精力つけて岡山巡り
日 時:2008年(平成20年) 04月28日~29日
場 所:郷緑温泉、奥津温泉、小森温泉 他
参 加:おかでん、ばばろあ、しぶちょお(以上3名)
親戚の結婚式で岡山に行く事になったおかでん。その話を聞きつけたばばろあとしぶちょおが「郷緑(ごうろく)温泉にすっぽん食べに行こう」と提案してきた。以前からこの二人から「郷緑温泉」というキーワードは聞いていたのだが、おかでん自身一度も行った事もなければどこにあるのかさえわかっていない。岡山県にあることくらいしか知らない。
「郷緑温泉はいいぞぉ」と熱心に語る二人に対して、おかでんはやや冷め気味。テンションの持っていき方がよく分からないからだ。へえそうですか、という程度。ただ、その熱気に押されてこの企画に乗る事にした。
ばばろあは香川県から、しぶちょおは名古屋からわざわざこれだけのために乗り込んでくる気合いの入れよう。おかでんみたいに「結婚式のついで」というのとは訳が違う。何が彼らをそんなに駆り立てるのか。すっぽんが食べられるからなのか。
すっぽんといえば古来から精力を付けるのに最適と言われる食材。彼らがこれだけ精力的になって岡山入りしてくるのは、その精力効果によるものなのかもしれない。
2008年04月28日(月) 1日目
当日朝、おかでんを迎えにきたばばろあの車。
後部ワイパーにネギがくくりつけられていたのには笑った。ワイパーを動かせば、ネギがゆらゆらと揺れる。もちろん「初音ミク」を意識したものだが、こんなツールが売られているとは意外だった。
ばばろあが言う。「岡山名物といえば『えびめし』だろう」と。はて、そんな話は聞いたことが無い。岡山を第二の故郷としているおかでんでさえ、初耳だ。でも、ばばろあ情報によると「岡山独特のグルメとして君臨」しているのだそうだ。で、今日のお昼ご飯はそれを食さないわけにはいくまい、と。
岡山独自のB級グルメとしては、「ドミグラスソースがかかっているカツ丼」というのは聞いたことがあるが、えびめし?知らん。でも、そんな知られざる名物が身近な岡山に転がっているとは聞き捨てならん。ぜひ行っておかないと。
しぶちょおとの待ち合わせ場所でもあったお店に行ってみると、そのお店の名前は「えびめしや」というものだった。まんまやん。
おかでんは日替わりのAランチ1,000円。おろしトンカツ、えびめし、スローサラダ、スープor味噌汁、ソフトドリンクの構成。
ばばろあはBランチ1,050円。ハンバーグ、えびめし、サラダ、スープor味噌汁、ソフトドリンク。
えびめしというから、冷凍食品の海老ピラフみたいなものが出てくるのだと思っていたのに、黒いライスが出てきてびっくり仰天だ。なんだこれ。
上に錦糸卵とグリーンピースが乗っているのでなんとか色あいは悪くないのだが、それにしても黒い。ウスターソースでも入れているのだろうか。
一口食べてみて納得。ああこれ、デミグラスソースだ。先ほど「岡山にはデミカツ丼がある」と書いたが、岡山人メチャデミグラス好きなのか。くどい味かと思ったが、案外あっさり食べられる。これはなかなか美味い。海老ももちろん入っている。
ただ、トンカツとの組み合わせはどうだろう。これで1,000円はお得としかいいようがないが、どうしてこういう組み合わせになっちゃったんだろう。トンカツといえば白米が欲しくなるところだが、何しろパートナーは真っ黒なえびめしだ。ばばろあに到ってはハンバーグだもんな。ああ白米欲しい。でもえびめしうめぇ。
こちらはしぶちょおが頼んだオムえびめし840円。なるほど、こういうバリエーションもあるのかと感心。
えびめしにはコールスローがつくのが定番なのだろうか?このオムえびめしにもついているが、おかでんのおろしトンカツセットにもついていた。キャベツの千切りがトンカツについているにも関わらず、だ。・・・と思ったら、ばばろあのハンバーグセットには普通のサラダがついていた。コールスロー法則性は特になさそうだ。
せっかくなので、えびめしドアップ撮影。
他の料理と一緒に撮影すると、明るさの関係でえびめしが真っ黒に写ってしまうから。
あらためて見てみるとすごい見てくれだ。ドライカレー、と言われたら納得だが、違うんだなこれが。えびめしですよ、えびめし。岡山のごく一部の人にしか通じないと思うけど。
