激辛コロシアム全品食べ比べ

激辛コロシアム

「ふるさと祭り東京」というイベントが東京ドームで開催されている。

9日間の会期で、あの広い東京ドームを埋め尽くす規模で全国各地の名産品が屋台を連ね、PRに余念がない。毎年行われているイベントなのだが、東京ドームを訪れるたびに驚きあきれる規模と、人出だ。

入場料は1,600円。このお金を払ったからといって、「お食事券1,000円分含む」なんてことはない。ただ単に、会場に入るだけでこのお値段だ。それでも東京ドームのグラウンドがぎゅうぎゅうになるくらい集客できるんだから、ものすごい。

ここで、普段は食べる機会が少ない地方の名産を食べまくるというのは毎年のお楽しみだ。いくら胃袋があっても足りないし、家に持ち帰ることを考えると、いくら財布があっても足りない。過去、ここで湯葉やらいぶりがっこやら、さまざまなものを買って帰ったものだ。クラフトビールの取り扱いも多く、もし僕が酒飲みだったら、全国のビールを飲み比べながら美味に舌鼓を連打していたに違いない。

そんなイベントだが、今年は新機軸として「激辛コロシアム」なる企画を立ち上げていた。広い東京ドームの一角に、激辛料理を扱う屋台を集めて覇を競っているのだという。最近、激辛ライフから疎遠気味なのでいまさら・・・と思ったが、この激辛コロシアムに出展している屋台は5店舗なのだという。なんという絶妙な規模感。

「これだったら、全品制覇できますね」

傍らで、カツがしれっとよからぬことを言う。

「えっ、全品制覇?せっかくふるさと祭り東京に行くのに、激辛だけ?」
「でも、その気になればいけそうです」
「まあ、そうなんだけどねえ」

激辛料理だなんて、ふるさともへったくれもない気がするけど、確かにそのとおりだ。さて、どうしたものか。

並ぶ激辛

「さてどうしたものか」なんて考えた時点で結論は出たようなものだった。本人に自覚はないけど。

いざ会場内で激辛コロシアムを目の当たりにしてしまうと、「えーと、一度に全部の料理は運べないから、最初はどれを注文しようか」とめっさポジティブにこれからのことを考えていた。

というわけで激辛コロシアム。横一列に、5店舗が軒を連ねている。

激辛といえば、毎年夏の終わりに開催されている「激辛グルメ祭り」に毎年お世話になっている。2013年の第一回から通うこと10回以上。辛いものを語る上でこのイベントははずせない。

激辛グルメ祭り2014
昨年、東京界隈の激辛好きを歓喜させたイベント「激辛グルメ祭り」。今年ももちろん開催して欲しかったが、開催決定の報告は夏になっても見かけず...

※そういえば、2016年に訪問した際のレポートをまだ掲載していなかった。忘れずに書かなくては。

ここは、本当にイベント全体が「激辛一色」。激辛目当てで人が集まっている分、お店側も容赦なく辛さを強めている。一方、この「激辛コロシアム」は、激辛に対して物見遊山的なスタンスな人も多数訪れる。きっと辛さについては手加減をしているのではないか・・・そんな予感がする。まあ、こんなの涼しい顔をして一ひねりですよモウ。

カーン。

頭の中で、何かゴングが鳴った気がした。

激辛屋台1

【激辛屋台その1】
登別閻魔やきそば

北海道の温泉地として名高い「登別」のご当地焼きそばらしい。もともとはピリ辛の焼きそばなのだが、今回のイベントにあわせて「激辛」も用意して辛さを選べるようになっている。

激辛屋台2

【激辛屋台その2】
やわらか鶏肉と野菜のハバネロスープカレー

札幌に本店がある「カレー食堂 心」が提供するスープカレー。1,200円とお高いが、スープカレーというのはそういう食べ物なのでこれは仕方がない。

ハバネロを使っているという時点で、「手加減」ではないことがわかる。ハバネロさんを投入すると、たとえそれが少量であってもかなりなモンに仕上がる。たぶんガチだ。さあて、どうしようかな。

激辛屋台3

【激辛屋台その3】
激辛さんたからあげ

「サンタから揚げ」ってなんだ?と不思議な名前。クリスマスで、七面鳥でもなければケンタッキーフライドチキンでもない場合に唐揚げを食べよう!ということなんだろうか。

なんでも、栃木県大田原市は、「栃木三鷹(とちぎさんたか)」という品種の唐辛子の産地なんだそうで。そのさんたかという唐辛子を使った唐揚げなので、「さんたからあげ」なんだって。へー。

