桃の木温泉

ただ、なんとなく

日 時:2006年(平成18年) 07月01日~02日
場 所:桃の木温泉別館山和荘
参 加:おかでん、しぶちょお、ひびさん (以上3名)

ただ、なんとなくなんである。

なんとなくしぶちょおと話をしていた。

なんとなく「どこか一泊してゆっくりしたいね」という話になった。

なんとなく「キャンプは今から準備するのは無理だし、温泉だね」ということになった。

なんとなく・・・なんである。この後延々と「なんとなく」を接頭語にする言葉が続くが、冗長なので割愛しておく。まあ、そんなわけでやる気満々なわけでもないけどせっかくの週末は温泉に浸かろう、という事になり、やる気はそんなに無いのでおかでん@東京としぶちょお@愛知の中間地点の山梨あたりで宿を探すか、ということになり、マニアックな温泉宿にあちこち電話をかけて「空室ありますか」と聞いて回る気力はないよね、ということになり、すんません句点が長いですね。読みにくいですね。

いったんここで改行。

まあ、結局楽天トラベルで温泉宿を見繕って予約したんである。宿を直接提案したのはしぶちょおだったが、その宿自体は以前から僕も目をつけていたところだった。しかも、最近「日本秘湯を守る会」の会員宿になったようだ。これは好都合。スタンプ1個押してもらおう。双方合意のもと、「桃の木温泉別館山和荘」というところに予約を入れた。

(後ほど、精算時に宿の人に指摘されたのだが、秘湯を守る会スタンプは直接予約もしくは朝日旅行会経由のみ捺印してもらえる。当然楽天トラベル経由だとスタンプはもらえない。それを知って激しく落胆したワタクシ。ちなみに知らない人のために補足説明しておくと、秘湯を守る会会員宿のスタンプを10回分獲得すれば、1泊無料招待の権利が得られる)

と、段取りが決まったのが前日の夜12時頃。まあ毎度の事だ、ネット万歳。前日深夜でも予約が取れるし、ネット地図見ながら行程検討できる。しぶちょおもおかでんも、二人とも肩で電話の受話器を挟み、両手でPCをタイピングしてwebから情報収集をしつつ会話を進める。まさに21世紀型遊びプランの立て方だ。

そんなわけで、「なんとなく宿が決まって、なんとなく一泊二日の旅になるんだなあということを実感しつつ」床に就いて目が覚めたらさあ出発準備だ。小笠原遠征の時は、一カ月くらい前から宿をどうする、とか船の便が確保できねぇ!と大騒ぎしていたことを考えると雲泥の差だ。当然、モチベーションも雲泥の差だったりする。

ま、いいんじゃないですか、ほんわり、のんびり週末を過ごす・・・気がついたら温泉で。ということで。

2006年07月01日(土) 1日目

七夕の短冊

JR中央本線韮崎駅で待ち合わせ。

合流後、まず最初に買い出しをすることにして、駅前のスーパーに入る。

スーパーには笹が飾られてあり、色とりどりの短冊がぶら下げてある。

そうかぁ、もう七夕が近いんだな。

感慨深く眺めつつ、どのようなお願いがしてあるかチェックしてみる。

子供が書いたものが多く、「べんきょうができますように」といった無邪気なものが見受けられる。微笑ましい。

韮崎のあくま

しかし、ところどころ変なものも混じっているぞ。「韮崎のあくま」って何だ。韮崎、という難しい漢字は書けたけど「悪魔」という漢字は無理だったところを見ると小学校高学年までは行ってないと思われるガキンチョが書いたと思われる。何を書いておるのだ。それはともかく、あくまをどうしたいのかがわからん。自分があくまになりたいのだろうか。韮崎の地でも悪魔崇拝があることに驚きを禁じ得ない。

というのは冗談だが、だとしても一体この子供は何をお願いしたかったのかよくわからないままだ。

電車に間に合いますように

神社に行くと、絵馬に何が書かれているのかチェックするのが楽しい、という下世話な趣味は誰しもあるものだ。それと同じように、いろいろある短冊を見ていたら、やはり中には変なものが混じっている。その一例がこの写真。「電車に間に合いますように」だって。いや、そんなの書いてる暇があったら駅に向かって走れ!まだ間に合うぞ!

