いわもとQ 歌舞伎町店

2012年12月03日
【店舗数:321】【そば食:545】
東京都新宿区歌舞伎町

天ぷらセット大盛り(もり)

いわもとQ

「いわもとQ」という奇妙な名前の蕎麦屋がある。いわゆる立ち食い蕎麦のチェーン店で、2012年12月現在では東京都内に3店舗ある。3店舗しかない、とも言えるのだが、「近日中に立ち食い蕎麦のチェーン店としては世界一の規模となる100店舗を目指す」んだそうで大層威勢が良い。(ちなみに、あの「富士そば」でさえ100店舗無いというのだからちょっとびっくり)

そんな立ち食い蕎麦だから、どうせお値段はともかくとして味は・・・と考えてしまいがちだ。店の名前も胡散臭いし。しかし、実はこれが相当評価が高いのだった。立ち食い蕎麦屋のレベルを超えている、という話がちらほらと聞こえてくる。280円でもり/かけ/ひやの蕎麦が食べられるお店なのに、そんなすげぇ蕎麦が出てくるのか。これはぜひ探訪してみなければなるまい。

お店は麹町、歌舞伎町、池袋にあるのだが、今回は歌舞伎町のお店を目指した。新宿区役所の裏側にある立地条件なのだが、新宿駅から歩いて行くと、途中に風俗案内所やホストクラブ、客引き・・・というあらゆるトラップがある。それらを避けつつ、お店を目指す。何でこんなところにお店を作ったのか、謎だ。駅チカだと家賃が高いから、ちょっと奥まったいかがわしい場所を選んだのだろうか。手元のスマホに表示させている地図なんかに気を取られて、うっかり通りすがりの人にぶつかったりしたら少々ヤバい土地柄なので、歩く時は注意。

いわもとQお品書き

お店のメニューは、基本的に「蕎麦」「天ぷら」「丼物」で構成されている。一般的な立ち食いにおいて、「蕎麦」に寄り添うように「うどん」があるのは当たり前の事だが、この店では潔くうどんを扱っていない。多分、お客からは「なんでうどんがこの店にはないんだ」というクレームが何百回もあったと想像する。でもこのお店の場合、蕎麦に特化することでコスト削減と低価格を実現しているようだ。

売れ筋商品と思われる、メニューリストの一番上に載っているのが「天ぷらセット大盛り(天ぷら+もり/かけ/ひや)」で580円。また、「天丼セット(天丼+もり/かけ/ひや)」で680円。天丼セットなんて食べたら、おなかがいっぱいになることは間違いないだろう。680円という値段は立ち食い蕎麦の物価から考えたら高く見えるが、よく考えて欲しい、天丼が付いているということを忘れてはいませんかと。蕎麦単体が280円だから、400円で天丼が食べられるというわけだ。

どれにしようか思案したが、天丼セットを頼むほど空腹でもなく、かといってこのお店において天ぷらを外すわけにはいかない。結局妥協案として、前述の「天ぷらセット大盛り」580円を選んでみることにした。自動券売機で食券を購入する。

店内

店内に入る。食券を渡すと、真ん中を切り取って半券をこちらに渡してくれる。食券には番号が書かれているので、できあがったらその番号が呼ばれるという仕組み。合理的だ。

最近、「立って食らう」というリアル立ち食い蕎麦屋って少なくなったものだが、このお店は立ち食いスペースが充実。もちろん椅子もあるのだが、立って食うのがイカすぜ、という人はぜひ立って食べてみましょう。

店内には「新そば」の張り紙がある。こんなお店の蕎麦で新そばを謳うとは面白い。蕎麦にどう新そばの味が反映されているか、楽しみだ。壁には「味は一流!値段はC級!」と書いてあるし。

新蕎麦!

