激辛麻婆豆腐十番勝負

短期集中食べ歩きマニアックス(その1)

そもそものきっかけは、「激辛グルメ祭り」というイベントに3日連続で通ったことに起因する。久しく激辛料理から遠ざかっていたおかでんだったが、ここで火が付いてしまった。久々に激辛を食べたら美味いじゃないかこの野郎、と。特に、麻婆豆腐を食べた時はその思いを強くした。

麻婆豆腐は以前から大好きだった。日本風の麻婆豆腐ではなく、本場四川のやつだ。日本風とは似て非なる食べ物、といっても過言ではない。やはりなんといっても、辛さとしびれ、この要素が四川風だと強調される。日本風の、時には甘ささえ感じる麻婆豆腐は物足りないと感じている。

とはいえ、麻婆豆腐をクローズアップして、食べ歩きをした経験はいままで一度もない。ただなんとなく「麻婆豆腐、好きです」と思っていた程度だ。でも、せっかく好きなんだから、ちょっとは深掘りしてみたほうがいいんじゃないか。そう思い、自ら「十番勝負」として激辛の麻婆豆腐を食べ歩いてみることにした。

【01軒目】陳健一麻婆豆腐店 木場店(東京都江東区木場) 2013年08月25日

陳健一麻婆豆腐店 木場店

まず最初に選んだのは、江東区木場にある「深川ギャザリアロータスパーク」内の「陳建一麻婆豆腐店」。名前から見て分かるとおり、中華の鉄人・陳建一がプロデュースする、麻婆豆腐専門店だ。

麻婆豆腐の元祖とされるお店が「陳麻婆豆腐店」。首都圏に何店舗かあるのだが、これと間違いやすく大変に紛らわしい。でも、似た店名で客を惑わせようという、コバンザメ商法ではない。陳建一自体が立派なブランドだから。

おかでんはこのお店を愛してやまない。昔からよく利用していて、おかでんにおける「麻婆豆腐」の基準はこのお店となっている。夜、ビールのつまみとして無性に食べたくなることがあって、往復1時間半かけて車で買い出しに行ったことが何度あったことか。ガス代+首都高速料金+麻婆豆腐代。とんでもない出費だが、他になかなか代えがたいので仕方がない。

ちなみにこのお店はテイクアウトができる。こういうところも、重宝し続けてきた理由の一つ。

麻婆豆腐三種類

麻婆豆腐は三種類から選べる。辛さの解説が写真つきで行われており、ユーザーフレンドリーなところがうれしい。これなら、初めてお店を訪れた人も安心だ。

Aの「大辛」は、「正宗麻婆豆腐」と名付けられている。本場四川風。マニア向け。

Bの「辛口」は、「陳建一麻婆豆腐」と名付けられている。陳建民譲りの、ジャパナイズされた麻婆豆腐。普通の人なら、これを頼むのが正解。

Cの「甘口」は、「小人麻婆豆腐」と名付けられている。お子様向けで、辛さはない。というか、麻婆豆腐っぽくない、豆腐料理だ。麻婆豆腐を期待してこれを食べると肩すかしを食らうので、やめた方がいい。でも美味いことは美味い。

なお、メニューのどこにも書かれていないが、このABCをさらに細かくカスタマイズすることも可能。「Bを少し辛めに」とか「Aの辛さ控えめで」という注文が通用する。

以前おかでんは、テイクアウトをする都度「Aの6倍」とか「Aの8倍」といったオーダーをしていたものだ。昔は、「○倍」というオーダーの仕方で辛さを増強できた。そんな客は珍しかったようで、電話をかけただけで「あっ、おかでんさんですね?今日は何倍にしますか?」と店員さんから聞いてくるありさま。

ちなみに、「Aの10倍」まで辛さを増強して楽しんでいた時期がおかでんにもあったが、さすがにそんなのを食べた翌日の体調が思わしくないので、やめた。最終的には「Aの6倍、山椒は油と粉両方とも多めで」というオーダーがベストマッチだったと思っている。

・・・これらが「過去形」の文章で語られているのは、今ではもうそういう無制限激辛まつりができなくなってしまったからだ。あるときから、「味のバランスが崩れるから」という理由で、「辛さ増強は3倍まで」と制限がつくようになり、そして今では「○倍」という概念すらなくなってしまった。残念だけど、しかたがない。

麻婆豆腐セット。A(大辛)の「辛め」。

麻婆豆腐セット。A(大辛)の「辛め」。1,050円。

一応、「辛め」くらいなら、今でも受け付けてくれる。

本格的な麻婆豆腐を四川料理店で頼むと、とっても高くてびっくりすることがある。でも、このお店の麻婆豆腐は比較的お手頃な価格設定だ。ライスおかわり自由、スープおかわり自由。つまりだ、かっらい麻婆豆腐で腹いっぱいになってくれよブラザー!というわけだ。食っちゃいな!

