伊豆旅行

旅館の温泉でくつろぐ

宿に戻るとひとりぼっちだ。やることといったら、風呂入って寝る、それだけ。まだ夜は長い。昼は友達と豪快に遊び、夜は一人でくつろぐ・・・そういう旅行もいいのかもしれない。

とりあえず風呂に行こう。温泉だということで楽しみだ。

で、そのお風呂がこちらー。ナトリウム・カリウム-塩化物・硫酸塩温泉、ということだそうで。

気の利いたインテリアになっているわけではないので、お湯を出したければ赤い蛇口をひねれば「じゃーっ」とお湯(温泉?)が出てくる。

宿によくある家族風呂程度の広さではあるが、独り占めできたので満足。ただ、循環ろ過をしていないので、夜遅く入浴した僕にとって何があるかというと・・・

手を湯船の底につける。ぬるっとする。おや、湯の花かな、と思ったら、これまでに入ったお客さんの髪の毛や汚れ。ギャース。風呂からあがるときには入念にシャワーを浴びておかないと。

まあ、そういう事もありつつ、一人静かな夜を過ごし、久々に熟睡できた一晩だった。「熟睡」できたのは本当に久しぶりだ。それだけでも今回の旅行の目的は達成できたようなものだ。

2006年09月18日(月) 2日目

翌朝、アワレみカーで迎えにきてくれたしぶちょお・ひびペアと合流し、稲取朝市へ。東伊豆町役場のすぐ隣の建物が、吹きっさらしの広々としたスペースになっていて、そこにいろいろなお店が出店していた。もちろん、そのほとんどは魚介類を扱っているお店だ。どれも旨そう。

稲取朝市

「お兄さん!見てよこのアジの開きの照りとツヤを!脂が乗ってる証拠だよ!こん中じゃこんないい開き、売ってる所なんて他にないよ!」

なんて威勢がいい。

「他の店なんて天日干しじゃなくて機械干しのところもあるんだから!うちはもうね、全部天日干し!ほら、ここにいるカーチャンが干してるんだから間違いないって」

でも、干物を買うつもりは特になかったので、「ふーん」と感心しつつも素通りしようとしたら、

「他の店で買ったら絶対後悔するよ!ここで買わなくちゃ!他の店はダメ!」

なんて、他店の営業妨害やんけそれ、というような事まで想わず口走っていた。大丈夫か、親父。

でも確かに、ぐるっと見て回った結果、そこのお店の干物の色つやがやっぱり一番色気があったので、結局予定外にアジの干物をご購入。

「すまんな、車の中が少し生臭くなるけど許して」

しぶちょおに謝る。

しぶちょおはしぶちょおで、巨大金目鯛が格安で売られていたので、それを買うべきかどうかで思案中。しかし、このあともう一泊してから名古屋に戻ろうとしていたしぶちょおにとって、生もの購入はさすがに危険すぎた。デカいキンメは大変に結構なのだが、運悪くそれが腐ってしまったら、腐敗臭たるやそれもまたデカい。「煮付けにしたら旨そうなんだけどなあ」悔しがりながら購入を断念。

「おかでん、代わりにキンメを買ったらどうだ」

「えっ、僕?いやもう、一人暮らしでアジ5匹買っちゃってる時点ですでにキャパシティオーバーなんスけど」

おかげさま きんめ鯛あら汁 無料

朝市の奥の方に行くと、

「おかげさま きんめ鯛あら汁 無料」

と書かれた看板が掲げられ、お相撲さんがちゃんこ鍋を作るときに使うかのようなデカ鍋が湯気を噴いていた。素晴らしい、あら汁無料ならぜひここで!丁度良かった、朝食どうしようかと思っていたところだったんだった。

あら汁を頂戴する

ありがたく、あら汁を頂戴する。

この際欲張って、「具」であるキンメのあらをたくさん取るかどうかは経験の差が出るところだ。具がたくさんあった方がいいじゃん、とおもってついついアラをとりがちだが、煮込まれているが故にすでに身ははがれ、骨とかヒレしか残っていないことが多い。

