2012年12月03日
【店舗数:320】【そば食:544】
東京都武蔵野市吉祥寺本町
焼鳥、もりそば大盛り、御酒(特級)
「アワレみ隊OnTheBBS」で、「荻窪にある大田黒公園の紅葉は見応え有り」というたれ込みがあった。紅葉、今シーズンはほとんど見ていない。鳳凰三山に登った時、ちょっと見た程度だ。だから、その情報には飛びついた。平日だというのに用事を蹴っ飛ばし、スケジュールを空けて急きょ大田黒公園に突撃と相成った。翌日は雨の予報が出ていたし、行ける時に行っておかなくちゃ、紅葉なんてあっという間に終わってしまう。
大田黒公園。個人邸宅の一部を杉並区に譲渡して整備された公園だけあってそれほど広くはないのだが、その中にみっちりカエデの木とイチョウの木があるのだった。笑っちゃうくらい真っ赤。なんなんだ、これは。圧倒的自然美の前に、思わず立ち尽くしてしまった。
平日に訪れる事ができて良かった。多分週末の訪問だと、人だらけ、カメラを構えるカメラマンだらけで大変な事になっていたんじゃなかろうか。
大興奮のひとときを過ごしたら腹が減った。もう15時だけど、お昼ご飯にしよう。とはいっても、このあたりの蕎麦屋は先日ローラー作戦しちゃったからなあ・・・。と思案していたら、そうだ思い出した、吉祥寺に「神田まつや」の支店があるぞと。東急百貨店のレストラン街にあるという話なので、中休み無しで営業しているに違いない。さっそく吉祥寺に向かう。
東急百貨店の入口に、9階レストラン街のご案内があった。うん、あるある、神田まつや。10:30~21:00までの営業と、働き者だ。さっそく9階を目指す。
エレベーターで行こうかと思ったが、気を取り直してエスカレーターでゆっくり登っていくことにした。そういえば最近デパートなんかに来ることないな、と思ったからだ。各フロアの様子を愛でつつ、そしてお目当てのお店が段々迫ってくるのに興奮を覚えつつ、階を上がっていこうじゃないか。
レストラン街の中にありました、神田まつや。神田須田町の本店が非常に歴史と風格を感じさせる建物なのに対して、こちらはテナントというだけあってシンプルなデザイン。まさかここがあの「神田まつや」の支店とは、なかなか気づかないだろうて。支店があるということ自体知らない人が多いんじゃないか。
食品サンプルがあるというのも、デパートのテナントならではだ。老舗蕎麦屋でサンプルか。面白いね。ホンモノに似せるために試行錯誤したりしたんだろうか?
お店の外周にはぐるりと待合用の椅子が並んでいた。さすが神田の名店だけある、週末のピークタイムには待ち行列が相当できるのだろう。
店内に入る。お好きな席へどうぞ、ということなので、一番奥の角っこの席を陣取る。お店の様子を観察するにはこういう席が一番だ。で、お店観察は格好の酒の肴になる。
壁には、「蕎麦焼酎始めました」という張り紙があちこちに貼ってあった。最近、蕎麦屋でも焼酎が置いてあるのは珍しくなくなったが、老舗はやっぱり清酒で勝負だと思っていた。でも、まつやのようなお店でも焼酎を扱うようになったんだな。時代の流れだ。
時代というか時期というか、「秋採り新そば入りました」の短冊状ポスター、そそして「年越蕎麦承ります」のポスターも。秋だねぇ、そして冬も深まっていくねぇ、としみじみさせられる。
その「新そば」ポスターなのだが、着物を着た女性のカラー写真で構成されている。どこか大手の製粉業者から貰ったものらしい。どこだろう、と思ってよく見てみると、「霧下そば」と書かれていて、ご丁寧にURLも書かれてあった。これまた時代ですな。
家に帰ってそのURLをブラウザに打ち込んでみたら、「霧下そば本舗」というサイトがでてきた。墨田区に2つの製粉工場を持つ会社らしい。業務用の蕎麦粉を楽天市場経由で販売しているようなので、まつやと同じ粉を貴方も使う事ができる!かも?ただし、10キロ単位で1万円とか、そういう規模の蕎麦粉になるけど。
それはともかく、平日ということもあって年齢層の高いお客さんが多い。東急百貨店の周囲には若者が溢れているのにこのギャップは何だ。そして、一人客が多い。一人酒を召し上がっている方はぽつりぽつり、程度。本店ほど酒だ!酒だ!ムードはない。一人客のおかげで、15時20分時点で客席は6割程度の埋まり具合だった。もちろん、4人がけの席に一人で座っているので、「6割程度」になるわけだけど。
驚いたのは、喫煙可だったということ。分煙も何もされていない状態。一応「喫煙席」の設定はあるようだが、何がどう禁煙席で、どう喫煙席なんだか全くわからない。もちろん、排煙装置なんてものもないし。おかげで、よりによっておかでんが蕎麦を食べている間、必要以上に煙り立つたばこの燻製にされてしまった。「蕎麦、大盛りにするんじゃなかった・・・」と真剣に後悔したくらいだ。
