海老が串刺しにされて焼かれている。
海老は、面倒がってそのまま焼くと固く丸まってしまい、殻をはずす際にやっかいだ。腹のところから手で裂くわけだが、その腹に手が届きにくいからだ。冷めていれば問題ないのだが、そこは焼きたて。「あちっ!」と絶叫するはめになる。
バーベキューは、がさつにやっても成立する食べ方だ。でも、こうやってひと手間かけるとはるかに美味しくなる。
さて、台湾で海老を串焼きにするバーベキュー文化があるのかどうかは、僕は知らない。ただし、夜市や街角に金魚すくいならぬ海老釣り屋台があることをみると、台湾人は海老を身近に愛しているのだろう。そういう文化に敬意を示し、海老にかぶりつく。
とうもろこし、さつまいも、かぼちゃ、エリンギ、魚の練り物などが焼かれている。魚の練り物を除けば、日本でもおなじみの食材。
そりゃそうか、台湾人だって日本人と同じ人間だ、見慣れないものばっかり焼くというわけではあるまい。
そういえば本場アメリカのバーベキューって何を焼くのか、その実態は知っているようで全然知らない。
家庭ごとにオリジナルなバーベキューソースを塗ったスペアリブをしこたま食べているイメージはあるけど、それ以外は何を食べているんだ?野菜は?
バーベキューに見る各国の食卓事情、というのを調べてみると面白そうだ。
さつま揚げのような魚の練り物。名称不明。
うん、うまいですよ。うまいんだけど、「バーベキュー」といえば洋風な食べ物、という先入観がこびりついているので、何か違和感を感じる。「彼女の誕生日にはフレンチレストランでディナー」みたいな、古い考えなのかもしれないけど。
発想の転換をすれば、もっともっとバーベキューって幅が広がると思うんだ。
焼きあがった肉が盛られた皿がキュート。
ああこういう皿、台湾で見かけたな、という色、形、材質。日本では、こんな色の紙皿はない。日本人の美的センスだと、料理が映えないからだ。
でも、「台湾のバーベキュー」と銘打たれて開催される今回、こういうお皿はむしろ料理が引き立つ。うまそうに見えてくるから不思議だ。
怪しい色をしたお皿に占拠されたテーブルの上。
この写真だけ見たら、日本で行われている光景には見えない。やはり、東南アジアっぽさを感じる。
料理が一通り全員の胃袋にいきわたったころ、パイナップルが焼かれ始めた。
焼きパイナップルといえばシュラスコ料理の定番。逆にシュラスコ料理店以外ではあまりお目にかからないメニューではある。しかし忘れてはいけない、台湾も実はパイナップルの産地だということを。ほら、台湾土産の定番って「パイナップルケーキ」でしょ。
そんなわけで焼きパイナップルを食べたが、熱によって甘みが濃縮・増強された感じがしてとても美味しかった。バーベキューの新定番にしてもいいと思った。
おなか一杯になった。
会を仕切ってくれたひとには本当に感謝だ。普通にバーベキューをやるのと比べ、はるかにいろいろ手間がかかっているからだ。
今回は客としてお世話になりっぱなしだったけど、おかげさまでとても良い経験ができた。
(2013.09.23)
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