マイ釣り竿を持ってきている人は、驚いたことに魚群探知機まで持っていた。なんなのこの小金持ちさんは。同じ会社の人だと思っていたけど、ひょっとしたら本職:漁業、副職:僕と同じ会社で仕事、なのかもしれん。
センサーを水に沈めて、様子を見る。
「魚群探知機では、この下に魚がいるってことになっているんですけどねえ」
とおっしゃる。確かに、液晶の画面にはお魚さんの表示がたくさん出ていた。これだけ見ると、絵本「スイミー」のようだ。こんなに魚がいるってことになっているのに、全く釣れないってどういうことだ?日々の行いが悪い、なんていう冗談を真剣に考えなければならないのか。
「いや、このセンサーは結構間違えることもあるんで」
と持ち主の方は仰るが、どっちにせよ「我々誰一人としてワカサギを釣れていない」というのは事実なわけで。はあー、なんだかなあ、もう。
雪が強く降ったかと思ったら、一瞬だけ太陽が姿を覗かせたりする。山の天気は変わりやすい、というのをここ松原湖でも実感。そりゃそうだ、八ヶ岳山麓の標高1,000メートルだもの。
それにしても釣れねえなあ。新しいポイントでも、釣れる気がまったくしない。それよりも、既に心の中では「この時間を、どうやって落とし前を付けて終わりにするんだ?」という事が気になり始めている。一体何時に打ち切りにすれば、誰もが納得するんだろうか。
わかさぎコンペな人たちは、全員立ち上がって何かをやっている。表彰式でもやっているのだろうか?「第一位に輝いたのは!なんと2匹を釣り上げた○○さん!」みたいな。「うおー、2匹ってちょーやべー。ありえねー」みたいに周囲はどよめいたりして。「マジ神だよ、2匹だなんて」とか。どんな会話がなされているのかは想像の域を超えないが、釣果という点においては多分そんなもんだろう。
我々も、14時過ぎくらいにはだんだん腰が引けてきだしたので、ゆるゆると撤収準備に取りかかった。結局、15時前に片付けを済ませ、撤収。子供達も、今回ばかりは「もっと遊びたーい」と駄々をこねることなく、「まあそうだよな、もうそろそろ帰宅時間だよな」と納得づくだった。
最後、湖畔で記念撮影大人5名、子供3名の総勢8名によるわかさぎ釣りは、誰一人として一匹もわかさぎと対面できず、終わりとなった。これだったら、冷凍わかさぎでも事前に買っておいて、氷上わかさぎ天ぷらでも作れば良かったかもしれない。わかさぎ食べないで豚汁すすってるんだもんなあ。
結果論だけで言えば、「氷の上で豚汁作って食べました。おいしかったです。まる」という一日だった。でも、気分転換できたし、得がたい体験ではあったし、これはこれでとても面白かった。今シーズンあともう一回わかさぎ釣りに行くぞ!と言われたら、「いや今年はもういいです」と尻込みしちゃうけど。
ちなみに、マイ釣り竿の人は、「今日釣れなかったから来週リベンジする!」と仰っていた。まじですか。すげーな、なるほどだからマイ釣り竿を持ってるんだ。魚群探知機もセットで。
魚群探知機には魚の気配があったのに、肝心の竿には魚の気配ゼロ。まあいいや、それもこれもひっくるめての、わかさぎ釣りってことで。冬らしいことしたぜ!ってことでご満悦のまま東京へと退却していった。
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