泉橋庵 支店

2003年04月27日
【店舗数:141】【そば食:246】
盛岡県西磐井郡平泉町

わんこそば

泉橋庵

前後の経緯は、「へべれけ紀行-俺のゆで汁いりますか?」を参照してください。

平泉・中尊寺の駐車場には蕎麦屋がいっぱい並んでいた。「平泉名物わんこそば」なんて書いてある。てっきり、わんこそばとは盛岡の名物なのかと思っていたのだが、平泉でも名物だったらしい。

・・・と好意的に解釈してみるが、恐らく違うと思う。「名物」なんて誰が決めるわけでもないので、言ったモノ勝ちっていう奴だろうな。観光客にしてみりゃ、「名物」って書いてあったら「そうか、名物なら食べてみないと」って結構盲目的に注文しちゃったりするわけで、「とりあえず名物って宣言しちゃおう」という方が商売として正解。

そもそも、わんこそばの発祥は南部藩主・・・ええと、誰だっけ・・・南部利直だったかな?が江戸に参勤交代で出かける際に秀衡塗りのお椀で蕎麦を食べたというところから由来している。「秀衡」といえば奥州藤原氏三代目(すなわち藤原氏滅亡の張本人)の名前であることから、平泉とは縁もゆかりもないというわけではない。しかし、「わんこそば」が名物なのかどうかと問われると、違う気はする。

いずれにせよ、毎朝フジテレビ「めざましテレビ」を見ながら朝食を食べているおかでんとしては「わんこ」と聞くと蕎麦よりも「お犬様」の方を思い出してしまう(筆者注:めざましテレビには、「今日のわんこ」という犬が紹介されるコーナーがある)ため、蕎麦の香り立ちこめる美味なる料理、というよりかは何やら獣臭い料理イメージを抱いてしまう。

いずれにせよ、わんこそばは一度食べてみたかった料理なので、こっちとしては願ったりかなったりだ。昼食としてわんこチャレンジをすることにした。

しかし、これだけ観光俗化著しい場所のこと。われわれが「わんこそば」で思い描く、「後ろにおねぇさんが控えていて、いっぱい食べるごとに『はいもっと』『どんどん』と囃しながらそばをお椀に盛ってくれる」というシチュエーションは難しそうだ。いや、そもそも「もう堪忍」というまで好きなだけ食べられるシステムを取っているかどうかすら疑問だ。

だから、同行していた兄貴と各店舗を見比べて、「一番われわれが思い描いているわんこそばに近いスタイルで提供してくれそうなお店」を選択することにした。しかし、どのお店も店内の様子が全く見えない。こうなると、お店の外観で判断するしかない。

・・・そして、選ばれたのがここ「泉橋庵」だった。ここだったらおねーさんが蕎麦を盛ってくれるだろう、という期待感はさらさら無かったのだが、看板が立派だったので「他の店よりは威厳がありそう」という、ただそれだけの判断だった。

わんこそばの薬味

がらり。店の引き戸を開けて中に入ると、そこはごく普通の蕎麦屋になっていた。・・・当たり前だが。椅子と机がいっぱい並んでいる。観光客がいっぱい来るので、できるだけたくさんのお客が入れるようにしているのだろう。これ自体は特に何の不思議もない。

しかし、「おねぇさんが背後に・・・」という事を期待していた立場からすると、このレイアウトは「あっ、おねぇさん背後待機は無理だ」という事にすぐ気が付いた(入店してから0.8秒)。これは、恐らくねらい通りのわんこそばは食べられないに違いない。しまった、不覚!

1階はお客でいっぱいだったので、2階のお座敷に通された。ここでは、多くのお客がわんこそばを食べていた。小さいわんこが机の上に山積みになっている。おお、みんな結構食べているな。メニューを見ると、「岩手名物秀衡盛付けわんこそば1600円」と書かれている。天麩羅つきで2200円だが、そんな余計なものはいらぬ、わんこそばに集中しなくては。

わんこそばを食べている周囲の人の様子を見ていると、どうやらおぼん1枚につき椀が12個、それがおぼん2枚分が1人前になっているらしい。即ち合計24椀。おかわりをしている人はいないし、お店の人が配膳する際も、「おかわりするときは声をかけてください」と一言添えていないことから、「食べ放題」というわけではなさそうだ。

しばらく待っていると、薬味一式がどどーんと届けられた。全部で7種類の味が楽しめる事になっている。しかし、蕎麦は24椀なので、1つの味で3椀程度、という計算式が成り立つ。配分に気を付けなくちゃ。

わんこそば

待つことしばし、やってきましたわんこそば。観光客相手の大型店の割には出てくるのが遅いな、と思ったのだがそりゃそうだ、これだけお椀を並べて、せっせと蕎麦を盛りつけなくちゃいけないんだから。しかも、多くのお客がわんこそばを注文する。恐らく、厨房は大忙しだろう。

ところで、一体このお店はわんこをいくつ所有しているのだろう?1,000個くらいあるのだろうか?

黙々とわんこそばを食べる

待望のわんこそばを頂く。おねーさんは当然いないので、自分で蕎麦を手繰り、つゆに浸して食べる事になる。おねーさん付きのわんこそばの場合は、わんこに盛られた蕎麦はすでにつゆにくぐらせてあるのでそのまま食べることができる。しかし、このお店の場合は手元の椀につゆを注ぎ、そこに蕎麦をつけて食べるという通常の蕎麦の食べ方と同じ方式になる。

兄貴は、わんこからそばをつゆ椀に移してから食べていた。おかでんは、面倒なのでわんこに箸をつけて、そばをすくい上げてつゆに浸して食べていた。

・・・やってることが、普通のもりそばと一緒のような気がする。単に「ざる」の上に乗っていないで小さいお椀に盛られているだけ。

「食べたい食べたいって言ってたわんこそば、どうだ美味いか?」
「・・・いや、感動ないなぁ。普通のもりそばの方がそばそのものを楽しむんだったら正解だったんじゃないか?わんこに蕎麦を盛り分けている間に麺が延びてしまってるし。うーん」

隣のテーブルでは、うず高く盛られたもりそばをずるずるッと豪快にすすっている家族連れがいる。ああ、あっちの方がおいしそうだ。

店頭の娘

「どうだった」
「いや、どうもこうも。小さいお椀に延びた蕎麦が盛られていました、以上、ってことで。イマイチ感動ないもんだね。兄貴みたいに、食べ終わったわんこを積み上げていくとまた楽しかったかもしれないけど」
「確かに、普通だったな、普通」
「店が悪いってわけじゃないんだけどね、こればっかりは。わんこそばという食べ物そのものについて、はてなマークがついてしまったかもしれない。やっぱり、お姉さん付きのお店でないと駄目かなあ。ますますわんこそばに対してチャレンジスピリットが沸いてきたぞ」

泉橋庵の隣のお店では、店頭にこんな人形がくるくると動いていた。面白かったので写真を1枚。

・・・でも、手にしているのはざるそばじゃないですか、というツッコミはやめておこう。