そば処 山茂登

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2000年02月11日
【店舗数:031】【そば食:056】
東京都豊島区南池袋

野菜田舎煮、信玄そば、冷酒(浦霞)

蕎麦屋行脚を、蕎麦の楽しみ方の一つとしてぜひお薦めしたい。

一話完結/店に入った瞬間から蕎麦屋の主人と対決姿勢/出てきた蕎麦を一たぐり/むむっ、おやじ、やるな・・・/食べ終わると、懐から金を出し、「うまかったぜ」と一言伝えてそのまま店を去る

なーんてのがカッコいいのは分かり切ってる。いくつもの店をはしごするのは、なんとなく潔くないし、ガツガツしていて美しくない。

でも。

一軒目の店をシブく決めて出た直後に、ころっとトーンが変わって「さて、もう一軒食べに行くかぁ」とスキップスキップらんらんらん、いうのも有りじゃなかろうかと思う。

複数店舗をはしごすれば、微妙な蕎麦の味の違いがハッキリと分かる。蕎麦という食べ物は、ラーメン屋のようにお店ごとに味が全然違う食べ物ではない。だから、一週間に1軒ずつといったペースで食べ歩いていても、前回までの味の記憶がぼやけてしまい「その店独特の蕎麦の特徴」をあまり印象づけられない。

もちろん、味覚に優れた人や蕎麦喰いマスターな人にとってははしごなんて無意味な事だろう。でも、おかでんのように発展途上の「ネアンデルタールそば食い人種」だと、他店と比較しつつ食べていって経験値を上げていきたいものだ。だから、一日で複数店舗お邪魔したりするのは有効打なんじゃないかと思うわけで。

とまあ、だらだらと書いていて何が言いたいのかというと、この日2軒目の蕎麦屋に突撃しましたよ、という事だけなんですけどね。

「さらし奈乃里」でお酒と蕎麦を楽しんだ後、池袋に戦線を拡大。池袋といえば以前、[小松庵]で「デパート食堂街の蕎麦屋の実力」を見せてもらっている。デパート側は、己のステイタスを落とさないように/さらに高めるためにテナント選びはきっちりやっているはずだ。だから、おもいっきしまずいメシ屋は基本的に無いはず。ゆえに、デパートの蕎麦屋はそこそこ美味いはず。

・・・さっきからずっと「はず」が語尾についているの、どうにかなりません?

どうにかしましょう。
ならば、「総本家小松庵」が東武百貨店食堂の代表とすれば、今度は池袋駅を挟んで反対側にある西武百貨店代表の蕎麦屋に行ってみましょう。

ということで、今回訪れたのは「山茂登」。正確に言うと、西武百貨店のレストラン街ではなく、隣接したパルコのレストラン街に位置するお店だ。

「そば銘酒処」と名乗っているだけあって、入口に「越の寒梅」や「久保田」といった銘酒の一升瓶がずらずらずらりと陳列しているのが人目を引く。

デパートのレストラン=ファミリーレストラン

という先入観を持っていたので、こうやって「お酒飲んでもいいんですよ、くつろいでもいいんですよ」というウェルカムな姿勢を見て軽く失禁。そうか、大人のためのお店というのも存在するんだな。

これは楽しみだ。「銘酒」を全面に押し出しているということは、それなりのクオリティをもった蕎麦やつまみが出てくるに違いない。

さっそく入ってみることにしよう。暖簾をくぐって・・・

ちょっとまった。

今気づいた、何て読むんだ「山茂登」。

皆目検討がつかない。やましげのぼる?人の名前か?まさかなあ。

後日、調査したところ「やまもと」と読むことが判明。何つーむちゃな当て字だ珍走団の定番当て字「夜露死苦」みたいなものだろうか。

ここで、「センスない当て字だよなあ」と批判しちゃろうかと思ったが、結構この屋号を使っているお店があちこちにあるようで、由緒正しいのかもしれん。迂闊な悪口を言うのはやめとこう。

店内は、さすがにデパートレストラン街だけあって蕎麦屋独特のぴりっとした感じは受けなかった。ざわついている。感じとしては・・・あっ、神田まつやってこんな感じだったかもしれない。人がひっきりなしに出入りして、お店の人がぱたぱた右へいったり左へいったり。とてもお酒なんてくつろいで飲める雰囲気じゃあないんだけど、気が付いたらα波出まくりの無我の境地っていう塩梅。