大辛のアップ

「大辛」という名前の通り、辛い麻婆豆腐だ。普通の味覚の人なら、Bの「辛口」で汗をだくだくかくくらいなので、Aはちょっとしんどいと思う。だけど、せっかくこのお店に来たのだから、とお客さんのそこそこの数は「Aの大辛」を頼んでいた。ただし「辛さ控えめ」で。

花椒が並ぶ

この陳建一麻婆豆腐は、シビレという点では弱い。花椒のシビレを強調させたい人は、卓上に二種類の花椒粉があるのでそれを自由にかけるとよろし。

「しびれ」と「かおり」の二種類の花椒がある、というのがこだわりがあってすてきだ。以前は、非常に非常に出にくいミルに花椒が入っており、いくらガリガリやってもほとんど粉が出てこなかった。これが口コミ上で相当不評で、その結果現行の普通の調味料入れに変わったようだ。これ、最近のマイナーチェンジだ。

久しぶりに食べた陳建一麻婆豆腐、やっぱり相変わらずおいしかった。白いご飯を頬張りながら食べる麻婆豆腐は至福のひとときを作り出してくれた。やっぱり麻婆豆腐は、うまいな。

さて、これからおかでんがまだ知らない麻婆豆腐を食べ歩くぞ。

【02軒目】五指山(東京都千代田区内神田) 2013年09月04日

五指山

五指山、というお店が神田にあり、そこの麻婆豆腐がなかなかに辛いらしい、といううわさを聞いて、訪れてみた。

東京メトロの淡路町駅近くにある、小さなお店。

麻婆土鍋ごはん

狭いお店。一人客はカウンター席だけど、これも結構狭い。

麻婆土鍋ごはん、というのが今回のお目当て。昼は900円だけど、夜は1,000円と100円割高になる。でも、夜だからといって何かおまけがつくといわけではないので、可能ならお昼に訪れたいところ。

「辛口にしてもらうことはできますか?」と店員さんに聞いたが、「忙しい時は受け付けていない」と言われた。これはしかたがない。

大ぶりな土鍋にご飯がみっちりと入り、その上に麻婆豆腐がびっちりと入った料理。それがこのお店の麻婆土鍋ご飯。

見たとおりのボリュームで、このお店を訪れていたほぼ全員がこれを頼むものの、「ご飯少なめで。」と頼む人が続出したのは納得だ。

確かに辛いのだが、ご飯と一緒に食べるのでさほど食べにくくはない。おいしく、おなかいっぱいになるまで麻婆豆腐を堪能することができた。

【03軒目】雲林(東京都千代田区神田須田町) 2013年09月07日

雲林

火事を起こしてしまい、今や駐車場になってしまった蕎麦屋の名店「かんだやぶそば」。その近くに、「雲林」という中華料理屋があり、そこの麻婆が辛いらしい。

あんなころに中華料理屋、あったっけ?あんこう鍋、甘味処といった老舗が有名だけど。

行っていたら、本当にやぶそば跡地のすぐ近くに、目指すお店はあった。お店は2階。外階段をのぼって入店する。

土曜日のお昼に訪問したのだが、店内は満席。かろうじて着席することができた。客層は老若男女さまざまだが、みんな小金持ってそうな出で立ち。そりゃそうだ、このお店は「餃子の王将」みたいな大衆中華とはちょっと違うお店。

前菜盛り合わせ

平日のランチだと、1,000円で麻婆豆腐が食べられるらしいのだが、今日は土曜日。「ホリデーランチ」という割高なメニューの中で、麻婆豆腐をチョイスすることで食べることができる。

前菜四品盛り合わせ、揚げ花巻練乳添え、本日のデザートに加えて選べるメインディッシュ12種類。これで1,890円。

ちなみに「四川『激辛』麻婆豆腐セット(ご飯・スープ付き)」は追加料金が発生し、プラス210円。つまり、2,100円のランチになるということだ。

でも、この価格に見合うだけの味と、サービスだったので、満足している。デートコースとしても成立する雰囲気と、味。

四川激辛麻婆豆腐

これが四川激辛麻婆豆腐。シビレが強めに設定されており、口の中がすーっとする。毒々しいまでの辛さというのはなく、辛美味い世界。ご飯の量が少ないのだけど、おかわり自由ではないので注意が必要。ついついご飯をもりもり食べてしまうと、後々バランスに苦慮することになる。

コース最後のデザート

デザート食べて口も心もリセット。いいお店だった!

【04軒目】唐人吉華(東京都中央区八重洲) 2013年09月11日

唐人吉華

東京駅八重洲口からほど近くの路地裏に、「唐人吉華」という四川料理店がある。ここの麻婆豆腐がいい辛さをシビレを提供しているらしい。

麻婆豆腐の辛さは選べるぜ

麻婆豆腐の辛さは調整できるよ、とわざわざ店内に張り紙がしてある。他の料理については一切触れられていないので、麻婆豆腐に関しては辛さ調整を期待する客が多いらしい。
ちなみに、

「辛さなし」、「小辛(ラー油小さじ1)」、「中辛(豆板醤半分)」、「普通(標準の辛さ)」、「大辛(一味大さじ1プラス)」、「激辛(ラー油大さじ2、一味大さじ1プラス)」、「超激辛(激辛の二倍)」、「スペシャル(スペシャルブレンド)」

と書いてあった。スペシャルを頼めば、辛さを相当高めることができそうだ。

とりあえず今回は初訪問ということもあるので、常識の範囲内?の「超激辛」で。超激辛で「常識」って主張するのもどうかとは思うけど。

超激辛麻婆豆腐

超激辛麻婆豆腐。1,570円に、ライスを付けた。ライスは数百円程度だったかな?

