戦利品をいったん自分たちのテントサイトに持って帰ったのち、再度センターハウスへと向かう。センターハウス脇には風呂場があり、木曽御嶽山を眺望できる露天風呂が用意されているからだ。風呂の名前は「御嶽の湯」。もちろん温泉ではないが、キャンプで風呂に入れるのはぜいたくな話だ。
キャンプをやっていると…特にたき火をやっていると、細かい灰が頭に降り積もるし、体中が煙臭くなる。だから風呂はありがたい。あと、時間的余裕が相当できる2泊3日のキャンプともなれば、風呂に入るというイベントで1時間程度を使うというのは恰好の暇つぶしだった。
明日がキャンプ場今シーズン最後の日、ということもあって、キャンプ場スタッフが主催する閉場イベントが開かれた。きのこ鍋と熊鍋を振る舞うんだという。われわれは風呂道具とともに食器類を持参しておいたので、風呂上りにそのままイベントに合流。
具だくさんのきのこ鍋。豆腐、ネギ、厚揚げ、かまぼことともにきのこがいっぱい。かまぼこは、富山名産の「ぐるぐる渦巻き状のもの」だったのがちょっと珍しい。
熊鍋。熊肉はさすがに量が多くないので、味については覚えていない。
芝生の広場にわれわれは陣取り、ビールで乾杯!秋の味覚狩りで山を駆け巡り、そのあとお風呂に入り、そして今こうしてきのこ鍋を食べる。これでビールがまずいはずはない。どうだどうだ、うっしゃうっしゃ、とビールが喉を駆け抜ける。いやもう、そう来られたらひれ伏しておビール様に敬意を表するしかない。
きのこ鍋もとてもおいし。これでもかときのこが入っているので、出汁でまくり。うひゃあ。
鍋を満喫するアワレみ隊の人々。
テントサイトに戻り、たき火を囲む。日が暮れたらぐっと急激に寒くなるから、たき火は必須だ。
鍋を先ほど頂いたばかりだが、夕食としてはやや量が物足りないので、たき火を囲みながらあれこれ焼いたり調理したりして食べていくことにした。
まずは、バーベキュー串にソーセージを刺し、直火にあぶってみた。近づけすぎると焦げるし、遠いと熱が伝わっているのかどうかおぼつかない。しかも火は常にメラメラと動き続けているので、ベストポジションが難しい。でもそれが故に結構楽しいアトラクションとなった。
ばばろあ料理長が何やらごそごそし始めた。「ありもので適当に料理を作る」という。
ありものといっても何があったっけ。きのこだけは山ほどあるけど、あれは汚れを落とさないと食べられないので、この暗闇では無理だ。
ばばろあはてきぱきと食糧庫をあさり、フライパンとガスストーブを足元にスタンバイした。
茄子を刻み、火を通すばばろあ。
そこにピザのときに使って余っていたとろけるチーズをまぶし、茄子チーズのでき上がり。
一同うまいうまいと絶賛しながら食べた。
フライパンがカラになったところで、次の料理。玉ねぎの皮をむいて食べやすい大きさに切る。
そこにこれまたピザで余っていたピーマンを混ぜ、炒める。味付けは塩胡椒で。
これまた美味いと好評。
「ばばろあ料理長の名誉挽回だな」
「味噌バナナを作ったときはどうなることかと思ったが」
そう、彼は粟島天幕合宿の際に味噌バナナという珍料理をこしらえ、そこで彼の名声を大いに傷つけることになったのだった。しかし今回の即席料理で一気に株価上昇となった。もちろん作った料理は大したレシピではないが、ありもので即座に料理をこしらえたその機転が素晴らしかった。
食事の後は、たき火を楽しむ。
相変わらずオガライトは強烈な火力なので、全員火に近づいたり遠ざかったり、表を向いたり裏を向いたりして体の温度が均一になるようにした。焼き魚を焼くには「遠火の強火」、という言葉がよくつかわれるが、強火というのはこういうのを指すのだなとつくづく実感。
最後、火が自然に弱まるまで見届け、消火。
火を放置してボヤを起こしたりするのだけは避けたいところ。
火が消えたところで二日目終了。おやすみなさい。
2002年10月14日(月) 3日目
三日目の朝。
昨日の朝ほど冷え込みはなく、霜が降りるということはなかった。でも、相当寒い。キャンプ場が店じまいする理由がよくわかる。
今回も錆びるダッチオーブン。
アワレみ隊の場合、ダッチオーブンが錆びても動じない。こんなもんだとすでに登場2回目にして達観している節がある。
それにしても、昨日の朝にバノック、昼にピザを焼いただけであり、水気とはあまり関係のない調理だったのだがきっちり錆びるんだな。見た目によらずデリケートな鍋だ。
朝からばばろあがきのこと格闘中。
まずきのこについている泥や落ち葉などを丁寧に洗い流し、そのあとざっくりと刻む。
あとは鍋に入れて煮込む。
手が空いている人たちは、さっそく撤収準備。特に急ぐ必要性はないのだが、片づけられるところから順次片づけていった。ただ、テントはびっしょり夜露で濡れているので、それを乾かすのに手間取った。
すすきにミドルキックを叩き込んでいるひびさん。ぴょこぴょこ揺れるすすきは、蹴りの練習をするのにちょうど良い相手なのかもしれない。
きのこ鍋の完成。味付けは味噌。
余っていた玉子は目玉焼きにしてみた。
きのこ鍋を食べる一同。
昨日の醤油仕立てとは異なり、こっちの味噌味は濃厚。
あと、きのこがしこたま入っていて、箸をお椀に突っ込むと必ずきのこと遭遇してしまう状態。さすがに食べ進んでいくうちにきのこが邪魔になってきたくらいだ。
ちなみに味噌は木曽福島で買ってきた食材の中には入っていなかったが、きのこ大収穫をきっかけにキャンプ場のセンターハウスで購入した。もちろん無印良品ブランドのものだ。でも、これ一回だけの使用だったので、味噌が余って困った。キャンプ最終日は食材および調味料をどう処分するか(誰が持って帰るか)が議論になる。
きのこ鍋の量が減ったところで、油揚げときしめんを投入。鍋のシメとしてきしめん様の登場。朝からものすごい量だ。とてもじゃないが4人で食べる量ではない。食べ過ぎだ。
ダッチオーブンを入念に火入れするばばろあ。火をかけて完全に乾燥させたのち、油を塗って新聞紙でくるんで完成。
お日様のおかげで夜露が乾燥したテントをたたむ。
これにて南乗鞍キャンプ場での天幕合宿、終了。今シーズンはもう終わりなので、来シーズン以降のキャンプ開催を楽しみに待とう。
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