コーヒーロースターをガスコンロにセットしてみる。
なにかDIY感の強いビジュアル。
ちゃんとした市販品なのになぜそう感じるのだろう?と思って考えてみたら、世の中一般に売られているものでここまでステンレスむき出しの外装というのは少ないからだ。大抵、樹脂で覆われていたり、もう少し塗装が施されている。
この商品はひたすら、シルバー。むしろ、潔くて清々しい。
ロースターのスイッチをオンにすると、シリンダーが回転しはじめた。
この機械は、ただそれだけのものだ。笑っちゃうしかない。シンプルだ。モーターと、それによって回る筒。以上。
自作する気があれば、似たものは作れる人もいるだろう。ただし僕は無理だ。お金を払って解決だ。
熱源はガスなので、「使い込んでいくうちに加熱しなくなってきた」というトラブルは無縁だ。
ガスを点火してしばらくすると、シリンダーの中が曇ってきた。わずかに空気中に含まれていた水分が気化したのだろう。
穴に差し込まれた温度計。固定されていないので、シリンダーの回転とともに不安定にグラグラし、カチャカチャと不愉快な音を立てる。たぶん、取り付け方を間違っていると思う。でもよくわからないので、今回はそのままでいく。
この温度計が差し込まれている穴は、豆を投入する場所であり、焙煎が終わったら排出する場所であり、そして排煙のための煙突でもある。
さすがガスだ、見た目でしかわからないけれど、とりあえず迫力ある火力で、これならいい焙煎ができそうな予感。
ただし、石英ガラス越しに、シリンダー内の生豆にどの程度効率的にカロリーが与えられるのか、未知数だ。
あれっ。
火力が落ちた。
ああ・・・そうか、当たり前だけど、このガスコンロもSIセンサーが付いているのか。今のガスコンロはすべて過熱防止用のSIセンサーが搭載されている。そのせいで、空焚きのような使い方ができない。
これはいい迷惑で、たとえばスモークチップを使った燻製をやろうとしても、火力が落ちてうまくいかなかったりする。
ネットで探せば、SIセンサーをブロックするグッズが売られていたりもする。
これは力技で、センサーの上に水が溜まった容器を乗せ、センサーに熱を感じさせないようにするというものだ。
さすがにここまでしてセンサーハックをしようとは思わないので、今回はパス。
火力については今回諦めて、後日対策を打つことにする。ひとまず怪しい火力なりに焙煎をやってみよう。
豆は、「ワイルド珈琲」の「エルサルバドルSHGビクトリア農園」。
珈琲豆の入手は、いろいろ手広くやってみた。毎日飲むものなので、高い豆に手を出したくはない。とはいえ、嗜好品なので、美味しくない豆はイヤだ。
そもそも生豆を通販で売っているお店というのがあまり多くない。通販があっても、業者向けだったりする。1袋30kgとか。
そんな生豆屋さんを、いくつも渡り歩いている。「これだ!」という豆を探して。しかしこれが難しい。
たとえば写真の「ワイルド珈琲」は、質はいいと思う。でも、1キロあたり2,000円オーバーの豆が多く、もう少しお安い豆を採用したいところだ。(キロ2,000円でも十分、自家焙煎屋で焙煎済珈琲豆を買うより安いのだけれど)
かといって、キロ1,000円以下で豆を売っているお店を発見して、「これはいい!」と喜んで飛びついてみたら、安いかわりに欠点豆やゴミがそれなりに含まれているクオリティだったりする。がさつな僕でさえ、焙煎前にはちゃんと豆選りをやらないと・・・と思えるレベル。髪の毛とか糸くず、細かいゴミが結構みつかる。
じゃあその激安豆を買ったお店はダメなのかというと、それは単に安い豆を買ったからに過ぎず、別の「お値段それなりの豆」だったら問題なかったりする。
松屋、World Beans Shop、ワイルド珈琲、生豆本舗、生豆ダイレクト、あとはどこだっけなあ、あれこれ試している。
シリンダーを200度くらいまで予熱させたのち、豆を流し込む。
温度計をはずし、口にろうとをかませて豆をどばー。一気に注ぎ込めるので、楽だ。
そして焙煎開始。
あーあーあー、温度計が空焚きのとき以上にブンブン振り回されている。これ、ちゃんと温度が測れているのか?
豆を入れた直後は火力が全力になったけど、しばらくするとSIセンサーのせいでまた火力が落ちた。いや、早いって。もっと力強く加熱してくれよ。
これじゃ、廃棄処分となった電気焙煎機と同じか、それ以下だ。
豆を投入した時点で、一旦温度計は100度くらいまで温度が下がる。そこから、再度上昇に転じるのだけど・・・ちょっと遅い。
というか、カタカタと温度計が揺れるので、車酔いのような気分になりそうだ。
(つづく)
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