更科丸屋

2005年02月23日
【店舗数:178】【そば食:332】
東京都中央区東日本橋

鴨せいろ大盛り

アワレみ隊BBSに、こんなたれ込み情報が書き込まれていた。

21: 名前:あけみ投稿日:2005/02/03(木) 09:46

おかでんさん、皆さん初めまして、いつも楽しく拝見させていただいております。
初めての書き込みなのですが、ぜひ行ってみて欲しい蕎麦屋がありますので
紹介させてください。
住所   東京都中央区東日本橋2丁目12-2
電話番号 03-3851-6892
店名   丸屋

名物は 大鴨せいろ(メニューには載っていません)ちょっとつけ汁がしょっぱい
値段……忘れたのですが大で900円しなかったです。
親子丼(卵でとじている上に生の黄身が乗っている)
大の量は刀屋の大位…いやあれよりちょーっと少ないかな、普通だと本当に普通盛り
通常メニューも100円増しで大盛りに変更可
ライスいっぱい無料
麺は超更級

お昼はいつも行列なので11時台に行くほうがいいかもしれません。
混んでいると自分の注文が遅く来て同じものを頼んだ人に回ってしまう!
という許すまじことが前にありました。
あとおばちゃんが結構つっけんどんなのですが自分だけじゃなく皆にそうなのでまだ我慢できます。

客=早くできるのくれ
おば=……全部同じ
客=じゃあカツ丼
おば=…それは一番遅い(忙しいのにんっもう!!って感じで)
客=やっぱ早いのと遅いのあるんじゃん
おば=無視(次の人の注文に行く)

って感じです。
夜は晩酌セットなるものがあるのですが、
私昼しか行ったことないのでお酒頼んだことないんです。
多分あると思います。
本当に近所の会社のくたびれたおやじばかりですので、
まったりしたいならお昼を外して行けば大丈夫のような気が(ごめんなさい確実じゃなくて)

もし行くことがあったら蕎麦好きにレポートしてくださいねー
長文失礼しました

ここまで詳しくレポートしてもらった以上、行くしかあるまい。ただ、場所が微妙なところにあるため、どうしたもんか、と思っていた。職場から近すぎず、遠すぎず。遠すぎるなら、休みの日に繰り出すといった手段にでるが、そこまでするような場所でもないし。「んー、いつ行くべきかな」とタイミングを見計らっているうちに、時間が過ぎていった。

webでこの「丸屋」について調べてみたのだが、全く情報が発掘できなかった。これだけインターネットが発達している現在、美味い蕎麦屋であれば開店直後であったとしてもwebに何らかの情報が転がっているはずだ。それが全く無い、ということは、至って地元住民向けの、普通のお蕎麦屋さんという事なのだろう。

ここは、美味を追求するというより、「店が持つ味わい」を堪能するのが正解っぽい。できることなら、店員さんの気が立っているお昼時に行ってみたいものだ。

東日本橋

この日、お客さんと午前中合わせをしていて、お昼時になって身柄が解放された。そういえば、お客さんビルの最寄り駅から東日本橋まで電車で一本だな・・・ということに気づき、急きょ丸屋行きを決定した。

東日本橋で下車なんて、特にこの地区に用事が無い限りは絶対にあり得ない。

故に、道がわからなくなってしまった。

地下鉄改札出たところにあった地図を確認してはいたのだが、慣れない道をずいずいと進んでいるうちに訳がわからなくなってしまった。あれ?東日本橋一丁目の次が、日本橋浜町?あれ?

