
羽田空港第3ターミナルの最上階に当たる5階にやってきた。エレベーターを乗り継ぎ乗り継ぎ、ようやくの到着だ。
そこにあったのは、意外なことに「EXPASA」のロゴだった。EXPASAを知らない人のために説明すると、NEXCO中日本管轄の高速道路、主に東名自動車道界隈で見かけるサービスエリアの名称だ。
サービスエリアならSAと略されるが、なにせ「EXPASA」だ。パーキングエリア(PA)の概念を併合し、さらにスペシャル感を漂わせる「EX」の文字まで付けちゃった。「全部のせ」どころか、「具が丼からこぼれています」状態だ。
若かりし頃、山陽自動車道や中国自動車道に慣れ親しんできた身としては、「SA=ガソリンスタンドがあって、メシが食える場所がある」「PA=トイレと自販機だけ」という区分けで理解していた。しかし、東京に出てきて、「おい、首都圏界隈だとPAでもメシが食えるぞ!」とびっくりした。「じゃあ、SAとPAの違いはなんなんだ?」と思ったものだ。
それが今度はEXPASAですよ。混乱するからこれ以上ゴチャゴチャしなくていいのに。SAの新ブランドなら、「SA+」くらい地味で全然オッケーですよ僕は。
そんなことを考えていたところ、今度は空港にEXPASA Cafeですよ。もうね、僕を翻弄しまくってる。
そもそもサービスエリアって、テナントを入居させて営業しているものだ。たとえばスタバがあったり。「EXPASA」としてのカフェなんて存在しないと思うんだが、ここではEXPASAプロデュースによるカフェが実在している。
これは面白い、ぜひ中に入ってみよう!と今となっては思うのだけど、この時はあまりの唐突さにびっくりしてしまい、そのまま素通りしてしまった。巨大な施設を探検真っ最中で、理解不能なものを咀嚼できなかったようだ。今思えば勿体ない。せめて冷やかしででも敷居をまたげばよかった。

空港の最上階なので展望台がある。
空港によっては入場料を取る場合もあるけれど、ここは無料。
なにやら、フェンスに大人たちが群がっている。ちょうど飛行機が到着したらしい。
フェンスの網目にカメラのレンズを押し当て、うおおおおお!と撮影しているお兄さんたちが10名以上。結構壮観だった。で、その家族と思しきお姉さんや子供さんが、ベンチに座っているのが対照的。むしろ子供が興味を持つものだと思ったけど、大人が興奮している現場だった。
それもそのはず、フェンスはちょっと高い位置にあり、子供の身長だと飛行機が見づらいかもしれない。
僕も皆さんに倣ってフェンスから滑走路を覗いてみたが、たしかにこれはカメラを構えたくなる世界だ。広大な誘導路と滑走路、そして奥には管制塔と第1ターミナル。こんな広大な平地が都内にあるのか、ということを改めて認識させる構図だった。広い!
そこに飛行機がこっちに向けてゴゴゴと迫ってくるのだから、そりゃあシャッター連射ですよもう。後ろから大きなお兄さんたちを見ていたら、飛行機がターミナルに迫ってくるにつれてみんなつま先立ちになっていくので面白かった。

