旅籠そば 水車家(02)

2002年10月12日
【店舗数:—】【そば食:235】
長野県木曽郡日義村

十割そば

「くるまや本店」でうううむと首を捻ってしまったのだが、それはそれとして気分を切り替え、アワレみ隊のメンバーとの合流地点である水車屋に向かった。今日は、これから南乗鞍のキャンプ場で秋期天幕強化合宿を予定しているのだ。

水車屋ショックとでも言おうか、第一回目の訪問の際はわれわれが経験によって修得していた「良い蕎麦屋を外見で見分けるコツ」を根底から覆してくれたことが記憶に新しい。あれから約1年。再びこの地に戻ってきた。

水車屋駐車場で、名古屋方面から合流してくるしぶちょお、ばばろあ両名を待つ。あらためて水車屋のその店構えを見るにつけ、「ははは」と笑いが出てきてしまった。どう見ても、幹線道沿いのドライブインに過ぎず、絶品の蕎麦を出してくれる店には見えない。大体、駐車場の広大さは「たくさんお客をさばくぞッ」という気合いが感じられ、一球入魂な蕎麦を出す店ではないだろうと予想される。旨い蕎麦を探し求めている人ならば、絶対にパスするお店だろう。前回、あれだけの蕎麦を食べさせてもらったにも関わらず、いまだにこの光景を見て信じられないくらいだ。

なんて事を考えているうちに、しぶちょおの車がやってきた。全員がそろったところで、店内に入る。しぶちょおは、やや慌てていた。何で慌てているの?と聞くと、

「以前単独でここに訪れたとき、十割そばはもう品切れです、って言われて断られたんだよ」

と言う。確か、1日20食の限定生産品(←数に自信なし)だったはずなので、お昼過ぎに行くともう十割そばは売り切れになってしまっているらしい。前回アワレみ隊蕎麦ツアーで訪問した際も、しぶちょおは唯一十割そばを食いそびれた人間であり、結果的に今まで一度もここの十割そばにありつけていない事になる。だからこそ、彼は今日このお店の訪問に並々ならぬやる気をもっているのであった。

幸い、まだお店は開店直後。今なら何とかなるかもしれない。しぶちょおのドキドキ感につられて、こっちまでドキドキしながら「十割そば、まだあります?」と店の人に確認。「はい、大丈夫ですよ」と言われたので、ありがたく全員で十割そばを頂戴することにした。

十割そば

出てきた十割そばは、昨年ショックを受けたときと同様、見た目で既に「あっ、これは旨い蕎麦だ!」とわかるでき。薄緑色をしていて(写真では判別つきにくいですが・・・)、エッジが立った麺。これでまずいはずがない。では、早速。

十割そばをすする

ずずずっ。

みんな一斉に蕎麦をすすり、みんな一斉ににっこりと笑顔で顔を上げた。

いやぁ、相変わらず旨い。昨年の驚きは、やっぱり偶然でもなく勘違いでも無かったということだ。蕎麦の香りはあくまでも上品ながらも、口から鼻に抜けるインパクトは絶大。そして、ぴしっと引き締まった麺を噛むときに広がる蕎麦の味。飲み込むときの喉ごし。どれをとっても絶品だ。健在なり、水車屋の十割そば。

あっという間に全員食べ終わり、深くため息をついた。一言、ぼそりと「うまかった・・・」。最近、なかなかこうやって無心で食べてピュアに旨いと言える事が無かったような気がする。リフレッシュさせてもらいました。

良かったねえ、おいしかったねえとみんなで感想を述べあっている間、近くのテーブルに座ったお客が「十割そば、まだあります?」と店員に聞いていた。「すいません、あと一つなんですよ」という店員の回答を耳にしたしぶちょおが「良かった、今日もけっこうギリギリだったわけだな」と安どの表情をしていた。

水車屋の十割そば。ありつけそうで、ありつけない微妙な蕎麦だ。

コメント

コメントする

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください