2018年04月17日
【店舗数422】【そば食:698】
栃木県鹿沼市下長野
もりそば、旬の野菜山菜天
鹿沼の「ニラそば」食べ歩き。
一軒目に「蕎花」

二軒目に「佐野屋そば店」

と食べ歩いてきた。もう少し丹念に調べれば、鹿沼市街にニラそばを食べられるお店はいくつもあったかもしれない。しかしちょっと気分転換を兼ねて、郊外のお店を目指してみることにした。
山に向かってどんどこ車を走らせる。3軒目は、不思議な立地条件なのに大繁盛だという噂の「大越路(おおこえじ)」というお店だ。

このお店は峠道の途中にあるドライブインのような位置づけだという。しかし、地域住民の利便性向上のために山にトンネルが開通してしまい、峠道はすっかり廃れた・・・はずなのに、今なおそのお店が繁盛しているというのだから恐れ入る。
実際、鹿沼市街から長いトンネルを抜けてみると、「ああ、ここを曲がれば良いのだな」とわかる形で、のぼりがたくさん並んでいた。

「大越路」とか「そば」と書かれているのぼり。うん、間違いない。
トンネル経由でここにやってきた場合、鋭角に曲がり山に突っ込んでいく道になるので、注意。

「廃れた廃道、って言っても、しっかり二車線ある道じゃないか」
とのぼりがある辺りでは思った。
しかし、ちょっと走ればすぐに一車線に。道中、家なんてもちろん一軒もない。
いやー、こんなところにお店、あるの?あったとしても、どうして繁盛してるんだ?信じられない。
トンネルが通っている通り沿いだって、お店なんてほとんどないというのに。
あ、そうか。だから、峠道でも「地元民にとって貴重な飲食店」なので賑わうのか?

しばらく道を進むと、確かにお店が現れた。しっかりと「大越路」とのれんがぶら下がっている。間違いない。「注文の多い料理店」とか、「お菓子で出来た家」とかじゃない。
建物はかなり大きい。
そして何よりも、のれんから先、長椅子が置いてあるのが目に付く。ピーク時になると、ここに順番待ちのお客さんが並ぶことを想定しているというわけだ。マジか。いや、聞きしにまさる山奥だぞ、ここ。

でも駐車場はほぼ満車なんだな、これが。平日なのに。

そして駐車場を過ぎたところで、道は封鎖され通行止めになっていた。
トンネルからの峠道は、まさにこの「大越路」専用道路だったというわけだ。なんと贅沢な。
なので、峠越えを楽しむバイク乗りが、峠越えついでに立ち寄るんです!ということはない。だって、道路が塞がっているんだから。

車がたくさん停まっているといっても、従業員のものなんじゃないの?・・・なんて思いながら入店したら、バッチリ順番待ち状態だった。やられた。幸い、大して待たずに済んだけど、僕の後にやってきたお客さんは10分、20分はざらに待っていたと思う。ひっきりなしにお客さんがやってくる。
一体どこから沸いてくるんだ、この人は?もちろん、僕もそのうちの一人だけど。

お店の脇に製粉所があるくらいなので、自家製粉のこだわりの蕎麦を提供するお店らしい。しかしその割には非常にざっくばらんとしたメニューだ。「お品書き」と呼ぶよりも「メニュー」と呼んだ方がふさわしい見た目。なにしろラミネートでパウチされてるから。
そして、蕎麦に留まらず定食や中華料理が大充実。
目の前に座っているおじいさんは、昼間っから焼酎を飲みつつ、からあげをもぐもぐやっていた。そういえば、周囲のお客さんを見ると、結構がっつりした食事をしている人が多い。
ボリュームがそもそもしっかりあるようで、食べ応えのある生姜焼きやエビフライ、とんかつをみんな豪快に食べていた。平日昼間ということでご高齢の方々も多かったけど、老いも若きも揚げ物や肉をかじっている。みなさん健啖で素晴らしい。
一方、お座敷ではマンホールほどはあろうかという大きなざるに、蕎麦がみっちりのっかっているのを三人がかりで食べているグループがいた。このお店、もりそばとざるそばは「一人一合」から先、お好みにあわせて自由に量を増やすことができる。なので、おそらく「一升」くらいの単位で注文をしたのだろう。やるなぁ。

場所が場所だけに、徒歩で訪れることができる人は誰一人いない。
なので、お酒を飲むとなると「誰が帰り道のハンドルを握るんですか?」問題が勃発する。みんなが酒飲みの場合、これは大変に悩ましい。でもそんな客の悩みを笑い飛ばすかのように、一品料理もいろいろございます。

お客さんが頼んでいる色とりどりな料理を観察しているだけでも楽しいお店だ。
客の回転率はとても低いように見える。注文から料理が出てくるまでにある程度時間がかかる上に、量がそれなりにしっかりあるので食べ終わるのに時間がかかる。そして、客席はたくさんあるようにみえて、思ったよりも多くない。なるほど、道理で混むわけだ。
蕎麦専門店ではないので、厨房では蕎麦を茹でたりからあげを揚げたり麻婆豆腐を作ったり、大変だろう。そりゃあ、料理提供スピードはなかなか上げられないだろう。
さて、肝心の僕だけど、お目当てだった「ニラそば」がメニューには載っていなかった。やられた。
不人気だからメニューから落とした、とは思えないので、ニラが美味しい冬だけの限定メニューなのかもしれない。このお店でニラそばを食べた、という口コミは見かけたことがあるので、昔は確実にやっていたはずなのだけど。
途方に暮れたけど、気を取り直して「もりそば 550円」と「旬の野菜天(一口盛り) 300円」を頼んで「天せいろ」状態にしてみた。「旬の野菜天」のノーマル版は600円なのだけど、半額で「一口盛り」というのがあるのがありがたい。
でも、出てきたのはしっかり一人前としては立派すぎる量の天ぷら。一口盛りを選んで正解だった。
そういえば、先ほど訪れた「佐野屋そば店」のお品書きにあった「鹿沼そば」は、「粕尾・粟野産蕎麦粉」を使っていると謳っていた。この大越路がある山の北側が粕尾・粟野地区なので、このあたりは蕎麦の産地らしい。
蕎麦の味もさることながら、「こんな行き止まりの峠道に蕎麦屋があるなんて!しかも大繁盛!」というシチュエーションに相当萌える。楽しいひとときを過ごすことができた。
コメント