駐車券のことでちょっと相談があったので、案内所に行ってみた。案内所は2階と3階にあるという。
2階の案内所に行ってみると、そこに人はおらずロボットが待ち構えていたのでびびった。なんだこれ。
しかも、ロボットの前にはマイクスタンドとマイクが設置されている。・・・無人運用なのはわかるけど、これ、人型のロボットを置く必要性ってあるのだろうか?ディスプレイ越しにZoom会議みたいな形にしても、なんなら音声通話のみでも問題ない気がするのだけど。やっぱり「人っぽいモノがあったほうがおもてなし感がある」ということだろうか。
でも、ペッパー君、お前はダメだ。あの飄々とした顔は僕はどうにも好きになれなかった。その点、このベイマックスみたいなロボットは愛嬌があって良い。
で、このロボットに「こんにちは」と声をかけてみたが、全く応答がない。どうなってるんだおい。
何度声をかけても反応がない。「アレクサ!」とか「OK、Google!」と声をかけたら反応する・・・わけがないな。ええと、どうしよう。
カウンターになにやら説明書きがある。読んでみると、「ロボットが応答しなかった場合は、カウンターの上にある電話で呼び出してくれ」と書いてある。なにそれ。結局電話かい。
で、電話して事情を説明すると、「ただいまお伺いしますので少々お待ち下さい」と言われて電話が切れた。えっ、結局人力なのか。
待つこと2分ほど、女性職員がハアハア言いながら走ってやってきた。このカウンターのすぐ近くに事務所があって、そこからひょっこり現れると思っていたのだけど、3階から駆けつけてきたようだった。なんてこった、空港が開店休業状態になっちゃったから、インフォメーションカウンター2フロア分を一人で掛け持ちしているらしい。
駐車券の問題は解決し、事前精算機でお会計を済ませてからクルマに戻る。せっかくここまで来たのだから、近くの川崎大師にお詣りして帰ろう。実は僕、川崎大師には行ったことがないんだ。
駐車場を出る際、精算済み駐車券を手に料金所に近づいたら、ゲートが自動的に開いたのでびっくりした。まるでETCレーンのようだ。えっ、どういうこと?もしかしてタダ?ラッキー!
いや、そんな馬鹿な。僕はさっき事前精算機でお金を払ったぞ。「実はタダだったのに、無駄にお金を払ってしまった」のだろうか。いやそんな馬鹿な。
手元には、精算機に吸い上げらなかった駐車券が残った。これ、どうなってるんだろう。
理解できないまま羽田空港を後にした。
帰宅後調べてみたら、この駐車場はカメラでナンバープレートを自動識別するシステムを導入している、という記述を見かけた。はあ、でもターミナル内で事前精算したときはナンバープレートは入力していないし、どういうことだろう?とまだ理解ができない。
どうやら、一番最初に駐車券を受け取る際、既にそこで駐車券にカーナンバーが登録されていたらしい。全く気が付かなかったけど。で、事前精算機で精算したら、「このナンバープレートのクルマは精算済みだぞ」と把握し、駐車場を出る時は顔パス状態になっている仕組み。へえええ、スマートだな。
でもそんなややこしいことをしないでも、ETCが使えれば手っ取り早いのに。空港施設ならETCの利用を認めてもいいと思うんですがね。
川崎大師にやってきた。「厄除け大師」として知られる真言宗のお寺で、正式名称は「金剛山平間寺」。てっきり「ひらまじ」と読むものだと信じ込んでいたけど、今回この記事を書くにあたって確認してみたら、「へいけんじ」と読むのが正しいらしい。うわあ、これまで全然知らなかった。
このお寺は門前に参道があって、お店が並んでいるという話を聞いたことがある。信心深くはない僕だけど、参道のお店には興味があるので、行ってみることにした。

「やっぱりね、参道を歩いていって、その先にお寺がバーンと見えてくる、ってのがいいんですよ。お寺の裏口からひょっこり入って、そこから参道に抜けていくというのはなんだか勿体なくって」
と言って、クルマは京急大師線の東門前駅付近のコインパーキングに停めた。
京急大師線は「川崎大師駅」というそのものズバリの駅が存在する。でも、地図を見る限り、僕が言うところの「お寺の裏口からひょっこり」パターンのようだった。地図を見てもいまいち門前町がどの界隈に広がっているのかわかりにくいけど、平間寺から東側方面が門前町っぽい。
駐車場からお寺に向けて歩く。東門前駅からお寺までずずずぃと参道が続いていて賑わいがあるのかと思ったが、普通の住宅地だ。ただ、民家だらけではなく、若干それっぽい雰囲気はある。
歩いていると、ジャラジャラと音が聞こえてきた。ああ、パチンコ・パチスロのお店があるな、と思って音がする方向を見てみたら、すごく小さなお店でびっくりした。おう、こんなサイズのパチンコ店、ものすごく久しぶりに見た。まだあるんだな。
なにしろ最近のお店はとにかくデカい。デカさは正義だと言わんばかりだ。それと比べてこの慎ましやかなことよ。駐車場も6台だけだぞ。この光景を見て、なんだか嬉しくなってしまった。

