眼瞼下垂を手術で治す

3枚におよぶ手術前説明資料

手術の予約を入れる際、看護師さんから3枚に渡る眼瞼下垂手術の説明ペーパーを渡された。何か大ごとがこれから始まるぞ、と予感させる枚数に思わず身構える。

今がどうなっていてこれから何が行われるか、ということをきっちり説明したペーパーが用意されているというのはとてもありがたい。「インフォームドコンセント」という言葉が普及した今でも、先生が適当な紙の余白や裏に手書きでばばばっと症状を説明しつつ書き込み、なおかつその紙は診察後貰えない・・・ということがよくある。その場で覚えるなんてのは到底無理なので、「なるほど、そうですか。ではよろしくお願いします先生の仰るとおりに」とわかったふりをするしかなかったりする。その点、ちゃんとした紙を手渡され、手術までに読んでおくようにというスタイルは助かる。

このペーパーは、「眼瞼下垂症とは」という解説から文章をスタートさせている。曰く、

加齢やその他の原因によりまぶたが垂れ下がった状態をいいます。まぶたが下がり、よく見えないのでまぶたを開けるために『額にしわをよせる』などと、自分でも気づかないうちに常に交感神経を働かせているために『肩こり・頭痛・疲労・不眠などの原因になる』とも言われています。

とのことだ。なるほど、あてはまっているかもしれない。僕も、自分ではボンヤリしているのに、他人から「眉間にしわが寄っていてなにやら難しく考え込んでいる」と思われることがある。

眼瞼下垂手術には3種類ある、という解説もあった。いくつもある中で、自分が受けるのはコレだというのがはっきりわかるので安心だ。選択肢があるのかないのかわからない中で治療法が決まり、体にメスが入るというのはやっぱり怖い。

(1)皮膚切除術・・炭酸COレーザーで二重の線になる所から皮膚を切除・縫合(片眼約10分)。
(2)挙筋短縮術・・上記の皮膚切除に加え、瞼を持ち上げる筋肉を短く縫合する(片目約15分)。
(3)眉毛下皮膚切除・・眉毛下部から皮膚を切除・縫合する(片眼約25分)

つまり、「たるんだ皮膚を切除する」手術と一言でいっても、(1)のパターンと(3)のパターンがある。瞼の下を縮めるか、瞼の上(眉毛の下部分)を縮めるかという違いだ。僕の場合は、(1)だった。こちらの方が手術としては楽らしい。

いずれにせよ、部分麻酔のうえにCO2レーザーで切開をする。普通、顔面にちょっと傷が付くだけでも大出血となるが、このレーザーなら出血量は随分と抑えられるそうだ。そのため、一度に両目を手術できるというメリットがあるという。片眼ずつ手術で、もう片方は一ヶ月後・・・なんていうのは面倒臭いのでこの技術はありがたい。やるなら一度にやってもらいたいものだ。

手術予約と採血

同日、手術に向け血液検査を実施。あわせて、手術の予約。半月近く先の、5月27日に実施することになった。かなり先だな、という気がしたが、白内障・緑内障手術を希望する患者さんが溢れている病院で、手術に関する合同説明会なんてのを病院内で開催しているくらいなので仕方がないのだろう。

手術をやるとなったら、とっとと実施したかったけど、ここはのんびりと気長に待とう。細い目で世間をジロジロ見ていられる最後の半月だ。

診療情報提供書の確保

定期的に通院している病院がある、という話をしたら、その先生に「診療情報提供書」を書いてもらって欲しい、という依頼を受けた。出血を伴う手術なので、血液凝固を妨げるような薬を飲んでいたら支障が出るからだろう。「いや、そんな薬は飲んでないですヨ?」といくら僕が口頭で弁明しても信用してもらえない。餅は餅屋なので、主治医に「診療情報提供書」の作成を依頼してみた。

「えっ、手術するの?」

僕の主治医は明らかに驚き、まじまじと僕の顔を見た。

「眼瞼下垂・・・っていえるのかなあ、それ。まあ、プロが言うならそうなんだろうけどさ。大丈夫かな?そういう手術をやって、テンション上がったりしない?」
「いやー、既に上がっているからこういうことをやろう!と思い立ったのかもしれないです。でも、首の負担感が軽減されれば、随分楽になると思うんですよいろいろと」
「まあ、いいか」

先生は、若干「大丈夫かな?」という顔をしながら、診療情報提供書を書いて下さった。

フォーマットは眼科で用意されたもので、そこに主治医が手書きで書き加えていく形になっている。

質問事項は5つあり、

(1)手術の実施について
1.分からない 2.問題がないと思われる 3.問題があると思われる<理由>
(2)全身的問題点及び手術を行う上での留意点
(3)貴院でご処方の薬剤名
(4)当院で予定している術後薬の投与について
1.分からない 2.問題がないと思われる 3.問題があると思われる<理由>
(5)抗生物質の使用について
1.分からない 2.使用していない 3.使用している<薬剤名>

となっていた。

ちなみに僕の主治医は、「手術の実施について」という設問に対して「分からない」と回答していて、おいちょっと待て、と思った。まあ、判断しかねる、というのを素直に意見表明したのだろう。

手術承諾書の記名捺印

「手術承諾書」なるものにサインをして、手術当日に持参せよと言われていた。そうか、単なる治療とは違うのだな、というのを今更のように実感する。「万が一手術に失敗しても、文句は言いません」みたいな内容だろうか?

承諾書には、

今回手術を受けるにあたり、これを実施する必要性・内容などの説明を十分に貴院から受け、了承しました。
手術の実施を承諾し、依頼致します。

と書いてあった。「責任を取る/取らない」「損害賠償が・・・」といったきな臭い内容ではなかった。最近、そういうのがうるさいご時世なので、あらかじめ誓約書みたいなものを書かなければならないのかと思った。

本人の記名捺印は簡単なのだが、その下には「保証人」という欄があり、本人同様に記名捺印をするようになっていた。ここには家族・親族の名前を書くのが一般的だという。えー、家族には言いたくないなあ。反対されるに決まっているから。いちいち説明し、理解を得て、捺印までしてもらうというのはかなり大変だ。盆暮れの帰省時期でもないし。

結局、ここは僕が筆跡を変えて、兄貴の名前と住所を書いておいた。本人欄の捺印は実印、保証人欄の捺印は認印で。当の兄貴に「名前を使わせてもらった」ということを報告したのはずっと後になってのことだ。

さすがに職場の人の名前をここに書いても、赤の他人なので保証人もへったくれもあるまい。独身生活を貫いていると、こういうときちょっとだけ困るものだな。

手術後の段取り

ここまでが手術前にやっておくこと。手術当日以降は次のような流れになる。

(1)手術当日

手術。30分ほどの予定。手術前は化粧などはしないこと。(ただし、眉を描いている人は、切除の際の参考になるのでいつも通り描いてくること)

その日以降一週間は酒、入浴禁止。一ヶ月間は旅行などの遠出、運動も控えること。

(2)手術翌日

経過観察と消毒のため通院。

(3)手術3日後

経過観察と消毒のため通院(その2)。

(4)手術一週間後

診察と、抜糸。「自然に溶けて無くなる糸」というわけではないようだ。ちゃんと抜糸がある。

(5)手術一ヶ月後

最後の診察。問題がなければこれで終わり。

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