衣に唐辛子を練りこんだ唐揚げが、果たして辛いのかどうなのか。

ハラペーニョトッピング自由

激辛さんたからあげは、見た目特にヤバさはない。茶色ではなく赤黒い唐揚げだったら身構えるけど、外観はいたって普通。しかし、激辛ハラペーニョの酢漬けが自由トッピングになっていて、唐揚げが入ったカップに盛り放題だった。こんなトッピング、初めてみたぞ。

激辛屋台4

【激辛屋台その4】
大辛わさび丸ごと根っ辛うどん

奥多摩町のわさびを使ったうどん。根をすりおろし、葉と茎は刻んでトッピングにしているので「丸ごと」を謳っている。これは、唐辛子系の辛さとは違う辛さだ。

激辛屋台5

【激辛屋台その5】
激辛ハバネロアイス

ここにもハバネロを躊躇なく投入する屋台が。アイスという甘いものにハバネロをかけるという凸凹な組み合わせ。果たして甘さが勝つのか、それとも辛さが勝つのか。・・・でも、ハバネロだもんなぁ。きっと辛さが勝つんだと思う。

写真を見るとアイスの上にココアパウダーがかかっているかのように見えるけど、こいつがハバネロの粉末なのだと思うと結構ぞっとする。

激辛料理一式

激辛料理一式取り揃えてみた。

帰り間際にハバネロアイスを食べようと思っているので、とりあえずここには4品。

激辛さんたからあげ

まずは、楽勝っぽい外観の「激辛さんたからあげ」から食べてみる。

・・・うん、ちょっとぴりっとくる感じはするけど、大して辛くはない。これが激辛を名乗るのであれば、ずいぶん手加減したものだ。

僕の舌が麻痺しているのかと思って同行していた仲間5名に食べてもらったけど、全員涼しい顔をして食べていた。激辛ではなかったらしい。

ただし、唐揚げそのものはおいしい。お口直しでハラペーニョを食べると、すっきりしてなおよし。

大辛わさび丸ごと根っ辛うどん

大辛わさび丸ごと根っ辛うどん。

これは僕が買ったのではなく、同行していたカツが購入したもの。「辛さが選べますが」と店員さんに声をかけられ、「普通で」と頼んでいた。あっ、せっかくだから「できるだけ辛くしてください!」と言えばいいのに。

「いやですよ、私が食べられなくなったらどうするんですか」

大丈夫、残りは僕が食べる。あ、でもそうするとカツのお昼ごはんがなくなってしまうのか。あわよくばご相伴に預かろうという立場の人間が、「激辛!激辛!」と横でおあるなんてなんたる無責任。

というわけで、写真のうどんは激辛チューニングされていない、ノーマルうどん。とはいえ、わさびが載っているので辛さはそこそこあるはず。山菜のように見えるのは、わさびの茎だし。

しかし、鼻に抜けるような辛さはなく、わさびのみずみずしい香りを鼻に感じつつおいしく食べることができた。まあ、ノーマルを選んでいるから当然っちゃあ当然。

登別閻魔焼きそば

登別閻魔やきそば。

北海道産の小麦で打った麺、うずらの玉子、そしてほたてが入っているという特徴。このお店も辛さが選べるので、僕は言ってやったね、「一番辛いヤツで!」と。一番もなにも、そんなに選択肢はないのだけど。そうしたら店員さん、うれしそうな顔をしてたぜ。やっぱ辛いものを愛する人たちは仲間だよな!

限定激辛バージョンなのだというけど、これも激辛と呼ぶにはちょっと力不足。おーい、どうなってるんだ激辛コロシアム。振り切った辛さを提供するには及び腰だったか。

あ、違うか、「辛いものかかってこい」と鼻息が荒い僕の方が特殊なのか。

登別閻魔焼きそば提供店マップ

登別閻魔やきそばの全店舗紹介パンフレットを貰った。気合入ってるなあ。

「旨っ!!」と閻魔様が叫んでいるのはそのとおりだと思うので、次はもっと辛くしてください。

あ、そうか、地獄に堕ちるか天国に行くかの判断をする閻魔様なので、「辛いもの(=地獄)料理」を振舞う立場ではないのかもしれない。僕が「大して辛くない」と思ったのは、閻魔様が「お前は天国に行くべき人間だ。地獄になんか堕ちなくていいぞ」と思ったに違いない。きっとそうだ。