まずは御酒を頼む。630円。熱燗にしますか、ぬる燗にしますか、と聞かれたので、熱いの!とお願いした。
このお店で楽しみなのが、お酒と一緒についてくる蕎麦味噌。相当堅い味噌を箸でこそげ落としながら食べるのが何だかうれしい。そして、甘いけど甘すぎないちょうどいい塩梅なのがよい。これだけでお酒は十分に一合飲めてしまいそうだが、でもどうしようかな。せっかくだから焼鳥頼んじゃおうかな。
焼鳥。735円。本店では何度この焼鳥に唸らされてきたことか。おいしいんだよな、めっぽう。この焼鳥を注文した際、店員さんから「塩にしますか、たれにしますか」と聞かれたが、その質問は完全にナンセンスだ。たれ一択だと思う。蕎麦屋のかえしを使ったたれだからこそ、この焼鳥がおいしくなるのですよ。塩だったら家で作った方が安くてしこたま食える。
そのまま食べても美味いのだが、卓上にあるゆず七味をかけて食べるとこれまた美味い。相性がとてもよいのだな。おや?ゆず七味の隣に、ひょうたん型の調味料入れがあるけど、これは何だろう?・・・あ、これも七味だ。びっくり。でも、こっちの方は胡麻の配合率が高いバージョンになっている。へー、TPOに応じて七味を使い分けてください、ということなのか。面白いね。温かい蕎麦を食べるときに重宝しそう。
焼鳥735円なのに対して、わさびかまぼこ(板わさのこと)630円なのは結構お高い。でも、かまぼこって材料によって値段はピンキリなので、きっといいかまぼこを使っているに違いない。一度食べてみたいと思っているのだけど、いまだに注文したことはない。過去7回もまつやを訪れているというのに。注文が偏るんだよな、どうしても焼鳥中心になってしまう。
さて、そんなおかでんを尻目に、周囲のお客さんの多くが「盛合天もり」(1,155円)を頼んでた。多くが、というか大半が、というかほとんどが、というか。本店にはないメニューなので、吉祥寺店のスペシャリテらしい。サンプルを見る限り、普通の天せいろなのだがお値段がとても手頃ということで注文が集中しているのだろう。天ぷらのグレードが上がった「天せいろ」もお品書きの中にはあるのだが、1,890円などと結構な出費となってしまう。それを考えると盛合天もりはおなかも満足、お手頃価格という事になるのだと思う。
おかでんも、この「盛合天もり」を頼もうかと思っていた。先に天ぷらだけ持ってきてもらって、それを酒の肴にして、頃合いを見計らってお蕎麦を持ってきてもらう・・・という二段構えの方法。しかし、焼鳥に浮気してしまったのでこの作戦は決行されないままで終わった。
そろそろ蕎麦を頼もう。先日、コンビニで「神田まつや監修」の鶏南ばんそばを食べたばっかりなので、それとの比較用に「かしわ南ばん」945円を頼もうかと思った。しかし、比較にならない差があるのは当然だし、新そば入りましたという張り紙があるので、ここは直球勝負でもりそばを食べたいということでもりそば注文。ついでに大盛りで。大盛りはメニューに載っていないが、頼めばやってくれる。お値段は714円(普通盛りは619円)。714円で大盛りのそばが食べられるんだから、幸せだな。老舗の蕎麦屋って、昔からの流れがあって蕎麦の値段が抑え気味なのがうれしい。
蕎麦が届けられた。大盛りだと丸いざる、普通盛りだと四角いざるというのは本店と同じ識別の仕方。わさびが付いていないのは本店も一緒だったっけ?わさびが欲しければ別売り63円なり。
まつやの蕎麦といえば、エッジが立った非常にかたい麺という印象があるが、こちらの麺はごく一般的な蕎麦屋のものよりやや堅いかな、という程度の歯ごたえ。エッジが立っているという印象は特に感じなかった。作り手が違うので、できばえも違うのだろう。どっちが正解ということは無いので、これはこれで良いと思う。
蕎麦の香りと味は、新蕎麦の季節なんだからもう少し頑張ってくれたらうれしいんだけどなー、という感じ。つまり、ほどほど感じてはいるのだが、あまり強くないということで。でも、麺はよく繋がっており、箸で持ち上げたらちょうどよい長さ。すすり甲斐があってよろし。
つゆは甘さが後をひく感じ。本店のつゆもこんな感じだったっけ?
最後、蕎麦湯を飲んでフィニッシュなのだが、この蕎麦湯がとてもおいしかった。ゆで釜からすくい上げたそのまんまのお湯が提供されているのだろうが、蕎麦の香りと味がとても端的に表れていたからだ。あれれ、蕎麦そのものより蕎麦湯の方が風味豊かってどういうことよ、と思ったが、蕎麦湯よければ全てよし。ほっこりしてとても満足がいくお食事となった。
吉祥寺界隈に買物で訪れる際には、また立ち寄っても良いかな。立地条件も、営業時間も便利が良いお店だから。
コメント