2018年05月02日
【店舗数425】【そば食:701】
長野県松本市深志
冷やしすんきそば
上高地で3泊4日のソロキャンプを堪能し、下界に戻ってきた。
1時間刻みの天気予報をチェックし、雨が降り始めるギリギリのタイミングで上高地を脱出した。そのため、昼時にはもう松本駅に戻ってきていた。天気さえよければ、あと半日は現地でゆっくりしていたかったのだけど。
松本駅の駅ビルにはレストラン街があり、そこで「山賊焼き」を出すお店がある、ということは知っていた。なので、当初そのお店を目指したのだけど、店頭に「45分待ち」の表示が出ていてあえなく断念。
あと20分くらいで新宿行きの特急・スーパーあずさが出発する。これに乗るか、諦めてはるか後の時間の特急に乗るか、判断のしどころだ。
特に急いで帰宅する理由もない。のんびり松本に滞在すればよいのだけど、何しろ登山用のザックを大小1つずつ抱えている。あんまりくつろげる状況ではない。
山賊焼きを諦めて、いったん駅前に出てみる。特にあてはない。
ざっと駅前を見て、「ああやっぱり手ごろなお店はないね」とわかったら、とっとと駅に戻ってスーパーあずさに乗るつもりだった。昼飯は駅弁。
「スーパーあずさ」は「スーパー」を名乗るだけあって、ノーマルの「あずさ」と比べてずいぶん速い。そして、新型車両が導入されたばかりなので、ぜひ乗りたい。なので、安易にのんびりメシ食って、1本遅い時間の便でチンタラ移動はしたくない。
・・・と思っていたら、ありゃー、なんだこれは。
なにやら魅力的な蕎麦屋が見える。
「小木曽製粉所」だって。
「立ち食い・セルフ処」とも書いてある。これは短時間で蕎麦を食べられるぜ、ということに違いない。ちょうどいい、ここでバババッと蕎麦を食べよう。
昼メシも食う、残すところあと20分弱のスーパーあずさにも間に合わせる。「二兎」を追ってやろうというわけだ。
そう決心させたのが、店頭ののぼりに「山賊焼き」「すんきそば」と書かれたものがあったからだ。
山賊焼き!先ほど断念した食べ物だ。まさか蕎麦屋でリベンジできるとは。そしてすんきそば!これはずいぶん久しく食べていない。振り返ってみると、最後に食べたのは10年前だ。
乳酸菌発酵で酸味のある「すんき」は、僕は結構好きだ。長野県南部、開田高原界隈でないと食べられないと思っていたので、まさか松本で食べられるとは思わなかった。
よし決めた、ここで「すんきそば」をベースに、トッピングで山賊焼きだな。ちょっと食べすぎ感もあるけれど、この際許す。
しかし、思わず顔が曇ってしまった。
店内が大行列だからだ。蕎麦の茹で上がり待ちのお客さんが、店内にたくさんいる。並びきれなくて、店の外に最後尾が出てしまいそうなくらい混んでいる。
とりあえず悩んでいる暇も惜しい、ということで並んでみたけれど、この列がなかなか前に進まない。というのも、セルフうどんのお店のように「茹で置き麺」を使っているわけではないからだ。毎回毎回、2~4人前の蕎麦を生麺から茹で、盛り付けている。そりゃ時間がかかるわけだ。
茹で釜を守るご主人、もうひたすら茹でまくり盛り付けまくり。繁盛店であるのは大変に結構だけど、工場にある産業ロボットのようにひたすら蕎麦マシーンと化していて、大変そうだ。
客としては、「頑張れ、頑張れ」と心の中で応援するしかない。
このお店は、大きく4種類のメニューがある。
大ざる、ざる、冷かけ、かけ。
すべて500円。「大ざる」でも値段は変わらない。なので、働き盛りのおにーさんサラリーマンたちは、続々と「大ざる」を注文し、嬉しそうだ。
ただし、鍋のお湯は有限だ。みんなが大ざるを頼むと、1ロットでさばけるお客さんの数が減る。なるほど、それでますます行列が前に進まないのか。
このお店の段取りが壁に貼ってある。
原則、「丸亀製麺」のようなセルフうどん店と一緒だ。
蕎麦を頼んで、その後並んでいる天ぷらの中から食べたいものを選んで、最後にお会計。
丸亀製麺と異なるのは、蕎麦の宣告が色札だということ。釜に陣取るご主人が札の色を確認し、蕎麦を用意する。
なので、「途中で札を変更しちゃダメ」といった注意書きが店内にあった。「やっぱり俺、大盛りにしよう」などとされては厨房が混乱するからだ。
おっと、「中ざる」というメニューもあるのだな。こちらもお値段かわらず500円。
立ち食い蕎麦屋で10分以上並んだ経験は初めてだ。
次から次へと「大ざる」オーダーが出るため、なかなか列が前に進まず、ハラハラさせられる。いやまあ、電車を一本遅らせればよいだけなんだけど。
で、自分の「冷やしすんきそば」が届いたのは、よりによってスーパーあずさ出発5分前。超絶スピードで食べれば間に合いそうな気がするし、無理な気もする。微妙。
でも僕は、超絶でいくことにした。「冷やし」メニューだし。これが熱い蕎麦だったら、到底無理だ。
さすが生麺茹で立てだけあって、しっかりした歯ごたえの麺。食べごたえがある。
大ざるの人の盛りを見ると、500円とは思えない立派な盛りだ。これならおなかいっぱいになりそうだ。物足りなければ、天ぷらを追加すればよいわけだし。
ちなみに山賊焼きは売り切れていて、食べられなかった。しかし時間が逼迫している中、むし好都合だった。
慌てて食べたせいもあってか、すんきの味があまりしない。酸味はもちろんするのだけど、もっと癖の強い食べ物だと思っていた。おそらく、僕が過去に食べたすんきそばが、暖かいつゆの蕎麦だったからだろう。その点では物足りなかったけど、猛烈なスピードで食べているのだから正直味なんてろくにわからない。ゆっくり食べるとまた違った感想を持つかもしれない。
1分で食べ、3分で駅にダッシュし、ギリギリスーパーあずさに間に合った。
そんな駅前一等地の、結構いけてる蕎麦屋。行列が短いならば、また利用したいお店だ。
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