2017年08月12日
【店舗数:—】【そば食:680】
東京都千代田区丸の内
季節のかき揚げそば
おかでん、お盆の帰省2017。
ここ数年は兄貴家族の姪二人が育ち盛りで、かわいい反面帰省にはかなりの覚悟が必要だ。姪の二人の親は、24時間365日面倒を見なくちゃいけないので、セーブモードで子供に接している。一方の「おじちゃん」である僕は、セーブモードという概念がない分、姪たちの格好のオモチャだ。
僕としては「良き叔父」であろうと願うがゆえに、結果的にヘトヘトになる。さあ今年もそんな日々の幕開けです。
「よしっ」と気合を入れてから帰省しないと、とてもじゃないがしんどい。なにせ、いい加減面倒くさくなって居間からお暇しても、「おじちゃんどこー?」と探し始める。隠れても無駄だ、むしろ隠れんぼだと思って喜んで探し始める。こういう時、周囲の大人は残酷で、「おじちゃんどこに隠れたのかなー?あっちかなー?」なんて余計なヒントを出したりする。やめてくれ、僕は心底隠れたいんだ。
小学校の頃、自分自身がおじちゃんに「構って構って!」とじゃれついて、相当疎まれていたのを思い出した。ああ、あの時おじちゃんが嫌がっていたのはこういうことだったのか、と。
家から逃げてどこか喫茶店にでも隠れていれば良いのだろう。でもそれでは、せっかく帰省した意味がない。たまの帰省なんだし、老いた両親のそばにできるだけいないと。・・・で、結果的に姪の餌食になる。
それはともかく、最近の帰省は常に新幹線だ。「エクスプレス予約」の奴隷になってしまったからだ。年会費を払っている以上元をとらなければ、と思うと、もう飛行機なんて乗ってられない。だいたい、岡山空港にしろ広島空港にしろ、嫌がらせとしか思えない山奥に滑走路がある。人里に降りてくるまでに時間とお金がかかりすぎだ。
帰省は、実家にあまり遅く到着しすぎても良くないし、早く到着しすぎるのも良くない。「いい塩梅の到着時間」を逆算すると、東京を11時前に出るくらいがちょうど良い。
でも、そうすると、完全にお昼ごはんを食べ損なってしまう。新幹線の中で駅弁を食べればいいじゃない?と思うだろうが、お盆ラッシュの東京駅で、駅弁屋は通勤電車の中じゃないかと思うくらいの混雑だったので諦めた。そもそも、ギッチリ隣までお客さんがいる列車内で、お弁当を広げるのはなんだか気が引けるし。
朝、家を出る前も荷造りがあったのでご飯は食べていない。ということで、朝ごはんと昼ごはんが抜きになる予定。まあ、いいか、今日は。帰省中に太るかもしれないから、その分今日はメシ抜きでもバチはあたるまい。
・・・と思っていたら、新幹線のホーム上に「グル麺」を発見した。ああそうか、そうだったな、この駄洒落のような店名の立ち食い蕎麦屋があったっけ。
まるで獲物を見つけて物色するクマのように、お店の周りをグルグルと回る。
いや、食べるつもりはないんですよ?
でも、一応見ておかなくちゃ。ほら、何か新発見があるかもしれないし。
さすがに「わんこそば食べ放題」とかそんなどえらい発見はない。
品川の常盤軒のような、サービス精神旺盛というわけでもない。何しろ天下の東海道新幹線だ、殿様商売していたって儲かる。
値段を見ると、当然割高だ。在来線ホームで食べたほうが安い。ちくしょう、ここで儲かったお金は税務署がちゃんと課税すべきだ!駅の特権だからずるい!と思う。しかしちょっと待て、課税されたら、単価が余計に上がるぞ。やめとけ。
ずらーっとメニューが並んでいて、どこに何があるのかよくわからないボタン。まるでマンションのようだ。
こんなの、背後に人が並んでいる状態で、冷静にメニュー選びなんてできっこない。気が焦って、欲しくもない月見うどんとか頼んでしまいそうだ。
さすがは東海道新幹線、当たり前だけどFelicaリーダーのところに大きく「toica」と描いてある。
おお?季節のかき揚げ?
「軽くチェック」のつもりだったのに、この言葉にピキーン!ときた。
弱いんだよなあ、「季節の」っていう表現。ズルいよ、これ。食べたくなっちゃうじゃないか。夏なのに冷房がききまくった職場で仕事をしていて、「ああ、夏らしいことをしていないなあ」という罪悪感を感じる日々。だからこそ、こういう「季節の」と名がつくメニューが出てくると、からきし弱い。
これを食べれば、何か罪滅ぼしになるんじゃないか?という気にさせられる。いや、何も罪は犯していないんだけど。
でも、「季節のかき揚げ」ってなんだよ?と思ったら、おくら、生姜、玉ねぎ、人参なのだそうだ。ええと、夏野菜っぽいといえば「おくら」だろうか。なんだそれだけか、と正直思うけど、それでも名前のインパクトは強い。なんだか、急に食べたくなってしまった。
で、これ。490円だったかな?高いなあ、と思いながらも食券を購入。既に電車が出るまで5分しかなかったのだけど、立ち食い蕎麦ならどうにでもなる、と思って突撃だ。
しかし、そこまで頻繁に新幹線を利用しているわけではないので、ホームに流れるアナウンスにびびりまくりだ。この日はお盆ということもあり、過密ダイヤをこなそうとする駅員さんが必死になって定時運行の努力をしていた。「お見送りの方は離れてください、まもなく発車します」を連呼している。やべえ、もう出発するの?え?え?まだ半分も食べてないよ?
手元の腕時計は「あと1分2分なら大丈夫」と告げている。でも、この時計の時刻合わせをしたのはいつだったかなあ。ひょっとしたら微妙にずれているかもしれない。そのずれが命取りなので、チキンレースなんてやってられない。
いかん!もうだめだ、構内アナウンスの逼迫感に負け、慌ててホームに飛び出した。まだ1/3くらい残っていたのに。
で、乗ってみて気づく、「なんだまだ時間があるじゃないか」。やられた!俺の「季節」を返せ!
こうしておかでんの夏は過ぎ去っていった。
味?いやもう、何がなんだか。最初の一口は「お、甘みがしっかりして、太い味わいだな」と感じたけど、後はもうしっちゃかめっちゃかよ。肝心の「季節のかき揚げ」は写真の通りで、わざわざ高いお金を払ってまで頼むほどのものではなかった。というか、こういうときはおとなしくかけそばを食べる勇気を持とうぜ。
「シンプルなかけそばを食べるのは負け」
みたいな変な考えがあるから、今回のようなことになる。
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