2015年05月21日
【店舗数:—】【そば食:654】
東京都台東区上野
ローストビーフと水菜の冷やしそば、かき揚げ

この日、上野公園の中にある東京文化会館で「チャップスイ」なる料理を食べようと思っていた。
東京文化会館は、オペラやバレエ、クラシックを主に公演する会場として有名だ。「バカと貧乏人は無縁の世界」とばかりの空気感が、ロビーなどには漂っている。バカでありかつ貧乏人であるおかでんにとっては、中に入るときやや勇気がいる場所でもある。「用がないなら出て行け」と警備員につまみ出されるんじゃないかと。まあ実際そんなことはないのだけど。
で、この東京文化会館の二階にあるレストラン「精養軒」の看板メニューが、「チャップスイ」だ。これは古くからあるメニューなのだが、オペラの幕間(まくあい)などにささっと食せる料理を、ということで考案された「洋風中華丼」。
ご飯の上にあんかけの野菜が載っている食べ物なのだが、それが洋風らしい。僕が長年敬愛してやまない書籍「偏食アカデミー―嗚呼日本の胃袋よ!」(日本経済新聞社刊)で紹介されて早二十年近く、ずっとたべたいと思っていたものだ。

・・・が、高級そうな席に着席して意気揚々とウェイトレスさんにオーダーしたら、「本日品切れです」とのこと。あれーっ。拍子抜け。

このモヤモヤをどうすればいいの、とトボトボと上野駅を歩いていたら、目の前に「蕎香」見えた。これまで二度ほど入ったことがあるお店だ。新陳代謝激しい駅ナカビジネスにおいても、持続しているお店だ。ここはいつもお客さんの入りが良い印象がある。
駅ナカで蕎麦を食べるんなら立ち食いでいいじゃない・・・
と考える人ばかりじゃないんだよ、ということがこのお店を見ているとよくわかる。客単価が500円を遙かに超えるようなお店で、でも店内インテリアは立ち食い蕎麦と大差ない。これで客が来るなら、お店としては嬉しくてたまらんだろう。

ここの売りは、揚げたての大きなかき揚げを出すところにある。でもそれだけじゃなく、季節ごとにどんどん新メニューを投入しており意欲的だ。立ち食い蕎麦屋とは明らかに一線を画したいのだろう、その手のお店にありがちなメニューは少ない。

とはいえ、これにはびっくりしたなあ。「ローストビーフと水菜の冷やしそば」。蕎麦の上にフライドポテトを載せることが密かなブームになっている2015年蕎麦業界ではあるが、ローストビーフまでのっけちゃいましたか。
それはそれで構わないんだが、お値段がすごい。980円だって。一瞬、「えっ!?」と凝視してしまうクラスの高値。1,000円札を自動食券機に突っ込んだら、チャリンチャリンと10円玉2枚しか返ってこないんだぞ?駅ナカ蕎麦はそこまで来ちゃったのかオイ。

くっそー。
たべるつもりなんて全然無かったんだけどなあ。
「うひょー、高いメニューがあるぜ。誰が頼むんだよこんなの」
とか言いながら生暖かく遠目で券売機を眺めていたのに、気がついたらミイラ取りがミイラになってしまった。きっとロストチャップスイの心ぽっかり状態がそうさせたに違いない。
しかもよせばいいのにかき揚げも追加しちゃったので、完全に1,000円超えですありがとうございます。

ぶっかけそばお上に、水菜、ローストビーフ、そしてネギがのっている。ローストビーフは、かつお節を削ったかのような色をしていて、なんだかイメージしていたものと違う。もっとこう・・・ピンクというか、明るい色をしているものだとばかり。でもそれはホテルバイキングなんかでお目にかかるものであって、こういうお店でそのクオリティが出てくるわけがないのだけど。
だとしたらわざわざローストビーフをのっけてもらって、高いお値段を払う意味ってあるかぁ?と思う。うまいかまずいかといえばそりゃあうまくありませんよ(あっ、正直に言っちゃった)。

救いは揚げたてのかきあげ。揚げたては正義なり。これをたべてほっとして、お店を後にした。
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