俺のそば GINZA5(02)

2014年07月04日
【店舗数:—】【そば食:621】
東京都中央区銀座

生しらす、酒菜九点盛り、和牛とフォアグラの重ね焼山椒ソース、金目鯛の煮付け、桜えびのかき揚げ、俺の肉そば、ウーロン茶

俺のそばGINZA外観

前回訪問した時点で、早速「遠くないうちに再訪するだろう」と予言していた「俺のそばGINZA5」。蕎麦だけでなく、いろいろな料理を食べてみたいものだ、と思っていたら、賛同者が現れたので3名がかりで訪問してみることにした。

金曜日の夜、仕事終わりの時間帯ということで混雑が心配された。何しろ、今や飛ぶ鳥を落とす「俺の」シリーズのお店だ。場所だって、銀座のど真ん中で便利だし。しかし、思ったよりも混雑はなかったし、むしろ空席があって拍子抜けしたくらいだ。

おそらく、このお店が「立ち食い蕎麦屋」として認識されているからだろう。実際、客席の大半は立ち食い蕎麦スペースとして利用されており、それは事実だ。しかしこのお店の真骨頂は、蕎麦屋とは思えない酒肴を楽しむ事にある。その認知度が上がれば、残念ながら他店同様、激混みなお店になることだろう。混んでいないのはいまのうちだ。

ちなみに、この日は18時50分時点では空席あり。19時半くらいでほぼ満席、20時過ぎると店の外にやや行列といった感じだった。なお、蕎麦をちゃちゃっと食べたい人は、ほぼ待ち時間なしで食べることができたようだ。あくまでも「2014年7月4日時点で」の話だけど。

なんと椅子席もある

店頭に、いろいろメニューが張ってある。蕎麦だけでなく、酒肴メニューがずらりと並ぶ。手書きであるところを見ると、固定メニューではなく、その日の仕入れに応じて柔軟にメニューを変えているのだろう。ちなみにこの日のおすすめは、「すずきのポワレ」「三元豚ローストポーク」「生しらす」「あいなめ茄子・おこげ揚げ出し」「金目鯛の煮付け」だった。ポワレとか、フレンチの技法を使ったメニューが目を惹く。いわゆる蕎麦屋のメニューは出さないよ、ということだ。

本来、蕎麦屋のつまみというのは、蕎麦で使う食材を流用したものだった。おかめそばにつかうかまぼこを流用して「板わさ」とか。しかしこのお店は、むしろ蕎麦由来のつまみを探す方が難しいくらいだ。完全に「蕎麦も扱っているバル」の風情だ。

驚いたのは、店内に入る際に店員さんに「飲むか、喰うか」を聞かれた際、「飲む場合は椅子席を用意できる」と言われたこと。「俺の」シリーズのお店は、お客さんを狭いところに押し込み、立ち食いさせるということで高回転率・狭スペースで高い売り上げをたたき出すビジネスモデルを取っている。なのにこのお店は椅子があるのだという。長居されてもいいのか?

店頭には、「本日よりイス席をご用意致しました」の張り紙があった。ちょうどいいタイミングだったらしい。イス席を選ぶと、席料として一人300円がかかってしまうのだが、それくらい微々たるものだ。300円で快適さが手に入ると思えば、全く問題はない。喜んでイス席を選んだ。

店内の様子

店内の様子。

お酒を飲んで宴会をしている人はさほど多くない。奥の方のカウンター席で立ち食いしているのは、みな蕎麦オンリーのお食事の方々だ。客層は一様に若く、30代から40代の人が多いように感じた。時間的なもの、場所的なものもあるのだろう。さすが銀座だけあって、がっつり喰うぞ系の人はいない。

我々は店の端っこの席をあてがわれた。立ち食い前提の机なので、位置が高い。そのため、イスも座面が高いものが使われている。狭いし、若干座り心地は悪いけど、このお店の場合それで問題ない。居心地が良かったら、お店にとってもお客さんにとっても不幸だ。我々客人としては、できるだけ短時間で最大限に満足して、さっとお店を出ることも考えておくべきだ。そういう客の協力があってこそ、こういう高回転前提のお店が成立できる。

「俺は客だ、カネ払ってるんだ文句言うな。ちゃんと料理頼んでるんだから長居させてもらうぞ」

とふんぞり返ってるようなヤツは来ないで欲しい。

微妙なインテリア

黒い壁紙、独特の照明など、なんか不思議なセンスだ。決していいセンスだとは思わないが、一体このお店は何を目指しているのか、というのがよくわからずふわふわした気持ちになる。こういう蕎麦屋は、他に類を見ない。ああそうだ、「港屋」を初めて訪問したときも、これに近いふわふわ感を感じたっけ。

おしぼり

着席時に出されたおしぼり。「俺の」グループが全部列挙されている。いつの間にかこんなに種類が増えたのか。びっくりだ。

それはともかく、驚かされたのがこのおしぼりの質だ。使い捨ての紙製とはいえ、サイズが大きく、しっかりとした厚みを持つおしぼりは決して安いものではない。「高級料理を安価で提供することに全力を尽くします。そのためにはそれ以外の要素は思いっきり省略」としているわけではない、ということがここからもうかがえる。

ウーロン茶

ウーロン茶を頼んだら、「俺のそば」と描かれたオリジナルのグラスに入って出てきた。こういうのも、きっちりお金がかかっている。安くあげようと思えば、市販のグラスを使うか、ビールメーカーに無償提供させるかすればいいのに。このお店の力のいれ加減がよくわからず、とても興味深い。