お昼ごはんをまだ食べていないので、見当を付けた店に向けて歩いていく。
本当はお寺の門前につながる仲見世を歩いていきたかったのだけど、お店がそこからずれているので今回は断念。「川崎大師表参道」と名付けられた道を歩く。
道中、くず餅を売っているお店がいくつもあった。どうやらここはくず餅が有名らしい。

到着したのは、そんな表参道沿いのお店、「カシュ-カシュ」。
夜はダーツバーにもなるお店らしい。

14時半までランチメニューがある。
ばくだん丼900円、香草フライ(エビと白身魚)950円など。ポークジンジャーやチキン南蛮は840円だ。
安いと思う。川崎大師のすぐ隣、という場所柄、もうちょっと観光地価格になっているのんかと思ったけどそうでもなさそうだ。
いや、ちょっと前まで、ランチに1,000円近く出すというのはちょっとした贅沢感があった。しかしこの数年で、東京界隈でランチ1,000円超えは珍しくなくなってきた。急速にインフレが到来している気がする。
しかし僕自身のマインドはまだインフレに付いてこれていないので、「えー、1,000円だったら高いから嫌だなあ」という気持ちになる。その点ここはどうだ。いいじゃないか。これくらいの値段なら、僕の財力でもまあイケる。

おそらく、多摩川を越えてここは神奈川県だから、というのもあるのだろう。東京は魔窟だ、物価が高い。その分アルバイトの最低時給も高いけれど。
僕の仕事はもっぱらテレワークだけれど、たまに会社に行くと昼ご飯に困る。社員食堂は社員の出社率が下がったせいで食堂としての魅力を失ってしまった気がする。かといって外食するとなると会社周辺に安いお店が少なく、結局いつも中国人資本の中国料理店ばっかり通い詰めている。
で、僕の出社日というのは曜日が固定されていて、さらにその中国料理店の「日替わりランチ」は曜日によってほぼメニューが固定されている。そのせいで、僕は出社するたびに「チンジャオロースー」か「ピーマンとナスの肉味噌炒め」かのどっちかを食べる羽目になる。700円台で食べられるので全く文句はないけれど、たまにはピーマン以外のものも食べたい・・・。
で、テレワーク日は自宅周辺で手頃なランチを、と思って見渡してみると、案外これも安くはないことに気がつく。もうじわじわと自分のメシ場が追い詰められている気がする。結果的に、肉のハナマサで激安のタイ産鶏肉を買ってきて、昼間っから唐揚げを揚げて食べていたりする有様だ。
贅沢をしていないのに、太る。まったく理不尽だ。

で、このお店の「ばくだん丼」がこちら。
すばらしい!900円で、これ。串カツ2本付きというのが嬉しい。

こちらは香草フライ。おう、お海老様が3本もそびえていらっしゃる。これもいいなぁ。
これからの時代、テレワークで仕事をするのがNew Normalとか言って当たり前になるなら、ちょっと都心から離れた、でも便利な場所に住むのはありだよな。でも、地方移住とか郊外戸建てだとか、できる人はごく一部だと思う。
だって、仕事で打ち合わせをやっている際、「オミクロン株のこともありますし、今後しばらくはNew Normalが続くことになると思われますが・・・」なんて発言が出てくるんだぞ。えっ、New Normalって、不退転の覚悟で働き方をガラッと変える話じゃなかったの!?とびっくりした。コロナが落ち着いたら、Old Normalがまた復活してくる気配が漂っている。だから、おちおち会社から遠いところに住むわけにはいかないのだった。
(つづく)
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