生ハム三昧な日々。

「品川駅に、生ハム食べ放題のモーニングビュッフェ店がある」

この話がネットに流れ、話題を集めたのは2014年に入った頃だろうか。ビュッフェなんて今更全然珍しくないのだが、「高級食材の!生ハムが!」というところで注目を集め、しかもその料金がわずか600円だということでネットの話題をかっさらった。

しかしいくら600円とはいえ、生ハムを愛してやまない人というのは日本人ではさほど多くはない。普通なら「ふーん、都心にもそういうお得な店もあるんだねえ」で終わってしまう話だ。それが、お店を紹介する記事やつぶやきが繰り返しリツイートされ、フォローされまくったのは、そのお店に大量の行列が発生したからだ。「600円で生ハム食べ放題すごい」という話題よりも、もっぱら「そんなお店に朝から長蛇の列が!」という方が話題になったからだった。

人間面白いもので、「長い列」という話を聞くと急に興味を持ってしまうものだ。もちろん、誰だって行列はいやだ。でも、「600円生ハム食べ放題モーニングビュッフェ」という情報よりも、「600円生ハム食べ放題モーニングビュッフェに開店前から100人規模の行列が」という情報の方がインパクトが大きい。この情報に接した人たちは、「生ハム食べたいけど、行列はちょっとね」と言いつつ、でも気にはなりつつ、この情報を受け流していた。

そう、このお店は本当に100人行列ができるのだった。朝にもかかわらず、だ。この生ハムを出すお店の営業開始は朝8時なのだが、6時過ぎには列が出来始めるのだという。狭い店内なので、一度に入れるお客さんの数は20人に満たない。30分で一回転すると考えると、この100人が捌けるまで2時間半かかることになる。11時にはモーニング時間は終わりとなることを踏まえると、開店の8時には並んでいないとやばい、ということになる。それでも食べ終わるのはお昼近くなのだから、一体何をしにいってるんだかわからない話だ。

・・・という計算を含めて、このお店は話題になったのだった。

※実際は、行列が80人程度に達した時点で受付を終了する運用になっているらしい。お店に要確認のこと。

こんな格安のモーニングビュッフェをやっているのは、「バルマルシェ・コダマ」というお店だ。もともとハムやソーセージを輸入販売しているお店で、その一角にイートインスペースがある。ここが(朝だけ)話題沸騰の場所、ということになる。キャパが少ないのは成り立ちからして当然だ。
僕もこのお店に惹かれ、友達と「行列覚悟で行ってみるか?」と話をしていた。しかし、平日朝、とっととモーニングビュッフェを済ませてから会社に行くというのは相当ハードルが高い。行列の最前列、つまり開店と同時に入店できなければ遅刻のリスクがある。相当にこれは厳しい。

そこで代案として出てきたのが、「バルマルシェ・コダマ」の系列店であるレストラン、「plates(プレーツ)」というお店だった。目黒をはじめ、都内に何店舗かあるのだが、そのうちの一部店舗ではランチタイムにビュッフェがあり、そこでも生ハムが食べ放題なのだという。もちろんランチビュッフェなのでモーニングビュッフェと比べて値段は高くなってしまうのだが、それでも早朝の100人行列を回避できると思えば安いものだ。

友達と綿密に相談し、週末にこの「プレーツ」に行ってみることに決めた。「バルマルシェ・コダマは諦めたけど、折角だから生ハムは食べたい」という人は僕らのほかにもゴロゴロいるはずだ。そういう人たちがこの「プレーツ」に殺到することが予想されたので、訪問は開店と同時、午前11時ということにした。しかもお店はいくつかある中でもアークヒルズ(赤坂)を選んだ。ここなら周辺はオフィス街なので、週末午前の人の数が少ないのではないかと踏んだからだ。ランチビュッフェで値段が上がる分、行列を作るのはご免だ。そこまで生ハム食べたくて仕方がないってわけでもないし。

銀世界のカラヤン広場

生ハム食べまくりの日は、都内は一面の白銀世界となった。白銀世界といえば聞こえがいいが、雪にめっぽう弱い都心においては、電車バス車飛行機全てが麻痺し、大変な事態になっていた。

しかし我々は、「むしろ雪の日の方が客足は鈍るはずだ。荒天をむしろ幸運と捉え、突撃するぞ」と作戦決行を決断した。とっとと食べて、とっとと家帰って勝ち逃げしようぜ、というわけだ。実際、15時過ぎにはあちこちのJRが雪のため運転休止となり、本当ににっちもさっちもいかない状態になっていた。まさに勝ち逃げ大成功。

「生ハムへの熱い情熱は雪をも溶かすのだ」とかいいながら、午前11時アークヒルズに到着。思ったとおり、ガラガラだった。カラヤン広場は雪景色。

プレーツ外観

プレーツ。既に到着していた友達二人は、開店直前のお店の中に入らせてもらい、暖をとっていた。ほかに客はおらず、我々の作戦は大成功すぎる大成功となった。

「やりすぎたか?」とも思ったが、ものの1時間もしないうちに店内は満席、待ち行列もできる状況になっていた。まんまとうまくいった。

ちなみに気候が良くなれば、店の外にテラス席が結構な数、設けられる。そうなるとお店のキャパはとても拡大するので、冬と夏とで状況が異なるということは覚えておいたほうがいい。

一応冬でもテラス席はあるのだけど

いや、冬でもテラス席でよければ、どうぞ。一応ストーブもついてます。

とはいえ、こんな天気で利用する人はいないよな。外は氷点下だぜ・・・。身体は我慢できても、料理が一瞬で冷えてしまって味わうどころじゃない。

確か、テラス席だと少しお値段が安くなったはず。でも、罰ゲームじゃないんだからその選択肢はないな。

ランチビュッフェのメニュー

このお店のランチビュッフェはちょっと面白い。メインディッシュは3種類の中から1つ、選ぶことになる。そして、あとはビュッフェ形式でご自由にどうぞ、という仕組みだ。

メインディッシュは、「本日のパスタ」「本日のピザ」「ロティサリーチキン」から選ぶことができる。我々はちょうど3名での来店だったので、3種類とも選ぶことができて好都合だった。

本日のパスタは「筍と水菜のアンチョビ風味」「チキンと大葉のトマトソースタリオリーニ」「ツナとバジルのクリームペンネ」、本日のピザは「マルゲリータ」「オリーブとケッパー、アンチョビトマトソース」「チキンとオニオンのカレーソース」のそれぞれ3種類ずつ。かなり本格的だ。ビュッフェの合間に食べさせる、というものではない。どうやらこのお店は、あくまでもメインがメインで(謎日本語)、ビュッフェはおまけ的な位置づけになるらしい。生ハム食べ放題なのに。謙虚というかなんというか。

生ハム食べ放題、というのがネットで話題になる前から、このお店では生ハム食べ放題をやっていた。だから、ここ最近の騒動はお店からすると「何を今更」という感じではあるのだろう。この数ヶ月で急に生ハムばっかりわっさーとむしりとっていくお客さんが増えたはずで、お店としては嬉しいやら困惑するやら、といったところだと思う。

ビュッフェカウンター

全員が揃ったところで、お店に注文する。11時きっちりに食事開始。他に客はまだ誰もいない。そりゃそうだ、これだけ外は雪が降っているんだ、ここにたどり着けない人だって多いはずだ。

一品料理と、お酒を飲む人はお酒を頼んだあと、各自ワクテカしながらビュッフェ料理が並ぶカウンターに向かう。

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