それにしても、「俺の」シリーズはどれもロゴがださい。ネーミングからして、ダサかっこいいという境地を目指しているのはわかるんだが、どこまで突っ走る気だろう?この「俺のそば」なんて、浮世絵のおいらん風の絵が描かれているのだが、いけてないことこの上ない。こういうのを楽しむのも、このお店の醍醐味。

メニュー1
メニュー2

料理のお品書き、写真を撮っておいたので公開。見よ、この意欲的な品揃え。居酒屋とも違う、かといってバルともちょっと違う。でも少なくとも蕎麦屋ではなさそうだという感じは受ける。

どれくらいのボリュームがあるのか、どれくらいのクオリティなのかがさっぱりわからないので、目移りしまくって仕方がない。どれを選んで良いのか、正直困る。

生しらす

僕が「実は生しらすって食べたことがないんだ」と言ったら、同行者から「それなら是非食べてみるべきだ」と言われ、頼んだのがこれ。380円。

しらすとかちりめんじゃこの類って、塩辛くてあんまり美味しいと思ったことがない。でもこうやって生で食べると、さっぱりしていてすごくいいもんだな。40歳にしての初体験。ああー。

まさか蕎麦屋で生しらすを食べるだなんて。鮮度が命な食べ物なので、普通こんなものは蕎麦屋では取り扱わないだろ?

酒菜九点盛り

場が騒然としてしまったのが、次にやってきた料理。

酒菜九点盛り、880円。

何を頼んでいいのか迷った時は、盛り合わせがよかろうということで何の気なしに頼んだものだ。どうせ880円だし。すると、こちらの予想を遙かに上回る、見た目も内容もゴージャスな料理が出てきたのだった。

えええ。これでこの値段なのか!だって、9品で880円ってことは、1品100円以下だぞ?もちろん儲け込みで。でも、ここに並ぶ料理は、いくらや湯葉、うに、チャーシューといった結構値が張る食材が多い。いやいやいや、ありえんだろこれ。これか!「俺の」シリーズのお店の真骨頂というやつは。

びびった。ああびびったとも。なんなのこれ。お持ち帰りが許されるなら、これをそのまま正月のおせちにしてもいいくらいだ。激安すぎる。

「いやー、これ一品頼んで、お酒を1,2杯飲んで、蕎麦食べて帰ったら激安なのに大満足だぞ?」

居合わせた三人全員が目をまん丸にして、驚く。嘆息する。なんだか、申し訳ない気持ちになる。

和牛とフォアグラ重ね焼山椒ソース

だめ押しでやってきたのが、「和牛とフォアグラの重ね焼山椒ソース」1,280円。ああー。

フォアグラがどうだとばかりに使われているのが、いかにも「俺の」風だ。高級食材感がまるでない。大根の上に和牛、フォアグラとだるま落としのように積み上げられている。3人でこれを切り分けて食べよ、というのはちょっと難しいが、すばらしい味だった。山椒を使ったソース、というのも一工夫されていて面白い。

「反則だよこれ」

と何故か店を非難しながらうまいうまいと食べる。

限定8食の金目鯛

限定八食、ということになっていた金目鯛の煮付けも頼んでおいた。これも1,280円。

写真ではなすびが目立っているけど、その下にはしっかり金目鯛がある。注文してから20分くらい時間をかけて提供された。金目鯛はとても高い食材なので、どれくらいの大きさでどんな値段なのか、妥当感ってのがいまいちよくわかっていない。なので、「うん、これもお得だね」と言いつつ、しれっと食べる。

味はもちろんいい。

桜えびのかき揚げ

「人気No.1」という桜えびのかき揚げも頼んでみた。これは蕎麦とセットで頼む人も多いようだ。480円とサイズの割にはお高いので、「?」と思ったのだが、ざくざくと割ってみてびっくり。中、桜えびだらけじゃー。玉ねぎとかで余計なかさましをしていることなく、もう桜えびだらけ。食べたら、口の中がえび祭り。いやいやいや、これは贅沢すぎる。にんじんとか玉ねぎとか、場合によってはキャベツ(!)でかさましされる事があるかき揚げだけど、この一品に関してはかさマシなんてなし。えび喰えこの野郎。

肉そばでシメ

最後、3人で俺の肉そば1人前をシェアした。もともと量が多いし、これまで飲み食いしてきたわけだし、3人でシェアしてちょうどよかった。前回このお店を訪問したとき、「蕎麦の味はいまいち」と評したけど、二度目の今回においては結構おいしく食べることができた。前回と違い、今回はつゆをお皿にぶっかけたからだ。こっちの方が僕の口にはあった。

滞在時間は1時間20分ほど。のんびりとはできないけど、いやあ恐るべきコストパフォーマンスとクオリティだ。ガンガン飲むのが好きな人には全くむかないお店だと思うけど、「たしなむ程度にお酒を飲んで、美味しい料理を食べるのが好き」という人なら、ぴったりだと思う。

ただ、こんな良店が混まないわけがない。もう、再訪はないかな・・・と諦めている。今頃は既に激混み店に変わっているはずだ。並んでまで食べたいとは思わないので、今後このお店を訪れるとしたら、純粋に蕎麦屋としての利用だと思う。ちょっと寂しいけど、しかたがないね。

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