ロゴマークがちょっと面白い。「ebi X shi」となっている。「えび×し」と読めてしまい、「海老VSし」と、「海老」と「し」が闘うかのような認識をしてしまうが、「×」はカタカナの「メ」を意味しているのだろう。「えびメし」というわけだ。
「食べ過ぎた-」と言いながら次の目的地に向かう。そりゃそうだ、おろしトンカツ食べて濃厚えびめし食べたらおなかいっぱいになるわ。
このまま郷緑温泉に行くのかと思ったら、まだ立ち寄りポイントがあるのだという。
やってきたのは津山市の佐良山駅すぐ近くにある「日本殖生」という会社。
ここにいろいろ海軍に関する資料が陳列されているのだという。ええ?こんな岡山の山の中に?しかも、日本殖生という会社がどういうことをやっているのかよく知らないのだが、何のゆかりでそんなことをやっているというのだろう。謎だ。というより、さっきのえびめしといいよくそんな情報仕入れてくるな、ばばろあ。
目指す「海軍記念館」は日殖の建物の中にある。守衛さんに「見学に来ました」と告げ、中に入れて貰う。なお、この見学は無料だけど、事前予約が必要。その点ぬかりなくばばろあは手配していた。
庭には、戦艦陸奥の高角砲を始めとしていろいろなものが展示されていた。
この手のものには疎いので、解説は割愛。ただ、そのすごさは無知なるおかでんであっても感じる事ができた。
大興奮のばばろあ、ここぞとばかりに写真撮影を繰り広げる。
しまいにはローアングルから撮影だとなって、地べたに寝っ転がって見上げる形で撮影までしていた。
それにしても一企業がどうしてこれだけのものを収集できたのか不思議だ。
庭の片隅には、「この日殖記念館は企業の存続の証であります」というプラカードが掲げられていたので、なみなみならぬ思い入れでこの施設を運営していることがわかる。ありがたいことです。
屋外展示の他に建物内にも展示がある。残念ながら館内は撮影禁止なので、写真はなし。中には「御皇室コーナー」「会社コーナー」「海軍コーナー」などがある。入口にあった解説によると、創業者は16歳の時に海軍に身を投じたらしい。なるほど、だから展示物が海軍関係だけなのか。
御皇室コーナーには皇室の系譜図があったり、海軍コーナーには戦艦の模型の傍らに「海軍さんの麦酒」や東郷平八郎がラベルにイラスト描きされた焼酎が置いてあったり、いろいろ変化に富んで興味深かった。かと思ったらブルーノVz37重機関銃が置いてあったり。
十分見学させてもらって、施設を後にする。
庭にツバキの木が植わっていると思ったら、「寄贈 ホールインワン記念植樹」だって。
海軍がらみの物々しい陳列物にまざって、ほんわりした瞬間。
本日のお宿、郷緑温泉郷緑館に到着。
まるでお城のような石垣が組まれている。天守閣か?いや、天守閣どころか、宿どころか、民家みたいに見えるぞ。あれ、本当に宿だろうか。
ここの温泉は自噴しているそうなので、温泉様のご都合にあわせて建物を建てたのだろう。その結果、やたらと石垣を組まないといけなくなってしまった、と。引き湯をするとか、ポンプアップするなどすれば楽なんだろうが、それをやらないところが郷緑温泉の良心。
石垣脇にある階段をえっちらおっちらと登り、郷緑温泉の建物へ。こりゃ宿の人大変だ、食材やお酒などを運び上げるのはちょっとした強力(ごうりき)の仕事みたいだ。
宿の中に入ると、猪がお出迎え。ぶひ。
この宿、夏はすっぽん料理を出すが、冬は猪料理を出すのだそうだ。その猪料理がまた絶品だそうで、ぜひ一度冬にも訪れるように、としぶちょおとばばろあ2名から強くお勧めされた。
部屋に通される。
シンプルな部屋。壁にはくじゃくの掛け軸がかけられていた。
窓の外を見ると、プールというか、池があった。イワナでも飼育しているいけすかと思ったが、それにしてはどうも様子が違う。よーく見てみると、何かがいっぱい浮いている。目をこらしてみると、これがすっぽんなんだなもう。
「うわあ」
すっぽんがたくさん。すっぽん自体ほとんど見たことがないというのに、こんなに大量なすっぽんを見たのは初めてだ。あれが食卓に上るのか-。
この宿、すっぽんは仕入れるんじゃなくて自分のところで飼育しているのだな。意外だった。すっぽんを自前で調達できる温泉宿なんて日本広しといえどもここしかないんじゃないか?
