わんこそば たち花

2015年03月22日
【店舗数:389】【そば食:646】
神奈川県横浜市神奈川区白楽

わんこそば

東白楽駅

山に登らない人でも「富士山には一度登ってみたい」と思うように、大食いをしない人であっても「わんこそばに挑戦してみたい」と思うことがよくあるようだ。

世の中に数多ある「食べ放題」のお店では「コストパフォーマンス(コスパ)」だとか「元を取る」ということを強く意識しちゃう庶民派であっても、わんこにおいては「楽しかった!」と思うことが多いようだ。腹いっぱい食べて食費を浮かすぜ、みたいな下世話な話ではなく、もっとテーマパークのアトラクション的な楽しみ方をわんこに求めているからだろう。

しかし、そんなわんこそばだが、メガロポリス東京において食べられるお店は一軒もない。関東全般に視野を広げても、おそらく神奈川県に一軒あるだけだと思う。そもそも、わんこの本場である岩手県でさえ、純粋に食べ放題なわんこそばを食べられるお店は少ないのだから、当然といえば当然だ。

その貴重な、関東での一軒が東横線東白楽駅の近くにあるという。その名を、「たち花」という。

たちばな外観

「たち花」という名前は知らなくても、「東白楽」という地名を聞くと、分かる人はすぐに「ああ、わんこそば屋があるところだ」とすぐに気が付く。逆に言えば、それくらい東白楽というのは対外的な知名度が全くない住宅地であり、関東わんこそばの聖地ともいえる場所だということだ。

横浜駅から渋谷方面に向かう東横線に乗って2駅。たった2駅なのに、のどかな景色が広がる穴場スポットに、その「たち花」はある。

わんこそばを求めて、連日大勢の人が訪れると聞いていたので、1か月前に予約を入れておいた。なにしろ、わんこそばという食べ物は「店員さんがつきっきりで蕎麦を給仕してくれる」という食べ物。お店の都合があるだろうし、予約なしでお店突撃というのは無謀すぎる。しかも土曜日のお昼という、格好のわんこタイムでの訪問ならなおさらだ。

店頭の説明プレート

駅から歩いて徒歩2分程度でお店に到着。店頭には、「わんこそばはお一人様よりご注文頂けます」と書いてあって和んだ。ほう、このお店は1名からでも受け付けるんだ!

僕が以前わんこそばに挑戦した花巻のやぶ屋では、1名での挑戦は受け付けていなかった。そりゃそうだ、たった1名の客のために店員さんつきっきり、というのは明らかに面倒くさい。しかしこのお店は1名からでもOKだというのだから驚きだ。おそらく、他のわんこそばチャレンジャーと相席させたりするのだとは思うが、どうなんだろう。いずれにせよ、「うちは関東で唯一のわんこそば屋ですよ」という高飛車な態度がない分、嬉しい。

わんこそばのサンプル

店頭にあった食品サンプル。わんこそばもちゃんとサンプルがあり、「わんこそば食べ放題(おかず・薬味付) 2,750円」と書いてあった。

予約の電話をかけた際、「当日、わんこそばを食べる方が増えても構いませんが、減る分には前日までにご連絡ください。おかずは予め作ってしまいますので」と言われていたっけ。蕎麦以外のものは、作り置きしておくのだろう。わんこそばを提供するとなると、厨房は戦場だ。省略できる手間はできるだけ省略しておきたいところだろう。

メニュー

メニューに書いてあった、「盛岡名物わんこそば」。

女性80杯以上、男性100杯以上食べれば、賞品がもらえるらしい。

この日わんこそばに挑戦したのは、僕以外に2名いた。男性1名、女性1名で、両名ともオーバー40。若気の至りで食べ過ぎたぜ!とはいかない・いけないお年頃だ。事前に「今日の目標は何杯です?」と聞いてみたら、男性は「120杯」といい、女性は「80杯」と答えた。

僕自身、どれだけ食べらるかよくわからなかったので、「商品がもらえる目安である100杯を食べることができれば・・・」と思っていたのだが、連れの男性が120杯宣言しちゃったから引くに引けなくなってしまった。

