
14:07
曽我丘陵を下りきり、人が住む海沿いエリアにやってきた。
長いアパートが見える。歴史を感じる建物で、公団住宅か公営アパートかな?と思って地図で調べてみたら、JR東日本の社宅だった。ただ、窓にはまったく人の気配が感じられず、今では居住者がいない様子だった。
Googleマップでは、これがレオパレスの建物だという誤った情報が載っていた。(訂正したほうがいいですよ、という口コミも併せて載っていた)
えっ、レオパレス?これが!?とびっくりした。そんなわけがない。レオパレスで(メゾネットタイプを除いて)3階建て以上、というのを見たことがないからだ。実際は存在するんだけど、少なくとも僕は見たことがない。で、それがこの巨大アパートなのか!とびっくりしたわけだ。
レオパレスついでに、この界隈のレオパレスの相場について調べてみた(2025年時点)。2階で、20平米で管理費込6.0万円程度。思った以上に高かった。不動産って、いつの間にかどこもかしこも高くなったな。

14:11
先ほどまで歩いていた曽我丘陵を見上げたところ。
正面の茂みが曽我丘陵。本当にさりげない裏山、といった感じ。
でもこの丘陵が縦に長く続いていて、歩いていて楽しい場所だった。冬の散歩道として、とても素晴らしかった。
登山の足慣らし、という点ではあまり役に立たないが、「歩くために前日から身支度する。計画書を作成し提出する。そして当日早起きして遠征する」という面倒なプロセスに体を慣らすという点で良かった。
山って、「ああ面倒だな」と思いだしたら最後だ。「山に行かない理由」を自分で一生懸命考え出し、結局行かなくなってしまう。そうならないためにも、できるだけ気軽に家を飛び出せる、そんな習慣をつけておきたい。

JRの線路をくぐって、海側に向かう。

14:15
目指したのは、国府津駅ほど近くにある食堂、「のんき亭」。
僕が今回参照したガイド本は、下山後の飲食店情報が載っていることもあり、それを参考にした。
丘陵歩きを一旦やめてジェラートを食べにいかなかったのは、こののんき亭の昼営業が終わってしまう前に到着しておきたかったからだ。

ひつまぶしやうな重が売りのお店らしい。

「えびの行列丼」「しら波丼」なども気になる。
でも僕はアジフライ定食、1,000円を注文する。
大のビール好きだった時代の名残なのか、丼やカレーライスといった「ご飯とおかずが一体となった料理」というのにあまりときめかない。それより、ご飯とおかずが別れている、定食の方が好きだ。ビールを飲んでいた頃は、おかずを肴にして飲んで、シメでご飯を食べたかったからだ。

のんき亭のアジフライ定食。アジが2匹。
ふっくらしたアジで美味しかった。アジフライはスーパーなどで安いやつを買うと、パサパサ・ガチガチのものに出くわすことがある。かといって高級店に行くと、気味が悪いくらいふわふわした食感で、それはそれでときめかない。その点、このお店のアジフライは僕の好みにあっていた。
具だくさんの味噌汁もまた良し。

食後、国府津駅を素通りする。
たまたま地図で国府津駅周辺を調べていたら、ピスタチオ専門店という面白そうなお店を発見したからだ。
片道で徒歩15分くらいはかかりそうだが、せっかくだから寄ってみることにした。「あとはもう帰るだけ。しかも、便数が多い東海道本線で」という気楽さ故のお楽しみだ。しかもまだ時刻は15時。低山歩きは、こういう余韻タイムが楽しめるのもいいものだな。
お店に向けて歩いていると、明らかに郵便局と思われる建物があった。これぞ特定郵便局、という風情の建物。
しかし、郵便局にしては不自然に開放的なサッシの中を見ると、がらんとした空間になっていた。あれ?郵便局は撤退したのか。
屋根の看板を見ると、「国府津駅前郵便局」の「郵便局」部分だけ文字が取り外されている。元郵便局なのは間違いないが、今は別の用途になっているらしい。かわりに「BLEND POST」という看板が出ている。その看板も、元々は郵便局で使われていたものに上書きする形で、できるだけ原型を留めようとしているのがわかる。
調べてみたら、無人のレンタルスペースとして今は活用されているそうだ。
https://seisho-blend.com/blend-post
ヨガや太極拳といったレッスンが開催されている模様。

急きょ、予定外のコンビニ立ち寄り。
というのは、マスクの紐がちぎれて使えなくなったので、慌てて新しいマスクを買う必要があったからだ。
2023年1月。まだ新型コロナウイルスの流行は急に発生したりするものの、人々の「不要不急の行動は避ける」「三密は避ける」ということに対する過度な警戒感は薄らいできた。とはいえ、マスク着用なしで人と対面する、お店の中に入るというのは相変わらずアナーキーな行為というのがコンセンサスだった。
これからピスタチオ専門店に行くこと、そしてその後電車に乗ることを考えると、マスクがないというのは相当に気まずい。誰かに怒られたりはしないと思うが、それでも気が引ける。2023年1月の空気感というのは、まだまだそんな状態だった。
というわけで、僕はタオルをマフラーのように首に巻き、それで口を抑えながらコンビニでマスクを買った。後世から見たら冗談みたいな話だが、全然冗談にならない時代だった。
(つづく)
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