スパイシーな夜を、貴方に。(タイ料理/One Dish Thai)

第09夜:タイ料理/One Dish Thai@東京都渋谷区
[2012年02月25日]

辛さレベル表示がある飲食店のメニューが好きだ。

おかでんをはじめとする「スパイシーナイツな奴ら」は、常日頃自分が求める辛さと、現実世界のギャップに苦しめられている。ある人が「これは辛い!しゃれにならない!」と言っている料理があったとして、いざそれを食べてみると大して辛くなかった、というのは日常茶飯事だ。「ピリ辛」などと謳っている商品はわれわれにとって、大抵「ほとんど辛くない」ということになる。

このように、辛さ耐性は人それぞれだ。

口コミによる絶対評価はまず信用ならないので、せめて相対評価が欲しいところだ。「この料理はこっちよりも辛いよ」みたいな指標があるといい。そんなわけで、メニューに辛さランクが掲載されているお店は大変にありがたい。

スパイシーナイツオフにおいても、辛さ表示がオフィシャルサイトやぐるなびに記述されているお店を選ぶ傾向にある。辛さ表示がある、イコール、お店には複数の辛い料理が存在するということでもあるからだ。そして、たくさんあるメニューの中から何を注文すればよいのか、よい目印になる。スパイシーナイツ的には「この店で一番辛い物から順番に注文しちゃえ」だ。

そんな中、発掘されたのが恵比寿にある「One Dish Thai」というタイ料理のお店だった。ここも辛さ表示があるメニューになっている。タイ料理店は以前のスパイシーナイツでも訪問したが、どの料理もあまり辛くなくてちょっと期待外れだった思い出がある。しかし今回は辛さ表示があるので、前述の「この店で一番辛い物をチョイス」することが可能。よし、ここにしよう。

このお店はメニューをそのまんまPDFで公開しているので、事前学習がばっちりできて良い。どれもおいしそうで大変目移りするが、辛さ表示を注目していけばおのずと注文すべき料理は見えてくる。

■辛さもパクチーの量も自由にオーダー!
タイ料理といえば『辛くてクセが強い料理』というイメージをもたれがち。そこでOneDishThaiでは、メニューブックに辛さとパクチーの量を分かりやすく表示しました。

だって!辛いもの好きであると同時に大のパクチー好きなおかでんとしては、楽園のようなお店だ。かゆいところに手が届く感じ。しかも、それだけではない。お店のメニューにはこう書かれている。

また当店では、タイ料理がタイ語で「ピキヌー」と呼ばれる唐辛子が使われていることから、辛さの度合いを「1ピキ(イチピキ)」「2ピキ(ニピキ)」と呼んでおります。当店のメニューは、タイ料理を食べたことがある方にはちょっともの足りない辛さだと思いますので、遠慮なく辛さの調整をお申し付けください。最大は「3ピキ(サンピキ)」まで調整可能です。

つまり、唐辛子マークがない無印料理であっても、「一番辛くしてください!」という注文ができるというわけだ(辛さ調整ができない料理も存在するので注意)。なんでこんなに気が利いているの、と思ったら、

■スタッフは全て日本人、”日本人が好きなタイ料理”を提供!
日本人の味覚を知り尽くしているのは、やはり”日本人”。そこでスタッフは敢えて全て日本人で構成しました。

だって。なるほどなあ。「日本人スタッフが運営するお店」というと、どうしても「本場の味とは異なる日本風へなちょこタイ料理」が出てくることを想像してしまう。しかし、ここは日本人スタッフであることを逆手にとって「本場っぽい辛さも日本人好みの辛さも調整可能」という柔軟性を出しているのだった。

やるな、この店・・・と思ったら、運営母体は「アライドコーポレーション」という会社だった。この企業、「タイの台所」というブランドでタイ食材を輸入していることで有名。ここのトムヤムクンペーストやらなんやら、何度おかでんはお世話になったことか。だから、こんなに至れりつくせりなんだな。

OneDishThai外観

2月25日土曜日、スパイシーナイツオフ参加者一同は恵比寿駅に集合。そこから徒歩数分のところにあるOne Dish Thaiに向かう。

大抵スパイシーナイツは土曜日開催になっている。休みの日だから、という理由が最大だが、それ以上に重要なのは「翌日おなか(とお尻)が痛くなった時のため」だ。辛い料理を食べたら当日我慢できても翌日ひでぇ目に遭うことが多々ある。そんな時、日曜日というお休みのバッファがあると仕事に支障が出ないのでよろしかろう、というわけだ。

癖になるんだそうだ

入口に、「タイのシンハービールも都内で一番安い¥460!」と書いてあり、いやが上でもテンションが上がる。「辛いもの好き、パクチー好き、そしてビール好き」のおかでんを完全に悶絶死させにかかっているな。こりゃいかん、食べ過ぎ飲みすぎ注意・・・いや、スパイシーナイツにおいて「食べ過ぎ飲みすぎ」はむしろ推奨される行為。我慢はせず心行くまで飲み食いして成仏しようではないか。

それにしてもシンハービール(小瓶)が460円というのは、やっぱりまだ高いな。輸入するとどうしても高くなってしまうのだろう。巷のタイ料理店にいくと、500円-600円する代物だから、460円でも相対的には安いんだが。

One Dish Thai店内

店内の様子。

もっと気軽にタイ料理を楽しんでいただきたい。その想いから、店内は女性一人でも気軽に入れる、カフェ風の明るい内装にしました。
と言うだけあって、店内は非常にカジュアル。女性一人客がいても何らおかしくない作りになっている。多くのタイ料理店が、タイ風のエスニックテイスト満載なお店づくりをしているのに対し、ここは完全にカフェスタイル。コーヒーとケーキなんかが提供されていても何らおかしくない風情。内装をエスニック風に凝った結果それが料理のコストに跳ね返ってくるのはいただけないので、こういうシンプルな作りは好きだ。

タイ料理の簡易制作キットが並ぶ

お店の片隅では「タイの台所」ブランドのタイ料理食材が売られていた。さすがだ。

卓上調味料

タイ料理店で気になるのは、テーブル上に各種調味料が用意されているかどうか、だ。このお店はタイ料理定番の4種類の調味料が備え付けられてあり、その点ありがたい。4種類とは、唐辛子、ナンプラー、酢、砂糖。唐辛子があれば、お好みの辛さに調整可能。このお店では「3ピキ」までしか対応していないが、その気になればセルフで「4ピキ」も可能。

シンハーで乾杯

シンハービール 460円でまずは乾杯。

グラスが出てこず、瓶をラッパ飲みせよ、というお店のスタンスに好感を抱く。ラッパ飲みは酒飲みのロマンだ。

以前、アサヒスーパードライの中瓶をラッパ飲みした事があるが(ばんやお泊まりオフの時)、周囲から奇異な目で見られたっけ。中瓶ラッパ飲みは市民権がなく、小瓶ラッパ飲みは市民権があるというのは不公平だと思う。

それにしても、シンハービールって小瓶または350ml缶しか見たことが無いな。日本では中瓶や大瓶が流通していないのだろうか。いつの日かシンハービール大瓶をラッパ飲みしてみたいものだ。

タイ春雨サラダ ヤムウンセン

タイ春雨サラダ ヤムウンセン 750円(2ピキ→3ピキ)

もともと「2ピキ」だったものを、「3ピキ」にしてもらった。これに限らず、すべての注文は「3ピキ」で頼んだので、なんだか変なお客がきたぞ、と店員さんは思ったに違いない。

ただ、誤算だったのは3ピキになっても「激辛」にはならなかったこと。辛さ自慢のお店じゃないんだから、常識の範囲内で辛くしたんだろう。

マナオ(タイ産ライム)の酸味と辛味が具材の味を引き立てる料理。

パクチー増し

ヤムウンセンはパクチー増し可能、となっていたので「パクチー増しで!」と注文してみた。すると届けられたのがこれ。小皿に盛られた刻みパクチー。

うおおおお。

パクチー好きにはたまらんです。パクチー嫌いにも違った意味でたまらんビジュアルな訳だが、その点はご安心を。メインのヤムウンセンにはパクチーが乗せられていないので、パクチーの魔力の支配下から逃れる事ができる。うん、こうやってパクチー分離で料理を提供するのって、いいと思う。誰もがハッピーになれる。

ちなみにヤムウンセンを注文する際におかでんが発した言葉は「ヤムウンセン、3ピキ、パクチー増しで」。なんだかラーメン二郎のトッピングコールの時みたいな呪文だ。でもそのおかげで自分好みの料理がイージーオーダーできるのだからありがたい。

青パパイヤのサラダ ソムタム

青パパイヤのサラダ ソムタム 780円(0ピキ→3ピキ)

もともとは辛くない料理としてラインナップされていたものを、強引に3ピキに引き上げてもらった。強引、といってもメニューに「辛さ調整可能」マークがついていたので、当然の権利として辛くしてもらったわけだが。

サラダだけど酒のつまみになる、そんな料理がソムタム。おかでんがタイ料理屋に行ったら、大抵ソムタムを頼んでいる気がする。シャキシャキとした青パパイヤの歯ごたえとナッツの歯ごたえのバランスが楽しい。

メニューには「お好みでもち米と一緒にお召し上がりください」と書いてあるのでちょっとびっくり。サラダと米が合うのか。しかももち米。一度試してみたいものだが・・・あくまでも酒飲みであるおかでん(および参加者一同)にとっては、なかなか試す機会がなさそうだ。だって、ご飯食べた時点でゲームオーバーになっちゃう。ご飯=シメ、という訳だから。

ちょっと前までは青パパイヤが日本では入手困難で、大根のツマで代用していたという話を聞いたことがある。確かに食感が似ている。

海老の辛くて酸っぱいスープ トムヤムクン

海老の辛くて酸っぱいスープ トムヤムクン 280円(2ピキ→3ピキ)

タイ料理を代表する一品。酒飲みにとってはスープはあまり食事中にいただかないものだが、トムヤムクンだけは違う。これはぜひ食べておきたい、そんな一品。辛くて、甘くて、酸っぱいという日本料理の発想とは全然違う作りをしているのが本当に興味深い。

中にはハーブ類がいっぱい入っていて、食べられないものも多いのだが、それを避けつつ食べる。

おっと、忘れちゃいけない、このトムヤムクン、なんと280円で提供されている。小ぶりのお椀に入っているとはいえ、中にはちゃんと海老が入っているし、手抜き無しのスープに仕上がっている。これで280円は激安といえる。お店によっては1000円超えするのも全然珍しくない料理だというのに。

きっと、「タイの台所」ブランドのトムヤムペーストを使っているんだと思う。おかでん自身「タイの台所」トムヤムペーストでトムヤムクンを自炊したことがあるが、その時よりもはるかに美味い。さすがプロが作るとなると訳が違うんだろう。

「トムヤムに使われるハーブは代謝機能を正常にするといわれています。」とのことだが、これだけ安かったら毎日でも飲みたいくらいだ。

タイ空心菜炒め パックブンファイデーン

タイ空心菜炒め パックブンファイデーン 780円(1ピキ→3ピキ)

空心菜もタイ料理の定番だなあ。タイ料理店に行ったら大抵頼んでしまう。空心菜炒めは中華料理でも登場するので、もともとの発祥がどっちなのかよくわからない。

「空芯菜」、「クウシンサイ」は日本で個人により野菜、種子、料理、飲料などの呼称として商標登録されているため、無断で使用できないらしい。だから、「空芯菜」ではなく「空心菜」と表現しなくちゃならん。豆知識な。

ソムタム同様、これも歯ごたえが命な料理。お店でしか食べたことがないので、いつも作りたてを満喫している。これをもし自宅で作り、食べ残しを翌朝のご飯に回したりした場合、食感はどうなるんだろう。やっぱりへなへなになるんだろうな。へなへなな空心菜はそうとうがっかりな料理といえよう。・・・否!でも、このにんにくが利いた味付けは一晩経ってもおいしいと思う。ご飯のお供にどうぞ、だな。

鶏肉のタイバジル炒め パットガパオガイ

鶏肉のタイバジル炒め パットガパオガイ 880円(2ピキ→3ピキ)

メニューには「タイの国民食!?」と書かれていた。日本でたとえると、カレーみたいなものか。イヤ待て、タイにはオリジナルのタイカレーが存在するのでややこしいな。

「ご飯と一緒にお召し上がり頂くと箸がとまりません!お酒のおつまみにもよく合います。」

だって。酒にもご飯にも合うというと、塩辛みたいなもんか?

