水のふるさとを探して~千曲川源流遡上【甲武信岳】

登場人物(2名)
おかでん:山登りが趣味だということは実はあまり知られていない。
おかでん兄:大学時代は体育会な野郎。

2000年09月02日(土) 1日目

[行程]
08:00新宿(スーパーあずさ3号)→11:06信濃川上(川上村営バス)→11:31梓山→11:40梓山→12:40毛木平[昼食]13:10→14:30ナメ滝14:50→15:45信濃川水源地標→16:10秩父主脈縦走路→16:30甲武信岳山頂16:45→17:00甲武信小屋(泊)
[総歩行時間5時間20分]

兄「誰もバス停で降りなかったな」

おかでん「時間が時間だけにな。これから山に登ろうというのに、もうお昼だから」

梓川バス停に到着した二人

兄「それに、もう9月だからシーズンオフだ」

おかでん「まっ、どっちにせよコースタイム通りに行ったとしても山小屋到着は午後5時。急いで行こう、日が暮れてしまう」

ひたすらレタス畑

おかでん「絶景だな」

兄「一面の高原野菜畑だな」

おかでん「甲武信岳はどこだ?一体僕らは何しに来たんだかわからんな、これじゃ」

兄「登山口までタクシーに乗れば良かったな、ちょっと迷ったんだけど」

おかでん「・・・それにしても、僕らやる気のない格好してるよな」

兄「そうか?山のぼるときはこれが普通だぞ、僕は」

おかでん「二人ともTシャツに短パン。兄貴に至っては裸足にサンダルだからなあ」

兄「山道でもないのに登山靴履くとうっとおしいからな、サンダルは必須だよ。それよりもおかでんそのピンクのTシャツは一体何だ」

おかでん「秀山荘でおんぼろ市ってのをやってて、150円で店頭ワゴンセールやってたからついつい買ってしまったのだ」

兄「ぺらっぺらじゃないか、こんなのは使い捨てだな」

おかでん「何せ、おんぼろ市だから。でも、シルク製って書いてあったぞ」

兄「わははっ、こんなのがシルクなワケないじゃないか。シルクだったらもっと手触りがつるつるしてる」

おかでん「だろー。おかしいとは思っていたんだけど、まあそれも含めておんぼろ市って事だ」

まっすぐの道を歩く

おかでん「おっ、絵になるねえ、一面の高原野菜畑の中を歩く一人の山男」

兄「前見て歩かないとコケるぞ」

おかでん「それにしても、どう考えても山男に見えないぞ、農作業やってる兄ちゃんだ」

兄「ほっとけ!」

元気甲斐

おかでん「本日のセミファイナル、って感じだな。コレが楽しみだったのよ、小淵沢駅弁『元気甲斐』」

兄「二段重ねなんだな、さすがに1300円もしただけある。どれどれ」

おかでん「あ・・・寄り弁。なんかがっかり」

昼ご飯中

[元気甲斐メニュー]
・一の重
胡桃御飯、蓮根の金平、山女の甲州煮、蕗と椎茸と人参の旨煮、蒟蒻の味噌煮、カリフラワーのレモン酢漬、ぜんまいと揚げの胡麻酢合え、セロリーの粕漬け

