第10夜:四川料理/沸騰漁府@東京都港区
[2012年09月29日]
久々に「スパイシーナイツ」オフ会が開催の運びに。今回は新橋にある四川料理店「沸騰漁府」というお店にトライしてみることにした。ぐるなびを見ると、「売れ筋メニュー」のところにこんな料理が。
激辛沸騰旨煮
アツーい油を注いで辛さを引き出し、魚の旨味を閉じ込めます!
これが非常にそそられたからだ。掲載されている写真を見ただけでよだれが出る。
この一品料理だけのために「沸騰漁府」に行こう、と決心したといっても過言ではない。
四川料理を出すお店は数多あるけど本当にシビレて辛い料理を出すところはそれほど多くない。しかし、このお店は「リアルに麻辣を楽しめるお店」である雰囲気がぷんぷんしている。こりゃ、オフ会を開いて確認しなくちゃ。
お店はJR新橋駅から徒歩5分程度のところにある。店頭の看板には「本格四川 東北料理」と書かれていた。おいちょっと待て、四川と東北地方って、随分離れているぞ。数千キロは余裕で離れているのだが、どうしてこういう組み合わせになっているのだろう。東北料理も辛いものが多々あるので、「辛い物つながり」で四川と東北をくっつけたのかもしれない。だとしたら、本当に辛い料理を追求している可能性あり。
「『沸騰漁府』っていう名前がいいよね、沸騰って辛そうなイメージがある」
と店名を褒める一同。インパクトがある店名だ。
メニューを吟味する。
周囲のお客さんはほとんどが中国人で、結構繁盛していた。こういうお店は「日本風味付けはしない。現地の味と辛さで勝負!」という可能性が高い。料理が出てくるのが楽しみだ!
メニューには、唐辛子マークで料理の辛さを表示してあった。全く辛くない料理は唐辛子マーク無し、そして一番辛い料理は唐辛子マーク3つ。もちろんわれわれは唐辛子マーク3つの料理を主に注文していくことになる。
注文時、店員さんから「辛いですよ?」と言われたが、これはわれわれに対する宣戦布告だ。「ええ、辛いの大好きなんで。できるならもっと辛く、一番辛くしてください」と涼しげに返答しておく。
最初の乾杯は青島ビールで。
瓶で乾杯、そのままラッパ飲み。ぷはー、やっぱり最初のいっぱいは特に美味いねえ。
・・・と感嘆していたら、店員さんがグラスを持ってやってきた。既にラッパ飲みしちゃっているわれわれなので、「あ、グラスはいいです。このまま瓶で飲みますから」とグラスを下げてもらった。
店員さん、笑いながら
「本場もそういう飲み方していますから(ラッパ飲みはいいと思いますよ)」
と言ってくれた。
最初にわれわれのところに届けられたのは、ぐるなび見て大興奮させられたあの逸品、「魚の激辛沸騰旨煮」だった。お値段1,880円。最初からメインイベンター登場で、一同「おおーう」と思わず声が出る。
一体この鍋の中に唐辛子が何本入っているのか?100本以上は確実に入っていると思う。「これでも食らえ」的やけくそ感が素晴らしい。ここまで唐辛子を入れなくても味は一緒になると思うのだが、「表面にびっしり唐辛子を散らす」のが四川料理の美学なのかもしれん。
アップで撮影してみる。
あ、唐辛子だけじゃないぞ。中にはたくさんの粒が入っている。これは花椒だ!やばい、この料理は辛いだけじゃないぞ、ものすごくシビレそうな予感。
実際食べてみると、口腔内が痺れてやたらとスースーする。辛い!痺れる!でも美味い!白身魚がぷりぷりしていて、とてもおいしかった。店員さんに「何の魚ですか?」と聞いてみたが、「白身魚」という回答。店員さんも詳細は知らないらしい。鱈に似ているけど、鱈以上に食感が良い魚。なんだろう?
