わたしの歯医者遍歴

ナイトガード

A歯科医院での治療は終わったが、「歯ぎしりをするので歯に細かいひび割れができている」という宣告はかなりのショックだった。隣で寝ているオンナにそんなことを言われたことは一度もないからだ。・・・すまん、「隣に寝ているオンナ」というのがそもそもいないんだった。

ナイトガード外箱

なので、恐怖半分、興味半分で、自分でも対策を打ってみることにした。ナイトガードの購入だ。Amazonでいろいろ売っていたので、あれこれ思案した結果「ドクターズナイトガードアドバンス」という商品を購入した。3,000円以上するので、かなりお高い。

1,000円台からナイトガードは存在するのだが、安いやつはすぐにヘタって噛みちぎってしまうらしい。歯ぎしりをナメんな、ということだ。なので、結構高いと思いつつもこの商品にしてみた。

格闘家じゃあるまいし、マウスピースの類は口にはめたことがない。ブラスバンド部出身の僕にとって「マウスピース」とは、口に当てて音を鳴らすものだ。口に含むというのは未体験。そもそも、がっつり口に入れて、本当に熟睡できるのか?と心配だった。

ナイトガード

届いたナイトガードは案の定ごつい。外国製だからというのもあるのだろう。馬蹄形の、透明樹脂だった。

この透明樹脂を熱湯に浸け、1分ほど温めてやわらかくしたところで取り出して自分の歯でかみ締める。そうすると自分の歯型ぴったりのナイトガードが出来上がる、というわけだ。これなら、寝ている間に凶暴なプロボクサーに顔面をしばかれても大丈夫そうだ。

ナイトガードは消耗品なので、半年程度で駄目になる。使っているうちに着色してくるし、奥歯の方に力が入るらしく、歯型が深くなって歯の形とあわなくなる。結局このナイトガードは2回買いなおした。

歯にぴったりはまるようにしたい、と歯型を取る際にガッチリと噛み締めると、歯型が深くなる分劣化が早かった。かといって、浅く噛むと、歯にフィットせずにどうも落ち着かなかった。結構難しいものだ。心配していた、「ナイトガードが邪魔で夜眠れない」ということはなかったので、その点は良かったけど。

実際このナイトガードを装着したことで、歯ぎしりが解消されるなんてことはない。歯ぎしりはもうどうしようもないち諦め、マウスピースで歯を防御することしかできないからだ。ハゲの治療がいまだに確立していない!ということはよく言われることだけど、歯ぎしりだって同じことだ。とても残念だ。

ちなみに、「額関節にボトックス注射を打って、顎をヘロヘロにしちゃう」という治療法があるらしいけど、それは医学的に見て邪道なのか、それとも本当に効果があるのかはよくわからない。あと、こめかみから顎にかけての筋肉をマッサージしてほぐすことで歯ぎしりを治します!という歯医者さんもあるようだ。歯医者に行ってマッサージというのは驚きだが、一度受けてみたいのぅ・・・と心底思った。ただし1万円くらいする、かなりお高い治療法なのだが。

2軒目:B歯科医院(2014年冬)

虫歯治療

「俺の引っ越し2013」を経て、新居に移り住んだ後のできごと。

奥歯に違和感がある。痛い、とかしみる、というほどではないのだけど、熱いものを食べた際に右下奥歯に刺激があるようだ。放置してたって「気がついたら解消された」なんてことはないだろうから、とっとと歯医者にかかることにした。

とはいっても、以前通っていたA歯科医院は今の家から遠すぎる。というわけで、新居の最寄で歯科医院を探すことにした。この当時住んでいた家は繁華街に近く、歯医者さんの数も多かった。そこで頼りにしたのが、ネットの口コミサイトだった。最近は病院の口コミを専門にしているサイトがいっぱいあるということをこの時知った。

会社帰りにも通院できる時間まで開業していて、評価が高い病院を選んだ。というか、どこの病院も評判はよいようだ。「この病院は駄目だ!ヤブ医者だ!」という口コミが全く見当たらない。そういう情報は意図的に削除されているらしい。そのため、どの病院もベタほめ状態で、全く病院選びの参考にならなかったくらいだ。せいぜい、近所の病院を一覧で見ることができる、くらいのメリットしかないのが口コミ病院サイト。

病院で違和感のある歯をチェックしてもらう。

「特に見た限り問題はないようですけど・・・熱いものを食べたときに違和感、ですね?冷たいもの、ではなくて?」
「はい、冷たいものは特に問題ないです」
「うーん??」

