手打ち蕎麦 成冨

2012年12月10日
【店舗数:327】【そば食:551】
東京都中央区銀座

せいろ

成冨

今日は築地の蕎麦屋を2軒ハシゴしようと決めた。本当は江東区に用事があったのだが、その前に腹ごしらえというわけだ。築地は中央区であり、江東区とはちょっと離れている場所だが、許容範囲だ。食後は腹ごなしをかねて江東区まで歩いて行くことにする。

まず一軒目は「成冨」。住所としては銀座8丁目になっているが、最寄り駅は地下鉄大江戸線の築地市場前になる。おかでんは新橋駅から歩いていった。ちょっと距離があるが、散歩が好きな性分なので全く問題はない。

このお店にはカウンター席が5席あるのだが、そこはまさに「キッチンスタジアムのロイヤルボックス席」と言える場所だ。厨房が丸見えだからだ。以前訪れた「眠庵」もカウンター内の厨房の様子が見えたが、この成冨の場合、それをはるかに超えた開放感になっている。なにしろ、厨房の床まで全てが見える。

カウンター席に陣取れた人は、厨房でご主人と助手さんが調理をしているのを見て楽しむ事ができるのでお得だ。テーブル席ではこの体験できないので、お店を訪れる際は1名ないし2名にとどめ、カウンター席に陣取った方が良いと思う。お酒を飲みながら、厨房の様子をおつまみとしてまったりとした時間を過ごすのはとても良さそうだ。ただし、このお店、ビールの中瓶が740円と相当高いので、お酒代が高くつきそうだが。(清酒の値段までは確認していない。確か10種類ほど品そろえがあった)

テーブル席から、平日の昼だというのに「熱燗2合追加!」なんて威勢の良い声が聞こえる。いいですなあ。ちなみに熱燗は、IHヒーターの上にお湯を張った雪平鍋を置き、そこで湯煎にしていた。へー、最近は蕎麦屋でもIHを使うようになっているのか。こういうのが一つ一つ、とにかく珍しい。普段蕎麦屋の厨房なんて見る機会がないから。

いつも蕎麦屋ではもり(せいろ)を頼んでばっかりなので、たまには違うものを頼んでみたくなる。辛味大根根付きせいろ(1,050円)やねぎ天せいろ(1,260円)などが気になる。しかし、このお店は写真撮影が禁止されているらしいので、普通のせいろ(840円)にした。せっかく凝った蕎麦を食べても、写真で記録できないのはとても残念だからだ。写真撮影不可、という記述は店舗内にもお品書きにも書かれていなかったが、おそらく「言うまでもなく禁止。当然のことだ」というスタンスなんだろう。

蕎麦の注文が通ったら、助手さんがゆで釜のレバーを倒す。すると、ほんの10秒足らずで釜がぐらぐらしだした。「釜を呼んで」から「釜が来る」までこんなに短時間とは思わなかった。勉強になるなあ。・・・って、何の勉強だ。自宅で蕎麦をゆでて食べる時には全く参考にならない情報だ。

生舟から取り出した生蕎麦は、デジタルキッチンスケールできっちりと一人前を測ってから釜に投入されていた。あ、こういうのって目分量じゃないんだ。いちいち感心させられる。ちなみに一人前は140グラムらしい。

蕎麦がゆであがる前に、蕎麦猪口や薬味などが乗った黒い板が手元に届けられた。ランチョンマットならぬランチョンボードだな、これは。蕎麦猪口はあちこちに金継ぎがされており、半壊状態の猪口を修復した事がわかる。そんなに価値ある猪口なのかな?しげしげと眺めてみたが、「くすんだ感じから、どうやら古いものらしい」程度しかわからなかった。

1分程度蕎麦がゆでられ、その後水でぬめりをとっていたのだが、「これでもか」というくらい念入りに洗っていた。取り扱いがとても丁寧。雑に扱ったら麺が切れるからだろう。

できあがった蕎麦はざるに盛られ、カウンター越しに「お待たせしました」と黒板の上に置かれる。蕎麦屋で有りそうでなかったシチュエーション。なんだかラーメン屋みたいだ。

少しだけ太めの蕎麦の味はとてもよかった。口の中に広がる旨さと香り。味わい深い。つゆは蕎麦の風味を殺さず、最後まで蕎麦を楽しめたので納得のおいしさ。蕎麦湯はどろっとしたできで、これもおいしかった。

胃袋とお金に余裕があるなら、せいろをお代わりするのも良いと思う。最初の蕎麦とは産地が違う蕎麦が出てくるという話だ。

写真撮影ができないのはとても残念だが、おいしい蕎麦が出てきたのでまあいいかなと。

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