そば助 北千住店

2015年10月31日
【店舗数:399】【そば食:660】
東京都足立区千住

元祖豚そば(温汁つけそば)

そば助外観

100円ショップがこのあたりにあるはず・・・と北千住駅の近くを歩いていたら、なんだか変な店があった。「究極の塩だし そば助」という看板が出ている。うわ、なんだこりゃあ。

「究極」という言葉がいかに説得力がないものか、というのは僕が今更語るまでもないが、お店もそれはよくわかっているらしい。「究極」を名乗るにしては、高級感とか拘り感が全く見受けられない。ネタ的要素も込みで「究極」を名乗ったんだろうな、というのが窺える。

その証拠、というのは言い過ぎかも知れないが、「究極」の看板には白黒写真でちょんまげの、冴えない顔をしたオッサンが掲示されており、そこには「初代 そば助」と記されていた。ネタなんだろうな、これも。誰も、チョンマゲな人が町を闊歩していた時代からこのお店があるだなんて思わないし、これをもって「だまされた!」とJAROに告げ口する人もいないだろう。

特製豚そば

ネタなのはともかく、このお店は「日本蕎麦(最近は死語になってきたな、この表現)」のお店なのか、それとも「中華そば」のお店なのか、どっちなんだろう?遊び要素が満載なのは一般的には後者の方だが、このお店はどうだろうか。

気がついたらお店にすっかり注目している自分がいた。そして、横断歩道をふらふらと渡ってしまい、お店に接近している自分がいた。いかんいかん、「究極?まさかご冗談を!」とか思いつつも、すっかりこのお店のとりこになっているではないか。

お店としてもそれが狙いなんだろう。「日本一まずいラーメン」という看板を掲げてお店をやっていたら、案外「怖い物見たさ」で客がやってきました、というのと一緒だ。「究極?ホントかよ」といいながらでも客がやってくれば御の字。で、「ハハハ、さすがに究極じゃなかったけど、悪くはないぜ」と思わせればこの勝負お店の勝ちだ。ひょっとしたらリピーターになるかもしれないし。

で、僕だが、「ラーメンだったら別に食べなくていいや。でも蕎麦だったら、せっかくだし食べてみてもいいかも」と思った。すると、ありゃ?店頭に「十割そば」ののぼりが見える。やっぱりこのお店、蕎麦屋さんだったんだ。まじで?

塩だし、という言葉が意味不明だ。「だし」というのはカツオや昆布、豚骨といったうま味成分を出してくれる動植物だ。塩というのは味付けであり、うま味とは別のことだと思う。たとえば「サッポロ一番しおラーメン」のスープが、単なる塩水ではないのと一緒だ。

やばい、気になってかなわん。

うーん、これは食べてみた方が良さそうだなあ。ちょうど11時半で、お昼ご飯を食べるにはちょうどいい時間帯だったし。

メニュー1

メニュー2

なんだかメニューがいろいろある。初めての訪問ということもあり、予備知識がないこともあって頭が混乱する。一体僕は何を食べればいいの。

ちらっと店内をのぞくと、自動食券機の頼もしい姿があった。これで一安心した。とりあえず無言でボタンを押せば、食券が出てくる。ややこしいルールとかそんなのは無用だ。あと、お店が一番売りたいお薦め商品が一番左上のボタンなはずなので、迷ったらそれを押せばよいだろう。

初回訪問なんだから、いきなりキテレツなものを頼む必要はない。オーソドックスでいきたいものだ。で、美味しかったら、何度か通ってあれこれ頼めばいい。・・・で、どうやらこのお店の一押しは、お店脇に大きく掲げている「特製豚そば」なんだろうな。豚入りの温かい蕎麦、と思われる。ふむ、じゃあそれにしてみようか。

一昔前の僕なら、絶対こんな頼み方はしなかった。なぜなら、「蕎麦屋に行く」ということは「酒を飲む」こととほぼ同義であり、シメにつるつるっともりそばでしめたかったからだ。なので、昔は蕎麦原理主義みたいなもので、あまり具が載ってたりする蕎麦は食べていなかった。また、上から目線で「おたくの蕎麦がどんなものか、わたくしの舌で評価するザマスよ」という考えもあったのは事実で、「まずはシンプルなもりそばを所望す」、という発想だった。

でも今やどうだ、酒をやめたらもうどうでもよくなっちゃった。そもそも蕎麦屋に足を運ぶ機会が減ったし、行ったら行ったでガッツリと腹に溜まる飯じゃないと困る。ということで量が多くてこってりした蕎麦を好むようになった。時代は流れるものだな。

酒も飲めるらしい

このお店、見た目はチェーン店のような蕎麦屋だ。ここは支店なので、それはあながち間違ってはいないのだが、それにしてはメニューがやたらと多い。蕎麦メニューだけでも、一体どれだけ食材を冷蔵庫にストックしているんだ?廃棄ロスを気にしてないのか?と驚くし、それだけでなく酒肴もかなりちゃんとやっている。カウンター席と、簡易なテーブル席しかない色気に乏しいお店だというのに、なんなのこの充実っぷり。

黒板を見ると、「ガツ刺」なんてものまであるぞ。解凍品じゃないと思うので、生で、その日使う分だけ仕入れているということか?やるなあ。他にも、手間がかかる煮込みもあるし。

いろいろこだわり

自動食券機の左上は、ひときわ大きなボタンになっていて「元祖豚そば」が陣取っていた。名前が違うようだが、多分店頭看板にあった「特製豚そば」のことなんだと思う。自動食券機には、「温かいそばは麺がのびるのが早いのでお薦めしない」といった張り紙が貼ってあった。いやまあ、十割蕎麦だからそうだとは思うけど、店頭にはどかーんと大きく、温かい豚そばの看板があったしなあ。

冷やしにするか、それとも温汁つけそばにするかということをちょっとだけ悩んで、温汁つけそばでお願いすることにした。

食券を店員さんに渡して水をセルフで給水器で汲み、着席して待つ。お店の壁はたくさんの落書きやお店への応援メッセージで埋め尽くされていた。それが少しお店の雰囲気を明るくしているが、こういうのでもなければ殺風景さを感じさせる。でも、そういう蕎麦屋もいいもんだぜ。

自動食券機があるお店ということもあって、立ち食い蕎麦屋的ざっくばらんさを感じさせるお店だが、「ちゃんとオーダーごとに蕎麦を茹でるし、調理もするので時間がかかるよ!」という張り紙が貼ってあった。最近、外観だけで蕎麦の美味いまずいが判断つかなくなってきて、心底蕎麦業界って底上げされたものだなと驚かされる。

正しい食し方

「そば助の正しい食し方」という張り紙もあった。

途中で2度ほど卓上調味料で味の変化を加え、最後にはご飯を足しておじやにして食べてくれ、と書いてある。そしてここにも、微妙な顔をした「初代そば助」の写真。お前誰だよ。

方向性としては、ラーメン的だ。ニラを入れたり辛子高菜を入れたりする、あれと似ている。そういえば蕎麦って、せいぜい七味唐辛子をパラパラとふりかけるくらいで、「味変」ということはあまりやらないような気がする。この試みは面白いしわくわくさせられる。

たれとか唐辛子とか

ニンにらタレ、というのと激辛・ごま唐辛子という二種類が味を変えてくれる調味料。

卓上調味料

あ、卓上に置いてあるんだ。使い放題やんけ。これ、50円とかとってもいいくらいなのに。かなり嬉しい。

やっぱりこのお店は、「究極の塩だし」とかいってるわりにはかなりジャンク寄りだ。心底だしに自信があるなら、「だしの味はそのまま味わって欲しい」と考えるものだが、もうまったく容赦なく「ええ、ガンガン味変えちゃってください」と仰ってる。潔いというかなんというか。しかも、胡麻だったりニラだったりニンニクだったり、よりによって風味が強いモノばっかりだ。

オレ、アンタと気が合いそうな気がする。

豚そばアップ

そうこうしているうちに豚そば到着。

あ、タンメンみたいに透明なスープかと思ったが、茶色だ。

具は豚肉、ネギ、白ごま。

麺アップ

蕎麦は、細い。この手のしっかりした蕎麦メニューの場合、やり過ぎなくらい太麺だったり田舎蕎麦っていうのがよく合うものだが、ここはそんなことはない。大丈夫かなあ、と食べてみたが、見たまんま僕には物足りなさを感じた。悪くない蕎麦なんだが、豚つけ汁に浸けて食べるんだったら、やっぱり食べ応えがあったほうが嬉しい。

あと、ジャンクな背徳感を感じさせるメニュー構成やお店の茶目っ気な割には、量がちょっと心細かった。まあ・・・これは人それぞれか。足りなけりゃ、追加料金を払って大盛りにすればよいのだし。

蕎麦そのものはともかく、激辛・ごま唐辛子とニンにらタレはかなり気に入った。ごま唐辛子は、「どうせ『激辛』って言っても口ばっかりなんでしょ?」と油断していたら、本当に辛くて嬉しい誤算だったし、ニンにらタレはそりゃあもう、ニンニクとにらを足したらパンチ連打っすよね、という味。こっちは大満足だった。

味を変えつつ食べたら、かなり満足した。蕎麦に対する物足りなさ、というのは、「せっかくなんだしもっと食わせろよこのやろう」というポジティブな意味の裏返しだ。

確か「激辛・ごま唐辛子」はお土産に買うことができた筈なので、こんどこのお店を訪れる事があったら、買い求めたい!と思った。