先生、首をひねってらっしゃる。普通、虫歯ならば冷たいものに反応するらしい。

「針で奥歯の奥を引っかいてみると、確かにざらざらとひっかかるところがあるんですよ。ささくれ立ったような感触、というのはそこに虫歯があるということが伺えるんですが・・・実際にはほら、見ても目では確認できないんですよねえ」

そこで先生、しばらく悩む。僕も悩む。というか僕はもうプロにお任せするしかない。

「よし、とりあえず削ってみましょう。たぶん虫歯だと思いますので」

すげえ事言うな、と話を聞いて驚いた。なんて決断力があるんだ。「たぶん虫歯」で歯を削りやがりますか。レセプトを書くときどうするんだ?「たぶん虫歯なので削りました。診療報酬ください」って?

先生はその後、これからの「奥歯工事」について説明をしてくれた。

いわく、奥歯は噛む力が非常に強いので、虫歯と思しき奥の部分だけ削って、そこを金属で埋めてもいずれ壊れてしまう。なので、虫歯がある側面だけでなく、歯の上もそれなりに削って、L字型に金属をかぶせる形になる、と。

「横だけ削って、樹脂か何かを埋めて終わり」と思っていたので、ちょっと想定外だった。奥歯の一番奥なので、詰め物をしても外からは見えないね、と思っていたのに。歯の上まで削りやがりますか。

一応これがインフォームドコンセントなのだろうが、もう事実上の確定事項ってことで「じゃあそれでお願いします」としか言いようがなかった。

その後、歯の掘削工事が始まったのだが、削っている最中先生がやたらと独り言を言う。

「もうちょっと削ったほうがいいかな・・・」

いやもうそろそろその辺でやめておきませんか。歯は元に戻らないのですし。

「あー、削りすぎちゃったかなあ。うーん」

おいちょっと待て。聞き捨てならんせりふが今聞こえた気がする!もしそうだとしても黙っていてくれよ。何で口にするんだよ。

治療終了後、先生は引き続き僕を不安にさせることを言う。

「削りすぎじゃあないと思うんですよね、神経まではいっていないと思うんです。血はでていないしょ?神経までいってたら、血が出ますから」

いやいやいや、神経まで到達するかしないかくらいまで歯を削らないといけない事象だったのか?今回のやつは。まず疑問はそこからだ。表面を軽く削るだけではいかんかったのか?

唖然とさせられつつ、病院を後にした。

かぶせ物が出来るまで一週間かかるのだが、その間は掘削された歯のところに詰め物がされた。それについて先生は

「ゴムのようなものなので、取れやすいです。ガムを噛むと取れますので、ガムは避けてください」

とおっしゃっていた。なるほど気をつけよう。

しかし、そんな「配慮」なんてそっちのけで、1日もすれば詰め物が取れてしまった。さあそれからが地獄の始まり。息をしてもしみるくらいだから、食事をするたびに苦しくて仕方がなかった。特に甘いものは激痛が走る。

よしの餅とくず餅

亀戸天神そばにある「船橋屋」のよしの餅とくず餅。これを食べたときは、のけぞったり突っ伏したりして苦しむことになった。悲鳴すら上げた。それくらい、ノーガードの歯の痛みは尋常じゃない。

この日はある淑女を連れてのデートだったのに、僕がこんなありさまじゃ不審人物にしか見えなかったはずだ。しかしその挙動不審っぷりがむしろ彼女の哀れみを買ったのか、その日のうちに付き合うことになった。きっと、悶絶する様が見てられなかったのだろう。

体重が減るほどの苦痛を味わった一週間。何が「神経までいってない」だ。この痛みを単なる「知覚過敏」とは言わせないぞ。ようやく晴れてかぶせ物をしてもらうことができた。

「どうですか?」

施術が終わったあと、先生は僕に確認してきたが、どうもこうも、何一つ変わった気がしない。かぶせ物なんて嘘だ、と思えるくらいに効果なし。

「じき、慣れますから。材質が本物の歯とは当然違うので、熱の伝わり方とか感触が違います。だから、なじむまで少し時間がかかります」

という。まあ、そうだとは思う。しかしこの強くしみるのはどうなんですかね。何で歯の治療をして、逆に苦しい思いをさせられるのかさっぱりわからん。ましてや、「虫歯かどうか確証がない歯」を削ったのだから。罰ゲームとしても悪質だ。お金だってそれなりにかかったし。

この先生、駄目だ・・・

げっそりして、病院を後にした。

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