・二の重
栗と占地のおこわ銀杏蓮根入り、アスパラの豚肉巻、鶏の柚子味噌合え、公魚の南蛮漬け、山牛蒡の味噌漬、沢庵

兄「それぞれが弁当として独立しているんだな。御飯が両方とも入っている」

おかでんああ、こりゃ期待値以上にオイシイぞ。さすが高い金出して買っただけはあったな」

兄「でも、くるみご飯があんまりおいしくないかも・・・というか、全体的に二の重の方がおいしいな」

おかでん「ああ、ビールが欲しくなってきた」

信濃川の源流を目指す

おかでん「ああ、ようやく信濃川が見えてきた。歩き始めてから2時間でようやく遭遇か。いや、心配した」

兄「ここから源流まで行くのか。結構水量多いな、遠そうだな」

滑滝が見えてきた

おかでん「緑が気持ちいいね」

兄「水と、緑と、青空。いいなこういうの」

おかでん「いや、来て良かった」

兄「でも、川沿いに歩くと案外疲れるなあ、どうしてだろう。白馬岳の雪渓を歩いた方が楽だったぞ?」

おかでん「確かに・・・露骨に疲れないんだけど、気が付くと体力が消耗してるって感じはするな」

滑りやすいので注意が必要な滝

兄「おお、ナメ滝だ」

おかでん「一枚岩の壁面を水が流れ落ちて行ってるな。きれいだなあ」

兄「おい、気をつけろよ、滑るぞ」

おかでん「あっ・・・」ずどん。

兄「ほら見たことか」

おかでん「こ、こんにゃろーっ!」

川を渡る

兄「何やってんだ?」

おかでん「へへへ、ほら恒例のやらせ写真。セルフタイマーで」

兄「またか」

おかでん「あっ、カメラの方見るな、さりげなく橋を渡ってくれよ、カメラの存在に気づかないふりして」

兄「全くもう・・・」

後で写真を見てみると、時既に遅しで兄はカメラを向いて写っていた。

水を汲んでおく

おかでん「もうそろそろ水量が少なくなってきたぞ、そろそろ水を補充しておかないと」

兄「まだ大丈夫だと思うけどな」

おかでん「信濃川の源流で水を汲む。なんかプレミアムが付いた感じがする」

兄「タダの水だって」

信濃川水源地標

兄「着いたぞ」

おかでん「えっ・・・これが信濃川水源地標?」

兄「どうやらそうらしい」

おかでん「だって、まだ川は上流に向かってるぞ」

兄「ここから登山道は川から外れるからな」

おかでん「なんだ、人間様の都合に合わせただけなのか。てっきり、岩雫がぽたりぽたりと落ちるところまで行けるのかと思った」

兄「あともうちょいだ、頑張ろう」

ここから急登

おかでん「うぇー、ここから急登だな」

兄「さっきまでがなだらかだったからな、ここで精算だ」

おかでん「普段登る分だと、これくらい大したことないんだけど、今日はどうも疲れてるな、どうしたんだろう」

兄「川沿い歩きは疲れる。教訓だな」

奥秩父主脈縦走路

おかでん「奥秩父主脈縦走路だ」

兄「気持ちいいな、こういう林の中を歩くのも」

おかでん「山頂はどこだ?妙になだらかな道じゃないか」

兄「何、どうせもうすぐだ」

甲武信岳

おかでん「あ、山のてっぺんに柱が立っているのが見える。あそこが甲武信岳か」

兄「なだらかに見えるけど、実はちょっと登りがあるぞ」

おかでん「よし、一気に登ってしまおう」

兄「まあ待て、ここからの眺めは凄いぞ、ちょっと休んでいけって」

富士山

兄「ほら、富士山が見える」

おかでん「おお」

山座同定中

兄「あっちは国師ヶ岳かな」

おかでん「おおお。はるか彼方には金峰山の五丈岩が見えるな」

兄「絶景だな」

おかでん「絶景の国だな、でも早く山頂に向かおう。日が暮れてきた」

甲武信ヶ岳山頂

おかでん「最後の登り、ちょっときつかったな。ってことで、2,475m山頂到着~。」

兄「いや、お疲れさまだな」

山頂には、二人の登山客が既に居た。

おかでん「今晩は甲武信小屋にお泊まりですか?」

登山客「いや、これから近丸新道で下山します」

おかでん「えっ、これから!?気をつけてくださいね」

夕方5時から4時間半かかる道を下山するというそのガッツにえらく感動。凄い人がいるもんだ。

甲武信小屋

午後5時ちょうど、甲武信岳山頂から10分ほど降りたところにある甲武信小屋到着。テント泊の手続きを行う。一泊一人頭300円。