地理感はあるはずなんだけどなあ、と蛇行しまくっていたら、地下鉄の次の駅である浜町駅まで到達してしまった。結局、もう一度東日本橋駅近くまで戻ってから、再度地図を確認したうえで移動。なんのことはない、場所さえわかれば駅から徒歩4分程度だ。しかし、その事実に気づくまで、既に30分近くのタイムロスとなってしまった。

東日本橋は、住居と商業地が混在している町だった。町全体が古びた感じがあり、BBSに情報提供をしてくれたあけみさんが「丸屋のお客さんは近所の会社のくたびれたおやじばかり」と表現するのもなんとなくわからんでもない。

更科丸屋

町並みウォッチングをしながら歩いていたら、脇道に目指す丸屋があった。

正式名称は「更科丸屋」と言うらしい。

間口はあまり広くなく、地味な印象だ。大きな木の看板が目を引くが、それ以外は取り立てて目立つことがない、ごく普通の町のお蕎麦屋さんの風情だ。二階は民家になってるし。

食品サンプル

食品サンプルが陳列されていた。そういえば、サンプルが店頭に置いてある蕎麦屋に入るのは何年ぶりだろうか?2000年12月に入って以来かもしれない。

そもそも、このサンプルを見て「今日は何を食べようかな?」と決める人っているのだろうか?あまり意味のない陳列のような気がしなくもない。

まあ、それはともかく店に入ろう。さすがに13時を回っていたため、危惧していた行列は消えていた。店内も、お客さんが6名居た程度で比較的空いている。場所柄、お昼時に急激に混んで、お昼が過ぎると一気に客足が落ちるのだろう。

店の雰囲気については、BBSに引き続き書き込まれたあけみさんの文章にその表現を譲る。

24: 名前:あけみ投稿日:2005/02/05(土) 10:45
おかでんさん、長い割にわかりにくくて申し訳ないです。
私的にはこの店の売りは「盛り」です。100円増しの割にはどかーんと出てきます。山みたいな感じ。
ご飯もいっぱい無料でつきます(これは言わないとでないのでご飯くださいという)
でもおかでんさんのレベルでは「うん、多いんじゃない」位かも。
味はとてもおいしいと思います、一緒に行った人全員「やっぱここだね」と言います。
でもでもよく考えると名店ばかり行っているおかでんさんには…普通かも(泣)
くたびれたおやじばかりというのは東日本橋自体がくたびれている為それしか町に
いないと言う意味です。みんな人生に疲れた感じ。

麺は超更級=これってなんて言えばいいんですか?白くて細くてぽきぽきした感じなのです。
店の外観=味はあります。戦前って感じ。中はテーブル席が6席位、真ん中のテーブル席は
とても座りにくいので入って左側がいいと思います。でもお昼だと相席です。
くたびれおやじたちはわかっているので快くここどうぞと言います。
おばさんは普通に注文していれば別になんでもありません、そのおやじのように自分で決めるべき
ものをわざわざ聞いたり余計な事を話かけたりしなければ普通です。
あっおばさんの機嫌が悪いのは12時から1時までです、あとの時間は話しかけても普通です。

取引先の中国人にうちの社長がそこの鴨せいろの自慢ばかりしていたため
中国人が日本に来たときに「何食べたい?」と聞いたら「鴨せいろというもの」と言った
のでつれていったらしいのですが、神妙な顔で3口位しか食べなかったそうです。
ああ!そんなこと書くとまたまずいと思われてしまう!

でも無理しないでください、本当に機会があったら(近くに行くことが奇跡的にあったり)
行ってみてください。
ちなみに注文するときの呼び名は大鴨(だいかも)ご飯つけてです。

実際はテーブル席7席で、店内は狭い。確かに、昔ながらの蕎麦屋、という風情で、これはこれで味があって良いと思う。お品書きの冊子は存在しないようなので、壁にかけられているメニュー札を見つつ「鴨せいろ、大盛りで」と注文した。せっかくだからサービスのご飯を、とも思ったのだが、前日ジャポネで親方を食べて、体重激増の憂き目にあっているため自粛。

お客さんは、地元で働いていると思われるおっちゃんオンリーだった。まあ、ガイドブックを手にした観光客が来たり、買い物帰りに立ち寄るといった場所ではないので、当然といえば当然か。みんなこの店に通い慣れているようで、