「お、おう、それなら僕は130杯で。」

ちなみにこのお店の場合、わんこ15杯で普通のもりそば1枚分に相当するらしい。もりそば9枚近く食べるのか。うーん、多いのか少ないのか、ちょっと想像がつかない。

以前「やぶ屋」で食べた時は150杯だった。しかしその後、胃袋の中で水分を吸って膨らんだ蕎麦のせいで地獄の苦しみを味わったのが生々しく思い出される。限界まで食べてみたいという欲望はあるものの、あの再現はもうイヤだ。今日はせっかく横浜まで友達と一緒に来ているのだし、食後はにこやかに横浜観光でも楽しみたいものだ。・・・というわけで、130杯。

おはじき

我々が座る席には、既にエプロンとわんこ用のお椀、そしておはじきが用意されていた。おはじきは、5杯食べるごとに一つ自分の前に置いて、今どれだけ食べたかをカウントするのだという。

わんこそばといえば、食べ終えたお椀が目の前に山積みされるというイメージがある。しかしこのお店はそういうスタイルではなく、お椀は店員さんが回収してしまう。だから、食べた量を明示するためにも、おはじきが使われているというわけだ。

とにかく、客席は狭い。これが関東におけるわんこそば屋の限界なのか!と喘ぐ。荷物を置く場所もほとんどないし、足を組むのも難儀する。小上がりの席だったのだが、廊下側に座っていた僕ともうひとりの男性は、片足を廊下に向けて投げ出していたくらいだ。

「狭くして、胃袋を圧迫させて、食べさせないようにするお店の策略では」という冗談が出るくらい、狭かった。まあこれは、席の場所にもよりけりなのだろう。

スターターセット

わんこそばの「おかず」が届けられた。

天ぷら、なめこおろし、玉子焼き、のり、ひじき、白菜の浅漬、山菜、オレンジ、そしてネギや紅葉おろしなどの薬味。

運んできた店員さんが、

「わんこそばをいっぱい食べて欲しいのですが、おかずを残されたらこちらとしてもとても悲しいです。せっかくなので、おかずを食べながらそばを楽しんでくださいね」

という。そう言われると、食べなくちゃいけないじゃないか。前回わんこそばチャレンジの時は、おかずには一切手が出せなかった。それだけ、完膚なきまで胃袋に蕎麦を詰め込んだわけで、今考えるとすごいストイックなガッツだったんだな、と感心する。

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エプロンをして、臨戦態勢のおかでん。わんこのお椀と、薬味を手に。

食事中は、店員さんが蕎麦をどんどんこのお椀に投げ込んでくる。なので僕らは、ひたすらこのお椀を手に、蕎麦を食べ続けることになる。蕎麦は既につゆが少量かけられており、蕎麦を食べ進むうちにだんだんお椀につゆが溜まってくる。なので、随時机の上にある「つゆ捨て」につゆを捨て、お椀をカラにして食べ続けることが求められる。

さて、ここからがものすごく長い。なかなかスタートできない。どうやら、わんこ対応できる店員さんは1名しかいないらしく、その人が前の客にかかりっきりだったらしい。前の客次第でひたすら待たされることになるので、わんこ挑戦を考えるなら開店と同時とか、昼下がりの暇な時間を狙った方が良いかもしれない。

間が持たない我々御一行、わんこの作戦を語りながらもおかずをつまみはじめた。最初は「胃の消化を助けるために、大根おろしだけは食べておこう」など遠慮気味だったのだけど、全然わんこがやってこないので天ぷらや玉子焼きまで手を出すことになった。

見届け人、昼から酒を飲む

一方、わんこそばには参加しないものの「見届け人」として参加した女性は、豪華なセットを頼んだ上で昼酒開始。店名「たち花」が冠された冷酒を、わんこそば同様にくいくいと飲んでいた。で、わんこ御一行様が食べ始める頃には既にいいかんじになって、「イエーイ」とか言っていた。

わんこ到来

お待たせしました、わんこそば登場。

厨房ではひっきりなしに茹で釜から蕎麦が引き上げられており、それを一生懸命小さなお椀に盛り付けている。手間ばっかりかかる提供方法だ。そのお椀がこちらで、トレイ1つにつき15杯が載っていた。つまり、今回は3人での挑戦なので、一人5杯ずつ食べたところで一旦店員さんは引っ込んで新しい蕎麦を仕込んでくる、というリズム感だ。