柔らか鶏肉と野菜のハバネロスープカレー

やわらか鶏肉と野菜のハバネロスープカレー。

店員さんに「辛いの!」と注文すると、心底うれしそうな顔をする。「昨日、報道陣を3人泣かしましたよ」としてやったりの発言。ああ、コイツら心底サドだ、と思った。

ご飯が入った容器と、スープカレーが入った容器の2つを受け取り、早速食べてみる。表面に唐辛子の粉末がかかっているあたりが、ますます凶悪だ。水面に鼻を近づけると、明確なハバネロ臭がする。ああ、火薬庫だ。火種がくすぶってやがるぜ。

悶絶

で、これ。

そりゃそうなるわ。

かっらー。

ほろほろに煮とけた、具のチキンレッグをほぐしつつ食べると辛さは和らぐ。とはいえ、ハバネロスープが容赦なくピタピタと口の中を刺激する。ああ、辛いなあ、辛いけどうまいなあ、と言いながらひたすらばくばく食べ続けた。

一口スプーンで食べただけで、どっと汗がでる。なぜ辛いものをたべたら、頭のてっぺんと鼻のてっぺんから汗が吹き出るのだろう?

激辛ハバネロアイス

4種類の激辛料理を食べたのち、広い東京ドーム内をひととおり見て回る。途中、馬肉ソーセージを食べたり、いろいろ食べ歩きしながら。

最後、デザートでお口の中をさっぱりさせないとね。で、激辛ハバネロアイス。

さっぱりするのか?本当に。

激辛ハバネロアイス実物

この上に載っている茶色い粉、さすがに全部が全部ハバネロというわけじゃないよな?一応、ココアパウダーも混じっているよな?

鼻を近づけてみる。

くしゃみが出そうになる。ああ、ハバネロ臭い。

この激辛ハバネロアイス、「京都向日市激辛商店街」からの出品となっている。この地は激辛好きの人には有名で、その名のとおり、激辛料理で町おこしをしている。商店街といっても、通り一本だけの話ではなく、地域全体を指しているようだ。中には「イオンの中に入っている飲食店27店舗」なんてのも加盟店になっているようだ。

そんな組織なので、そりゃあ激辛はガチでくるに決まってる。手加減をしたら、ほかの激辛店舗に見劣りしてしまうからだ。で、その結果がアイスクリームにハバネロか。容赦ないなあ。

今回のイベントでは、特別に「ギャー油」なる油を上からかけてあるそうだ。確かに、ラー油っぽいものが上にかかっている。

激辛ハバネロアイスを食べる

冷たい食べ物というのは、味覚が鈍るものだ。アイスクリームは思いっきり甘くしないと甘さを感じないので、辛いものだってそうなのだろう。果たして冷えたアイスクリームにハバネロ、というのはどうなのか。

むせる

ギャー

辛かった。当たり前だ。

いや、頭をかかえるような辛さとは違うのだけど、辛い。アイスクリームで辛さを中和しながら、さらにその上に覆いかぶさってくる辛さ。甘さ10に対して辛さ20で、差し引き辛さ+10、といった感じ。

咳き込む

辛さもさることながら、むせるのには参った。

粉末のハバネロがアイスクリームにかかっているので、アイスクリームのスプーンをねぶったらその直後に咳き込んでしまう。ケホケホ。上っ面の、軽薄な咳が止まらない。こりゃあ変な食べ物だ。面白い。ただし、旨いか?といわれるとさすがにそれは微妙。

この写真を撮影していたカツが大喜びしている。

「撮るよーって言って撮る写真にはない、リアルさがここにあります!」

だって。そりゃまあそうだけど。でも、一緒に同行した仲間たちがぜんぜん僕の方を見ていない、という構図になっている。

「それもまた、やらせっぽくなくてリアルじゃないですか」

激辛というのは、静かに一人悶絶するもの也。バラエティ番組のように「からーい」などとキャアキャア騒ぐものじゃない。そんなことを思い知らせてくれる、一枚の写真。

激辛コロシアム、小粒ながらなかなか楽しめた。辛さという点では物足りない料理もあったが、食べ歩きが楽しい「ふるさと祭り東京」なんだから、これくらいライトな方がいいのかもしれない。本当に激辛だったら、食欲がストーンと落ちてしまい、他店に対する営業妨害だ。

来年もまた「ふるさと祭り東京」には顔を出したい。

(2017.01.07)