5分ほどでできあがった。

このお店の場合、蕎麦は押し出し機で蕎麦団子をところてん状態にし、そのままゆで釜にダイブさせる仕組みをとっている。これで一応は「打ち立て、ゆでたて」ということになる。その分味が良くなるのかどうかは不明。

そして、天ぷらは注文が入ってから揚げる。「天丼てんや」のようにフライヤーの中にベルトコンベアが備わっていて、職人でなくてもベストな状態の天ぷらが揚げられる工夫がされている。お店曰く、「そばなら2分、セット物でも3分で提供すべく、改善に取り組んでいます」とのこと。すげーな。今のところ、まだ4~5分程度時間を要しているが、このときは店員一人で厨房を切り盛りしていたことを考えれば、これでも驚異の所要時間だと思う。いわもとQ、なにげにやるな。本当にそば2分、セット物3分が実現したら、既存の立ち食い蕎麦屋はびっくりだな。

いんげん、海老、キス、なす

蕎麦アップ

天ぷらは、いんげん、海老、キス、なすの4種類だったと思う。ちょっと記憶曖昧だけど。何しろ、揚げたてサクサクなので「おおっ、これは!」と感動し、あっという間に食べてしまったからだ。立ち食い蕎麦屋の天ぷらといえば、かき揚げが定番。そして、揚げ置きされたものがカウンターにずらりと並んでいるのが日常風景だ。なのにこのお店は、提供時間を少々犠牲にしてでも揚げたてを出す。これ、案外ニーズとしてはあると思う。「立ち食い蕎麦=時間が無い人が食べるもの」という時代はもう終わった。この縮小経済の中、立ち食い蕎麦だって立派な一食として食べられるようになっている。それだったら、揚げたての天ぷらを食べたいじゃない。ゆでたての蕎麦を食べたいじゃない。・・・というのは非常にごもっともだ。

それにしても、蕎麦単品が280円(今回は大盛りなので380円)ということは、この4品ある天ぷらが200円ということになる。コストパフォーマンスが素晴らしい。どうやったら、キスも海老も入っている天ぷらを200円で出せるんだ?

サクサクの食感だが、天ぷらというよりは若干スナック感覚ではある。「コツのいらない天ぷら粉」で作ったらこんな感じに仕上がるよね、という天ぷらだった。いや、批判している訳じゃないですよ、美味いっすよこれ。やっぱり天ぷらは揚げたてが正義だな。油が回った、従来の立ち食い蕎麦屋の天ぷらがばかばかしくなる。

※とはいえ、油が回ったかき揚げをかけそばのつゆに浸して食べると、油がほどよくつゆに馴染んでこれはこれで美味いんだな。

一方の蕎麦だが、280円の立ち食い蕎麦という基準がよく分からないので味の判断はパス。僕は品川の「あずみ野(常盤軒)」のようなボソボソした蕎麦が好きなので、圧縮押し出し麺独特のぎゅっと詰まった感じで、つるつるしすぎる食感は好みの方向性が違う。とはいえ、こいういうのが好きな人も多いと思う。ちなみにつゆは結構イケてたのでびっくりした。つゆは確実に280円レベルを飛び越えている。薬品臭くもないし、ダシがいい加減だったりすることもない。壁の張り紙によると、わざわざ毎日お店でダシを取っているとのこと。そりゃ立派な心がけだ。つゆがおいしいわけだよ。

大盛りにしたせいで、おなかいっぱいになってしまった。大盛りにしなくてもよかったかな、と思ったくらいだ。

独り言

口コミ情報につられて、「安いのに絶品の蕎麦が食べられるらしい!」と行くと、がっかりすると思う。実際はそんな店ではない。でも、安い値段で揚げたての天ぷらが食べられたり、立ち食い蕎麦屋としては上できな蕎麦が食べられる事を踏まえると、やっぱりこのお店を絶賛するのは納得がいく。もしこのお店に興味を持った人がいたら、軽い気持ちで訪れて欲しい。それなりのインパクトで、お店は出迎えてくれるはずだから。くれぐれも、期待値は高くしすぎないように。