自宅で珈琲焙煎(ガスコンロ+電動メカ編)

焙煎が進むと、豆の色がだんだん変化していく。

このロースターは大きな石英ガラス製なので、中がしっかり見えて楽しい。パンチ穴が無数に開いているステンレス製のロースターが多いけれど、それだと中身が見えないのでやりにくいはずだ。

チャフと呼ばれる薄皮が剥がれてきたのが見える。

「1分間に10度前後」温度が上がるように、という目標で温度計とにらめっこ。

しかし、火力が落ちてしまうのは困ったものだ。いまいましいSIセンサーめ。

せっかくこっちが温度計を見ながら絶妙な火加減にしようとしているのに。

対策を打たねば、ということで、スプーンに水を入れ、SIセンサーめがけて水をかけてみた。

・・・失敗。SIセンサーにびしゃーっと水がかかって、その瞬間ボッ!と火力が上がる、という絵を頭に思い描いていたけれど、センサーのはるか手前を濡らすことしかできなかった。ダメだこの作戦。

諦めて今回はとろ火で焙煎。

しかし豆はそれなりに色が変わってきた。

ああいかん!急に温度があがりはじめ、あっという間に230度オーバーになってしまった。これだと温度が高すぎる。

豆に含まれている水分が抜けると、一気にシリンダー内の温度が上がるらしい。これまでGeneCafeだと、このあたりの温度コントロールは全自動で行われてきた。しかし今度からは自分ですべて火力調整をしなければならない。手間は増えるけど、楽しみでもある。とはいえ、今回は明らかに油断していた。

なんか焙煎できたっぽいので、ここらで終わりにする。

珈琲の生豆を焙煎していくと、「ハゼ」と呼ばれる音がする。パチパチ、と焚き火が爆ぜる音と一緒だ。それが数分続き、収まるまでが通称「1ハゼ」。そこから2分程度無音になり、今度は「ピチピチ」と水泡が弾けるような音がなり始める。これが「2ハゼ」。珈琲豆の焙煎は、だいたいこの1ハゼから2ハゼの間のどこかで、煎り止めすることになる。止めるタイミングで、浅煎りか中煎りか深煎りか、風味がかわる。

今回?いやー、多分1ハゼは終ったと思うんだけど、2ハゼは始まったのかなあ、そうでないのかなあ。色で判断した。

初めて使う焙煎機だと、豆が出す音の見極めが難しい。GeneCafeのときもそうだったけど、シリンダーが電気で回転する際にガチャガチャと音を立ててやかましいからだ。その金属音と豆の爆ぜる音の聞き分けは、少し慣れが必要だ。

焙煎が終った珈琲豆を、今回お買い物の贅沢品・コーヒークーラーの上に乗せる。

この時点で珈琲豆からは、火事のような煙がもくもくと出ている状態だ。香ばしい、というより焦げ臭い、という匂いに近い。ドリップした時の珈琲の香味とは全然違う。

もちろん豆自体は200度を超えている熱さなので、素手で触るわけにはいかない。そんな状態でクーラーをスイッチオンすると・・・

おおおおおお!フォーン、というファンが回る音とともに、一気に豆が冷えていくぞ!

たかがファンじゃねーか、とバカにしていた自分が先程までいました。でも今はそれを強く否定できる。なぜならこいつ、このすごく豆を冷やしやがるゥゥゥ!

なにせ、1分もすれば豆が「冷たい」くらいに感じるほど、熱を奪う。へええ、ファンで吸気するだけで、こんなにものって冷えるのか。

これだったら、プラモとか塗装したものを乾かすのにも良さそうだ。すぐに乾きそうだ。

・・・と思ったけど、猛烈な空気の滞留で、ホコリが未乾燥のペイントに付着してしまうだろう。やめておいた方がいい。

素晴らしい排熱能力のコーヒークーラーに感心しっぱなしだったけど、一点問題もあった。360度全方位から、コーヒーの焦げ臭い匂いを撒き散らすからだ。しかもすごい勢いで。完全に油断していた僕は、おかげで部屋を焦げ臭くさせてしまった。

信頼のおける頼もしい富士通ゼネラルの脱臭機をあわててクーラー脇に持ってきたけど時すでに遅し。というか、クーラーから強烈に排気されるから、「クーラー脇に脱臭機」はほぼ無意味だったようだ。

焙煎が終ったコーヒーロースター。チャフがはみ出ているけど、これはネジをちゃんと締めて隙間ができないようにすれば減らすことができる。

急速冷却が終った珈琲豆。

うん、目立った焙煎ムラはないようだ。いい出来だ。

ありがたいことに、このコーヒークーラーを使うと豆に付着していたチャフを吸ってくれる。ザルの下に目の細かいメッシュが仕込んであって、そこに溜まるようになっている。

翌日。焙煎二回目。

温度計は、温度計受けとなるパーツを本体にネジで固定する、ということに気がついた。これで固定できた。

今回は、温度センサーが反応しないように、ゴトクを2段に積んでやってみた。遠火の強火、というやつだ。これでどうだ。

ダメだった。

空焚きをしている、と判断されたらしく、火力が落ちた。まったく意味がない。むしろ逆効果の、遠火の弱火だった。

ならば次の策。

昨日は「スプーンに水を入れ、センサーめがけて投げ入れる」ということをやろうとして失敗した。ならば今回は、お掃除用のブラシに水を含ませ、それで時折センサーをゴシゴシこする、ということをやってみることにした。

あまり悠長にやってると、樹脂製の柄が溶ける。さっとやらないと。

・・・ダメだった。その程度では、センサー温度を下げることができず、火力は復活せず。

そんな時、今更ながらコンロに火力調整用の隠し機能があることに気がついた。

びっくりだ、この家に住み始めてはや3年近く。今頃になってようやくその存在を知ったよ。

住み始めた頃は、「なんだよこの家のコンロは高温炒めモードがないのかよ」とぼやいていたんだけれど。

てっきり、点火用の乾電池が入っている場所だと思って何の気なしに開けてみたら、そこが操作パネルになっていたという。よし、この「高温炒め」ボタンでSIセンサーのリミッターが解除できるはず!

実際はSIセンサーはまだ残っていて、火が強くなったり弱くなったりは続いた。でも、前回よりも遥かに火力が強い。これで焙煎の条件は整った!

温度計とにらめっこしながら、微妙に火力をコントロールしていく。面倒さは電気焙煎より増えたけど、その分面白さも増えた。これからこれで、いろいろ焙煎をやっていきたい。

(この項おわり)

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