「のれんをくぐる」>「自分の座る場所を目線の動きだけで探索」>「座るところロックオン、席に近づく」>「座りながら、店の人にオーダー」

という素早い動作を、無駄な動きが一切無く行っていた。メニューなど、見ていない。きっと、おのおの「定番のボクこれ食べるメニュー」ってのができあがっているのだろう。

壁には、お酒と酒肴のメニューも張り出されていた。もつ煮込み、さば味噌煮、かつとじといった料理が並んでいる。夜は赤提灯っぽくなるのだろうか。でも、お酒はビールと日本酒のみの取り扱い。サワーとかホッピーが置かれていないのは、蕎麦屋としてのプライドなのかもしれない。

鴨せいろ

お店のおばさんが怖いのかと思ったが、スポーツ新聞をもってきてくれたり、グラスのお茶が無くなったらその都度注いでくれるし、親切だった。ちょっと「怖いもの見たさ」があっただけに、残念。

やっぱりこういうのを見るにつけ、「人間忙しくなると気が立つ。繁盛店に行く時は、できるだけお客さんが少ないときに行くべし」と思った。当たり前の話だが。

さて、鴨せいろ大盛りがやってきました。大盛りというだけあって、うずたかく麺が積み上げられている。あけみさんは「刀屋の大より少ない程度」と形容していたが、実際は刀屋の小程度じゃないかと思う。上には上があるわけだが、確かに町中の蕎麦屋の大盛りにしては豪快だ。

それより気になったのが、つゆの方だ。三つ葉の隙間から、あられみたいなものが浮いているのが見える。これは一体なんだ。

鴨せいろ、といえばそばつゆの中にあぶった鴨ロースの薄切りと、葱が入っているというのが相場だと思っていたのだが、それらしきものが全く見えぬ。箸でかき回してみたら、なるほど理由が分かった。このお店の鴨せいろは、鴨肉が親指の爪程度の大きさに切られていて、それがごろごろ入っているのだった。こういう鴨せいろは初体験だ。

白い麺

まずは麺を頂く。麺は白く、細めに切られている。

すすってみた。結構堅めにゆでられており、蕎麦のエッジが立った感じが心地よい。唇、舌の上、歯ごたえ、そしてのどごし、蕎麦の食感が楽しい。

以上。

味は特にコメントなし。

次につゆを頂いてみた。一口飲んでの印象は、「辛いな」だった。ちょっと塩が利きすぎか。あと、味の一部が尖っていて、まろやかではない。鴨せいろといえば、鴨から滲み出る膨大な脂のせいでまったり、こっくりしてしまうものだが、ここのつゆはそれをも凌駕している。気合い入りすぎだ。・・・というか、鴨のうま味があまりつゆに浸透していないような気がする。

まあ、結論から言うと、つゆも麺もおかでんの好みからは微妙に逸れているものなわけで。じゃ、もういいね、蕎麦をつゆにつけて食べましょうか。ずるずる。

あれ。案外いける。「いまいち」と思っていた両方が合わさると、何だか微妙に美味くなった。なるほど、0.5+0.5=1、というわけだな。僕はてっきり0.5+0.5=0.5だとばかり思っていた。簡単な算数の問題だ。

堅い麺だが、温かいつゆにつけるとふんわりと柔らかみを帯びる。あんまり柔らかくしすぎてはもったいないので、即座にすすり上げる。気をつけろ、蕎麦猪口は相当熱くなっているぞ。あまり長時間左手にもっていると、手が火傷しそうだ。犬食いに近い形になりながら、蕎麦を頂いた。

蕎麦の残りが少なくなったところで、添えてあったうずら玉子を割り入れてみた。ますます味は微妙に。なんだかねえ、「うまい」と「普通」の境界線って感じだ。うまいのかまずいのかどっちかはっきりしてくれ!夜も寝れねえよ!って感じだ。

最後、そば湯割りにしてつゆをすすってみたが、今度は微妙になりすぎ。味がぼやけて、霧に包まれてしまったという印象になった。

舌代950円を払って、店を後にした。うーん、なかなか微妙なお店だ。個人的には美味いとは思わなかったが、何か惹き付けるものがあるお店と味だった。きっと、近所にオフィスがあったら、お昼時に「また丸屋かよ」とかいいながらも通っている事になるんだろう。

コメント

コメントする

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください