

アンソニーズピザの屋台を過ぎると、そこはフードコートがある建物だった。
中には・・・入れる!ここは一般開放されていた。
お店も、もちろん営業中だ。大量に押し寄せる日本人客の対応でどのお店もてんてこ舞い。一年で最大のかきいれ時だろう。
われわれも、ぜひこの「アメリカの空気漂うフードコート」を堪能したい。

いかにもアメリカ風、なのはフリードリンクになっているということだ。
ドリンクのカップはお店で買い、あとはセルフでジュースを好きなだけ注ぐ。だから、ドリンクサーバーは客席にある。もちろんおかわりは自由だ。
用意されているドリンクの種類も、日本風ではない。
ペプシ、ダイエットペプシ、トロピカーナレモネード、リプトンブリスク(アイスティー)、水、マウンテンデュー、MUG(ルートビア)、ペプシチェリーコーラ。
ルートビア、チェリーコーラという日本人の多くが嫌がるドリンクがしっかり用意されているというのがいい。

このフードコートは、客席がスタンディングだった。
このスタイル、日本ではあまり多くないと思う。駅構内の立ち食い蕎麦屋なら当たり前の光景だけど。だから、新鮮な光景に写る。
ぱっと食べて、とっとと立ち去れ、ということか。軍隊なので、一分一秒たりとも無駄にするな、っていう教えだろうか。
そういえば、基地内にいる限り飯には困らないはずだ。隊員食堂で、栄養バランスも量も考えられた飯が毎食出てくる。それでもこういうフードコートがあるということは、隊員食堂のメシに飽きた人たちが繰り出すということなんだろう。または、おやつ代わりに利用するのか。


サブウェイもある。
ショーケースの前に、ドリトスをはじめとするスナック菓子の袋が並べられているのがいかにもアメリカ人。サンドイッチ食いながら、チップスを食べるのが定番らしい。カロリー高すぎだろうに。
そういえば、壁に「BUILD YOUR better BREAKFAST」というキャッチコピーと共に、カロリー高そうなサンドイッチの写真が掲げられていた。こんなん朝から食べたら駄目だろう、という内容。さすがアメリカ人。でも、厳しい訓練を日々行っている兵隊さんなら、朝からガッツリでも全然問題ないのかもしれない。


ManchuWOK、というチャイニーズデリのお店。
中華惣菜がショーケースに並べられているので、「あれとこれをよこせ」と店員さんにオーダーして中華弁当を作ってもらうことになる。
肉肉しかったり油で揚げたり、茶色い料理が並ぶ。カラフルさに欠けるが、こういうのが好みなんだろうきっと。
こういうお店でも、きっちりレジカウンター脇ではあの毒々しい巨大ゲータレードが冷やされて売られているのだった。つくづくゲータレード好きだなこの人たち。


ポパイというお店があった。「チキン&ビスケット」を売っているようだ。
レジカウンターの背後には、一体どれだけあるんだ、というくらい山積みになっているフライドチキン。
「このお店には、『適正在庫』とか『でき立てを提供』という概念が皆無なんだな」
驚き、あきれる。
さっきのピザ屋もそうだったが、今日が一年で最大のかきいれ時だ!ということでそりゃあもう作る作る。作りまくりだ。やりすぎ、という発想はどうやら皆無らしい。

おっと、ここでもテイクアウトピザを売っているぞ。
スバーロ。
日本でも渋谷に2010年にお店ができたときは話題になってたっけ。渋谷のほかに今は日本に数店舗ある。
イタリアンファストフードの店なんだけど、特徴なのはピザなどは既に焼かれたものがストックされているということ。注文が入ってから焼くのではないので、すぐにサーブされる。
「ピザは焼きたてじゃないと駄目」というのでなければ、スピーディーで良いとかなんとか。
で、ここのピザもでかいでかい。一体どうなっとるんだ、サイズの基準がわからん。アメリカだって、核家族化は進んでいるだろうに、これだけのサイズを誰がどれだけ食べるというのか。
・・・一人頭で食べる量が日本人と違うんだろうなあ、やっぱり。
スバーロ自体は日本にあるので、わざわざここでピザを買う気にはならなかった。パス。
でも、「そうかー、やっぱりピザを『アメリカみやげ』として家に持って帰ろうかなあ」という気にだんだんなてきた。一人暮らしでこんなピザ買ったら、食べるのに苦労するのは目に見えているんだけど。だんだん感覚が麻痺してきた。


スバーロのイートインスペース。
ビュッフェスタイルになっていて、カウンターには「ピザ」「パスタ」「サラダ」「デザート」の順にコーナーができていた。
ピザ類は20ドル=2,000円。決して安くはない。もっとも、サイズが相当でかいんだろうけど・・・。ここは、「お一人様」には厳しいお店だな。

おっと、「バフェ」のポスターが張ってあるぞ。
金、土、日の17時~20時の間であれば、10.99ドルで「all you can eat」、つまり全品食べ放題ということになるらしい。
これは激安。わざわざ20ドル払ってピザ頼むのがばかばかしくなる。
週末の夜にわざわざ激安にするなんて、と思うが、おそらく基地の人たちは週末になると基地の外に繰り出して遊びに行ってしまうのだろう。だから、むしろ週末は客が少ないので、集客のために激安企画をやっていると思われる。面白い。

海沿いに出てみる。
対岸に三笠公園ゲートが見えるのだが、相変わらずひっきりなしに来場者がやってきている。全くその数は衰えることがないので、おそらくゲートのセキュリティチェックはフル稼働が続いているのだろう。今頃、相当な入場待ち行列ができているに違いない。
「われわれは早く並ぶことができてよかったねえ」
と、自らの作戦成功を称える。
岸壁のところに、レジャーシートを張っている人がちらほらいる。のんびりしていたり、どこかにお出かけして不在にしていたり。
「ああそうか、夜の花火大会に向けて場所取りをしているのか」
合点がいく。でも、まだ日没まで相当時間があることもあり、ギスギスした争奪戦には発展していない。しかも、飲み物食べ物トイレには全く不自由しない環境なので、とても気楽だ。
「来年は、花火大会までここに残ろう。それまでビール飲んだりしてすごせば、一日すごせるって」
と早くも来年の計画を考える。朝、あれだけ行列を作って基地の中に入ったんだ。しゃぶりつくさないともったいない。昼間は基地のアメリカンな雰囲気を楽しみ、夜は花火大会を楽しむ。最高じゃないか。で、メシはアメリカ仕込みの肉と、ジュース。
海沿いには、ビーチバレー場が完備されていた。わざわざ砂でコートを作っている。金かけてるな。

広大なグラウンドをてくてく歩いてゆく。日光をさえぎるものがないので大変だが、ゲータレードやら怪しいドリンクやらを飲んでるのでとりあえず大丈夫。
こちらはアメフトのコート。こういうのもさすがアメリカだ。


ゴルフの打ちっぱなし練習場もあったが、手入れを断念して放置されていた。
金なら潤沢にあるであろう基地なのに、どうした。よっぽどゴルフは隊員たちの間では人気がなかったのだろうか?

郵便局の建物がある。
MILITARY POST OFFICE,YOKOSUKA JAPAN、と書いてある。
人が出入りしているところをみると、どうやら中に入ってもよさそうだ。アメリカの郵便局って入ったことがないんだ!ぜひ入ってみたい!

入口の看板には、「NAVSUP(Naval Supply Systems Commander) FLC YOKOSUKA」と書かれていた。NAVSUPとは、日本語で言うと「海軍供給システム司令部」ということになる。戦艦から何から、あらゆるものの補給を担当している部署らしい。郵便物も、物流の一端という扱いなのだろう。

中に入ると、ずらりと並ぶ私書箱。これ、隊員一人ひとりにひとつずつ用意されているのだろうか?だとすれば、郵便物は自室に届けられるのではなく、自分で郵便局に取りにこい、というわけだ。ちと面倒だが仕方がない。

私書箱をざっと眺めたのち、受付があるフロアに行ってみる。
無骨なカウンターと、端末があるだけの場所。トリコロールカラーのカウンターではあるが、殺風景に見える。
あ、そうか、日本の郵便局に慣れてしまっているからだ。
日本の郵便局は、貯金もやってる、保険もやってる、ふるさと便なんてのもやってる。だから、ああ見えても広告がいっぱいでにぎやかだ。でもここは、ひたすら「荷物をA地点からB地点に運ぶ。」ということに特化している。だからこうなるのだった。

また外に戻る。
大きな柱が立てられ、そこでロッククライミング体験ができるようになっていた。
チャレンジする子供たち多数。命綱がついているせいもあるが、子供たちは大胆だ、無謀と思える動きをらくらくこなし、上へと登っていた。
やっぱり、こういうところでイイ動きをしている子供がいたら、
「坊主、大きくなったら兵隊にならへんか」
とスカウトしたりするんだろうか。
・・・駄目か。日本人だもんな。外国人部隊ってアメリカにはないだろ、たぶん。

なにやら車が集まっているエリアがあるので、ふらふらと訪れてみた。
痛車がお出迎え。おおお、アメリカ人もアニメキャラや痛車に理解があるのかと感心。RX-8を痛車にしちゃうとは、なかなかやるな。
でもこんな車はごく一部で・・・


やっぱりアメリカ人となれば、こんなかんじ。
アホみたいにデカい車。そのままでも地面スレスレまで車高を下げていて、こんなの一般道をまともに走れないだろ、という車がいっぱい。
そこまで「低さの美学」を追求したいんなら、おとなしくスポーツカーにすりゃいいのに、と思うが、ピックアップトラックのようなごつい車で車高を落とすのがイイらしい。
よくわからない世界だ。
あーあーあー、実際問題、車高が低すぎて、フェンダーにタイヤが干渉してるぞ。おかげで、車を移動させようとしているんだけど、ハンドルがまともに切れないために何度も何度も切り返しを行っていた。こんなん、街中絶対走るなよ?
このほか、定番の「後部座席とトランクを全部つぶして巨大スピーカーを入れて、ズンズン音を出してる車」「サスペンションを改造して、車が飛んだり跳ねたりしてる」といったものも多数。いやあみなさん車が大好きなようで。

建物の中では、「横須賀ボディビルディング&フィギュア大会」なるものが開かれていた。
ボディビルって、面白そうだ。見る機会なんて今までなかったので、怖いもの見たさはある。
しかし、入場料は1,000円と結構お高いので、やめた。
マッチョな人がポージングするだけの、シンプルな舞台準備なのになんでこんなに高いの?
価格表には、「トニーフリーマンのサイン入り写真」というのもあり、1,000円だった。
すげー。マッチョマンのブロマイドを欲しがる人ってのがいるんだ。買うのは誰?男?女?
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