ロシア風ハンバーグのアップ。
メニューによると、「コクのあるブラウンソース」なのだそうだ。
これ、単品で頼むと950円。それなりに良きお値段となる一品だけど、ガンガン頼んじゃってどんどん食べちゃうことができるのが食べ放題の素晴らしさであり、恐ろしさでもある。
残さず食べているので「食べ物を粗末にしている」わけではないけれど、料理に対する扱いという点では粗末にしていると思う。もっと敬意を持ちつつ一口ずつ食べていっても良いのだけれど。
これらハンバーグは、「フライドエッグ」または「チーズ」をトッピングすることができる。でもさすがに僕らは、それをやらなかった。さすがに躊躇したからだ。
テーブル上に並ぶ料理たち。
一人一皿なんてもんじゃない。どんどん食べないと、お皿の置き場所に困ってしまう。食べ終わったお皿を一時退避させる場所も必要だし、一人ひとりの取皿のスペースも必要だ。
食べ放題において、食べきれずに残すというのは最大のみっともない行為だ。でもその次のランクとして、「欲張って頼みすぎて、テーブルの上に料理が乗らなくなる」というのもやめておきたい。いい年した大人なんだし。
これは「エビとアボカトのチーズ焼き」。
380円の、おつまみ単品メニュー全30種類のうちの1つだ。
値段と、「おつまみ単品」という名前から油断していたが、侮れない量とクオリティ。一同、地響きのような唸り声をあげる。
だって、居酒屋で、座っただけで出てくるお通しが300円とか400円するご時世で、これが380円なんだから。
こちらも「おつまみ単品」から、「エビとニンニクの芽のソテー」。
はっはっは、駄目だろこれを380円で提供しちゃ。お得すぎて、「にっこり笑顔」どころか「苦笑」になってしまう。
お酒を飲んでもらって、お酒のほうで利益を出そうということなんだろう。とはいえ、単品でも注文できるわけで、これは安すぎる。お酒が飲めない人でも、このお店ならいろいろな料理を楽しむことができる。恐るべし。
なお、我々は「さすがにおつまみ30種類制覇は無理だろう」ということで、最初っからその点は気にしていない。これが「10種類」とかだったら、「10種類か・・・じゃあ、一人2品ずつ食べる計算、だな?」などと謎の皮算用が始まり、全種類オーダーという展開になっていただろう。
「ハンバーグのページは全部食べ終わった。じゃあ次はステーキ&ソテーのページを全部」
と勝手に僕が言い出し、頼んだ料理が届き始めた。
ポークジンジャー。1,180円。
「あっ、2枚重ねだ!」
「えっ」
一同騒然とする。
冗談で、「つけあわせの量が増えてきたんじゃないか?」などと言っていた我々だけど、お店だってメンツがある。「ふざけんな、メイン料理も増やしてやるぜ」とばかりに、分厚い豚肉が2枚。しかも面積が広い。
「これは腹にズドンと溜まるなあ」
なかなかにパンチのある一皿となった。
メニューを良く読むと、「270グラム」と誇らしげに書いてあった。なるほど、もともとボリュームが多かったんだ。
こちらはチキンソテー。
濃い味つけの料理が続く。だんだんみんな口数が減ってきた。そして動きが若干緩慢になってきた。飲み物のオーダーだけは盛ん。なにせ、塩分を多くとっているので喉が渇く。
オニオンステーキ。
輪切りの玉ねぎがステーキになっている、というわけではなく、れっきとしたビーフステーキ200グラムだ。その上に、どっさりとオニオンフライが乗っている。これはうまい。
肉もいいんだけど、ここまでくると「食感の違いを楽しんで、気を紛らわせたい」という気分になってきていて、オニオンフライのサクサク感が愛しい。
さて、これで「ステーキ&ソテー」のメニューで頼めるものは全部頼んだ。
「ミックスピザ」とか「お子様ランチ」などのメニューが紹介されている「アラカルト」のページは飛ばして・・・
次の、「フライ&シチュー」か。
ここを食べきると、あとは「フレッシュサラダ」「スープ」「おつまみセット」のジャンルに続く。さすがにこれらを頼むときりがない。よし、今日は「フライ&シチュー」を全部頼んで、それで終わりにしよう。
「ええ、マジっすか。今この状況で?」
「だって、すでにカキフライとエビフライ、ビーフカツレツを頼んでるんだし、あと3品だよ?家に帰ったとき、家族になんて言う?『僕、フライのページも全部食べたよ!』って言えるか言えないかで、今日スッキリ終われるかどうかが決まると思うんだ」
そんなわけで、頼んじゃった。
「頼んじゃった」まではよかったのだけど、いざ実物が来て一同、びびった。デカいぞ、これ。
さすがに単品1,000円超えのメニューだけある。
とはいえ、だとしてもデカい。一つの料理、ひとり一切れか二切れ程度だとはいえ、その一切れの大きなこと大きなこと。
お腹を空かせている状態で、このお皿が目の前に出てきたら「やった!食べるぞ!」と興奮したと思う。でも今や、みんな「ええ・・・?」と呻く状況に。
しかも最後の最後まで、つけあわせ天国だもの。
なんか申し訳なくなって、積極的に僕はつけあわせを食べたけど、むしろ皆さんにおいては「カツを食べるよりもつけあわせのほうが胃に優しいかも?」とさえ思っていたかもしれない。
150分の飲み食べ放題、ということで時間にゆとりがあったから良かったけど、最後のカツ3連発は完全に我々を沈黙させ、手を止めさせてしまった。久しぶりだ、こんなにお腹がはちきれそうなのは。
「苦しい」
とみんながあえぐ。一人ひとり、交代交代でトイレに行きはじめた。なにせ水分をたくさん摂っているし、胃が重たくなって内臓が下に押されている。たいへんだ。
デザートを食べてひといきつく一同。
それにしても食べた。マジで食べた。帰り道はみんな足取りが重く、よたよたしながらとなったが、それでも「肉体を追い込んだぞ!」という満足感は強く感じたんじゃなかろうか。筋トレと一緒。
ネットをはじめ、バーチャル空間での日常が生活の中で随分増えてきた昨今。こういうリアルで「苦しい」とか「うまい」とか「楽しい」というのは、貴重な体験だ。ご時世柄、なかなか人と人とのコミュニケーションは難しくなってきているけれど、安全確保に気をつけながらなんとか開催していきたい。
(この項おわり)
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