多分、この子は電車乗り遅れを何度も経験しているのだろう。大都市と違って、一本乗り損ねると次の便までは随分と間隔が空くはず。それで悔しい思いをしたに違いない。七夕でお願いする事かどうかはこの際置いておいて、なんとも実感がこもった願いであると感心したのであった。

桃の木温泉

もろもろの買い出しを済ませ、山中に分け入っていく。

桃の木温泉は、南アルプス北部の山(北岳、鳳凰山、甲斐駒ヶ岳など)の登山口となる広河原に行く途中にある。南アルプス林道という凶悪な道で、以前僕はダンプカーとのすれ違いで路肩ぎりぎりを走行したため、車のフェンダーとバンパー、ドアミラーに思いっきし擦り傷を作った事がある。レンタカーだったので事後処理が面倒なこと面倒なこと。事故証明書を警察に発行してもらうときの気まずさといったら。

ちなみに今は車両通行止めになって、輸送バスによるパーク&ライド方式になった。土砂崩れで道がふさがったりさんざんだったので、一般車両の通行は危険と判断されたのだろう。

で、桃の木温泉に話を戻すと、その一般車両通行止めゾーンの手前から枝道に入りしばらく進んだところにある。周囲には何もない、一軒宿だ。

それにしても、不思議なことに今回宿泊するのは「桃の木温泉『別館』山和荘」だということだ。本館ではないのだ。日本秘湯を守る会に加入しているのも『別館』であり、桃の木温泉そのものではない。不思議なことだ。別館しかクローズアップされていない。

実際、ネットで調べてみても、別館ばかりがヒットして本館がでてこない。どうなってるんだ、ここは。オフィシャルwebサイトも、別館だけは存在している。宿のオーナーからも本館は見捨てられたのか。それとも本館は存在しないのか。

古ぼけた建物

あ。

橋を挟んで見えるやや古ぼけた建物が本館ですか。

別館の新しさと比べると見劣りするのは当然としても、全然問題ないレベルだと思うけどなあ。

宿泊客がいるのかいないのかわからない。人の気配はあまり感じられなかった。

・・・今気がついた。「一軒宿」ってさっき書いたけど、本館と別館があるから「二軒宿」が正解だわ。

「しかしだな、この別館新しくて建物も普通で、秘湯!って感じじゃないんだよなあ」

立地条件は確かに山中の枝道のどん詰まりにあって秘湯っぽいけど、JRの駅から車で移動すれば比較的近いのと、建物が今風なデザインなのでちょっと拍子抜けなんである。

あ、でもマイカーでないと来ることができない、という点では秘湯かも。というか、秘湯の定義ってなんだよ。わけがわからなくなってきた。

「まあいいか、ただなんとなく。」

今回のテーマは「なんとなく」だから、なんとなく秘湯でも構わないじゃあないか。

「歓迎」の札

日本秘湯を守る会の会員宿だと必ず見ることができる、提灯が玄関先にぶら下がっていた。その脇には、これまた旅館でよく見かける「歓迎」の札。ただ、この札が5枚しかないにもかかわらず、この日は12組の宿泊があったため、強引に歓迎しまくりだった。

律儀というか、ヘンというか。

でも、こういうところに自分の名前が書いてあったら、ちょっとうれしかったりすることも事実。

旅館(及び観光ホテル)独特の文化だよな、この「歓迎○○様御一行」という札は。居酒屋で宴会用お座敷入口にこういうのがあっても良いと思うのだが、やっているのはみたことがない。

部屋の中

われわれの予約名はよりによって「1枚の『御一行様』札」に4組分の名前が張り付けてある状態だったので、

「1/4の歓迎だなこれだと。まあ、なんとなくの旅なのでなんとなく許す」

なんて冗談をいいながら部屋に通してもらう。

われわれが宿泊する部屋。

3名宿泊であることを見越して、ちゃんと座椅子は3つ用意されていたが、3つ目はお誕生日席になるんだな。2対1の対面配置になるかと思っていたんだけど、ちょっとこの光景は新鮮。

