ふたつの「百名山」を登ろう【根子岳・四阿山】

一気に標高を上げる

10:16
十ヶ原の笹林を過ぎると、四阿山本体に取りつくことになる。ここから先がきつい。登山道が情け容赦無くぐいぐいと標高をあげようとするので、そこを歩く人にとっては息が上がってかなわん。シラビソの根っこが伸びる登山道を、ぐいっと登っては一息、またさらにぐいぐいっと登って一息。心拍数が上がりっぱなしなので、頻繁に一息をつかないといけない。汗がどわっと吹き出る。

唯一の救いは、これがどんなに長くても標高差300mだ、という事実。登りがきつい分、早く山頂に到着できそうだ。そうポジティブに捉えないと、やってられん。

普通だったら頻繁に写真を撮るのだが、このゾーンでは写真1枚しか撮影していない。疲れていてそれどころじゃなかったことがうかがえる。

それにしても驚いのは、まだ小さな子供を背負子に括り付けて下山する家族がいたということ。なんちゅーパワフルな登山をやってるんですかアナタは。相当な手練れとみた。

視界が開けてきた

10:44
ようやく眼前が開けてきた。ようやく、といってもヒイヒイ言っていた時間は30分程度だったけど。

いやー、やっぱり山歩きは解放感ある尾根が気持ち良いです。

振り返ると根子岳

10:45
振り返ると根子岳。

「日本百名山」の著者、深田久弥はこう書き記している。

菅平へ雲集するスキーヤーで根来岳に登る人は多いが、四阿山まで足を伸ばす人は千人に一人ぐらいしかいないという。根子岳なんて四阿山の付録みたいなものである。私たちは付録では我慢できない。

というわけで「付録」をガン見してやる。山の中腹以降は樹林帯が無い根子岳は、暑苦しくなくてイイ感じの山だ。これを「四阿山の付録」と一刀両断している深田久弥さんカッケー。

登山道の標識

10:46
根子岳・四阿山の登山道でさりげなく良いのは、案内表示があちこちにあり、そこに山頂までの距離が記されているということだ。「ああ、さっきよりも随分進んだな。あともう少しだな」と苦しい登山中の励みになる。

山頂への道
四阿山山頂が見えて来た

10:50
開けたところを進んでいくと、山頂らしきものが前方に見えてきた。最後の登りはもう目の前だ。いやー、地味にきつかったなあ。

おかでんはさっきから「きつい、きつい」と連呼しているけど、当の本人は普段運動をあまりやっていないので、この「キツさ」は全くアテにならないので注意。運動を常日頃たしなんでいる人からしたら、楽勝な部類かもしれん。

木道階段が現れた

10:54
山頂へ通じる道は、木道+階段になっていた。植生保護のためだろう。ここを登れば、ゴール。・・・のはず。

山頂間際の道
山頂脇のほこら

10:59
木道を登っていったところに、ほこら発見。・・・山頂?

しかし、山頂標識がない。ここではないようだ。このあたりでも休憩している人が結構いるので、本当の山頂は近くにありそうだ。

うっかり「ここが山頂だ!」と喜んで、一息ついて下山しちゃう人が、中にはいるかもしれない。ちょっと紛らわしい。

山頂ではないところで記念撮影

11:00
実際、ちょっとトラップにひっかかり、記念撮影をしているおかでん。そういえばガイド本に「2峰が並ぶ頂の両方に祠がある。奥の2,354mが最高点で、三角点はさらに奥、尾根の先端に置かれている。」って書いてあったっけ。

こちらが本当の四阿山山頂

11:02
こちらが本当の山頂。やあ、おつかれさまでした。8時から登り始めて、約3時間の行程だった。変化に富んでいてとても楽しい山歩きだ。さらに、この後控えている下山はいま来た道を戻るのではなく、別の道を進むことになるので楽しみ。

山頂は大量のトンボが飛んでいた。なぜこの山頂にトンボが飛び交っているのかは、理由がわからない。トンボの餌になるものが豊富にあるのだろうか?