三人が一斉に自分のお椀を突き出し、蕎麦をねだる様はまるで「巣で、親鳥に餌をねだる小鳥」だ。親鳥である店員さんは、全員等しく大きくなって欲しいと願っているらしく、ただしく順番通りに蕎麦を提供してくれた。さすがに僕だけスピードが他の二人と比べて早いのだけど、だからといって順番飛ばしはしない。

最初は「どんどん盛ってくれよ!テンポ遅いよ!」と思ったが、この均等配分は結果的によかった。というのも、数を数えいるつもりでも、だんだんと頭がぼーっとしてきてわけがわからなくなってしまうからだ。「あれ?今34杯目?33杯目だっけ?」と混乱することが何度もあった。でも、その都度店員さんの「きっちり一人5杯配ったら一旦厨房に引き下がる」というテンポ感に助けられた。あ、そうか今35杯目だったんだ、と。

おはじきが並ぶ

それでも、女性1名が101杯でお椀の蓋を閉じたところでバランスは崩れた。あとはきっちり自己管理で数を数えないといけない。もうひとりの男性も120杯で終了したので、あとは一人で猛然と食べ進める。しかしむしろひとりで食べている方が、テンポよくわっちゃわっちゃと食べられるので、カウントはしやすかった。

130杯食べても余裕だったので、じゃあ150杯でやめにしますわー、と宣言。しかし、140杯過ぎたくらいのところで店員さんのわんこトレイがカラになり、また新たなわんこトレイを厨房から持ってきた。僕だけのために新しいわんこがきたなら、じゃあもうちょっと頑張るしかないね、ってことで目標を引き上げて160杯。結局、160杯食べたところでおいしく食事を終わりにした。

実は見届け人も大健闘

その頃、冷酒を一本カラにした見届け人はたいそうご満悦。

わんこ160杯

160杯食べてのおかでん。ガッツポーズをする余裕がある。笑顔も無理がない。おかずは全部食べたし、限界まで食べるとなれば200杯は狙えたと思う。160杯時点でほとんどペースは落ちていなかったし。

しかし、我慢比べ大会をやっているわけじゃない。楽しく食べ終わってこそちょうどいい。自分なりに満足いく結果を出しつつ、それでもまだ限界で吐きそうになっていない状況というのがとても心地よかった。これぞオーバー40の余裕、ってやつだろう。

周囲を見渡すと、結構若い人の挑戦が多い。20代前半?の女性だけで5人組、というのもいた。食べ終わった僕は「がんばれー」と余裕の声援。でも、「何杯食べたんですか?」と聞かれて、「160杯!」と得意げに伝えたら、「うわっ、キモッ」みたいな驚かれ方をされた。「わーすごいですねー」という次元ではなかったようだ。

賞を貰って帰った

胃袋に過度に血液が集まっているのか、どうも頭がぼんやりする。インシュリンの出過ぎとかそういうのもあるのかもしれない。お会計して、ぼんやりとお店を出ようとしたら、仲間から呼び止められた。100杯以上食べた人はノートに記帳できて、賞品がもらえるよ!と。ああそうでした。

ちなみにこの日、開店2時間弱の間に220杯オーバーを食べているお客さんがいた。すごいね、上には上がいる。ちなみにこのお店の歴代記録は500杯越え、というのがいるらしいので、上には上の、さらにその上がいるってことだ。160杯なんて、ひよっこにも程がある。

でもそんな僕であっても、昔は「大食い選手権に出場しないか?」とスカウトされた経験がある。ジャイアント白田全盛の頃だが、つくづくそっちの方面に足を踏み入れなくてよかったと改めて思う。僕がどう頑張っても、500杯もわんこを食べるような人にはなれない。でも、大食い選手権に出る人たちは、当たり前のようにそれだけの量を食べることができるのだろう。まったく勝負にならない。

このあと、みなとみらいに移動して半日遊んで帰った。やはり想定通り、時間の経過とともに胃袋の中の蕎麦がムクムクと膨らんでくる。なので、みなとみらいにあるジェットコースターなど各種絶叫ライド系の乗り物を見ては、「誰かあれに乗る?」「それは絶対嫌だ」と言い合った。多分、あんなのに乗ったら、遠心分離で蕎麦が口から出てくる。




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