冗談はともかく、確かにビールがさらに欲しくなる味であったよ。ご飯?いや、先ほどの話の繰り返しになるけど、ご飯食べたらシメになっちゃうから、駄目。

生ビール

シンハービールを2本空けたところで、「生ビール」を頼んでみる。390円。シンハーよりも安い。

どれだけの量が出てくるか、注目のしどころだ。そしたら出てきたのはタンブラー。量としては300ml-350mlといったところか。シンハーにこだわりがなければ、こちらを飲んだ方がコストパフォーマンスがよろしいかと。

ボッラ ソアーベ クラッシコ(伊)

ボッラ ソアーベ クラッシコ(伊) 2,500円

ビールの次にワインを頼む。

最初、「ひかりプチルミエール」という日本産ワインを頼もうとしたのだが、参加者のまゆみさんから「それは甘口だから駄目でしょう。辛口のワインにしようよ」と言われた。確かにごもっともだ!辛い料理を求めてこのお店に訪れているんだから、ワインも辛口でなくちゃね。

んなわけで、このワインになりました。メニューには「花のような香りのフレッシュでフルーティーな辛口ワインです」と書かれていたから。

白身魚のタイハーブ蒸し プラーヌンサムンプライ

白身魚のタイハーブ蒸し プラーヌンサムンプライ 1,080円(1ピキ→3ピキ)

「レモングラスやガランガーなど、タイハーブの香りをたっぷり閉じ込めました。香りを楽しみながら、お魚とスープをご一緒にお召し上がりください。」とメニューは語る。われわれは辛い物愛好家であるが、それ以前に「スパイシーナイツ」を標榜している以上、ハーブやスパイスも愛している。そんなわれわれにとってタイハーブ蒸しなんてのはご馳走だ。

ガランガーって聞き慣れないハーブ名だな、と思ったら、カーとも呼ばれるショウガの一種であることが判明。へー。勉強になるなあ。タイ料理のハーブって、レモングラスくらいしかまともに認識できていないので、なおさらだ。

さてそのレモングラスだが、あなたは食べる派?残す派?・・・常識的には、堅くて繊維質たっぷりなレモングラスは残すんだろうが、おかでんの場合は食べてしまう。なんだか勿体なくて。さわやかな酸味があるので、食べていて整腸作用があるような気になる。実際にそんな効能があるかどうかは知らないが。

タイ牛肉のグリル スアローンハイ

タイ牛肉のグリル スアローンハイ 1280円(3ピキ)

早い話、牛ステーキに辛いソースをかけたもの、という料理。このお店で唯一、最初から「3ピキ」で設定されている逸品だ。

ソースの量が多くないので、辛いといってもそこまで辛くはない。いや、それ以前にこのお店における「3ピキ」というのはそこまで辛くはないものばかりなんだが。

ソースの中にはパクチーの根が入っているので、パクチー嫌いの人は要注意。

ちなみにこのお店で一番高い料理である。

前菜3品盛り合わせ

ここで冒頭に注文した料理はすべて出尽くした。まだもう少し胃袋に余裕があるので、第二回目の注文を行うことにした。
頼んだのは「前菜3品盛り合わせ」。0ピキだ。「お酒のおつまみにぜひどうぞ」と書かれていたので、0ピキだけど頼んでみたのだった。

さつま揚げ、海老のすり身トースト揚げ、タイのソーセージの3品。

そうそう、卓上に調味料があるんだった。自分のお好みで味を調整できるんだから、せっかくだからやっておこう。おかでんは海老のすり身トースト揚げに唐辛子をふりかけて食べてみた。うん、うまいうまい。冒頭からずっとピリ辛なものを食べて来たので、辛さがない料理を食べるとどうしても物足りなくなってしまう。いかんな、辛さ依存症になりつつあるかもしれない。

タイ東北式豚肉のグリル ミント和え ナムトックムー

タイ東北式豚肉のグリル ミント和え ナムトックムー 980円(2ピキ→3ピキ)

これが最後の料理。本当なら最後はパッタイとかトムヤムラーメンなどで締めれば良かったのだが、うっかり頼み忘れた。白ワインの後、赤ワインも注文したからだな、きっと。セルクルで型抜きした豚肉はミントとよくあっておいしかった。

というわけで、お会計は一人頭5,000円くらいだった。「タイ料理店」でさんざん飲み食いしたことを考えれば、まあ妥当な金額だと思う。ただ、トムヤムクンの驚異的な価格の安さ、そしてシンハービールの割安感を考えたら、「案外値段いっちゃったなあ」という気がするのも事実。単に注文しすぎなんだろうけど。

このお店は、辛さという点ではわれわれが求めているものより少し足りないけど、「ピリ辛で美味い」料理を食べさせてくれるという点ではとても良かった。普段使いのお店として今後活用していきたいくらいだ。それほど気に入った。

さて、スパイシーナイツご一行様の今後の予定だが、次回は韓国料理に挑戦する予定だ。「ぶるだっく」という激辛料理があるということなので、それを試してみるつもり。その後は、スパイスの大御所であるインド料理店が待っている。今後もまだまだスパイシーナイツは続く。