おかでん「なんだ、結構この山小屋物がそろってるな」

兄「ビールもあるしウィスキーもあるな」

おかでん「しまった、無理して持って上がってくることなかったか」

兄「えっ、ビール、持って上がってたの?」

おかでん「ああ、こればっかりはどんなに辛くてもやめられないんでね。とかいいながら、ここでもビール買っちゃおーっと」

ビール350ml缶:500円。ビール450mlボトル缶:600円。まあ山物価ではこんなもんだろう。小屋の前で、買ったばかりのビールを手に記念撮影。

そこにさっき山頂であった登山客と遭遇。

おかでん「あれっ、どうしたんですか?」

登山客「いやー、やっぱり宿泊することにしました、夜は危ないんで」

おかでん「ああー、やっぱりそうですよねえ」

たった15分くらいで下山の決定を変更したことになる。まあ妥当な判断だろう。

速夕食の準備

テントを張って、早速夕食の準備。準備といってもお湯を沸かすだけの簡単なものだ。

おかでん「早く沸け!早く!」

兄「腹が減ったのか」

おかでん「いや、早くビール飲みたいから」

兄「今飲めばいいじゃない、別に」

おかでん「そうか。うーん、そうしようかな」

宴会中

おかでん「兄貴もビール飲むか」

兄「でも、買ってくるの面倒だしいいや」

おかでん「僕が持って上がった奴があるから」

兄「そうか、じゃ飲もうか」

おかでん「高いよ?ボッカ代として500円くらいはもらわないと」

兄「なんだ、じゃいらない」

おかでん「わー、うそうそ、せっかくだから一緒に飲んでくれっ」

ぐいぐい。

おかでん「ああ~、幸せだなあ~っ!」

兄「うむ。旨し」

おかでん「これで時折風向きによって臭ってくるトイレの臭いさえしなければ最高なんだけど」

タイ料理スペシャル

おかでん「今晩はタイ料理スペシャルだ。タイカレー、トムヤムクン」

兄「辛い物ばっかじゃないか」

おかでん「大丈夫、カレーはココナッツミルクが入っているから、まろやかだって」

兄「あ、本当だ、旨い」

おかでん「何しろレトルトでも高いからな、カレー一袋で300円」

兄「300円!高いぞ、それは」

おかでん「僕はもう一本ビールを飲もう。せっかく持って上がったんだし」

兄「何がせっかくだ」

ろうそく

兄「ろうそく一本でも、テントの中が相当暖かくなるだろ」

おかでん「確かに。炎の力は偉大だな」

兄「でも、倒れないようにしなくちゃいけないのが難点だな」

おかでん「空き缶がこんなところで役立つとは思わなかった」

兄「さすがに外は冷えてきたな・・・」

くつろいでいるシーン

おかでん「テントの中でくつろいでいる写真を一枚撮っておこう」

兄「またやらせ写真か」

おかでん「やらせって言うな。あくまでも純粋にゲイジュツ作品を撮ろうとしているに過ぎないんだから。えーっと、兄貴そこで動くな。これ以上右に行ったら見切れるからな。よし、セルフタイマーセットして、と」

兄「おい!ろうそく倒すなよ」

おかでん「おっと危ない・・・あっ、兄貴さりげなくコップ持っといて、酒を酌み交わしながら談笑している、っていうシーンだから」

兄「おかでんはどうするんだ?」

おかでん「えっ、えっ?・・・わっ、時間がない」

カシャ。

兄「なんだこの写真は」

おかでん「わけのわからん写真になってしまったな。手に持ってるスモークチーズが全くの無意味だ」

テントを見下ろす

おかでん「なんか穴熊だな」

兄「まぶしいからこっちを照らすな!」

おかでん「しゃーないだろ、トイレからのご帰還なんだから」

大して好きでもないウイスキーを飲む

兄「また何か飲んでるな?」

おかでん「ウィスキー」

兄「いつの間に・・・」

おかでん「ペットボトルにちょっとだけ詰めて持ってきたんだ」

兄「良くやるよ」

おかでん「しかし、変な味がする、何だこれは・・・あっ、そうか、トムヤムクンを飲んだコップを使っているから、トムヤムウィスキーになってしまっているのか!」

21時過ぎ、就寝。

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