
タケが石の上に乗りたがる。
どうやらそこからジャンプして飛び降りたいらしい。高さはせいぜい、20センチ程度。
親としても安心。
子どもがジャンプしたりドスドス歩くのは、足の骨格に刺激を与えて、自分の足を強くするという本能的なものだと聞いたことがある。
本当かどうかはともかく、マンション住まいの我々は我が息子が家の中を走ったり飛び跳ねるたびに「ちょっと待て!」と静止する日々だ。だから、せめて今日みたいなときこそ、好きなだけドシンドシンと足に刺激を与えてほしい。

長い木の枝を発見して、何やら興奮しているタケ。
こういう長い棒自体が、彼の人生にとっては珍しいものだ。
こんな他愛のない光景を見るだけでも、親としては「そうか、都会ぐらしをやっていると枯れ枝さえも触れる機会がないのか」と驚く。なんて人工的な生活を日々送ってるんだ、僕らは。

小梨平食堂の売店で、夕食の食材を買う。
タケは泥棒猫のようにレジカウンターのところで、今日買うものを興味津々で眺めている。

本日の夕食は焼きそば、そしてワンタンスープにした。

これだけ買って、お会計2,430円。
ドライゼロ350mlが170円というのは場所柄にしてはありえないくらい安いと僕は思うのだが、マルちゃん焼きそばが280円なのを見て、なるほど場所相応だなと思う。
この商品はスーパーの特売対象になることもあるので値段はまちまちだが、僕のイメージとしては168円前後だ。

籠を持ちたい持ちたいとせがむタケ。とはいえ、1キロを超える重さなので、到底持っていくことができない。
引きずっていこうとするので、夫婦で慌てて静止。

ケビンの前の茂みがガサガサ音がする、と思ったら、猿が餌を探していた。
三人揃って、遠巻きに観察する。玄関の入口で。いつでも部屋に逃げ込めるように。
さすがに猿一匹だと、いくら人馴れしていても大人二人相手に急に襲ってこないだろう。でも、1歳半の子どもなら違う。自分より小さな相手だ、ということで襲ってくるかもしれない。
だから、猿と目が合う前にそうそうに部屋に戻った。

18:43
本日の夕食をざざざっと作る。
焼きそばの具は豚肉、玉ねぎ、ピーマン、舞茸。

一応野菜を入れてはいるのだけど、食卓は見事に茶色くなった。

今晩も、作り置きのご飯を温めて、ベビーフードをかけた食事のタケ。しかし、ソーセージがどうにも気になるらしく、手をのばしていた。
ソーセージ、子どもも大人も大好きだよな。どうしてこうも人々を虜にするのだろう?

食後のデザートいろいろ。
どんどんいしが張り切ってあれこれ買い足すので、在庫切れを起こすことがない。
今日のお菓子は「ホテル白樺荘オリジナルケークフリュイ」。
いし曰く、「いろいろ食べてみないと、どれが良いかわからないでしょう?」とのこと。ごもっともです。

こちらは五千尺ホテルの栗バターサンドクッキー。五千尺ホテル、いろいろ出しているな。
そして、バスターミナルのところで売っている、そばおやき野沢菜。

さらには、バタークッキー。「正露丸の箱みたい」と一瞬、思った。
2022年10月03日(月) 3日目

06:34
上高地3日目。本日最終日。
タケはまだ眠っていた。布団から90度横を向いた状態で。
乳幼児ではよくあることだが、寝相が悪くて180度近く回転してみたり、布団から脱出して床で寝ていたりということが起きる。しかしここは標高1,500メートルの上高地。タケが布団から抜け出して風邪をひいてしまっては困る。
そんなわけで、布団と壁との間に、座布団を3枚並べておいた。布団と畳との高低差をなくし、彼が畳に転がり出ないようにするためだ。
そんな親の配慮をよそに、彼は座布団を枕にして寝ていた。

小梨平の森。今日も美しい。カラマツはまだ紅葉が始まっていない。

我々が泊まっているB型ケビンを、入口側ではなく窓側から眺めたところ。
このように視界がひらけているし、人が窓の外を歩けるようになっているので、室内にいるときはプライバシー確保のためにほぼずっとカーテンを閉めていないといけない。
このため、一旦ケビンの中に入ると、トイレのために外に出るときを除いて、アウトドア感に乏しい時間の過ごし方になる。それは欠点といえば欠点だ。

小梨平食堂の建物の近くに、望遠鏡が設置されていた。「奥穂高岳山頂」という札がぶら下がっている。ええ?これで山頂が見えるの?ここから?
展望が開けているとはあんまり思えない場所に設置されている望遠鏡なので、ちょっと意外だった。騙されたと思って覗いてみる。

おお!すごい!本当だ、奥穂高岳山頂がズバリ見えている!!
奥穂高岳ならではの、「山頂に人工的に作られた超巨大ケルン」がはっきり見える。これは、奥穂高岳の標高が3,190メートルで日本第三位で、「あと2メートルあれば2位の北岳に追いつくのに・・・」という悔しさから作られたものだという逸話がある。
なお、そうこうしているうちに、南アルプスの間ノ岳が日本第四位の3,189メートルだったのに、2014年の国土地理院発表で標高が3,190メートルに訂正され、奥穂高岳は追いつかれてしまった。そのため、「単独3位」だったのが、今では「同率3位」の標高、ということになっている。
それにしてもこの望遠鏡、山頂にいる人も、ほこらも見える。大したものだ。
タケがしきりに望遠鏡を見たがるので見せたが、多分彼は何も見ることができなかったと思う。双眼鏡にしろ望遠鏡にしろ、見るためにはコツがいる。

今日の朝ご飯も小梨平食堂で。
自炊しても良いのだけれど、朝ご飯を食べに行くという名目で、朝の森の中を散歩できるのはとても気持ちが良い。
これが自炊なら、朝ご飯を作って、食べて、片付けて、と一連の動作が終わるまで外のお散歩が遅れてしまう。

朝食は、おでんと、山菜うどん。
山にいるから山菜、というわけではない。上高地産山菜が入っています!なんてことは絶対にないから。

タケは昨晩の焼きそばを食べている。
舞茸はまだ噛み切るのが苦手なのかそもそも嫌いなのか、食べずに吐き出す。そのくせ豚肉は食べるんだから、1歳児なりのえり好みがしっかりある。
(つづく)
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