曽我丘陵(上大井駅→浅間山・不動山・曽我山・高山→国府津駅) / おかでんさんの活動データ | YAMAP / ヤマップ
2021年に第一子誕生となった僕。これからは子どもの成長と家族の幸福に自分の人生をコミットしていくことになる、と覚悟を新たにしたものだ。
ただ一方で、個人としてやり残したことがある。「死ぬまでに日本百名山をぜんぶ登る」という目標だ。
子どもが生まれてしばらく経ち、子育てのパターンや夫婦での家事分担の阿吽の呼吸が随分わかってきた。そこで、2022年から百名山登頂を再開するようになった。
4年ぶりの100名山登山復帰で、その時点で登頂済みは56/100。残り44座だった。48歳で残り44座だったら、残り人生を考えてもまだ大丈夫・・・ではない。それが僕の人生の若干特殊なところだ。
というのも、「子育ても一段落して、登山に時間もお金もかけられるようになった50代」というのが世の中の大半である一方で、僕の50代は子育て真っ最中という状況だ。登山という、地味にお金も時間もかかる趣味に自分のリソースを割いてよいのか?また、家族にどんな影響があるのか?というのが全く読めない。
慎重になりながら、「山と私と家族」の塩梅を伺っていたのが、2022年シーズンだった。この年は、浅間山と恵那山に登り、とても楽しい山歩きができた。


この2つの山歩きで、今後の課題というか、方針が見えてきた。それは、
「いきなり百名山登頂を目指すのではなく、冬のうちから低山登山を積み重ねていこう」
という、すごく真っ当な、今更感のあることだった。
これまでは、登山に興味を持つようになった大学時代を除いて、百名山ピークハント以外にさほど山に興味がなかった。百名山ではない山に登るなんて、疲れるだけとさえ思っていた。
しかし、昨年百名山を登ってみて、「あ、自分が思っている以上に老いていて、体力が衰えていて、ペースが遅くなっている」という事に気がついた。このままだと、焦って滑落するとか、怪我をするとか、道迷いになる可能性が高い。
だから、毎月1回、寒い冬のうちからでも登山をすることにした。それが2023年1月からだ。
昔は、何一つ運動をしてこなくても、登山はできた。疲れるのは人並みでも、標準コースタイムをどこまで短縮できるか?という前提でスケジュールを立てていた。なにせ、いきなり槍ヶ岳から奥穂高岳まで、大キレットを歩いてしまうような余裕があったくらいだ。しかも途中でビールを飲むというナメた態度なのに。
これは若さゆえのことであり、今の僕はそんなマネができなくなっていたのを悟った。コロナでお仕事がほぼテレワークになってしまったため、通常の老化に加えて脚力の低下が加速したのだと思う。
そんなわけで、今回。
1月という寒い時期でも登れる山ってどこだ・・・?と途方に暮れる。そんな山、これまでは眼中になかったので全く想定がつかない。まさか毎月高尾山に登ると飽きるし、百名山オフシーズンの間に行ける山を見つけなくては。
2023年01月08日(日)
今回は、「曽我丘陵」を歩くことにした。なにそれ?初めて知った。
小田原の近くにある、南北に伸びる丘陵地帯のことを指す。丹沢山系とはつながっておらず、独立した丘だ。
「丘陵」なのでバキッとした山系ではない。おおむね、東名高速道路の大井松田ICあたりから、JR東海道本線の国府津駅の間にある小高い場所界隈、を指すようだ。
丘陵歩き、という概念自体が僕にはなかったので、「こんなところを歩くのか!」と地図を見て驚いた。なにせ、これといった山頂がない。そして、途中に車道やらなんやらがバンバンあるので、どこから歩くのを始めても終わらせても、ぜんぜん構わない。「やり残した!」という残念感をあまり感じない作りだ。
そんなの、当たり前だ。でも、登山・・・特に百名山ばっかりやってきた僕は、「登山口」というのが明確にあって、山頂があって、下山してくるという世界しかほとんど知らなかった。なので、今回の概念はとても新鮮だ。