人だらけの山頂

11:05
広くない山頂は人でいっぱい。どうして急にこんなに人が増えたのか不思議。おそらく、バルコール嬬恋スキー場のゴンドラで一気に標高を稼ぎ、そこから2時間かけて歩いてきた人が多いのだろう。標高差が少なく、四阿山に登るなら最短のルートだ。

「百名山ピークハンター」であるおかでんがこの最短ルートを使わない手はなかったが、なんだか乗り気になれなかったので使っていない。やっぱり、根子岳と四阿山、二つを登ってやったぜ!という方がカタルシスがありそうな気がしたからだ。

それにしても人が多すぎる。ついには祠の正面をふさぐようにどっかと座りこんでお化粧直しをしているマダムが出現。祠に参拝しようとしている人たちから苦情を言われていた。

「ここに座るのは非常識ですよ」
「いいの、私、不信心だから」
「信心がどうのではなく、そこに座りこむのが非常識なの。」

そういわれたにも関わらず、このマダムは全く場所を空けようとしなかった。

「不信心」だからの一言で開き直る人、初めて見た。

お昼ご飯のおにぎり

11:08
山頂でご飯を食べよう。人がいっぱいいて居心地が悪いが、やっぱり山頂で食べる食事は格別だ。

というわけで、取り出したのは今朝コンビニで買ったおにぎり。

えっ、ビールは?ビールはどこへ行った?

はい、実はビールは持ってきていません。飲酒運転になるから。

世知辛い世の中じゃのー。350mlくらいなら、下山するまでに分解するとは思う。でも、やっぱりこのご時世、ビール飲んだ後に車を運転しました・・・となると、量の多寡関係なく大変に気まずい。そんな気まずい思いをしてまで、ビール飲むのは無理だ。しかも、常温にぬるくなった、あまりおいしくないビールのためにだなんて。

「へべれけ紀行」は山の上でビール飲んじゃうところからきているコーナー名称だが、今回は勘弁して。公共交通機関を使った山登り(及び旅行)のときはちゃんとへべれけるから。

まだ全然溶けない氷

11:09
というわけで、おかでんの喉を潤すのは、ようやく少し溶けてきた2リットルの水。まだ4/5ほど凍っている状態。

幸い、それほど喉の渇きは感じていなかったので、水の摂取量は少なくて済んだ。でも、下山時に急に喉が渇くかもしれない。山頂に滞在している間に、少しでも水が溶けるようにペットボトルを甲羅干しにしておいた。

山頂標識

11:26
山頂標識の前で記念撮影をやりたかったのだが、人が入れ代わり立ち代わり撮影しているし、標識のすぐそばに座り込んでくつろいでいる人がいるし、なかなか撮影が難しかった。というわけで、記念撮影は断念。結局、どこのどなたか存じ上げない方たちが記念撮影している光景をカメラに収めるのがやっとだった。何の記念だ、この写真は?

11:28
下山開始。混雑した山頂に長居しちゃまずかろう、ということで早めの離脱となった。

さあ、帰り道は中四阿経由のルートだ。

快適な道を進む

11:40
歩きやすい快適な道を進む。樹林帯ではないので、心地よい。鼻歌でも歌いたくなるくらいだ。

四阿高原
四阿高原標識


11:45
このあたりは「四阿高原」というらしい。根子岳と比べて高山植物の数が少ないが、見晴らしがよくて楽しい。

遙かなり

11:45
四阿高原からこれから先の登山ルートを眺める。尾根沿いにずっと道が伸びているのが分かる。

11:50
ようやく樹林帯の中に入る。

相変わらず眺めが良い

11:53
このままずっと樹林帯の中を歩くのかと思ったが、眺めの良さは相変わらず。

正面に中四阿(標高2,106m)が見えてきた。中四阿の山頂付近は大きな岩がゴロゴロしている。アルペンムードがあって良い。

ザレている場所もある

11:58
中四阿の道中、道がザレている場所があった。根子岳・四阿山は本当に変化に富んでいて、楽しい。とても良い山だと思う。

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