さて、一休みできたということで、今度はさらに丹沢の奥地へと向かってみることにする。
目指すは、丹たくさん。塔ノ岳から1時間ほどの道のりだが、一気に人の気配が薄れて静かな山歩きになる。一般の登山客は、塔ノ岳往復が多いらしい。
なだらかな山肌をぽくぽくと歩く。
人の気配も少ないということもあって、非常に楽しいハイキングだ。
さっきまでが騒がしい繁華街を歩いていたとすれば、今は繁華街を外れて静かな住宅地に入った、という感じか。
・・・うむ、喩えがおかしい。
今回歩いた行程全般に言えることだけど、山肌の崩壊がどこも激しい。山そのものがもつキャパシティを越えた登山客によるオーバーユースなのだろうか。あっちこっちで植物が枯れ、斜面が崩落していた。
この道も、木道が設定されている。要するに、勝手なところを歩かれると自然が破壊されるから、木道の上以外歩くなヨという警告である。
到着。日本百名山丹沢山。
山頂は展望が全く開けず、カタルシスが全く満たされない山だった。
だだっ広い山頂は下草に覆われ、遠足でお昼ご飯を広げるにはちょうど良い広さ。
山頂広場の隅にあった、「みやま山荘」。
いや、さすがにここではビールは買いませんよ。
案内板を確認。
次の目標である蛭ヶ岳まで・・・3.4km。ぐったりしてしまった。
ここまでで結構疲れていたのだけど、あと3.4kmもあると知ると疲れ倍増。
標準コースタイム80分ということは事前に知ってはいたのだが。
気を取り直して、蛭ヶ岳への登山道へ。
一度、大幅に高度を下げてからまた登り返しになる。
「吊り橋か何かを作れ!何だこの理不尽な位置エネルギーの浪費は!」
疲れているから、言っている事がむちゃくちゃである。
避難小屋・・・らしい。
休憩場所のアテにしていたのだが、これを見てやめにした。
学校の体育倉庫の方がまだきれいな気がする。
今来た道を振り返る。真ん中の山が塔ノ岳。
「思えば遠くにきたもんだ・・・」
塔ノ岳からは、逆Lの字型に縦走してきたことになる。
相変わらず眺めは良い。疲れはするけど、手軽に登れるということからここが1500mを越える山だとはとても思えない。何となく裏山を散策しているような、そんな感じ。
丹沢山を越えると、全く人と出会わなくなった。一人で快適な山歩き。
見えてきた。正面の山が、丹沢山系の最高峰・蛭ヶ岳1672.7m。
今自分がいるところから標高差はあまり無いように見えるので、すでに登頂気分。しかし、この後2度にわたるアップダウンがあろうとは。
丹沢は人害も深刻なようだけど、鹿害も多いようだ。あっちこっちに・・・というより、登山道沿いにまんべんなく鹿よけネットが張り巡らさせている。相当徹底されているその様を見ると、よっぽど深刻な事態らしい。
注意書きの看板にはこう書いてあった。
「平地の開発によって山に追い上げられた鹿による採食から樹木や下草を守るために設置しました」
鬼ヶ岩ノ頭。目の前に蛭ヶ岳が見える。
ここからキレットになっていて、急激に高度を下げてまた登り直した先が山頂。
そのあまりに無意味なアップダウンに激しく萎えて、疲れがどっとでてきてしまったの図。
最後、へろへろになりながら登頂。登山口から5時間15分経過の 時だった。
昭文社のエアリアマップだと、標準コースタイムは5時間20分。いくら休憩を挟んでいたとはいえ、シーズン頭ということでスピードが鈍っているようだ。
山頂から宮ヶ瀬湖方面を眺める。
・・・やっぱり霞んでいてよく見えない。
山頂の山小屋、蛭ヶ岳山荘。
入り口にジュースの自動販売機が置いてあって感心したが、案の定動作していなかった。
ビールとポカリスエットを山荘内で買い求めた。ビール、500円。
350mlのビールは、どの地においてもひとまず「500円」というのが値段の最高地点にあるようだ。富士山の山頂はさすがにもっと高かったはずだが、それ以外だと、山小屋だろうがホテル内の自販機だろうが、500円以上ってのは ほとんどお目にかかった事がない。
その代わり、すぐに350mlビールって500円になるんだよな、ちょっと立地条件が悪いところにくると。定価230円なのに・・・。
ここでようやくお昼ご飯。
朝、慌てて家を出発したためにほとんど準備らしい準備ができていなかった。
おかげでお昼ご飯はこんな悲惨なありさま。
カレーパンはともかくとして、酒のつまみだったチーズかまぼこ、非常食のチョコレート。後は先ほど買い求めたばかりのビールとポカリスエットなんである。
ガスストーブを持参して、ラーメンを作るとかすれば結構優雅なお昼ご飯になるのに・・・。
まあ、気分を取り直してビールで乾杯なんである。
「今日二度目の乾杯ですー」。
ごきゅごきゅ。ぐはぁー。喉が痛い。
「やっぱり、山にスーパードライは向かないなぁ。一番搾りがいい」
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