かったくらいだ。

かくや漬け(懐石沢庵)

先ほどの蓮玉庵でも、この池の端藪においても、小さなお猪口で日本酒をちびりちびりやっている。そのため、飲んだ量の割には酔いが早く回る気がする。二軒続けてなので、なおさらだ。なかなかお酒が無くならないので、「魔法の徳利」と名付けた。

そんなわけで、おつまみを追加注文するかどうか、悩んだ。正直に打ち明けると、10分悩んだ。天だね(900円)はいいなあ、なんて思ったが、いやいや今回は500円のおつまみに敬意を表して、その中から選ぶ事にしよう。

ざっと500円おつまみシリーズを眺めたところ、「かくや漬け(懐石沢庵)」というのが気になった。聞いたことが無い名前だ。

気になったら頼むのがよろしい。というわけで、かくや漬けを注文してみた。

ものの1分たらずで届けられたかくや漬け。ほう、沢庵の千切りに・・・これはなんだろう、柴漬けの千切り?を和えたものが出てきた。なるほど、こういうのをかくや漬けというのか。

結構塩辛くて酒が進んでしょうがないぜ、という展開をこの時点で予想したが、思ったより辛くなくて穏やかな味わい。うん、これはおいしい。食べやすい。

ざるそば
ざるそばアップ

最後にざるそば600円を注文。今時このお値段は凄い。蕎麦は上下ひっくり返った状態のざるに盛られて出てきて(ざるが山のように盛り上がっている状態)、見た目以上に量は少ない。これは並木藪蕎麦でも一緒だったな。でも600円なら全く文句はない。

蕎麦を手繰ってみて最初に気がつくのが、非常に麺が長く繋がっているということだ。箸で持ち上げてみると、目いっぱい右手を高くかざしているというのに蕎麦がまだざるの中にあるありさま。こんなに長く繋がっている蕎麦、随分久しぶりに見たと思う。最近の蕎麦って、生粉打ちとかにこだわるあまりに長く繋がった蕎麦にはあまり頓着しなくなったのかと思っていたのだが、さすが老舗だ、長い。

長くてもおいしくなければ意味がないのだが、この店の蕎麦が美味いんだなこりゃ。一口目に蕎麦の香りと味が口の中に広がるというのは結構どのお店でもあることだが、二口目、三口目、と矢継ぎ早に食べ進んでもその風味が衰えないのは見事としかいいようがない。しかも、つゆの味に負けることもなく、つゆに蕎麦を浸しても蕎麦の味は健在だ。いいね、これ。

あっという間に食べ終わって、蕎麦湯をいただく。蕎麦湯がこれまた美味い。蕎麦の風味がよく残っていて、飲んだ直後にさわやかな風が吹く。

このお店、お値段が安い上に居心地はそこそこいいし、蕎麦もおつまみもおいしい。良いことづくめじゃないか。駅からはちょっと距離があるお店だが、今後機会があればまた訪れたい。

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