2018年02月25日
【店舗数:418】【そば食:693】
東京都葛飾区立石
酸辣そば、わかさぎ南蛮漬け丼
立石といえば、昔は町工場がたくさんあり、そこで働く人たちを相手とした飲み屋さんがたくさんあった町だ。今でもその名残は残っており、東京における酒飲みの聖地的な扱いを受けることがある。
ただし、多くの東京界隈民が「・・・で、立石ってどこ?」と思うように、ほとんどの人は立石に縁がないし、立ち寄る機会がない。京成線沿線なので、成田空港から飛行機を使う人は、スカイライナーに乗っている最中に素通りする場所、程度かもしれない。
だからこそ、ディープであり続けるのだろう。
とはいっても、迷路のような狭い路地、ゴミが散らかった路上、鳴くカラス、といったカオス状態とはほど遠く、整然とした町だ。あまりこの町に胸ときめかせ、ワクワクしながら訪れると「あれっ、案外普通だな」と思うかもしれない。
以前、アワレみ隊OnTheWebで、この町の飲み歩きオフ会を開いたことがある。

いろいろなお店を練り歩き、面白かった。事前に行くお店を調べてから行くと、きっと満足いく楽しい酒が飲めると思う。
さて、今回はそんな立石からほんの少し歩いたところにある、蕎麦屋。
近日に迫っている「のっとれ!松代城」に参加するチームアワレみの面々が集まった。往復の新幹線チケットを事前に手渡しする必要があったからだ。
本当は、「なんか鬱屈としてるし、ガツンと肉を食いてえなぁ。シュラスコにでも行くか」という話だったのだけど、何故か「立石で蕎麦」に化けた。
シュラスコは「肉食べ放題」である以上、どうしてもお値段が相当高くなる。しかも要予約のお店ばかりで、思いつきで訪問できるわけではない。ある程度、事前に段取りを決め、参加者を集め、予約をきっちり取り、数日前から仲間内で「シュラスコに向けて、食事を減らしてます!」「ボク、もう一週間肉断ちしてるんです!」なんて盛り上がった方がきっと楽しいだろう。
そんなわけで、蕎麦。
このお店を紹介してくれた人は、「盛りがなかなかいいし、面白いお店だ」と言う。
なるほど、入店前からそれがうかがえる。
鴨せいろ、1,300円。
鴨せいろにしては安いと思うのだが、それよりも「きのこの具沢山」というのが売りになっているのが面白い。いや、きのこよりも鴨の量を増やしてくれよ、なんて言うのは無粋だ。
そういえば、鴨南蛮とか鴨せいろ、というのは、具は鴨肉と葱しかないというのが一般的だと思う。きのこが入ってたっていいじゃないか、むしろ楽しいじゃないか、という気になってきた。絶対美味いと思う。
隣には「上司が部下におごる会(そうでなくても使えます)」というプランが張り出してあった。多分飲み放題付きで、一人4,500円。ネーミングが愉快だ。
料理はコースで出てくるのだけど、これも結構面白い。
サーモンマリネ
若鳥手羽先甘露煮
焼きチーズ野菜カレー
蕎麦の実入りブレッド
鴨せいろ
デザート
蕎麦屋の定番ともいえる酒肴をすっ飛ばしている。いきなり「マリネ」だもの。「蕎麦味噌」とか「板わさ」といったものでご機嫌を伺う気がさらさらない。
つまり、「清酒をちびりちびり飲る」という発想ではなく、ビールなり焼酎なりガンガンやってくれ、という勢いだ。いや、もちろん清酒を飲っても全然OKなメニュー構成だけど。
しかしちょっと待て、中盤に「焼きチーズ野菜カレー」が入っているのはどうだ?もう、ここで全部味のインパクトを持っていってしまいそうなんだが。その後、「メインディッシュでございます」とせっかくの鴨せいろが来ても、迫力で負けてしまわないか?
もちろん、きっと勝算があるからこそのこのクリーンナップなのだろう。それにしても強力な並び順だ。こうなると、しれっと書いてある「デザート」も油断ならん。場違いなティラミスが出てきたりするかもしれない。
同行者が昼から一献傾けているので、それに併せて酒肴も注文してあった。
やっぱり、酒を飲む人が一緒だと蕎麦屋での楽しみが増えていい。だって、酒を一滴も飲まない僕は、どうやったってこの「真いかの沖漬け」なんて頼まないから。
「沖漬け」というと、小鉢に入っているような印象がある。でもこのお店の場合、平皿に姿形そのまんまで出てきた。これも面白い。
食べるとシャリシャリしていて、ルイベ状になっている。久々にこの手の料理を食べたけど、うまいな。
このお店は蕎麦屋にしては珍しく、「大盛り無料」になっている。ラーメン屋なら時々そういうお店があるし、つけ麺ならなおさらそうだ。でも、蕎麦屋で大盛り無料ってさほど多くない。
で、せいろそばを大盛りにするとこうなる、という図。同行者が頼んだもの。
おしゃべりをしながら食べていたこともあり、食べきる前に麺同士がくっついてしまい、ほぐすのに若干苦労していた。それくらい量が多い、ということだ。
さて僕だが、初めてのお店なのでシンプルに「せいろ」を頼みたかった。しかし、組み合わせメニューというのが面白そうだったので、この中からチョイスしてみることにした。
そば・うどん3種類の中から1つ、ご飯類3種類の中から1つを選ぶ。お値段は890円で、大盛りも同価格。かなりお得だと思う。さすが立石。
何かガツンとした感触が欲しかったので、「酸辣そば」に「わかさぎ南蛮漬け丼」を組み合わせてみることにした。
で、到着したのがこれ。
丼がやたらと大きい。隣のご飯椀が小ぶりであるということも相まって、写真だけ見ると「洗面器?」という印象を受けてしまう。実際はそこまでは大きくないのだけど。
とはいえ、レンゲと対比すればわかるとおり、実際に丼が大きいのは間違いない。そして、その中に結構みっちりと蕎麦が入っているのだから、「ヒュウ」と口笛を吹いて喜びを表現したくなる。
さすがに酸辣湯味でとろみがついているスープなので、蕎麦そのものの美味さというのはよくわからない。こんにゃく麺でもOKなくらいだ。でも、そんなこたぁどうでもいいんだよ、トータルでこの一杯が美味けりゃいいんだ。
実際、随分と堪能しました。辛さはほとんど感じないので、もっと辛くて汗が出るくらいでもよいけど、さすがにお蕎麦屋さんだからそれはやりすぎだろう。
そういえば、「蕎麦屋なのだから、めんつゆを使って酸辣湯も作ってます」ということなのかどうか、そこまではわからなかった。もう、ガッツリと中華。
わかさぎの南蛮漬け丼は、わかさぎが3匹。ご飯も少量なので、「ちょっとご飯物が欲しいな」という人向け。麺が大盛り無料なんだし、これでちょうど良いと思う。普通なら、「麺類じゃ物足りないから、ご飯物で満腹感を調整」するものだけど、このお店の場合麺だけで満腹になれる。
お客さんはひっきりなしに訪れていて、常に満席状態だった。地元の方に愛されているお店なのだろう。地味に良いお店だと思った。
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