2012年12月09日
【店舗数:326】【そば食:550】
東京都台東区西浅草
卵黄の味噌漬け、ざる、磐城壽
「阿娑嚩(あさば)」に立ち寄った後、本来の目的地である「おざわ」を目指す。このお店は繁盛店らしく、昼時になると入店待ちの列ができることもあるそうだ。だから、できるだけピーク時をずらして訪問しようと思っていた。そのため到着を意図的に遅くしていたのだが、阿娑嚩への緊急ピットインにより予定が大幅に後ろにずれた。到着してみたら、ラストオーダー時間である14時半の10分前というありさまだった。やべえ。
ひょっとしたら、もう「準備中」の札になっているかもしれない、とヒヤヒヤしたが、ぎりぎりセーフ。ただし、着席したところで「14時半がラストオーダーになりますので・・・(注文はお早めにお願いします)」と店員さんから釘を刺されたが。
おざわは雑然とした浅草の路地にある。国際通りから一歩入ったところ。つくばエクスプレスが開通してからは、浅草駅がすぐ近くに開業したので交通の便はよくなっただろう。でも、その路線以外の人からしたら、ちょっと遠い場所にあるお店。
店内はテーブル席のみ。4人がけ3卓、6人がけ1卓。なるほど、ピーク時に待ち行列ができるわけだ。相席を認めているのかどうかは不明だが、認めていない場合、最大4組しか着席できない事になる。それでお酒なんて飲まれてくつろがれた日にゃ、いつまで経っても客席は空かない。その点、おかでんはそつなくピーク時を外したので、罪悪感を感じずに着席できた。こういう席の構成の店に一人で訪れるのはちょっとハードルが高い。
お品書きの表紙には、「つるつる細切り、もちもちあらびき、もくもく太打ち」と書かれてあって面白い。このお店は「細切り」「粗挽き」「太打ち」の3種類の蕎麦を出す、ということだ。それぞれ個性があって、食べ比べてみると楽しそうだ。ちなみに「ざる」800円、「あらびきざる」850円、「太打ちざる」850円。二色とか三色そばが有ればよいのだが・・・そういうのは無かった。残念。
ラストオーダーが迫っているということもあって、ちょっと焦ってしまった。まだ10分は余裕があったのだが、お店の人に急かされている気がして、ええとええとと戸惑う。こんな時は「ざる!」とシンプルに頼めばよかったのに、判断力が鈍ってしまったが故に思わず一品料理の「卵黄の味噌漬け」を選んでしまった。そうなると酒も頼まないと示しがつかないぞ、ということでお酒を物色し・・・結局、蕎麦だけ食って帰るつもりだったのが、つまみ、酒、蕎麦の3点セットになってしまった。
頼んだお酒は「磐城壽」というお酒。「一合」と「グラス」が選べたので、「グラス」にした。既に蕎麦屋二軒目でおなかは満ち足りているし、あんまり飲むつもりは無かったので。ところでこのお酒、なんて読むんだ?
「あの、すいません、これ・・・『ばんじょうひろ』ってよむんですか?」と店員さんに聞いてみたら、「いわきことぶき、ですね」という答えがあった。うわ、恥ずかしい。漢字の読み方が何一つ合っていない。それにしても難しい名前のお酒だ。その名の通り福島のお酒なのだが、震災の影響で現在山形に移転して、引き続き酒造を行っているそうだ。そんなことがお品書きに書いてあったので、東北支援の一環として注文。お値段420円(グラスの場合)。
出てきたお酒は、えーと、グラス・・・じゃないよな、これ。じゃあこの器の事をなんて呼べばよいのかはよくわからない。「コップ」と呼んだらいかんよな、さすがに。「湯飲み」・・・じゃないし。「カップ」?
いずれにせよ、結構な量が入っている。これ、1合入っているんじゃないかという量だ。一合より廉価な価格設定になっているのに、これはお得。
ただし、このお店の場合お通しは出てこなかった。お通しを待ち構えていたのだが、出てくる気配が無いのでお酒だけで飲み始めた。このあたりは蕎麦屋によってまちまちだ。お通しが出る店、出ない店、出るけどお通し代をきっちり請求してくる店。
ちなみにこのお店、瓶ビールを頼むと790円とべらぼうに高い(生ビールは中グラスで700円、小グラスで500円)。なんでこうなった?と不思議で仕方が無い強気の価格設定。ちょっとここではビールは頼めないな。清酒をちびちび飲んだ方が良さそうだ。
でもそんなビール好きの貴方に朗報です。このお店にはなぜかベルギービールが6種も取りそろえてあります。デュベルなどありますので、よかったらどうぞー。ただしお値段1,200円ですけど。ひゅう、高いぜ。
卵黄の味噌漬け550円。
2個の卵黄がねっとりと融合している。みたらし団子のようだ。
箸でねっとりとすくいとりねっとりと口の中に入れ、ねっとりとその味を楽しむ。うん、ねっとりです。
清酒と合うような合わないような。なんだか表現に困る味だな。美味いんだけど、微妙。
お酒を早々に切り上げ、蕎麦茶を飲むと随分口の中がすっきりした。蕎麦茶うめえ。やっぱりお蕎麦屋さんで飲むお茶は蕎麦茶がよいと思う。
隣の席では20代の若者3名が「これから僕たち何をしよう?」という議論をしていた。地方から上京してきた人が混じっているようで、「どじょう食べに行こうか?」とか「深川飯、いいよな」なんて話をしていた。蕎麦食べたばっかりなのに食欲旺盛で大変によろしい。「深川飯なんてどこでも食べられるぜ?このあたりだったら・・・新富町?」なんて言っていたが、多分新富町で深川飯を食べるのは難儀すると思う。それよりも門前仲町に行った方が手っ取り早いんじゃないかな。まあいいか、どうせお店探しはケータイで調べるはずだから、「新富町はベストな選択ではない」ということくらいすぐに気がつくだろう。「深川飯は日本三大飯なんだよ!」とうれしそうに言う若者が印象的だった。
・・・日本三大飯?何が該当するんだろう。気になる。卵黄の味噌漬けをねっとりと食べつつ、そればっかり考えていた。ムショ飯、便所飯、笑い飯かな?
店員さんに若干急かされる形でざる到着。
結構量が多い。
蕎麦粉は北海道沼田産だという。これはその他の蕎麦も一緒。
蕎麦は香りが高く、鼻の奥で最初感じ、その後鼻から息を抜いた際に鼻先に蕎麦の香りを感じるというWの香りがして素晴らしい。長さはもう少し長い方がよいかなと思うが、十分手繰って楽しい長さらなのでこれはこれでよし。
ちょっと慌ただしくなったので落ち着いて蕎麦が食べられなかったが、おいしかった。
「おざわ」の帰り道、雷門の前で「あべ」が街頭演説をしていた。何かの因果か。
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