やっぱりデカいぞばんやの魚【2015年12月】

保田漁港・ばんやの魅力(その10)

レインボーブリッジ

冬になってくると、活動範囲が限られてくる。どこかにドライブに行きたいなーと思っても、山方面は道路が凍結している可能性があるのでむやみに行きづらい。じゃあ海方面だ、となると房総半島に目が向き、自然と「そうだ、『ばんや』に行こう」という気になる。冬だったらお魚の脂が乗っているし。

そんなわけで、今年もクリスマス直前にばんやに行ってきた。なんなら、寿司おけにローソクをつき立ててお祝いしてもいいくらいだ。

ばんや外観

混雑するのはイヤなので、ばんやに行くときには早めに家を出ている。8時に都内を出発して、10時過ぎにはもうばんやだ。お昼ごはんを食べるにしては早すぎる時間だけど、「僕たちの昼めし時」は、「みんなの昼めし時」でもある。当然お店はごった返すし、限りある資源であるお魚ちゃんたちでイイカンジなのは早い時間で売り切れてしまう。ばんやに関しては、早い時間鯛に訪れるに限る。おっと、気がせいてしまって「時間鯛」なんて間違った漢字返還をしてしまった。「時間帯」のことね。

「この時期、何があるかな?」

お店に到着するまでの間、一緒にばんやに行く連れにはなしかけた。メニューなんてその日の水揚げ次第なので、お店に行ってみないとわからないものだ。しかし、お店に行って、膨大なメニューを前にすると完全に舞い上がる。情報処理がうまくいかず、結局ぱっと目に付いたものを頼んでしまうことになる。大して食べたいわけでもないのに。

だから、まずは「心構え」というか、「今己が欲する魚介」を心穏やかにして明確にしておく必要があるのだった。

「あれこれ頼むのはやめよう?一品一品の量が多いのだから、料理が余っても困る」
「なに、心配するなかれ。あえて余らせてお持ち帰りにすればいい。そのためのパックもあるのだから」

この連れとは昨年も一緒にばんやを訪れていて、「たくさん頼んで、たくさんお持ち帰りになる」様をじかに見ている。

「いや、お魚は調理したてが一番新鮮だし、おいしいのだから(まとめて大量に注文するのはやめよう)」

抵抗された。

さすがに二年連続、「家に帰ってからも続くばんや三昧」というのはご遠慮願いたかったらしい。「やりすぎ感」を好む僕からしたら、なんとも物足りない牽制球だ。不満げな僕に対し、連れは

「とりあえず3~4品頼んでみて、それでまだおなかが空いていたら追加で頼めばいいじゃない」

という。いや、ごもっともです。

あまりに当たり前な提案で、ぐうの音も出ない。でも僕一人だったら、「とりあえず目に付いた美味そうなヤツ全部頼めー!」と突撃ラッパ高らかだ。「こ、これが常識という名の強敵かッッッ!」と愕然とする。

3~4品も頼めば、そりゃあ空腹ってことはないんだよな。がっつきたい気持ちはあらかた落ち着き、「まあこっちの魚も食べたまえよ」「ああすまないねえ」なんてお互いの料理を融通しあうくらいの余裕が出てくる頃だ。そんな中、敢えてさらに追加するほどの意欲というのは生じにくい。

こういう展開になったからには、頼むものを厳選しないと。イカのかき揚げは「ばんや」における美味メニューの一つで以前から愛しているが、果たして「3~4品」の枠組みの中に入るかというとちょっと厳しい。となると、他はなんだろう。

「アジとか脂が乗っているだろうから、うまいだろうねえ。とりあえずアジの刺身あたりがあるといいかな。あと、カマ焼きとかあら煮があればそれもぜひ」

何が食べたいだろうか、と考えた結果、こう答えるのがやっとだった。昨年、ばんやでもサーモン刺とかブリ、クジラベーコンといったものがメニューにあったが、こういう「地物でないっぽい」ものはできるだけ頼まないようにしたいところだ。サーモンって一体どこから仕入れてきたのよっていう話だ。

ばんや

ばんや到着の際、まず最初にドキドキするのが駐車場を俯瞰するときだ。漁港に面しているので広い駐車場を有しているのだが、週末の昼時になると非常に混む。運が悪いと駐車スペースに難儀しウロウロすることになる。お店が混んでいるかどうかを測る上では第一歩となるこの場所だが、冬の朝ということもあってスカスカだった。今日は雨が降るという予報も出ているので、客足が悪かったようだ。おかげでお店の前に堂々と車を駐車することができた。

建物改築中

いざお店と対峙したとき、「あれ?」とすぐに気がつくことがあった。

昨年、「ばんやは魔窟になった」とまで形容させた、「浜焼き館」が取り壊されていたからだ。貝類焼き放題食べ放題、という新しいスタイルで営業を開始していたのに、何か不都合があったらしい。よっぽど儲からなかったか、貝が安定的に仕入れられなかったか、作りが甘くて床が抜けたり天井に穴が開いたりしたのか?

足場が組まれていて、今まさに作業中だった。ここにさらなる魔窟を作るのだろうか。

宿泊施設も、日帰り入浴施設も、団体客用食堂もここには既に備わっている。あとは、「お魚を食べながらカラオケが楽しめます!」くらいか?

本館入り口

本館入り口は「魔窟」時代そのまま。やっぱり奥まったところにある。今のように寒い時期、この建物群全体をトタンで覆っているのは楽だ。これまでだったら、ばんや本館から外に出たら、寒いから足早に車に戻っていたけど、これなら本館以外のお店を見て回ることができる。

本館入り口

本館は相変わらずタカアシガニが誇らしげにお出迎え。「おう、またきたか」とあいさつされたので、「おう、きたったわ!」とこっちも胸を張る。

タカアシガニポーズ

タカアシガニと同じポーズをとってみる。

こんなことができるのも、お客さんが少ないからだ。ふつうだったら、こうはいかない。このあたり、入場待ちの人たちで溢れかえっている。恥ずかしくてポーズをとることなんて無理だ。

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