ここは汁を飲むことを主眼とし、アラをたくさん取ろうなんて考えないことだ。余った骨をどこに捨てよう、なんてテーブル上で困ったことになるし。

・・・ということを今回ワタクシ学びました、ハイ。

いろいろ寿司

もちろんタダであら汁だけ貰って帰る、ってぇわけにはいかんでしょう。ちゃんとこの朝市にもっとお金を落としていかないと。

あら汁の横では、「いろいろ寿司」と称して、いろんな寿司がスーパーのお総菜コーナーの寿司よろしくパック詰めされて売られていた。確かにいろいろ適当に詰め込まれていて、数の組み合わせが微妙だ。こっちのパックはイカ中心だな、とかこっちはマグロの赤身が多いね、とか。

さんざん悩んだ結果、いろいろ寿司2パックとさば寿司を購入した。

釜飯

食事用テーブルのところでは、何やら釜飯が湯気を噴いている。これは旨そうだ。でも、炊きあがるまで20分ちょっとかかるんだという。

じゃあダメだね・・・と話をしていたら、親父が

「いいよ、いくつ欲しい?1つでいい?じゃ、それ食べちゃっていいから」

なんて言って、既にできあがりつつある釜を差し出してくれた。え、これ誰かの注文品じゃないの?

「本当は団体さんが来るって話で用意してたんだけどさぁ、30分経ってもこねーんだよね。もういいから、出しちゃうよ。冷めちゃ旨くないからね」

へへー、ありがとうございます。

というわけで、以上朝食は写真の通り、と相成りました。(3人前。あら汁のみは1人前)

あらら。朝市でちょいちょい、とつまみ食いするつもりだったのに、何だか相当豪勢なお魚ちゃん祭りな食事になっちゃったよ。こりゃ朝から景気がよろしいですな。

ちょうど良い炊き加減

釜飯もちょうど良い炊き加減で、おいしゅうございました。海のものよりも、牛蒡や椎茸、竹の子といった山の物の方が量が多かったけど。

こういう時、複数人数での旅行っていいよなーと思う。ちょっとずついろいろな料理をシェアできる。

そうこうしているうちに、お待たせしました、大遅刻していた団体さん来ちゃいましたー。僕ら以外の観光客にも、「いいよどうせ遅刻してるから、食べちゃって」とビシバシ釜飯を提供していた親父さん大慌て。しかしそこは百戦錬磨、

「釜飯はね、炊きたてがおいしいんだから。今から炊くんでちょっと時間かかるけど、その間いろいろ朝市見て回ってきて。戻ってきた頃には、炊きたての一番旨いのが食べられるから」

だって。ははは、うまいもんだ。

中骨部分をあぶって焼いたもの

キンメのあら汁の他にも、こんな無料サービスもあった。炭火でビシバシ、魚を3枚におろした後に残った中骨部分をあぶって焼いたもの。

骨そのものは当然食べられないが、骨の周辺にお魚ちゃんでたまらなく旨い部分である肉がぎっしり詰まっている。「もうおなかいっぱいだよー」と言いながら、骨までしゃぶり尽くした。

公営公園駐車場

さてこの後、大滝温泉にでも行くべえか、鮎の茶屋で鮎料理でも食らうべえか、という話があったのだが、どうもその後の行程を考えるとあんまり塩梅がよろしくない。三連休最終日の午後まで伊豆半島南部に居たら、大渋滞に巻き込まれてしまう。それは楽しくないので、とりあえず修善寺方面に向かって車を走らせてみた。

すると、どうもパターゴルフ場がある公営公園があるということが判明。

「アワレみオープンでもすっか」
「雨降ってまスけど・・・」
「まあ、少々の雨くらいなんのその」

確かに天気は感心できんが、やることがないのでもう腹をくくった。パターゴルフで男と男と女の勝負じゃあ。(変な勝負だな)