10:34
JR国府津駅のホーム。
もう太陽が高い位置まで来ているのに、まだ登り始めるところまで来ていない。なんてナメた山歩きなんだ、と我ながら驚く。
今回は距離も短く、高低差もほとんどない。せいぜい4時間くらいの散歩だ。だから、妻子を見送ってから身支度して家を出発しても大丈夫だ。
ああ、山歩きって数日前から気合いを入れ、準備万端でないとダメという堅苦しいものじゃなかったんだな。もちろんナメた態度はダメだけど、もっと気楽に山に向かってもいいんだ。
なお、丘陵歩きとはいえ、ちゃんと登山届は作成してパートナーには共有してある。何があるかわからないのは、低山も高い山も一緒。
国府津駅からは、御殿場線に乗り換える。
御殿場線はJR東海管轄、ということで、Suicaでは乗車できないですよ、というアナウンスがあった。あっ、そうか、toICaのエリアなのか。
東海道本線の場合、東京方面からやってきて、熱海を境にSuicaが使えなくなるというのは非常に有名な話だ。しかし、御殿場線のことは僕も知らなかった。

改札を一旦出てここまでの運賃をSuicaで精算して、その後御殿場線の乗車券を券売機で購入かなあ、と思っていた。
しかし、御殿場線のホーム上に長机が置かれ、駅員さんが臨時精算所を設けてくれていた。ここでこれまでの精算とこれからのチケットを発券してもらえる。日曜日だからやってくれているのか、それともいつもやってくれているのかは不明。
駅員さんはJR東海の人か・・・?と思って名札を見たら、JR東日本だった。JR東海からしたら、自分の路線のチケットは自分で売りたいだろう。JR東日本がチケットを売ったら、手数料を支払うことになるから。でも、国府津駅を管轄しているのはJR東日本なので、なすすべなし。

10:47
御殿場線沼津行きに乗る。ちなみに人生初。
1月に山歩きなんて、たぶんこれまで経験がない。なのでどんな格好をしてよいのかさえ、ぜんぜんわかっていない。とりあえず、ミディアムウェイトのジオラインをベースレイヤーで着て、その上にフリース、そしてアウターとしてレインウェアを着てみた。
「やばい、これだと寒い」みたいなことが途中で発生したら、すぐにトンズラできるのが今回の丘陵歩きのメリットだ。そして、相模湾近くということで冬でも若干温暖な気候だろう、という期待感がある。
なお、マスク着用は2023年1月時点でもまだまだ現役。コロナに対する警戒感はこの時点でも世間的に薄れていないため、電車乗車時どころか外を歩くときでもマスクをしていないと、若干居心地が悪い状態だ。

御殿場線に乗るなんて想像がつかなかったが、まさか低山ハイクのためにここまでやってくることになるとは。

ホーム上の自販機で、お茶を買う。今日の飲み物はこれ。
家を出る前にガチガチに装備や水食料を調達しておくのが僕の性分なのだが、道中で買うのは珍しい。
僕は疑い深いので、たとえ登山地図に「登山口で水が汲めます」と書いてあったとしても、水は自宅の水道水を持参する。しかもパンパンにして。もし現地で水が調達できなかったらどうしよう、と考えるからだ。
ホームでお茶を買った。たったそれだけのことでも、しみじみと感じ入る。

今回、この曽我丘陵に僕を誘ったのはこの本で紹介されていたからだ。「日帰り山さんぽ 低山をきわめる!」という本。

サブタイトルが「標高1,000m以下の別天地へ」となっていて、「冬の間、どこに登ろう?」と考えている僕にとってはうってつけだ。標高が高くて、路面凍結しているような山には行くつもりがないので。
この本は、ガチガチの登山ライターがルート選定&記事執筆をしているわけではない。なので、文章ではルート紹介をしつつも、エッセイ的な要素が強い。そもそも、「さんぽ」がテーマなので、僕がこれまで縁が薄かった観点で「こういうプランはどうだろうか?」と提案してくれているのが面白い。
中には、奥多摩の廃村を見に行って、戻って来るというだけのコース紹介記事もある。山頂にまったく立ち寄らない、山のガイド本という内容に感心した。

11:00
今回歩く曽我丘陵。どこから歩き始めたって、どこで終わりにしたって、全然構わない。しかし、先ほどの本の著者に敬意を示し、まずは本に書いてあるとおりのモデルコースを歩いてみることにした。
スタート地点は、御殿場線の上大井駅。

上大井駅は無人駅。
改札には、toICa用の簡易型自動改札機が用意されていた。
Suicaの場合、無人駅の自動改札機端末は1つだが、toICaの場合は「入場」と「出場」で別機器となっていた。

Suicaユーザーの僕は、この自動改札機は使えない。
なので、先程国府津駅で精算した使用ずみきっぷをポストに入れる。きっぷ、というか、レシートのような紙だが。

11:02
上大井駅の駅前。
こういうローカル駅にやってくるのは久しぶりなので、新鮮だ。お店があるようでないようで、その微妙さが非日常的で好奇心を掻き立てられる。
(つづく)
コメント