手打蕎麦 じゆうさん(01)

2013年01月06日
【店舗数:338】【そば食:568】
東京都中野区江原町

粗挽きそばがき、九条葱おろし温そば、喜久酔特別純米

じゆうさん

週末、蕎麦を食べに行こうとすると問題が発生する。都心、特に山手線の内側にある蕎麦屋の多くが「日曜定休」だからだ。ビジネス街にある蕎麦屋の場合、会社員がいなくなる週末では来客が少ないからだろう。なるほど納得だ。

広告

優柔不断なおかでんの場合、思い立ってから行動に移すまで時間がかかるからやっかいだ。土曜日になって「今週末蕎麦食べに行こうかなあ」と思い始め、お店選びをして、実際に食べに行くのは日曜日、だったりする。そうなると、選択肢は非常に限られてしまう。

逆に、都心からちょっと離れたところにある蕎麦屋は、平日定休日で土日ともに営業しているところが多いからありがたい。平日は都心の蕎麦屋を食べ歩き、週末は都心から少し離れた蕎麦屋を巡るという使いわけをするのが良さそうだ。

さて、今回は西武池袋線沿線の蕎麦屋を巡ってみようと思う。過去にも何度かこの界隈を訪れた事があるが、まだ行った事のない名店は多い。少しずつ探訪していこうと思う。

最初に選んだのは、西武池袋線東長崎駅から徒歩10分程度のところにある、「じゆうさん」というお店。変わった名前だ。

喜久酔特別純米

お店はカウンター席とテーブル席がある。一人来店のおかでんはカウンター席を陣取る。訪問した時間は開店直後の11時40分頃。これからお店が混んでくる時間なので、カウンター席の方が気が楽で良い。一人で4人がけの席を使って、それでお客さんがどんどんやってきたら、肩身が狭いったらありゃしないから。

さて、何を頼もう。

おかでんにおいて、蕎麦屋で酒を頼まないという選択肢は滅多にないので、ここでも昼酒タイム。「喜久酔」の特別純米(800円)を注文。ちなみに喜久酔は特別本醸造(630円)と純吟(1,280円)の3種類があった。お店としては喜久酔に力を入れているようだ。

ちなみにこのお店では冷酒5種類、燗酒2種類が用意されていた。昨今の蕎麦屋でよくお見かけする焼酎は取り扱いなし。

しばらくしてやって来たお酒とお通しは写真の通り。片口にお酒が入れられている。お通しは高坏のような器にちょこっと盛られていて、なにやらかわいらしい。小さな海苔が帆船の帆みたいに立っていて、それが面白い。「これはなんですか?」と花番さんに聞いたら、喜久酔の酒粕とわさびをあえたものだ、ということだった。要するに自家製わさび漬けだな。なかなかおいしかった。しかし、量が少ないので、箸で「ちみっと、舐める程度に」すくい取るのにはちょっと難儀した。

粗挽きそばがき

粗挽きそばがきアップ

酒肴として選んだのは、「粗挽きそばがき」(1,260円)。ノーマルの「そばがき」が1,050円であるので、粗挽きの方が値段が高い。でも、敢えて頼んだのは、粗挽きのそばがきに大変良い印象を持っているからだ。北志賀の「山の実」で食べた粗挽きのそばがきはとてもおいしゅうございました。あの感動と旨さが脳裏に焼き付いているので、今回「粗挽きそばがき」という名前をお品書きで発見したとき、「これを頼まない手はない」と思ったのだった。

届けられたそばがきは、なんとも見目麗しいざらざら感のある仕上がり。そばがきといえば、蕎麦湯に浸かって出てくるお店が多いが、ここはお皿の上にでん、と身構えてらっしゃる。おかでん好みだ。逆に言うと、蕎麦湯にインしているそばがきはあまり好きではない。そばがきが水っぽくなって、味がぼやけるんだよね。

花番さんは「まずお塩で召し上がってください」という。また、「温かいうちにどうぞ」とも。ええ、ええ、もちろん温かいうちに食べますよ。冷めてしまったそばがきは風味ががた落ちだからな。

食べてみると、これが強烈。見た目同様ざらざらした食感で、それを舌の上で転がし、奥歯でかみしめると、なんとも野趣あふれる蕎麦の香りと味がデデン、と出てくる。こりゃ美味いぞ。なめらかな食感のそばがきも相当おいしいと思うが、やはり粗挽きのワイルドさには勝てない、と思った。

しばらく塩で食べていたが、途中で醤油にチェンジ。この醤油がまた美味い。花番さん、醤油について何か説明してくれていたんだけど、うっかり忘れてしまった。ただ、普通の醤油ではないことは確かだ。甘くて、濃い。刺身醤油のような感じ。そんな醤油とワイルドそばがきが出会うと、旨さが倍増するんだな。美味いったらありゃしないぜ。罪作りな料理だ。

たっぷり乗っかったおろしたてのわさびも美味い。醤油、わさび、そしてそばがきを三位一体で食べると、これは至福としか言いようがない。いやー、これはベタ褒めしちゃうぞ。ぜひお薦めしたい料理。

九条葱おろし温そば

九条葱おろし温そばアップ

粗挽きそばがきを今回頼んだのにはもう一つ理由がある。今回は温かい蕎麦を注文しようと思っていたからだ。

年が明けて1月、そろそろ「新蕎麦」の蜜月期は終わりに近づいている。新蕎麦の季節はぜひとも蕎麦の味がストレートに分かるせいろ(もり)を頼みたいところだが、そろそろ「蕎麦の味がわかりにくくなる」温かい蕎麦を頼んでも良い季節かな、と思えてきたのだった。

とはいえ、初めて訪れるお店において、どんな蕎麦の味を提供するのかはとても気になる。だから、今回はそばがきを頼んで、蕎麦本来の味を堪能したわけだ。そして、心置きなく温かい蕎麦を食べよう、というわけ。

頼んだのは「九条葱おろし温そば」(1,380円)。シンプルな「せいろ」に慣れ親しんで来たおかでんにとっては、相当お高い印象を受けてしまう。でも、美味ければ許す。種物の蕎麦を頼むと、どうしても値は張ってしまう。ちなみに「十割石臼挽きせいろ」は850円、「田舎せいろ」は1,050円。

届けられた蕎麦は、九条葱がどっさり入り、赤みがかった辛味大根が真ん中に盛られているものだった。うまそう!

辛味大根がよく効いていて、うれしくなる。このピリ辛さ加減、たまらんな。まったりとした甘さがにじみ出る九条葱に対して、鋭いアタック感のある辛味大根が混ざると、ちょうどよいバランスになる。蕎麦はつゆに浸っているので、やっぱり味がよく分からないのだけど、とてもよくマッチしていた。さすがにこの料理でうどんやきしめんだったら楽しさ半減だろう。蕎麦だからこそ、良い一椀に仕上がっている。美味いなあ、これ。

七味唐辛子

蕎麦と共に七味唐辛子も供されていた。何だか見たこともない容器に入っているのが面白い。蕎麦をあらかた食べ終わったところで、ぱらぱらとつゆに七味を振りかけて食べてみた。これも美味い!つゆに華やかな香りがプラスされ、味がさらに良くなった感じがする。これだったら最初からつゆに入れてもよいくらいだ。

つゆを飲んでいると、汗がじんわり額に浮いてきた。葱、辛味大根、七味、そして温かいつゆ。これらの相乗効果で、本当に体が温まった。いやぁ、いいなあ、この料理。

非常にクオリティが高いお店だと思った。これはぜひ再訪したいところ。拍手。

広告

ソーシャルリンク