多助そば 湯津上屋

2015年04月17日
【店舗数:393】【そば食:650】
栃木県那須塩原市塩原

そば舞とて

栃木県那須塩原市にある、塩原温泉。ここでは、温泉街にあるいろいろな飲食店がご当地グルメとして「とて焼き」を提供している。今回、塩原温泉に行くということになって、あれこれ現地を調べていたら発見した情報。まだまだ知名度は低い。

この手の「ご当地グルメ」ってのは今や雨後の竹の子どころか、それが成長しちゃって竹林になって日本を覆い尽くしている。その「竹」は、観光協会が鼻息を荒くするほど他と差別化されていないものが多く、「またか・・・」という気持ちにさせられるのは正直なところ。「せっかくだから、そのご当地グルメを食べてみよう」と一観光客として手を伸ばすのだけど、「まあ、こんなものか」程度のものがなんと多いことよ。限られた観光日程、限られた胃袋の中でこんなたいしたことないものを胃に入れてしまったことの残念さ、もうちょっと提供する側は考えたほうがいい。

いや、別に「とて焼き」がイマイチであるというわけではない。一般論として話をしたまでだ。

とて焼きとは、昔塩原温泉で人員・物資輸送用として使われていた「トテ馬車」の、クラクションとして使われていた「トテ」というラッパに似た形をした食べ物だ。見た目はクレープそのものだが、生地が薄いクレープとは異なり結構分厚い。どら焼きとまではいかないが、それくらいふっくらした生地だ。

ラッピングする具は、クレープ以上に自由度が高い。とて焼きを提供するお店ごとに個性を発揮しており、フルーツや甘味が入った「ありがち」系だけでなく、寿司屋が提供する「酢飯や漬けマグロが入っているとて焼き」とか「四川風煮豚が入ったとて焼き」、「ナンプラーに漬けこんだ鶏肉が入ったとて焼き」などいろいろある。

これは、スタンプラリーストの血が騒がないでもないが、さすがに今回はやらない。

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温泉街を中心に、とて焼きを提供するお店は十数店あるという。紹介されているパンフやwebサイトによって掲載されているお店が若干違うので、正確な数はわからない。今回はその中から、1軒ないし2軒くらい、お伺いしてみようと思った。さて、どれにしよう・・・。

奇抜さでいえば、「後楽寿司」の「寿司とて」だった。生地の中に、海苔、酢飯、漬けマグロ、穴子、イクラなどが入っているという。面白い。しかし、面白いだけであり、うまそうとは全く思えないのが微妙なところだ。寿司とて食べたよー、とこのサイトとかSNSで報告しても、「ああ受け狙いで食べたのね、そりゃどうもお疲れさまでした」と冷ややかに見られておしまいだ。そんな危うさがこの寿司とてにはある。だから、やめた。

無難な甘いとて焼きをわざわざここで食べる気にはなれなかった。別に東京でクレープ食べればいいし。

そんなあれこれの思案の中、落ち着いたのが「湯津上屋」の「そば舞とて」だった。蕎麦が生地の中に入っているのだという。舞茸天ぷら付きで。なんじゃそれ。

これも受け狙い臭が漂うのだけど、ギラギラした感じはしないので、まあいいかなと。甘いのは食べたくないし、かといってガッツリお食事系のとて焼きはおなかがいっぱいだからいらないし、消去法的にここに落ち着いた感じ。

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とて焼きを販売するお店は、店頭に「とて焼き販売店」というピンク色ののぼりが立っている。これを目印に、温泉街を散策すればいい。ちなみに、のぼりが出ている、ということは「今の時間とて焼きを提供していますよ」というお店側の意思表示でもある。お店が営業しているのに、のぼりをひっこめているときは「今はとて焼きを提供していません」ということになる。

クレープのように、店頭に専用のカウンターがあって、それ用の従業員が焼いています・・・というわけではない。ふつうの飲食店が、ふつうのメニューの中にとて焼きを組み込んでいるに過ぎない。だから、多忙時はやっていません、とか夜はやりません、というお店があるようだった。

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お店の中。雑然としている。あんまさんと思しき方が一人、蕎麦を食べていた。平日昼さがりということもあって、客はこれだけ。

奥さんに「とて焼き、お願いします」とお願いしたら、静かにうなずいて厨房へと引っ込んでいった。ここから、結構時間がかかる。良く考えればそりゃそうだ、とて焼きの生地(クレープと違って分厚い)を焼かないといけないし、蕎麦を茹でて、天ぷらを揚げないといけない。手間ばっかりかかる。こんなオーダーがバラバラと五月雨式に入ったら、お店の人はやってらんないと思う。

油は温めていなかったのか、厨房からパチパチと音がするようになったのは注文から5分以上経ってからだった。

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10分くらい待ったところで出来上がった「そば舞とて」。400円。

小麦粉で作られた厚めの生地に、具がくるまれている手巻き寿司状態。生地の内側には蕎麦のガレットが入っている、というので、このお店なかなかやりおる、と感心した。そして、少量の蕎麦と舞茸天ぷら。

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上から見た「そば舞とて」。

一つ食べればおなか一杯、というほどのサイズではない。かといって、これを「おやつ代わりに」として食べるにはちょっと違う気もする。

「これ、もう味がついているんですか?」

と奥さんに聞いてみたら、そうだとばかりにうなづいてくれた。さすがに、手巻き寿司のように醤油に浸して食べるなんてことはやらないんだな。見た目は、まったく味がついていないようなのだが。

食べてみた。

んー、なんだろうこの薄味。そばつゆなんかで味をしっかりつけるとビチャビチャになってしまうので、極力汁っ気をなくしたんだろう。でもその結果、味が薄くてなんとも物足りない。生地、蕎麦、そして天ぷらを食べてますといった感じ。

生地が厚いということは、多分クリームとかバナナのようなフルーツが入っていれば美味しいんだと思う。しかし、蕎麦と天ぷらが入った状態だと、ひたすらモッサモッサした食感であり、なんだか自分が草食動物になった気分だ。

値段は安いし、他に類を見ない面白メニューだし、塩原温泉に訪れた際にはゲットしたい食べ物の一つではあるよ。ただしかし、美味いかどうかは人によって大きく判断が分かれると思う。

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