本当は魚の部分だけ食べて、唐辛子は食べないんだと思う。でも、われわれは唐辛子も食べる、花椒もかじる。早くも汗が額ににじむ。
スープ状の部分は飲まない。それは油だからだ。辛味成分が存分に含まれている油なので、家に持って帰って香辛料として使えばいろいろ料理が捗りそうだ。
次に来たのは「牛肉の唐辛子入り水煮」、1,280円なり。いわゆる「水煮牛肉」という料理だ。四川料理店ではよく見かける激辛メニューの定番。名前のとおり「水で煮る」わけではない。名前だけ見ると、シンプルかつ淡白な料理を想像するが、実際は辛い。
このお店の水煮牛肉は、花椒は使われていないようだ。唐辛子は粉末の物が使われており、さっきの沸騰旨煮とは違った味付けと食感になっている。
これも辛くてうまい。
念のため言っておくが、「辛ければ何でも美味い」というわけではないぞ、われわれは。辛くて、なおかつ美味いから褒めているんだ。
耳の辛口和え300円。前菜とはいえ、お値段が非常に手頃でうれしい。
沖縄料理のミミガーとは違った味付けで、酒のつまみに最適。辛さは大した事ないが、それ故ほっとする味。
青島ビールを飲み干したので、次はモルツの生・・・ではなく、瓶を選んだ。これもラッパ飲みしてやろう、という計画だ。サイズは中瓶。
大きな体格の二人とはいえ、中瓶を手にするとやっぱり相当でかい。これをぐいっと飲んでみると・・・ひゃひゃひゃ、こりゃいいや。「中瓶をラッパ飲みする俺」というのがなんだか背徳感というか、高揚感というか、いろいろな感情を喚起してくれる。いいねいいね。
ガツの辛口和え、300円。
これも先ほどの耳料理と同じように辛口和えになっている。ただ、こちらの方がより赤くなっており、まぶされた粉末の唐辛子がちらほら。ビールが進む味だ。
なんか卓上が凄いことになってますよ。一面、赤赤しい。闘牛がこれを見たらいきり立って突っ込んで来そうなほど、赤い。
「あらためて見るとすげーな、このテーブル」
さすがスパイシーナイツ。
「それにしても中華料理は大人数に限りますねえ」
という話題になる。一人で訪問した場合、一品または二品ほど注文するのが精いっぱいだと思う。一皿あたりの量が多いからだ。おかでんでも、先ほどのガツと耳の二皿で食事量的には十分かもしれん。
その点、今回みたいに同じベクトル(辛いもの大好き!)な人が4名集まった、というのは大変にありがたいことだ。おかげでバリエーション豊かな料理を注文できる。
マッコリが飲みたい、という声が挙がったので、マッコリを注文する。辛い料理を中和するにはマッコリはよく合うかもしれない。
それにしてもなぜマッコリ?と思ったが、そうか、ここは四川料理店だけど東北料理の店でもあるんだった。マッコリが置いてあっても不思議ではない。
届けられたマッコリは「にっこりマッコリ」という名前だった。なんとも脱力するネーミング。
われわれもマッコリ飲んでにっこり。
届けられた料理はあらかた食べ尽くしたので、第二弾の注文をする。
帯骨口水鶏骨、880円。日本名で言うと「よだれ鶏」という奴だ。骨付きか、骨がついていないものかどっちかを選ぶことができる。われわれは骨付きのものを選択。
見た目の割には辛さがあまりない料理だが、箸休めとしてとてもおいしい。「よだれ鶏」という名前の通りだ。
エビの串焼き、1,980円。
名前だけ見ると、四川風ではない。海がない四川で、エビ料理はあまり食されないと思うがどうか。
しかし、出てきた串焼きを見て一同納得。おエビ様の上に、これでもかというくらい炒めた唐辛子がかけられている。まるでエビたちが赤い布団にくるまって雑魚寝しているかのようだ。ああ、こりゃ四川料理だ。
エビは串打ちされてさっくり揚げられている。このエビをかじりつつ、唐辛子も口の中に入れる。店員さんによると、大きな唐辛子は辛くなく、小さな唐辛子は辛いそうだ。確かに、大きなやつはぜんぜん辛くない。うん、この料理、隠れたヒットだ。
唐辛子の中にはピーナッツが入っていて、食感のアクセントになる。
これが気に入ったおかでん、店員さんに「この唐辛子、お持ち帰りにしたいんですけど」とお願い。料理のメインのはずのエビは既に食べられており、お皿には「添え物」的な唐辛子があるだけ。それを持ち帰らせろ、と言うのだから変な客だっただろう。店員さん、少し不思議な顔をしたけど、了承してくれた。本格的な中国料理店の場合、お持ち帰り(打包)が当たり前のようにできるので、うれしい。日本でももっと「お持ち帰り文化」が根付くといいのだけど・・・保健所が絶対許さないだろうな。
シメで注文した料理。
マーラーメン、800円。
こちらは高菜炒飯800円。
さすがのわれわれでも、ずっと赤い料理とばかり対峙していたのでは疲れる。この高菜炒飯の「赤くない」様相はほっとさせてくれた。
そんなわけで、2時間半に及ぶスパイシーナイツ、今回も無事終了。「この料理は駄目だ!辛くて食えねえ!」という脱落者が一人もでなかったので良かった。
さて次回のスパイシーナイツだが、今までずっと見て見ぬ振りをしてきた「インド料理」にそろそろ着手しなければなるまい。どこのお店にしようか?悩ましいところだ。インド料理を標榜するお店って東京界隈にはすごくたくさんあるからなあ・・・。まあ、しばらく考えてみます。
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