桃の木温泉の浴室

桃の木温泉の浴室。

アルカリ性単純温泉ということで、Ph9.2。しかし、それほどぬるぬるするわけでもなく、気軽に入ることができるお湯だ。

写真手前の小さな湯船に源泉が流れ込んでいて、奥の大きな湯船にその「上澄み」が流れるようになっている。なぜこういう作りになっているのかは謎。

露天風呂

露天風呂。

webサイトだととても広い印象を与える写真だったのだが、実際はそれほど広くは無かった。こういうのって、プロのカメラマンが撮影するとホント上手く撮影するんだよなあ。

とはいっても、露天風呂が狭いというわけではなく、快適な広さではあったが。

小笠原原人

裸族である小笠原原人がこの年の5月に発見されたばかりだが、2カ月後には今度は桃の木原人発見。小笠原原人と同じく、裸族だ。姿がとても似ているが、山梨県という山中と、東京から1,000キロも離れた孤島の小笠原でどうしてこうも近似した外見の原人が登場するのか、全くの謎だ。

学術的に研究する価値はあるかもしれない。

いや、時間の無駄だと思うけど。

その桃の木原人だが、恥じらいを知っているのか、股間を押さえつつ非常階段を下りてきて、そのままどこかへと逃走していった。われわれ取材班の捕獲作戦は失敗に終わったのだった。それ以降姿を見せることはなかった。

さあ折角だ、女性露天風呂を覗こうじゃないか。この露天風呂は、その気になればお隣を覗くことができなくはない作りになっていた。ラッキー?

ちなみに、実際に覗くことなんぞするわけがない。当たり前だ。もし女性がそこにいて、「きゃーっ、痴漢!」なんてことになったら警察沙汰になりかねん。「女性風呂を覗き見し逮捕、職場を懲戒解雇」なんて事になるリスクを背負ってまで覗くメリットなどどこにもない。それくらいの分別はわれわれだって持っている。しかも、覗いたらおばあさんがいました、という精神的ダメージを負うリスクも考慮しないといかん。

いや、ありえるとすれば覗いた先にいるのはひびさんか。それはそれでどういう気持ちになれば僕としては正しいのか、非常に難しい局面だ。

ガッツポーズ
ぐったりするしぶちょお

風呂上がり、夕食までの時間をのんびりと過ごす。早くチェックインすると、この時間があるのがうれしい。

昔のアワレみ隊といえば、夕食時間ギリギリまで活動を続け、「すいません夕食はできるだけ遅く開始にしてください」と宿にお願いしつつ、わっせわっせとお風呂に入って、せいやせいやと食事会場に向かう・・・というパターンが常態化していた。

しかし、最近のアワレみ隊は堕落した、というか落ち着いたというか、「夕食前ののんびりとした時間こそが宿泊で最高のひととき」という信条に切り替わってきている。だから、チェックインはできるだけ早くしたいと思っている。

それは、酒飲みおかでんにとって特に深刻な意味がある。夕食時酔っ払ってしまうと、その後はダウンしてしまう可能性有り。食後ゆっくりできる保証がない。だからこそ、夕食前の時間は貴重だ。

冷蔵庫チェック

おっと、夕食前に確認しておかないといけないことがある。

冷蔵庫チェック。今晩の食事は部屋出しということなので、冷蔵庫の中身を見ておかないと。

あ、ドリンク類は既にストックされているタイプの冷蔵庫ですね。引っこ抜いたら、お会計時にちゃんとその分積算されているという昔ならではのタイプ。

値段表

値段表を確認してみる。

なぜか赤まむしドリンクがおいてあるようだ。そんなものまで置くのか。ニーズがあるというのか。

ちなみに肝心のビールは700円。うお、高い。

同じくビール飲みのひびさんと

「高いな」
「高いですね」

と頭を付き合わせて相談する。

「瓶のサイズ、サイズは何だ?」
「中瓶だと思われます」
「ということは500mlか。それで700円は高いな」

ジュース自動販売機

早速酒飲み連中は1階ロビーにあったジュース自動販売機の確認に向かった。確かここでもビールを売っていたはず。

あった。

えーと、350mlで400円か。これも高いなあ。「1ml=1円」というのが旅館におけるビール価格の標準だが、時々その常識を悪い方向に覆してくれる宿がある。ここもそう。まあ、交通の便が良いわけでもないし、仕方がないか。

ここでも相談が始まる。500ml=700円と、350ml=400円はどっちがお得なのか、という暗算。

山積み缶ビール

まあ、計算するまでもなく缶ビールの方が安い。

というわけで、夕食が配膳されるまでには既に山積みのビールが部屋に運び込まれていたのであった。

同じ事を考える人は他にもいるようで、われわれが購入した前後でもビールをガコンガコンと自販機から購入している人が。缶ビール、売り切れるぞこれじゃ。

こうなってくると、冷蔵庫に入っているビールの製造年月日が気になる。ひょっとしたら随分古かったりして。

でも、お金を持っているおじさまなんて気にしないのかね、こういうの。「夕食でビール飲むべえ。よし、冷蔵庫から一本抜こう」の一言で高いビールをお買い上げありがとうございますになるのかも。

究極的にはビールをお店で買って宿に持ち込むのが一番安いんだが、さすがにそこまでやったら仁義に反するんじゃないかという気がする。

・・・というか、部屋食だと最初から判ってたら買ってたかもしれぬ。食事処での夕食だったら、さすがにビール持ち込みはチャレンジャーすぎてできない。だからビールの事前購入はしていなかったのだが・・・。

お楽しみの夕食

さて、お楽しみの夕食だ。

お膳の上にどうやって料理を配置しようか、というパズル的配置。皿数が多いので、適当に配膳すると溢れる。

その結果、鉄板焼きのたれ(右上端)より手前にデザートのメロンが来てしまうという苦肉の策。面倒がって、たれの器を手にしないで、そのままの位置で肉や野菜をたれにつけて口に運んだら、恐らくメロンにたれがかかってイヤーンな事になる。

しぶちょおが喜んでいる

さあ食事だ。

しぶちょおが喜んでいるのは、料理の数々のうちウナギがあったからだ。

・・・いや、そんなにウナギ好きではないと思うが、カメラを向けられるとこういうポーズを取ってしまうあたり、「ますゐ詣で」の時と同じパターンだ。

鮎の塩焼きで魚系はもう十分だろう、と思わせておいて「まだまだ!ウナギも出すぞ!」というあたりこの宿はくせ者だ。

ちなみにしぶちょお、ウナギをご飯の上に乗せてもりもりとご飯を食らっていた。

ひびさんはビールを両手に持ち写真に収まっている。この人は、ジョッキをのむときでも、まるで目上の方からグラスにお酌をしてもらった時のように両手を添える癖がある。「何で?」と聞くと、「いや、なんとなくこうなっちゃうんですよ」と言う。別にジョッキが重いから両手で、というわけではないようだ。

スパークリングワイン

ビールは事前購入していなかったが、食後の部屋飲み用としてスパークリングワインはあらかじめ買ってあった。ひびさんがスパークリングワインを好むということだったので、購入したものだ。

食後、このスパークリングワインを開ける。食事にビール、食後にスパークリングワイン。おなかが風船になりそうだ。

貸切家族風呂

1階ロビー奥に、貸切家族風呂がある。特に追加料金は必要なく、空いていれば「入浴中」の札を下げておけば入ることができる。

貸切家族風呂の内部

夕食後、何度か突撃してみたがその都度「入浴中」の札を前に撃墜されてきたわれわれだったが、さすがに夜11時半になると空きができた。早速中に侵入。

これも写真の妙、ってやつで、オフィシャルサイトで見るとすごく広い感じに見えるのだが、実際はカメラで撮影しようとしても湯船の全景写真が撮れない。多分プロの撮影は広角レンズを使っているのだろう。

浴槽

考えてみれば、家族風呂なので、広いわけがないんだが。広さとしては、恰幅のあるおかでんとしぶちょお2名が湯船に浸かって丁度良い広さ。過不足はない。

「ひびさんも入る?貸切だよ」

「いや、さすがにそれは」

ひびさんは入浴を拒否。そりゃそうだ。

貸切風呂にも入ったことだし、お酒も飲んだし、さあ寝ますか。明日の予定はなーんも決まってないけど。

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