お茶は、無料サービス。

花椒粉が、皿に散っていて壮絶。実際、猛烈にシビレた。辛さもさることながら、シビレもすばらしかった。途中で喉の奥が麻痺して、ちょっとテンションが下がったくらいだ。

シビレすぎってのもどうかな、と思ったけど、ここまで日本人向けでない辛さとしびれには大満足だ。

【05軒目】雲林坊秋葉原店(東京都千代田区神田須田町) 2013年09月24日

雲林坊秋葉原店

タンタン麺と麻婆豆腐の店で、カウンターだけ、自動券売機のシンプルな店構え。ガード下にある。

以前訪問した、神田雲林の別展開。

麻婆豆腐ご飯セット

「麻婆豆腐ご飯セット」900円。

店はラーメン屋風だけど、出てくる料理は本店譲りの本格的なもの。器からして、プラスチックみたいな安っぽいものではない。

100円払ってたら、「辛さと痺れましまし」にできるので、お願いしてみた。ついでに、パクチーも有料で追加。

さすがにましまし効果抜群。麻婆豆腐の表面がえらく粉っぽくなって感動。ここまでやってくれるんだ!うれしい。

味はいい。900円で定食形式が食べられて、この味っていうなら全く文句はなく、褒めたい。これは今後も利用したいお店だ。

ちなみに、パクチーを麻婆豆腐の上に載せてみたが、いまいち組み合わせが悪かった。これは作戦失敗だった。

【06軒目】巴蜀(東京都千代田区岩本町) 2013年09月27日

巴蜀

秋葉原駅から東へ徒歩、というか、都営新宿線の岩本町駅が最寄りとなる、四川料理店「巴蜀」。ここも麻婆豆腐が有名。

中華の麻婆豆腐の場合、ランチタイムに訪れれば安く食べられることが多いのだが、そんな暇がないので値段が高い夜の時間に訪問している。味が違う訳でもないわけで、なんだかすごく悔しい。でもしかたがない。

成都マーラー豆腐(中)辛口

成都マーラー豆腐(中)辛口、ライス付き。1400円。

ノーマルサイズと中サイズがあり、中を選ぶと100円だけ安い。辛口は200円増し。

程良いからさ。しびれはさほど強くない。肉から染み出る旨味が甘く感じられ、あまりストイックさのない味。

今の僕にとっては、これぐらいがちょうどよい味付け。

【07軒目】芝蘭 板橋店(東京都板橋区赤塚新町) 2013年10月01日

住宅地の中を歩く

板橋区、東京メトロ有楽町線の地下鉄赤塚駅から徒歩しばらくのところにある四川料理店。
もともとお店があるような場所ではないな、とは思っていたが、ナビの指示に従って歩いて行くと、明かりすらまばらな住宅地の中へと誘われた。いやいやいや、この先に油っちい、古びた中華料理屋があるならまだ分かるけど、有名なお店があるとは到底思えない。

芝蘭 板橋店

と、思ったら、本当にあった。芝蘭。

アブラッちいお店とは全く違う、本格的なお店だ。

「本日のおすすめ料理」の黒板が店頭に掲げられている。それをみると、

「フレッシュ松茸と特選和牛のオイスター炒め 2,200円」

なんて書いてある。おい、うっかりお店に入って、

「マスター!ラーメン餃子!」

なんて言っていいお店ではない。

ちなみに、

「しびれる辛さ!! 1,000円」

というメニューが存在したが、これは一体なんだろう?

陳麻婆豆腐

陳麻婆豆腐 1,400円にライスを付けた。

麻婆豆腐は、2種類ある。単なる「麻婆豆腐」と、「陳麻婆豆腐」。

「麻婆豆腐」は「一般の辛口より辛い。」と記され、「陳麻婆豆腐」は「山椒入りでしびれる美味さ。激辛。」と記されていた。

「※麻婆豆腐と陳麻婆豆腐の辛さの調整が必要な方はご注文の際に従業員までお申し出ください」

と書かれていたので、「一番辛くしてください。」とお願いしておいた。多分、このメニューの注記は「辛さ控えめができます」と言いたかったんだろうが、まさかその逆で、「もっと辛くしろ」という客がいるとは。まあ、このお店で麻婆豆腐を頼む人は、おかでん同様、辛いのを求めて遠方から来るパターンが結構多いだろうから、こういうのは日常茶飯事かもしれない。