伊豆半島あてもなくうろちょろ
日 時:2006年(平成18年) 09月17日~18日
場 所:湯の花温泉、磯の湯、稲取朝市、ベアードブルワリー
参 加:おかでん、しぶちょお、ひびさん (以上3名)
「いやあ仕事がピークでねえ、もうたまらんのですわ」なんて愚痴をしぶちょおとしていたら、しぶちょおも同じ状況だという。で、僅かな間隙を縫って、伊豆のホテルを予約し、一泊するつもりなのだという。週末を体力温存ではなく、伊豆まで繰り出そうとしているそのしぶちょおのガッツに力無く拍手し、「いやー凄いねえ、それくらいの気力・体力が欲しいヨ僕も」なんて話をしていたのだが、「じゃ、来る?」といざ話しかけられ、「へ?僕も?」
そう言われて「いやー、週末は体力蓄積しなくちゃ。来週大切なプレゼン控えているし」なんていう模範回答を持ち合わせているおかでんではなかった。「でも泊まる宿、どうしようかね、別々になるなあ」なんてことになって、何だオレもきっかけさえあれば前向きじゃん、という事実に気づく。
急に決まった話でもあり、しぶちょお・ひびさんが泊まる宿にエキストラベッドを入れての宿泊は不可能だった。しゃーないので、近隣の宿を素泊まりでじゃらん経由で予約。伊豆高原なので、オシャレーなペンションも多いのだが、渋い宿で一泊5,000円くらいのところで今回は勘弁。多分寝るだけになるだろうから。
寝る、かあ。最近熟睡もできていないんだよなあ。旨いもの食って、お風呂入って、熟睡したいのぅ。よし、決まりだ。今回の旅は「熟睡するため」のあらゆる体が喜ぶことをしよう、と。単に酒呑んで酔っぱらって寝る、なんてのはダメだ、良い温泉で体を疲弊させ、旨い魚で胃袋を喜びで痙攣させ、そして静かに床につく。これで行こうじゃないか。
2006年09月17日(日) 1日目
とはいってもなーんも具体的なプランはないのですよ、例のごとく急に決まった旅行なんで。最近のアワレみ隊旅行の定番ですな。大抵、前日の深夜とかに具体的集合場所や「とりあえずこれだけはやっておこう」的なものが決まるってのは。
今回、「食事」にも力を入れる予定で、しぶちょおと電話でしゃべる傍らネットでぐりぐりと伊東~伊豆高原界隈を検索し、いくつか候補をあげていた。「ここでお昼を食べてー、ここで夕ご飯を食べてー」
それ以外は結局何も決められず、ご飯を食べる場所だけ決まったまま、集合場所の三島駅へGO。
「急に決まった旅行」というのは、こちらとしてもモチベーションをなかなかあげにくいところだ。一週間以上前から決まっていれば、「よーし、楽しみだぞぉ」って事になるんで、少々奮発しようという気にもなるのだが、前日決まった旅行なので「ありゃー、急な出費じゃのぅ」感の方が強い。
・・・というわけで、三島だったら新幹線に乗れば早いのに、わざわざ東海道本線に乗ってゴトゴトと現地へと向かう。
三島駅で、名古屋からやってきたアワレみカー及びしぶちょお・ひびさんと合流。
「さて、まずは昼飯・・・だよな」「まあ、そういうことだ。というか、それしか決まっとらん」
車は、伊東方面に向かって行った。
途中で見かけた、大変に怪しいお店。
ガソリンスタンド・・・?
の外観なんだけど、ガソリンスタンドではない。何だ、ありゃあ。
あっ。
「そば de 十割」「かけそば もりそば」
って書いてある!
この店、廃業したガソリンスタンドの跡地をそのまま居抜き(って言い方でいいのか?)で使って蕎麦屋にしちゃったんだ。強引だなあ。
給油スペースがそのまま屋根付き駐車場になってら。
しかも十割そばを出そうっていうんだから驚きだ。
でも、どこで食べるんだ?立ち食いか?
そんなわけないよな。
ガソリンスタンドの場合、オイルが陳列してあったりワイパーが置いてあるような、待合いスペースのところに何やら似つかわしくない白い暖簾が下がっていた。
ここまで怪しい蕎麦屋、初めて見た。
「ものは試しに食べてみたい気もするのだが・・・」
「ダメだ、われわれのお昼はカウボーイズに行くことに決まっているんだから」
「だよなあ。それにしても気になる」
その栄えあるお昼ご飯の対象として事前に抽出されていたのが、「カウボーイズ」という伊東の外れにあるステーキハウスだ。
味、値段、親父のキャラ、店の雰囲気、盛り、全てにおいて大変に最高だという話をネット上で頻繁に耳にしていた。
何も僕ら、名古屋と東京から来て置いて、伊豆半島でステーキを食うこたぁないじゃないか、と思う。最初、ネットでお店選びをやっていたしぶちょお・おかでん共にそういう会話だった。(電話とネットを使いながら、同時並行で二人でお店や行き先をネット検索するのが最近の二人の行動パターン)
しかし、あまりに味がありすぎるお店だったので、しぶちょおが
「ここに行くしかないだろ」
と一刀両断したのだった。
「確かに。ここまで挑発されてしまうと、何だか行かないとスゲー後悔しそうな気がする」
いや、そんなにスゲー店じゃないんであらかじめけん制しときますけどね、デカ盛りの店でもないし、普通のステーキハウスっすわ。でも、何だかビシバシ、アワレみ隊が好みそうな雰囲気を醸してるわけですよ。
とかそういう話をしているうちに、おっと見えてきたぞカウボーイズ。「味の大西」という何の変哲もない看板の隣に、何やらウェスターンな出で立ちとフォントを使った怪しい店が。あれが目指すお店だ。
これがカウボーイズ。
一歩間違えると単なるイタいお店みたいになってしまうが、いろんな美術館や博物館が並ぶ伊豆半島の主要街道のこと、こういうのがあっても全然OK牧場だと思う。逆に味があって良い。
この店構えを見て、「これぞ血湧き肉躍るということか!」と思った。とにかく、事前にwebであれこれ情報を収集していたので、楽しみだ。
せっかく西洋風の店構えやフォントを使っているんだけど、電柱に掲げられている看板はなぜか毛筆書体で
「旨い!!安い!!カウボーイズ 肉・魚ステーキ」
だって。何だか雰囲気が違うぞ。
というか、カウボーイなのに魚も焼くんか。
看板、力入ってます。「さあこれから伊豆高原方面に向かうぞ」と国道135号の渋滞に巻き込まれている皆様に、高らかにPRしております。
ステーキセット990円、和牛ステーキ1,490円。
思わずよだれが出るぜ。こういう時、お酒が飲めないしぶちょおが居てくれて本当に助かる。ありがとうしぶちょお。この場でお礼申し上げたい。悪いが僕はステーキでビールを飲む。しかも豪快に、カウボーイのように豪快に飲むことを今ここに誓う。
・・・待て、カウボーイってビール飲んでたんか?まあいいか。
このお店の名物は、各種セットのうちの「Eセット」と言われているものだ。
要するに盛り合わせなのだが、ビーフステーキにミニハンバーグ、チキン、コロッケにライスまで付いちゃってそれで990円。非常に安い。近くに高校があるからだろうか?腹ぺこな学生、食いしん坊なライダー、そして僕らにもワクワク夢を与えてくれるセットと言える。
・・・と思ったら。あれれ?
「本日オーストラリアビーフ売り切れました。すみません」
って紙が貼り付けてあるではないか。えー。
このセットメニューのビーフステーキは、オーストラリア産牛肉を使っているということなので、つーことはだ、要するにあこがれのEセットは食えないってこった。
あらどうしましょう。
その他のDセットとかCセットとか見るが、チキンステーキ・・・生姜焼き・・・うーん、Eセットの「これでもか」と盛りつけやがッた感が乏しい。「ライス、ウーロン茶付き」というのもなんとも地味だ。
安い、お徳な和牛ってぇのもホワイトボードに書いてありましたよ。
おー、とはいってもさすがに和牛ってのは高いもんですな、一番安いサイコロステーキでも1,490円だ。1ポンド(約450g)なんて頼もうものなら、3,590円もする。ま、お昼っから1ポンドも食う必要はないけど。
どうすっかなあ。
かといって、これはあんまりだよな。
いくら伊豆半島だからといって、金目鯛ステーキを「カウボーイズ」って店で食らう必要なんて全然ないし。ハムステーキなんてのも何だか悲しい。
やっぱここは、EセットがダメならCセットとかDセットとか、そこらへんで今日のところは勘弁してやらぁ。
っと、忘れちゃいけない、生ビール350円と白ペンキで書かれたこの樽を。
くっそう、挑発してやがるぜ。「Eセット本日オーストラリア牛売り切れ」の看板のすぐ下にこの樽があるのがまた悔しいぜ。でもまあ、安いことはいいことだ、ビール350円とは素晴らしい価格。ぜひこれはもう、どんな料理であっても頂戴します、はい。
店に入るとこんな感じ。西部開拓時代のウェスタンもの映画が好きでたまらねぇぜ、って感じばりばりの店構えだ。ライフルやら、水牛の角やら、ムチやらあぶみやら、とにかくカウボーイを想像させるありとあらゆるものが並んでいたりぶらさがっていたりするのであった。
で、店の奥から出てきた親父もこれまたいい味出しまくり。ヒゲをはやして、テンガロンハットときたもんだ。お前はスタン・ハンセンか。
「ごめんなー。今日はオーストラリアビーフ品切れでさぁ」
うわ、めっさフレンドリー。これぞアメリカンなのか。
「お薦めはね、やっぱり和牛。旨いし、値段では他には負けないよ。東京なんて行ってごらんよ、もう値段の桁が変わっちゃうくらいだからね」
ホントかよ。ちょっとうそっぽいけど、その胡散臭さも含めて味があって大変によろしい。
「肉が大きくなればなるほど、お得だからね。そうだなー、アンタなんて1ポンドが丁度いいんじゃないか?」
えっ、僕ッスか?
「そりゃそうだよ、東京で1ポンドの和牛食べようとしてごらん?一体いくらすると思ってるんだい?もったいないから、ここで食べていきなよ。Eセット出せなかったのは申し訳ないけど、その分旨いもん出すから」
もうテンガロン親父の独断場になってきた。
ひびさんが「私は生姜焼きのセットにしようかと・・・」と声に出したら、
「生姜焼き?やめときな、ここはステーキハウスなんであって、定食屋じゃないんだから。言っちゃなんだけど、生姜焼き食べるんだったら別の店に行った方が安くて旨いかもしれないよ。ここに来たからには、ぜひステーキ食べていってもらいたいねえ」
いや、このおっちゃん面白いわ。文章にするとキツく感じるかもしれないけど、愛情こもったしゃべり方のべらんめえ的口調なので、全然イヤミがない。
結局、ひびさんはサイコロステーキを、しぶちょおは0.5ポンドステーキを、そして挑発に大変に弱いおかでんは「そこまで空腹じゃないんだけどなあ」と思いつつも「もちろん僕は1ポンドで行きます!」なんて宣言しちゃった。
「おう、1ポンドか。でかい肉はうまいぞ。ちょっと待ってな」
「あ、すいません、ついでにビールも」
「ビールね。了解。うちの肉とビールはよく合うからねえ。一つ?二つ?三つ?」
あ、いや、三つも頼んだら誰も車が運転できなくなるんですけど。二つで。
ってなわけで、まずは料理が出てくる前だけど、乾杯。(写真ではしぶちょおがジョッキを持っているけど、実際に彼が飲んだわけではない)
ここはもう、テンガロン親父に乾杯だな。素晴らしいキャラクターだ。
ちなみにこのお店、半セルフサービスになっていて、できあがった料理はカウンターまで取りに行き、食べ終わったらカウンターまで下膳するのがお約束。
さあ、待っているうちにやってきましたサイコロステーキ。
もやしの量もたっぷり、旨そう。1,490円。
こちらはしぶちょおの0.5ポンド。1,690円。
そして、つい調子に乗って頼んでしまいました、おかでんの1ポンドステーキ3,590円。肉には既に切れ目が「ハモの骨切り」状態でついていて、後もう少しナイフで切れ込みを入れたら食べられる、という大変に食べやすい状態になっている。
ギコギコ肉をナイフとフォークでこすっているうちに肉が滑って、もやしが卓上に大放出・・・なんて悲惨な目には遭わなくて済む。
0.5ポンドの肉の料金x2=1ポンド、ではないのだな。0.5ポンドを2枚食べた方が実は安い。恐らく、塊としての肉の部位を確保するためには1ポンドの方が難しいからなんだろう。
それにしても驚きましたぜ、これが旨いんだわさ。塩胡椒が結構キツめに効いている味付けになっているんだけど、それが絶妙に肉汁とマッチ。肉そのものが旨いってのもあるんだけど、味付け最高。しぶちょお、猛烈にご飯を食らって、おかわりをしていた。おかでんはもちろんビールをもういっぱい。
テンガロン親父、すっかりご機嫌で「そうだろう、うちの肉は旨いだろう。ビールにもご飯にもあう」なんて言ってる。
多分、分厚い肉だからということもあるんだろうな、噛みしめると肉の旨みが出てきて、表面の塩加減とちょうど合うんだわ。で、ちょっと口の中がスパイシーだなーと思ったら、白米を食らうもよし、ビールを飲むも良し、大量に添えられているもやしを食らうも良し。
これは素晴らしい。「今後、伊豆に来ることがあったらぜひまたここに来なくちゃいかんな」と三人とも大満足の声をテンガロン親父に捧げつつ、お店を後にした。
ま、もちろんそれなりのお値段はしたわけだが。
さあこの後の予定が全くたっていない。午後いっぱい、何して過ごしましょう。明日の午前も何も予定が立っていないし、どうしたもんかと。
本当は河津七滝にある「天城荘」に行こう、という話になっていた。ここは28種類ものお風呂がある、お風呂のデパートだ。しかし、立ち寄り湯入浴可能時間のリミットを考えると、ちょっと無理そう。雨が降ってる事だし、今日はやめておいた方が良さそうだ。
とりあえず、おかでんが手元に「日帰り温泉」の本を持っていたので、ひびさんに「どっか行きたいところがあったら行こう」と選んで貰った。
「源泉かけ流しで頼むよ。そうすればおのずと候補は限られるでしょ」
「そうはいいましてもねえ」
しばらくうんうん悩んでいたひびさんだったが、「『花いっぱい温泉』ってのがあるんスわ。ここにしませんか?」と提案してきた。しぶちょおが考えていた夕食場所からもそんなに遠くないし、まあそれだったら良いのではないかと。
カーナビでは検索できないので、「どうなってるんだオイ」と伊豆熱川あたりの山道をうろつき続け、ようやく発見しました、「花いっぱい温泉」なんつー名前だ。
・・・だそうで。
泉質には期待できそうだ。
「ひびさん、グッジョブだ」
「えへへどうも」
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