われわれの宿泊している部屋の隣がどうやらわれわれ専用の夕食会場になるらしい。すでに箸が三膳スタンバイされていた。われわれのすっぽんはもう捌かれているのだろうか?
早速風呂に行く。
風呂場には「ゆ」の暖簾に「男湯」「女湯」と記されている。すなわち、混浴。
自噴源泉なんだから、そんな都合良く男湯と女湯用に二カ所沸いてくれるなんてわけにはいかない。
ただ、無条件混浴という訳ではなく、「入浴中」の札をかけておけば貸し切りにすることができる。逆に言うと、「入浴中」の札がかかっている間は他人様は中に入ることができない。
これはなかなかハードルが高い風呂だ。たとえば、男女ペアの宿泊客がいたとして、男女別に風呂に入ったとしたら、1時間くらいは軽く「入浴中」が続くことになる。だから、宿が満室なんて時に宿泊したら、風呂に入りたくてもなかなか入れない事になるだろう。
日帰り入浴もしかり。先客がいれば、ロビーでひたすら待つしかない。後に予定が入っている人にはこの郷緑温泉はお勧めできない。「待ってでも入りたい!」という情熱がある人に限って、この風呂にトライすべきだろう。
宿泊だったらハードルが低いかと思いきや、ここの湯の入浴時間は「午前7時から午後10時まで」。夜中空いている時を狙って入ろう、なんて事もできないから大変だ。ホント、風呂場の前で待ち伏せして入るタイミングを虎視眈々と伺うしか手がない。
泉温は34.2度。そのまま入るとさすがに寒い。人間の体温より低いから、体温が奪われてしまう。だから、上がり湯が用意されていて、こちらは42度。さすがに上がり湯がないと冬の間は名湯といえども開店休業になってしまう。
泉温が低いので、長湯してしまうのは仕方が無いところ。そうなるとますます回転率が落ち、次の順番を待っているお客さんが「まだか、まだか」とじれてくるという仕組み。ただ、さすがに延々と入られては困るので、日帰り入浴客に対しては「30分500円」という料金設定がされていた。30分単位で課金される温泉というのは珍しい。
泉質はアルカリ単純温泉(低張性アルカリ性温泉)pH9.1。
効能がちょっと面白い。通常の温泉の効能は「疲労回復」「肩こり」などと、そりゃ温泉じゃなくて普通のお湯でもそうだろう、というのがずらずらと書かれているものだ。しかしここのは少しだけ違う。
(イ)皮膚病 (ロ)痔ノ類 (ハ)切傷 (ニ)毛虫ノ刺傷 (ホ)リュウマチス (ヘ)神経痛 (ト)打身 (チ)草マケ
だって。毛虫に刺されたシチュエーションで温泉に入るというのは意外だったぜ。あと、「リュウマチ」のことを「リュウマチス」と表現するのがなんだかカッコイイ。
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