でも、辺りを見渡すとお酒を飲んでいるオッチャンが非常に少ない。さすがに、真っ昼間から「まま、いっぱい」「こりゃすいませんな」なんてやっているのはいないか。デパートということもあり、夫婦で訪れているパターンが多く「お目付役」の奥さんがしっかりとガードを張っている可能性大。

こんな中でお酒を頼むのは、結構背徳的で良い。ああっ、そんな人でなしみたいな目でこっちを見ないでくれぇ、なんて悶絶しながら「浦霞」を注文。しかも僕ぁさっき既にお酒2合飲んできているんだよォ、なんて事を思い出してますますマゾな背徳感が充満。

野菜田舎煮

お酒のつまみとして「野菜田舎煮」なるものを頼んでみた。

「田舎煮」の定義って何だ。その逆として「都会煮」ってのはあるのか。「筑前煮」は「田舎」ではないのか。「うま煮」は、勝手に美味いって決めつけてはいかん。まずいうま煮の場合、やっぱり「まず煮」というのか。

この手の料理におけるネーミングってのは本当に謎だ。

以前「田舎風カレー」なるものを食べたことがあるが、普通のカレーと比べてジャガイモや人参の具が大きく、ルーのとろみが強かっただけだった。

「スタミナ定食」なるものをあちこちの飯屋でみかけるけど、どれ一つとして同じ材料を使っているものは無かった。ある店では、ニンニクを使っていれば「スタミナ」と定義しているようだし、別の店では「内臓肉を使っていればスタミナ」だったし、さらに別の店では、「肉さえ使っていればスタミナ」だった。

話が脱線したが、この「野菜田舎煮」は里芋、蓮根、椎茸、莢隠元、人参、蒟蒻を煮付けたものだった。なかなか幸せな組み合わせだが・・・蕎麦屋のつまみメニューとしてはちと異色だ。これを食べてしまうと、蕎麦よりむしろ白米が欲しくなってしまう。

蕎麦屋に来て白米だぁ?そりゃ、根本的に間違っとる。

ということで、白米から作られたドリンク(=清酒)をもう一杯追加。

肝心の蕎麦だけど、さっきもりそばを食べたばかりなので、今度はちと違う確度から攻めてみることにした。頼んだのは、ずばり「信玄そば」。ネーミングが、素晴らしくエラそうだ。何様だ、キサマ。

武田信玄が居た頃にはまだ「蕎麦切り」という料理は無かったんですけど、なんて無粋なツッコミをしてはイケナイ。そして、出てきた「信玄そば」にココロを揺らしてはイケナイ。

信玄そば

・・・ダメだ。無粋を承知であえて突っ込ませてくれ。

何じゃこりゃあ。

ぶっかけそばのスタイルを取っているんだけど、その上の具が摩訶不思議だった。

まず目を引くのが海老二匹、左右対称に鎮座。狛犬のようだ。そしてその狛犬に見守られるようにどかんとその図体を横たえているのが・・・玉子豆腐。

「すいません、このどこが『信玄』なんでしょう」

と店員に聞くべきか聞かないべきか悩んでしまった。

少なくとも、信玄は甲斐信州という山国を領土にしていたんだから山の幸を具にすればいいのに、「どうだえへんえへん」とお海老様がふんぞり返っているのは如何に。

まあ、ネーミングっていうのはあまり意味がないのだろう。おかでんの地元広島には「お好み焼き・徳川」というチェーン店があって、お店のロゴマークもズバリ葵の御紋だったりするわけだ。じゃあ、この店主が「暴れん坊将軍」みたいに、実は将軍様だったとかそういうわけでは決してない。あと、お好み焼きのメニューに「家康」「信長」「秀吉」なんて名前が見受けられるけど、そのメニューと本人には何ら相関関係は無い。好んで食べた具材が入っているわけでも何でもない。

それと一緒、ということか、この「信玄そば」は。いちいち驚いたり不思議がるだけ馬鹿だ。落ち着け、皆のモノ落ち着けい!

「信玄そば」の味は、遠く甲州の味がしました。

んなわけないでしょ、海老が入ってるんだから。



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