石臼挽きそば 石楽

2010年11月09日
【店舗数:264】【そば食:461】
東京都江東区豊洲

もりそば大盛り

石楽

豊洲には時々訪れている。

この「蕎麦喰い人種」でも、特に初期の頃は豊洲の蕎麦店(とんぼそじ坊)を訪れた形跡が残されている。その頃と比べて豊洲は大きく変貌し、今や「銀座から5分の距離」を売りにしたタワーマンションが林立している。たぶん上空から見たら剣山のようになっているはずだ。埋立地なんだから、あんまり荷重かけたら島ごと沈むぞ。大丈夫か?

豊洲駅を出てすぐのところにある「豊洲センタービル(NTTデータ本社)」はいつの間にか双子ビルになっているし、その背面には「豊洲フロント」なるビルが出現している。いずれ「豊洲リア」とか「豊洲アラウンド」なんてビルができるに違いない。

ちなみに、「豊洲シンボル」というマンションは既に存在している。シンボルってことはあれですか、男根・・・いや、すまん、それはあまりに飛躍した考え方だ。却下。

今回、そんな「豊洲フロント」を訪問。2010年10月にテナント入居が始まり、順次営業開始していっている新築ほやほやの建物だ。住商情報システムの本社がメインテナントだが、一階には郵便局やコンビニ、飲食店が軒を連ねている。

そのテナントの中にあるのが、「石楽」。石臼挽きなんて挑発しているので、気になってしまったのだった。隣に餃子の有名店「珉珉」があるのだが、それを尻目に突撃。

屋内側にも入り口がある

なにせ、2010年産新蕎麦使ってるよー、なんて張り紙が店頭にあるのだもの。

この秋、何軒か蕎麦屋を巡ってみたが、その一店たりとも「新蕎麦入荷しました」の紙が貼っていなかった。ああいうのは蕎麦粉または玄蕎麦を納入する業者がサービスで提供するものだと思うのだが、一軒もその張り紙を見ないのは不思議だった。何か業界自主規制でもあるのだろうか、と。それとも本当に新蕎麦が入荷していないのかもしれない。いずれにせよ、「新蕎麦だ!」と自己主張するのは大変に気持ちがよろしい。その意気込みに敬意を表しないわけにはいくまいて。

幌加内産の蕎麦で、「霧雪(むせつ)そば」というものをこのお店では使っているらしい。

カフェのような店内

お店は何やらカフェのような作り。ランチタイム時に殺到する(かもしれない)サラリーマン&OLを見越してか、客席は多い。実際これだけの客席が埋まってしまうと、厨房はてんてこ舞いになると思う。…ところで、「てんてこ舞い」の「てんてこ」ってなんだ?いや、それはともかく、夜になると居酒屋的な使われ方もするだろうから、そうなると注文内容は多種多様だし、追加注文が五月雨式に入ってくるしで大変だろうなーと思う。

蕎麦猪口

おおよそ蕎麦店らしくないテーブルや椅子だが、壁に蕎麦猪口が飾られているところで蕎麦店であることを思い出させてくれる。蕎麦猪口の柄を愛でる趣味は残念ながらおかでんにはないので、「はぁそうですか」で終わり。

そういえばこのお店、丸の内の新丸ビルにあるお店「石月」の系列店にあたるのだそうだ。いや、石月って店、初めて聞いたんで特に感慨はなんだけど。「石月」の姉妹店なら、「石鼈(すっぽん)」という名前にした方が・・・げふんげふん、うそです聞き流してください。

お昼のメニュー

このお店はお昼のメニューと夜のメニューが分かれているようだ。この日訪れたのはお昼だったので、昼のメニューのみで吟味。とはいっても、初訪問の店に訪れたら「もりそば」を頼むのが定例になっているので、それ以外の選択肢はないのだが。

これ、悪い癖だ。品評会やっているんじゃないんだから、美味そうだと思ったらもりそばに限らずなんでもいろいろ頼んでみるべきなんだけどねぇ。視野が狭すぎだよ、我ながら。

というわけで、すいませぇーん、とりあえずビールください。あ、あと玉子焼きも。

よせ。仕事中だぞ。いまどき、「飲酒運転で逮捕されて懲戒免職」は相当恥ずかしいが、「勤務中に昼酒飲って、出勤停止20日間」みたいな処分くらうのはそれに匹敵するくらい情けないぞ。ええと、ビール却下で。そのかわり清酒を。いやあ、清酒はただの米ジュースっすよ。・・・と、「清『酒』」なのに酒でないと言い張ってみるテスト。

お昼のサービス

正直、もりそば一枚手繰った程度でその店についてあれこれコメントなんてできっこない。かといって、昼間っから「からすみの西京漬け」なんぞを頼んで食べるというのはいまいちすぎる。もりそばを大盛りで。これで妥協してくれ、頼む、俺。

面白いことに、このお店、通常は大盛りにすると200円増しなのだが、ランチだと100円増しらしい。建物内テナントのほか、近くにららぽーと豊洲があるしこのあたりは飲食店激戦区。蕎麦屋なりにランチは頑張ってみました、というところか。

ただ、「ミニかつ丼とおそばのセット」みたいなセットメニューは一切ない。その点大変潔い。そもそもこのお店にはご飯ものの取り扱いが殆どなく(ランチタイムにのみ日替わりごはん、というのが存在する)、大衆迎合化を極力避けようとしている気配。

もりそば

店内には電動石臼機が据え付けられてある。自家製粉の手打ち蕎麦というわけだ。その割にはやたらときれいな、機械打ちのような中細の均一な蕎麦。やや固めに仕上がっており、冷たく冷やされた辛汁に浸けて食べると大層清涼感がある。新蕎麦!というインパクトは感じられないが、蕎麦としては悪くない。
そう、「悪くない」んだよなあ・・・。美味い!という感動は特にない。つゆはおかでん好みの、透明感あるすっきりとした辛さで淡麗。おいしいっちゃあおいしいんだが、「癖」が足りない分なんだか心にひっかからないのだった。もう少し太目の麺にするか、粗挽きにするかしていればずいぶんと印象が変わっていたと思う。

難しいね、蕎麦っていうのは。食べながら、つくづく感じた。特に否定的な要素がないけど、褒めるほどでもない。たぶん、全体的に蕎麦という食べ物のレベルが底上げされてきているからじゃないかと思うんだが、どうだろうか?

大盛り

お会計は680円+大盛り100円=780円。

大盛りにすると十分食べ応えある量になった。しみったれた量で大盛りを名乗る店とは一線を画している。この値段でこの内容なら素敵だと思う。

ただ、このお店はシンプルなもりそばよりも、「季節のおすすめそば」を頼む方が楽しそうだ。麺にしろつゆにしろ、ぶっかけ蕎麦向けと言える。この日あった「季節のおすすめそば」で気になったのは、「秋みょうがのおろしそば」や「秋なすのつけ汁そば」。こういうのを食べてみるのも手だと思う。

すぐ近くに「そじ坊」があり、そちらはもりそば1枚600円。80円差とはいえ、自家製粉手打ち蕎麦のこの店の方がアドバンテージはある。しかし、豊洲の消費者がどちらを支持するかは今後の展開次第。