駐車場に到着してみたら、車ゼロ。せいぜい、自販機にドリンクを詰めに来たらしいコカコーラのトラックが停まっているくらい。

「・・・何だこの殺風景ぶりは」
「雨が降ってるからだろ?
「まあ、屋外公園だから雨が降ったら何もできないけど、それにしてもこれはあんまりではないか」

疑心暗鬼になりながら公園事務所に向かってみたら、その入口に「パターゴルフは○月○日をもって終了しました」なんて書いてあった。がっくりして、腰から砕け落ちる3人。なんじゃそりゃー。

廃墟となったパターゴルフ場

悔しくて、やることもないので、その廃止となったパターゴルフ場を実際に歩いてみた。

うーん、相当整備されていないらしく、ズタボロになっている。

しかし、自然の高低差が相当にあり、これはかなりの難コースと言える。しかも、間違えて球をかっとばしてしまったら、はるか崖の下まで球が転がり落ちる。

アワレみオープンとわれわれが称するパターゴルフのルールとしては、OBは存在しない。崖から落ちようが、川に沈もうが、そのまま何事も無かったかのようにプレイを続行しなければならない。だから、一歩間違えたら「+100」くらいの大タタキを1ホールでしでかす事だってあり得る。

それを考えると、なんともチャレンジャブルなコースと言えた。

「惜しいねえ、これが潰れてなければねえ」

「なんか適当に球とかバットとか借りられないのかなあ?勝手にやっちまおうぜ」

ただ、さすがにわれわれもいい大人。むちゃするのはやめた。

ベアードブルワリー

さーあ、困ったぞと。おかでんは昼過ぎの電車で東京に戻る予定なのだが、お昼ご飯をどこで食べるかが重要だ。これまで、この旅では結構濃密に食事時間を楽しんできた経緯があるので、ここでヘボい店に行くのはイヤだ。

しぶちょおが知っている沼津のうなぎ屋に向かったが、「アホかこいつら」って車中から思わず悔し紛れの捨てぜりふを吐いてしまったくらい長い行列ができていて断念。

おかでんからは、「風祭(小田原と箱根湯元の間)にある、かまぼこ屋の鈴廣が経営しているブルワリーに行くというのはどうか。揚げたての練り物を肴に、ビールってイカすと思うのだが」と熱烈提案があったのだが、さすがに名古屋組の今後の行程を考えると、小田原までこれから繰り出すプランには賛同が得られなかった。

では、沼津界隈に何かブルワリーパブがあれば・・・もうお魚はいらないしなあ・・・と思案していたら、ああ、思い出した!沼津にはベアードビールのブルワリーパブがあるじゃあないか。

ベアードビール。最近、ちょっと有名になってきた沼津の地ビールで、その名の通りベアードさんという人が醸している。以前、dancyuだったかなんだったかグルメ雑誌で読んだ事があったな、小さなブルワリーだけど、人気があるんだという。そうだ、そこに行こう。

住所を調べて、早速ベアードブルワリーに向かった。沼津漁港のすぐそばだ。

重そうな木の扉があり、BB、というロゴマークが掲げられている。しかし、ガラスの中を覗くと・・・何だか倉庫みたいになってる。しかも真っ暗だ。あれれ。廃業しちゃった?やばい。

TAP ROOM看板

二階に「TAP ROOM」というお店らしきものがあるようだ。何屋だかわからん。ビール瓶がずらり並んでいてお土産用として売られていたり、ベアードビールのロゴ入りタンブラーとかそういうグッズ類が売られているお店だったらどうしよう。

ちょっと不安になる。

建物二階がブルワリーパブ

階段を登って、お店の中を覗く。あ、良かった、ちゃんとしたブルワリーパブだ。ふー。

そういえば、営業時間が平日:17時~24時、土日:12時~24時って書いてあったな。そんな時間に営業しているオフィシャルグッズ屋なんてあるもんか。よく考えれば当然だ。

日当たりもよくとても快適な空間

沼津漁港に面していることもあって、日当たりもよくとても快適な空間。レンガと、木をうまく組み合わせた暖かみのあるお店。

 店内はこんな感じ。

店内はこんな感じ。

黒板にお薦めメニューなんぞが書かれている。

このベアードビール、なんと9種類ものビールを醸しているんだという。スゲー。どれがお薦め?なんて野暮な事を聞いちゃいけない。こうなったらビール好きとして、全部試飲してみないと気が済まない。

同じくビール好きのひびさんの顔色をうかがうと、彼女もファイティングスピリット満載な目をしている。いいぞ。

幸い、このお店は量を3種類から選ぶことができて、「パイント」「グラス」「テイスター」となっている。少量ずついろいろ飲みたい、という人にとってこの「テイスター」という大きさがあるのは大変にありがたい。

ちなみにパイントで700円、グラスで500円、テイスターで250円だった。思ったより廉価。

「じゃあすいません、とりあえず全種類テイスターでください」

どうだ、となぜか胸を張りながら、店員さんに注文。

ベアードビール全種類勢そろい

やってきました、ベアードビール全種類勢そろい。結構このお店、ネーミングも面白いので、せっかくなので全部紹介しておこう。

手前から順に、

ウィートキングエール、ライジングサン・ペールエール、レッドローズ・アンバーエール、帝国IPA、アングリーボーイ・ブラウンエール、黒船・ポーター、島国・スタウト、ベアードびわビール(季節限定)、ミュンヘンスタイル・ヘレス(季節限定)。

とりあえず乾杯

とりあえず乾杯。

端から順にちょっとずつ飲んでいくが、それぞれ味に違いがあって面白い。途中、目隠しをして「利きビール」なんてやってみたが、微妙に正解したりハズれたりして、これまた面白かった。

料理1
料理2
料理3
料理4
料理5

ここのお店は料理もとてもおいしかった。全ての料理において、「あ、旨いねえ」という感嘆の声が出るくらいだった。ビールがすすんでしょうがねぇぜ、という感じではあるのだが、何しろテイスティンググラスの少量であることと、9種類のうち大半は結構クセの強いビールで、なかなかぐいぐいといける状態ではなかった。

ひびさん
びわビール

ちなみにひびさんは「びわビール、案外イケますよ」と言っていたが、おかでんはあんまり受け付けられなかった。

さて、ひととおり飲んだところで、あとは9種類のうちでお気に入りだったヤツを大きめのグラスで飲もうじゃないか、ということになった。僕は何を選んだっけな、レッドローズだったような気がする。ひびさんはアングリーボーイがお気に入りだとか。

ちなみに写真右が「パイント」、左が「グラス」。

ビールのラベル1
ビールのラベル2
ビールのラベル3

このお店、それぞれのビールのラベルがカッコいい。ラベル集めのためだけに、ビールを収集するというのも面白い。このラベルの図柄、グッズにして売ったら結構売れると思うけどなあ。

お手洗いに行ったら、サッシのさんのところに瓶が飾ってあった。もちろん、各種ラベルの。なるほど、部屋のインテリアにもなるなあ。中に芳香ビーズなんて入れてお手洗いに置いたら様になるかも。

お手洗いから出てきたら、ひびさんがビールを何種類かお土産用に買い求めていた。

「ここのお手洗い見ました?ああいう風に飾ってみたいなーって思ったんで」

げんざい、ひびさん家では多分部屋のどこかに、ベアードビールの空き瓶が転がって・・・じゃなかった、陳列されていることだろう。

いやそれにしてもちょっと酔ったぞ。9種類のテイスティング+1パイントのビール飲んじゃったからなあ。

とっても良い気分になりながら、駅までアワレみカーで送って貰い、しぶちょお・ひびの2名と別れた。

急場しのぎ的な、思いつき旅行だったけどいい経験できたなあ。というか、いいもん食ったなあ。お金もそれなりにかかったような気がするけど、まあいいや。熟睡できたし、リフレッシュできたし、いいお酒飲めたし、良しとしよう。さあ、明日からも仕事を頑張ろう。
・・・と思ったら、この数日後おかでんは肺炎にかかり、会社を一週間半も休む羽目になってしまったのだった。人生山あれば谷あり、ですなあ。とほほ。

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